寒い夏 Mr.Indigo
- 2017.07.31 Monday
- 12:00
7月半ばになっても長袖で通勤している。会社のルールなどではない。単に冷房が苦手だからである。
以前はそれほど冷房への苦手意識はなかったのだが、ここ数年で染み付いた気がする。そして、この夏は一段と体がきつい。
昔は冷房とほとんど縁のない生活を送っていた。私が17歳の時に両親が新居を建てたのだが、それまでは自宅に冷房は全くなかった。新居も自室にはなく、リビングには設置されていたが使うのは来客などの際だけ。真夏は扇風機が頼りであった。
大学進学後も非冷房生活が続いた。大学の教室も冷房が設置されていたのはほんの一握りで、恩恵にあずかったとは言い難い。大学を卒業してからは職場の冷房があったが、夜間は蒸し暑さに耐える日々だった。
自分の寝室に冷房が入ったのは31歳で結婚した時だが、結婚したのは秋のことで、翌年の夏は妻が里帰り出産のため私1人で過ごした。すると、もったいないから冷房など使わない。結局、夜間に冷房を使うようになったのは33歳になる直前の夏のことであった。
この時は長女が1歳になるかどうかの頃だったから、冷房はかけていたはずだ(乳幼児は暑がりで、しかも汗疹が出ると面倒なのだ)。しかし、それが苦痛だった記憶はない。冷房がつらくなったのは、おそらくそれ以降だろう。
昨年7月、会社が移転した。通勤経路が変わり、東京メトロ千代田線を利用することになった。そして、車内の猛烈な寒さに驚愕した。
私が乗るのは朝の9時過ぎ。通勤ラッシュのピークを少し過ぎた時間帯なのだが、いわゆる寿司詰め状態の時間帯と設定温度が変わっていないのだろうか。しかも、空いているわけではないから、風の当たる場所を避けて立つのも難しい。最寄駅から会社へ行くには最後方の出口が便利なのだが、あいにく弱冷房車は前のほうにしかない。仕方なく、私は長袖で通勤することにしたのである。
そして今年は家庭の冷房もつらくなってきた。次女の寝かしつけをしているとなんとなくわかるのだが、彼女が寝る時の適温は私にとっては寒いと感じるくらいの温度である。室温が上がると暑さで目を覚ましかねないから、暑い日は一晩中冷房が作動している。それは長女の時と同じはずなのだが、今年はどうも違う気がする。
妻に相談してみた。
「歳のせいじゃない?私もそうだもん」
「そっかぁ、歳かぁ…」
「でも、我慢して慣れるしかないね」
いや、俺ら兄弟はだな…と反論しても何ら説得力がない。30年以上前の田舎と今の大都会では暑さが違うのだ。暑い夜は薄着で布団を掛けず寝るのが幼少時からの習慣だったが、どうやら改める必要がありそうだ。布団は蹴飛ばせるから、少し厚着にするしかあるまい。
それにしても、なぜどこもかしこも冷房がきついのだろう。特に電車や商業施設。冷房対策で羽織るものを常備している人も少なくないというのに。寒ければ厚着をすればよいが、薄着には限界がある。それは理解できるにしても、今の日本の夏は寒すぎやしないか。
電車でいうと、10両中1両しか弱冷房車がないのは本当に妥当なのか。6両編成なら2号車と5号車、10両編成なら2号車と5号車と8号車とか、せめて3分の1くらいは弱冷房車にしてほしいものだ。
冷房が苦手な人は、少なくともそのくらいの割合にはなると思うのだが…。