サッカー日本代表のグループリーグ突破おめでとうございます。
素晴らしい戦いぶりです。
アジア予選を突破し、ワールドカップ本戦への準備を進めていたハリルホジッチ監督を大会二か月前に更迭するというおよそ文明国では信じられない愚挙に出た日本サッカー協会に派遣された日本代表ですが、そんな逆境の中見事ノルマを達成しました!
おめでとう!!
それでも、第三戦の戦い方が少し物議を醸しているようなので私の意見を書きます。
後半のアレについての意見はFIFAとご自身にどうぞ、と。
意見は端的に、とかいう人が増えてきましたがあえての長文です
大会の前にルールを確認していたのは真剣に戦っている選手と監督くらいだったのではないでしょうか。
ワールドカップの1次リーグの順位は、各チームの勝ち点、得失点差、ゴール数の順で決まり、複数のチームが並んだ場合は該当するチームどうしの対戦で比べ、それでも差がつかない場合は、今大会から選手の反則や退場など警告のポイントの差で決めることとなっていました。
このルールはFIFAが決めたものです。
文句があるならFIFAへ。
これを頭に入れていて、日本代表は取りうる選択肢の中で一番グループリーグ突破の可能性が高いものを選択したわけです。
また選択肢はあっても試合の中でピッチ上にいる全員に統一した意識を与えるのは至難の業です。
負けているシーンでの長谷部投入は強いメッセージであるとともに、ピッチにいる全員がしっかりとその選択肢を表現に落とし込んだことは称賛に値します。
選択肢については、今回の選択肢のほかに、一点負けている状態から追いつくために攻撃的にプレーするというものももちろんありました。
しかしこの試合に臨んだ西野監督のコンセプトからするとその選択肢はあまりイケていないと考えられます。
この試合のコンセプトは「グループリーグ突破(引き分け以上)とベスト16でコンディションが落ちてしまうこと防ぐターンオーバー」であり、先発メンバーを6名替え、リスク管理を厳密にしながらのシンプルな攻撃、フレッシュかつ前から追えるFW2名を中心とした粘り強い守備を展開しました。
将棋でもそうですが、攻める側は創意工夫が必要です。
サッカーにしてもそうで、攻撃のアイディアはそうそう用意できません。
アイディアはなくても高精度の連携があれば、という「ティキタカ」的な攻撃も個人の高いスキルと長い時間かけて醸成されるコンビネーションが必要とされます。
先発を六人入れ替えてそれが実現できるかというと難しいでしょう。
コロンビアが勝ち越したというニュースが入り、そのままであれば2着という既得権益がある状態で、リスクを負ってその既得権益を拡大する選択肢にどれほどの意味があるのかわかりません。
サッカーというのはとにかく点が入らないゲームですし。(ポーランドのレバンドフスキ―は9分で5点取ったことがありましたけどね。。。)
決定力不足が課題!とみんなみんな嘆いていたはずなのに、なぜあの試合だけ己の決定力を信じられるのか、ご自身の発言の一貫性もチェックしてほしいものだと思います。
さらに「日本らしいサッカー」「侍らしく」などと雰囲気だけで意味のわからない負けてもいいから勝ちに行けという論調も見られますが、世界であんなサッカーができるのは日本だけだと評されていますよね。
日本らしさ以外の何物でもないではないですか。
統一された意識のもとにミッションを遂行し、結果を出した。
日本のイメージそのものでしょう。
二戦目に往年の市立船橋ばりのオフサイドトラップを見せて話題になっていましたが、同じ特徴が違った表出をしただけです。
「あんなのは最低だ。」「つまらなかった。」
他の国の人がいうならいいんです。
うらやましいんでしょう。
またニッポンに思い入れがなくて、純粋にサッカーを楽しみたかった人ならわかるんです。
私だってボール回しが始まったらコロンビアーセネガル戦を観ました。
でも代表でやっていることはエンターテインメントの提供ではありません。
日本代表のサポーターなら言い返してやってほしいんです。
君たちはミッションを理解しているのか?
学生気分で仕事してんじゃねえと。
責任感を持って仕事をしている人の仕事の仕方にケチをつけるんじゃない。
エンターテインメントを観たいならプロレスを観なさいプロレスを。
日本代表が初めてワールドカップ出場を決めた1997年ジョホールバルでのイラン戦。
立ちはだかるアベドザディ、襲い掛かるダエイ、アジジ、マハダビキア、それを操るゲームメイカーのバゲリ。
今でも鮮明に覚えていますが、これでもかと決定機を外しまくる凡戦でした。
でも僕らは手に汗を握り、声を嗄らして応援しました。
こと代表戦に限っては内容がなんであれアツくなるんです。
この三試合は20年前のあの戦いよりもはるかに高度、はるかに豊かな試合です。
でも面白さ、アツさは変わらないと思うんですよ。
応援してればね。
フェアプレーポイントは合理的だと思います。
過去名選手が何度となくけがでピッチを去りました。
また、ジダンやベッカムは言うに及ばず感情をコントロールできない未熟な暴力行為でレッドカードをもらい試合をぶち壊しました。
そんなシーンは誰も見たくありませんよね。
実際、警告は直近のチャンピオンズリーグと比べて減っているという指摘もあり、効果が出ています。
問題はこのルールを我々観戦者が知らなかったこと、慣れていなかったことです。
なのでサッカーの本質でないことでとても大切なことを決められたような気になりますが、そんなことはありませんし、単に慣れてないので混乱しているのではないでしょうか。
良い制度なので定着してほしいです。
また、ワールドカップに関していうとクラブチームの試合とは違い、エンターテインメントは求められません。
観客動員数やらグッズの売り上げなどが監督や選手の報酬に連動するわけではないのです。
代表に召集されると一万円の日当がでます。
試合に勝利をするとワールドカップの場合一試合につき百万円の報奨金がでます。
真剣に勝つことを求められているチームなので、その観点以外の批判は当たらないです。
もうここまでくるとおわかりいただいているかと思いますが、あの試合だけ切り出してどうこう言うのは不毛で、グループリーグ三試合、いやこのワールドカップの今後の展望まで含めて戦略を観ていくと違った地平が開けます。
日本代表の中でも目標は統一されていないようですが(ケイスケ・ホンダと同じ強度で目標は優勝!と言ってませんよね。)それでも日本サッカー界初のベスト8だったり、韓国に追いつく意味でベスト4だったりするわけで、少なくともグループリーグで敗退してもいいから美しいサッカーをすることが目標であると言っている人はメンバーにはいなかったと考えています。
私は西野監督が好きですが(ガンバファンです。)、いくらなんでも今回のタイミングでチームを任されてグループリーグを突破するのは難しいだろうと思っていました。
第一戦のコロンビア戦の冒頭でハンパナイ大迫がロングボールに対して体を張り、潰れながらPKにつながるプレーをしました。
その後香川のシュートでレッドカードを稼いだ(あれはPK+イエローが標準的だと思いますが・・・)のは偶発的なプレーだったと思いますがその後も相手の焦りといら立ちを誘うプレーで二枚のイエローカードを稼ぎます。
第二戦のセネガル戦で若くて精神的に未熟そうなニヤンに密着マークをし動揺を誘った昌子は、見事彼の暴力を誘いイエローカードを引き出しました。
コロンビア戦でもセネガル戦でも乾、香川のセレッソコンビはペナルティエリア周辺で仕掛けるだけでなく、ハーフライン付近でも体を張ってキープをし、何度も潰されることでファールを誘っていました。
私はそれを不思議に思ってたのですが、その試合を優位に進める意味も大いにあったと思いますが(日本には良いキッカーがいるので)フェアプレーポイントを稼ぐ意図もそこに含まれていたのではないかと考えます。
まっとうにサッカーをして勝てないなら、様々な手段で優位性を築いていくのは勝利の鉄則です。
メンバー選考の時点で危険察知能力が高い選手、粘り強く相手に体を寄せる選手、ボールキープに長けた選手の方を、スピードがある選手や突破力のある選手よりも優先したように思えます。
もちろんそれを最優先の基準に選んだわけではないと思いますが、描いているゲームプランが何となく見えます。
戦術を浸透させるのに使える時間、彼我の実力差を考えた末に選んだゲームプランと考えられるシチュエーションを考え抜いてメンバーを選んだのでしょう。
西野監督はベスト16で勝つことを考えて三戦目はターンオーバーしているわけです。
ターンオーバーしている時点で戦術が狭まった状態でリスク管理をしたわけですし、それは前二戦で勝ち取った成果に基づいて可能になった選択肢なんですよ。
初戦、二戦目、三戦目で戦略が変わっているわけでもなく、どれも日本らしい良い試合だったと思います。
日本代表は三試合素晴らしい試合をして、大きな成果を出しました。
おめでとうございます!ありがとうございます!
ベルギー、僕はとっても好きなチームですが、西野監督はまだ秘策を用意していると思います。
楽しみに3日の朝3時を待ちたいと思います。