【テーマ】尊敬する人 たりき

  • 2017.01.31 Tuesday
  • 23:50

尊敬する人は誰ですかという問いに答えるときはいつも困ってしまいます。

好きな歴史上の人物であれば楠木正成か趙雲子龍ということになるのですが、尊敬する人かというとそれはちょっと違う気がします。

今回のテーマに関連して少しだけいろいろと考えてみたりもしたのですが、これといって上手く書ける内容が思いつきませんでした。

おしまい。

 

 

 

 

というわけにはいかないので。

普段言ったりしないし、なんだか模範解答のように聞こえるかもしれませんが、尊敬する人は両親かなということを考えたりすることがあります。お酒を飲んで酔っ払っていたときにそんな話を誰かにしたことがあるようなないような気がしますが、もしあったとしてももういつのことかわからないような昔のことです。

父は、高卒後に実家近くの工場に就職しましたが、その後縁あって営業職に異動になり40年近く営業をやっていました。

高校卒業して間もなくの頃は実家で悪友としょっちゅう徹夜でマージャンをしていたらしいといった話を聞いたことがあります。

ちょうど私も同じ年齢の頃に明道館でマージャンを覚えて徹夜で遊び続けていたのも運命だったのでしょうね。(そんなことはない。)

営業職ということで気苦労もすごかったという話を今になって話してくれたりしますが、それでも出世して、バブル景気の時期も重なったということもあってかなり稼いでいたという話を母親がちらっと教えてくれたことがあります。

お金がすべてではないかもしれませんし時代が違うかもしれませんが、父親の最高収入を抜くということが私の一つの目標ではあります。

現状、まったく届く気配すらありませんが。

そういえば、バリバリの理系脳で大学の理系学部を卒業した私が今現在営業の仕事をしているのもやはり運命なんでしょうかね。(これはもしかしたらそうかもしれない。)

母は、(父方の)祖母が倒れて寝たきりになった後、介護用のベッドを手配しておそらくはじめのうちはいろいろと教えてもらったりしながらだとは思いますが、祖母が亡くなるまで自宅で介護を続けたのは本当にすごいことだと思っています。

そのときだったかその後だかに介護の資格も取り、今では訪問介護の仕事をしています。

またまだ小学生くらいの頃、母に父はすごいから尊敬しなさいといったことを言われたことがあります。

どういうニュアンスだったのかよく覚えていませんし、それだけ聞くと今では時代遅れの部分ももしかしたらあるかもしれませんが、それでもそういうことを言える母もまた尊敬できると後々に考えたことを覚えています。

 

私自身も、他人に認められる、尊敬される人物にならなくてはならないなあと漠然と考えたりもしますが、なかなか一朝一夕でできることではないですからね。

自力で地道に努力するしかないでしょうか。

【テーマ】 当然山中鹿之助と答える byアフリカの精霊

  • 2017.01.31 Tuesday
  • 22:08

 実はこんなに戦国のことを書いているにも拘らず、尊敬する人物として戦国武将を書くことにためらいを感じる。「そんな昔の人の何を知っているのだ」と「戦国武将って人をたくさん殺した人を尊敬するの」、この二点の批判が常に付きまとうからである。

 「尊敬する人は誰ですか?卑弥呼です。聖徳太子です。」という答えがほぼありえないし、「尊敬する人は誰ですか?ヒトラーです。大量殺人を犯した人物です」なんて答えができないとの同様なのではないかと思ってしまうのである。

 ちなみに尊敬とは少し違うが「上司にしたい戦国武将ランキング」で信長が1位(2位家康、3位謙信、4位秀吉、5位信玄)らしい。知名度がなせる業であろうが、私は信長が1番上司にしたくない武将であるがみなさんはどうだろうか。

 

  ともあれ、そんな批判を無視して尊敬する戦国武将はと問われると私は必ず「山中鹿之助」と答えることにしている。

鳥取の戦国大名である尼子氏の家臣で本名は山中幸盛という。

現代にも通じる一つのトリビアとしては、鹿之助の子供は鴻池財閥(三和銀行・現UFJ銀行)の始祖として有名であることであろうか。
 尼子氏は毛利元就に滅ぼされてしまうわけであるが、そこからが鹿之助の見どころである。鹿之助は尼子家の人間を遠くから連れてきて尼子家を再興しようとするのである。現代で言うと潰れた会社を、その会社の部長や課長が社長一族にお金を出して会社を立て直そうとすると言った感じであろうか。

 ここで戦国時代に関する一つの勘違いを指摘しておくと、一人の人間が一人の大名に仕え続けることを良しとするのは武士道精神が表れてきた江戸時代から出てきた考え方で、戦国においては自分の使える大名が自分のことを正当に評価してもらえないと思えば、その大名を見限って他の大名に仕えることも良しとするのが常識だったのである。例えば築城で有名な藤堂高虎は7度も主人を変えているにもかかわらず、裏切り者のようなレッテルを張られることはない。この時代、主家を変えることに悪いイメージはないのである。

 そんな時代に主家を変えないばかりか滅亡した主家の再興を図るといった行動をした鹿之助は特筆に値すべきだと思うのである。

 

その主家の再興を誓う際に彼が言った言葉の中に「我に七難八苦を与えたまえ」というものがある。この言葉がまさに私に鹿之助を尊敬させる原因となった言葉で「苦労が自分を育てるので、自ら喜んで苦労を受けよう」という意味である。彼の最終目標は主家の再興にあったものの、その前段階として自分自身の人間的な成長を誓ったのである。

 

 現代風に言えば単なるドMな人間という評価もできようが、自分が仕えた主家を再興させようという鹿之助の意欲は生半可なものではない。尼子家の人間を遠くの親戚から連れてきては当主に据える。失敗するたびに新しい当主を据えまた失敗する。その失敗は実に三度に及んだ。三度目の失敗のあとついに首を刎ねられてしまうわけであるが、ここまで主家に尽くした人間は戦国広しといえども鹿之助のみなのである。

 

 これを読んで共感してくれた方は是非ともネットで鹿之助のことを調べてみてほしい。そして好きな戦国武将を聞かれることがこれからの人生においてもしあるなら山中鹿之助と答えてください。

 

【テーマ】尊敬(そ)  Mr.アールグレイ

  • 2017.01.31 Tuesday
  • 12:07

今回は私が尊敬している人たちについて書きます。

 

まず、ハッガリーニさん。

ずっと読んでいるだけで投票にさえ参加しなかった私に長い間手を替え品を替え、参加を促してくださり、こんな素敵な場所に連れてきてくださいました。

尋常でない熱意は私を衝き動かしました。

少なくともあなたの厚意には報いるため、私は今までもこれからも丁寧に文章を紡いでいきます。

また、私のまずい文章の編集/校正に関してもありがとうございます。

意見が全く折り合わず、もう書かないと思ったことも二度ほどありますが、やりとりをしているうちに良くなることがわかってきました。

この小さくて大きなプラットフォームを一人で切り盛りされているのは尊敬に値します。

きっと私のような手のかからない作家だけではないでしょうから、

 

次にまるーんさん。

私より後に入ってきたのに(先輩風)すっかりPREMIERの主役に躍り出られたその才能、特にその変幻自在ぶりに嫉妬、いや尊敬の念しかありません。

少し意地悪な気持ちで焼きそばパンを三代噺に入れてしまいましたが、見事に対応していいただきました。

やられた!という爽快感、とても気持ちよかったです。

小説も書けて、ルポルタージュも書けて、山も登れて、肉食で、万能選手ですね。

私のチームにほしいです。

きっとテキパキと目配りの利いたお仕事を(学生さんじゃないですよね?)される方なのでしょう。

私はあなたのようないろんな色を出すことは多分できないと思いますが、少しでも色の幅を広げていこうと思います。

 

ヤマブキさん。

まず、ボケないコントと評したことを謝ります。

いい意味でボケないコント、もう少し丁寧に書くならばコントのようにくっきりした物語世界を提示してくれていると書くべきでした。

ヤマブキさんはなんといっても鉄の海ですよね。

巨弾連載が完結したことのないPREMIERですが、どうかジンクスを打ち破って素晴らしいゴールを迎えられますように!

毎週楽しみに読んでいます。

またどこか情けない人が主人公の奇妙な世界を描く短編も大好きです。

地図恐怖症も3<5<7も高階シリーズも大好きです。

がりはさんを力でねじ伏せたあの春の戦いも素晴らしかったです。

思わず投票しそうになったのを思い出します。

コメントで「サボテンでなくバラでいてほしい。」と書いてくださいましたね。

この辺がPREMIER界の星野源と呼ばれる由縁なのでしょう。

私はトゲトゲしているつもりはありませんが、こう上手にアドバイスされるとではトゲもそろそろ出して行こうかという気にもなります。

私はその気になればターコイさんより意地悪になれると思います。(ターコイさん、冗談ですよ!お気を悪くしないでくださいね!)

これからもヤマブキさんの男前アドバイスをたくさん頂きながら丁寧に仕事をしていきたいと思います。

【テーマ】尊敬(ん)  Mr.アールグレイ

  • 2017.01.31 Tuesday
  • 12:04

NIKEさん。

ひょうひょうとした中にユーモアと優しさを兼ね備えた温かい作風が素敵です。

他の方の個性が強いので、昔のペンネームであるブルーのイメージで落ち着きが際立ちます。

忘れること、区切ることは今の私には沁みます。

普段はあまり覚えていないけれど、困ったときに思い出す作品が書けるのはお人柄なのでしょうか。

こういうのは普段の生き方がにじみ出る気がしています。

そう思うと、そんな人格者が東京でプロの不審者をやっておられるのはおかしみを増しますね。

 

うべべさん。

もともと寡作で佳作の多い方でしたが、最近の月一回のペースはどういうことですか?

もっと読みたいです。

私はあなたのあきらめさせ屋が短編の中では歴代一位だと思っています。

もうあんな作品は書けませんよね。

それでも、あきらめさせ屋を書いてくださったことに敬意を払います。

 

ホワイトさん。

追随を許さない美意識の極北。

吟遊詩人の冷たい美しさは今も胸に刻まれています。

また「竹島、五輪、天皇」は読みながらとてもハラハラしました。

祈るような思いで書かれていることが強く伝わってきました。

私も祈るような気持ちで読んだことを思い出します。

最近は少しリラックスされているようですが、私はまたあの祈るような思いをしながら読みたいです。

 

たりきさん。

肩の凝らない、というのはたりきさんの大きな美点だと思います。

PREMIERがどんな状態であろうと月2〜3本というペースを決して崩さず、何度もハッガリーニさんが褒めているのを読んできました。

徹底して解釈を押し付けないスタイルはPREMIERの中ではかなり異色です。

「チャンカパーナ」はなぜか気に入ってしまいました。

野球をほとんど知らない私が、野球を勉強し少し世界を広げることができたのはたりきさんの野球論考があったおかげです。

これからも是非よろしくお願いいたします。

 

ハッタリストさん。

困ったときはハッタリスト、という言葉を投票の度にコメント欄に見つけていた時期がありました。

ひところは「世界で一番強かった」父の磁石がうずくまる棚 という歌が俵万智にありましたがひところは他を圧倒し寄せ付けなかったハッタリストさんをもう一度みたいです。

僕はもう天才じゃないを読んで私は泣きました。

「僕を支えてきたものはポッキリ折れたわけではなくて、根元に近いところから腐ってボロボロになっていました。」

この一文はそらで書けます。

もう一度天才を目指しているのでしょう?

他を圧倒するハッタリストぶりをもう一度見たいのは私だけではないはずです。

【テーマ】尊敬(け)  Mr.アールグレイ

  • 2017.01.31 Tuesday
  • 12:02

次にアフリカの精霊さん。

手に入れるためにどれだけの時間と労力とお金を投資したのかわからない知識の数々を披露してくださってありがとうございます。

戦国時代にさほど興味がなかった私ですが(たかが日本のたかが百年足らずの内戦になぜ男子はそんなに興味が持てるのか、そして徳川の四百年に及ぶ支配の仕組みに興味を持てないのか、小学生の頃から不思議に思っていました。)、精霊さんの数々の作品のおかげで興味を持ちました。

新作を待ちわびています。

戦国時代は意志決定機関がたくさんあり、その記録がたくさん残っていて、数々の理不尽なドラマの舞台としてはかなりよい舞台なんだなと改めて思います。

職業として成立している分野であればその道の方にお伺いすれば知ることができるかもしれません。

戦国時代の研究は私の文学部の友人によると「枯れた分野」ということで、予算をもらって研究することが難しいとのこと。

そもそも歴史の検証に今の功利的な行政のありかたでは予算をつけないでしょう。

専門家がいなくなっていくフィールドで、頼みは市井の好事家となりますが、誰を頼っていいか判断が付きません。

しかし我々PREMIERの読者は迷うことはありません。

精霊さんについていけば良いのです。

これからもどうぞよろしくお願いします。

 

Mr.Xさん。

わたしの問いかけに答えてくださって感謝しています。

私の丁寧さとはレベルの違う丁寧さで答えてくださって、大変感激しました。

明るい悩み相談室で回答をもらえた方はこんな喜びを得ているのでしょうか。

今まで投票をしてこなかったのが大きな損失のように思えます。

生物学の権威が専門分野について書いてくださった物を読めるというのは大きな喜びですが、私はそれとともに専門から外れた日常を書くことによって、反射/投影されるものを見つけるのが好きです。

Oceanside通勤も素敵でした。

以前連載されていた「多足類の話」ですが、続きを書いていただけませんか?

続きがありそうな終わり方なのに、ずっと待っていても読ませて頂けないので。

是非お願いします。

【テーマ】尊敬(い)  Mr.アールグレイ

  • 2017.01.31 Tuesday
  • 12:00

 


Indigoさん。
あなたのことも尊敬しています。
信じて下さらないと思いますけれども、尊敬しています。
まずあれだけの量の作品を書いていくこと自体大変なことです。
IndigoさんはPREMIERに冬が来た時に本格参戦を開始されました。
PREMIERの投稿数が減り、投票がなくなり、いつみても更新されておらず、更新されてもいまいち元気がないという状態から今のように復活、いやかつてない程の盛り上がりが生まれているのは、間違いなくあなたの頑張りが礎にあります。
読者として感謝しています。
盛り上がりがなければ私が参戦することもなかったでしょうし、振り返りをこんなに書くことにもならなかったでしょう。
そして振り返りに割く時間のうち、多くの部分をあなたの作品に充ててきました。
読んでいて違和感を感じることが多く、何度も読みその違和感の元を見つけます。
(見つからないこともあります。)
見つかった物について意見をするのは通常勇気のいることで、他の作者の方の場合には控えることがあります。
しかしIndigoさんはプロのライターということですし、私の持った違和感を解消するだけの答えを頂けるかもしれないという思いで、考えたことをストレートにぶつけてきました。
貴重な経験をありがとうございました。
あなたに評価されてMVPを獲得するのが私の目標の一つです。

がりはさん。
おそらくがりはさんがこよなく愛すプロレスではこのような(Indigoさんとしているような)交流が連日行われているのだと思うのですが、私が初心者なのでうまく成立しませんでした。
プロレスも結構勉強したのですが、まだまだ未熟で。
もっと丁寧に教えてくださらないと。
がりはさんの続けておられる明るい悩み相談室PREMIERは本当にすごい企画だと思います。
ゲラゲラ笑うことはそんなに多くないですが、してやられた感はよく感じます。
色んなところに引きずり回されてそれが嫌じゃないというのは、なんだか心地よいです。
さらにタイトルを獲った時の会見も好きです。
昔行われていたダイアローグシリーズが進化して帰ってきたような感じがして。
その中に私も出演できたのですが。。。
がりはさんが私に仕掛けてきたことに対しての私なりの答えがこの作品です。
私が好戦的な人間ではないことを知っていながらああいう仕掛けをしてくるあたりずるいなあと思います。
社会で働いていると色んなところで卑怯な無茶ぶりに遭遇しますが、今回のも相当だと思います。
がりはさんがどこまでご自身の手のひらの上だと思っておられるかわかりませんが、すでに事態は制御不能な方向に向かってますよ。
私が過去に体験したことのないようなことを体験させてくださってありがとうございます。
私なら思いつきません、こんなこと。
これからも私が見たこともない展開を見せてください。


最後に、これを読んでくださっている皆様。
私がこちらにお邪魔するようになって半年弱です。
楽しんで頂けていますでしょうか。
今まで私が挙げてきた方々が必死に書いているのも、読んでくださっている皆様あってのことです。
私はPREMIERを読むのが好きなので、作家陣が高いレベルの仕事をする原動力を与えている皆様に最大の敬意を払います。
これからもどうぞ読んであげてください。
私も丁寧に読んでいこうと思います。
 

【テーマ】私が尊敬する作家  A.ハッガリーニ

  • 2017.01.31 Tuesday
  • 08:00

私も編集長を仰せつかって幾星霜、様々な作家のみなさんとお仕事でご一緒でき、大変光栄、大変幸せです。
何度も何度も訪れた原稿が揃わないという危機。
今では一日に何本も原稿があって、次の月もある程度見通しがあります。
投稿するタイミングを選ぶ喜び、企画を立てるとそれを実行していただける嬉しさ、噛みしめております。
様々な企画を立てて参りましたが、より印象に残るのはのは狙った通りの効果が出た企画より、意外な運びで望外の成果が出たもの、あるいは大こけしたものであるのは人生の面白さですね。
個性の強い作家の皆さんの魂の表出である原稿を頂くものですから、そこには濃厚な、いや極濃なコミュニケーションが交わされます。
尊敬すべき作家陣のそんなエピソードを一つ一つご紹介して参ろうかとも思ったのですが、現役陣は今後のおつきあいもあります故、筆が歪むおそれがあります。
それは本意ではありませんので、ある作家さんの話をさせてください。

 

 

その方は非常に癖の強い方で、求めに応じて方針をお打ち合わせしても自説を曲げることはほとんどないので、このお打ち合わせをすることに意味があるのだろうかと、この方は私相手にテニスの壁打ちをしているに過ぎないのだ、と思うこともしばしばでした。
私が初めてその方に執筆をお願いしたのは彼の六十歳の誕生日でした。
万年筆と大量の原稿用紙を紀伊國屋で買い込み、プレゼントしました。
しばらくして事務所のポストに初回の原稿が届きました。

毎回決まって二回分ずつ、読みづらい癖のある乱雑な文字が綴られた原稿用紙が送られてきます。

 

 

 

 

編集記号を使って大胆に構成を入れ替えたり、思い余って五行くらい一気に塗りつぶしたり、息遣いが感じられる生原稿は百回を超えて私に届きました。
私はそれをディジタルに起こして掲載してきたのですが、いちど「指弾」を「糾弾」と読み間違えてしまい、大変叱られました。
全く意味が違うし、イメージが変わってくるやろ!と。
百回を超えたところで原稿用紙が変わりました。
私がプレゼントしたのは五百枚でしたから、彼は三百枚の原稿を書くのにそれくらい書いていたことになります。
その頃にはもう我々の間には作品についての会話しかなく、友達の消息を語るように会長さんをはじめとする怪しげな人物たちの話をしていました。
話に筆が追い付かんのや、とよくこぼしていました。

ある時、ディジタルに起こすこと、悪筆なのを確認することに疲れ、彼の奥様に相談した結果、奥様にディジタル起こしをお願いすることにしました。
何とも言えない寂しそうな表情を浮かべていたのは、好きだから迷惑をかけたいという腕白小僧のそれに見えました。
物語がどうまとまっていくのか、時折訪ねると、決まって「あと二十回くらいやな。」と返ってきました。
「エンディングだけは決めてあるねん。でもな、物語が許してくれへんねや。終わるのを。」
何度目かのそんなやり取りをした一月、彼は帰らぬ人となりました。
物語はクライマックスに向かってちょうど直線に入ってきたところ。
長い上り坂を駆け上がらんとするところ。
今となっては物語が彼を連れ去ったのだと思っています。
彼の机には大量の原稿用紙と創作ノートがあり、クライマックスにむけての苦闘の様子が偲ばれました。

自作も饒舌でしたが、彼は他の作家の作品を読むのが大変上手くて、そんな豊かな読みがあるのかと唸らされることもしばしば。
またコメントも愛に溢れたもので、まだ若い作家陣を勇気づけてくださいました。
特に愛していたのはヤマブキ、ハッタリスト、ホワイト、うべべでした。
他の人の素晴らしい作品に出会った時には電話口からわかるようなニコニコ声で「お前あれどう読むねん。」と問うてきたものです。
私もいつかそのような存在になりたいです。

今、彼がいたらとんでもなく楽しいことになっていたのではないかと思います。
悔しがっていることでしょう。

夢競馬場で走るのは馬だけではないかもしれません。
我々PREMIERの賞レースとて取り上げられてもおかしくはありません。
統括本部としてはレースが白熱したもので有り続けるように、全力を尽くしてまいります。
葉山悟さん、あなたこそPREMIERの名にふさわしい作家でした。
ありがとうございました。
 

 

 

 

 

かわいい老け顔  Mr.Indigo

  • 2017.01.31 Tuesday
  • 00:00

妻は何かにつけて「かわい〜」と言う。自分の子供はもちろん、好みに合う服やアクセサリーを見つけた時もである。帰省した際には、義母が買った物にも同様のコメントをする。

妻に限らず、最近の日本女性というのは概ねそういうもののようだ。通園中などに声をかけてくる近所のおばちゃんも「かわい〜ねぇ」などと言ってくる。

一方、私は自分の娘にも「かわい〜」と言うことはあまりない。頻度としては「偉い」とか「賢い」の方がはるかに多いと思う。

このあたりは、男女の一般的な価値観の違いかもしれない。ウチの親父も孫を見る度に「賢いな」と漏らす。大きな声を出さず、私だけに対しボソッと呟くのが毎度のパターンだ。照れくさいのである。

 

「カワイって実は老け顔なんやで」

妻や親しい人が発した「かわい〜」に対しては、私はこう返すことが少なくない。おそらく妻は耳にたこができるほど聞いているはずだ。

カワイとは送りバントの達人として世界に名を轟かせた元プロ野球選手のことである。彼が若手の頃から初老の雰囲気を漂わせていて、実に渋いプレイヤーだったことは、当時を知るプロ野球ファンには周知の事実であろう。

私のこの発言は、別に「かわい〜」と言うことを否定しているわけではない。しかし、何でもかんでも「かわい〜」で済ますのを皮肉っている意味合いがあることも否定しない。

 

自分の娘達がかわいくないはずがない。ただ、私の独断と偏見に基づいて見れば、少なくとも長女は立派な老け顔である。年齢や体格の割に大人びた顔つきをしているのだ。小柄であることを示す比較対象がない写真だと、小学生だと言っても違和感を覚えられないだろう。

知性もなかなかのもので、口も達者だ。何かにつけて「なんで?」と聞いてくるし、5歳とは思えない屁理屈を捻り出してくることもある。そういう時は率直に言って憎たらしい。

しかし、それが悪いことだとは思わない。子供の魅力は風貌の愛くるしさだけではないのだ。大人をへこますくらいの知恵や弁舌があるのも、立派な長所ではないか。いつまでも幼児でいられるわけではない。ならば、いち早く大人への道を踏み出していることにも、適切な評価をしなければなるまい。

 

「かわいい子には旅をさせよ」という格言がある。この「かわいい」は前述の「かわい〜」とは比べものにならない重みがある。

古人にとっての旅は現代の一般的な旅よりはるかに過酷で危険だっただろう。それを自分の子にさせるというのは、親にとっても勇気の必要なことだったに違いない。

思い返せば、自分も大学に入ってから妻に出会うまでの12年間は流浪の旅のようなものだった。生物学的な命の危険を感じることはほとんどなかったが、社会的に潰れる危険は何度となく感じてきた。

私が見たところ、おそらく長女の性格には父系に蔓延する激しさや危うさが内包されている。無理に1人暮らしや1人旅をさせるつもりはないが、そうならずとも10〜20代で精神的に苦しみ、人生という旅路で道に迷うことになるかもしれない。

そんな時に必要とされるのは「かわい〜」ことではなく「賢い」ことや「偉い」こと、すなわち自分で物事を考える能力なのではないだろうか。そう思うのは、私が武骨なオッサンだからかもしれないが…。

【テーマ】継続と終了 by Mr.ヤマブキ

  • 2017.01.30 Monday
  • 12:00

 宮崎駿が引退すると言って何度も復帰するのを、みっともなくて見ていられない。彼に限らず、やめると言って復帰する人はたくさんいて、そのほとんどがみっともないような気がしてしまう。それは、男の二言、という類のかっこ悪さなんかではなくて、きっと自分を映す鏡が醜いというだけの話だと思う。

 僕は大学将棋で初めてまともな将棋に触れて、まあ限界まで出し切ったというほどではなくても(というところまでしか取り組めなかったという事実が自分の限界とも言えるけれども)ある程度将棋に漬かっていたので、悔いはたくさんあっても医者になってからはすっぱりやめようと思っていた。最初は仕事に慣れるのにも精一杯で実際全く将棋はしていなかったのだけれど、少し余裕が出てくるとスマホやネットでちょこちょこやり始めて、結局は、昔くらいの強さになれるはずだとか、いやちゃんと続けていれば現役のときよりも強くなれるはずだと思い始める。別に将棋をそうやって続けていくことは悪いことではないし、時間がないということならスキマ時間にできる限りでいいから真剣に指せばいい、とかいくらでも正論は浮かび上がってくる。でもとにかく、現実的な折り合いをつけるためにむやみに将棋を指すのをやめようと思っても、やめられない。去年の夏は久しぶりに大会にも出た。

 将棋の棋士は奨励会三段リーグの厳しい門をくぐり抜け、四段昇段とともに晴れてプロとなることできる。そんな最もプロに近い存在である奨励会三段を自ら辞めた男がいる。一人は立石径。将来のトップ棋士候補と呼ばれていたが、17歳にして将棋は世の役に立たないと医師になった。もう一人は石川泰。大阪大学の学生で、卒業を契機に退会を決意した。彼らが今どの程度将棋をしているのか分からないが、少なくともアマチュア大会で脚光を浴びるなどということはしていない。

 なんとなく医者になって、むしろ特別でありたいと願う矮小な僕のような存在にとって、立石元三段のようなことは決してできない。石川元三段だって傍目からもかなり四段に近い位置にいて、もう一年やればきっと棋士になれるだろうに、なんて思ってしまう。ちなみに彼は同時期に在学していたので、退会すると聞いたときは素直に続けてほしいと伝えた。そんなことで揺らぐ意志ではないことはこれまでの付き合いからもよく分かっていたけれども、言わずにはいれなかった。でも今思うと、自分の憧れの投影だったかなと厚かましさを反省する。

 世間は継続する力と言ってイチローたちを囃し立てる。イチローの継続は本物の継続だろうから間違っちゃいないが、僕のような慣性の法則で指す将棋を継続とは言わない、ということを知っているだろうか。彼らのように地割れみたいにすっぱりやめられるということ自体、心からすごいと思える。知らず知らずに心が彼らを見上げていることに気付く。尊敬という言葉はあまり軽々しく使われるべきではないと思うけれども、そうなってしまっては敬意という言葉以外当てはまらない。完全に止めてしまうことのできる彼らを、僕は尊敬する。

明るい悩み相談室PREMIER(213)〜夫婦円満〜  がりは

  • 2017.01.30 Monday
  • 00:00

明るい悩み相談室PREMIER、本日の担当医がりはです。

こんばんは。

今日はどうされましたか?

 

夫婦円満、一家円満の秘訣を教えてください。

 

ほうほう、わっかりますわっかります。

世の中にH・A・P・P・Y、つまりハッピーを広めていこうと日々努めている我々社会人はまず自分がハッピーでいなくてはなりません。

そして自分がハッピーでいるためには自分の周りの人たちが幸せであることが必要です。

自分の身のまわりの人も幸せにできなくて、世の中を明るく照らすことなどできない、これが多くのヒーロー物に共通する教訓です。

あなたが夫婦円満・一家円満を求めるのは至極自然なことです。

 

そうそう、最近PREMIERの中でも不協和音らしきものが聞こえ始めていますが、皆さんが不安になっているとすれば申し訳ありません。

ただ、見落としてしまいがちですけれども、ライバル同士がバチバチやり合うのは普通のことです。

もっとやれ、それが切磋琢磨ということであると、私としては言いたい。

ガツンと殴ってぎゅっと抱きしめろ、殴り合わないと分かり合えないんだ二人とも不器用だから。

私?

私は老獪なアウトボクサー、10秒間に21発のパンチをよけるディフェンス能力と有効打に見えるパンチでポイントを稼ぐ能力で細々とでも着実に勝ちを拾い、ノーダメージでリングを降ります。

 

さて、何の話でしたっけ。

夫婦円満、家族円満でしたね。

これもある種、見落とされがちな点に気を付ければ良いのです。

結婚において割れ鍋に綴じ蓋、蓼食う虫も好き好きということはあまりありません。

前前前世から的なこともありませんね。

そんなことを考えているから愛をむやみと試すようになるのです。

運命だからどんなことをしても愛は傷つかない?

そんなことはない。

愛だって試されれば傷つくしむくれます。

愛は育てるものです。

足りないものを相互補完してパーフェイな家族が出来上がるのではなく、ぐちゃぐちゃと混ざり合いながら、相互に変わり続けて適応していくというのが家族だと思うのです。

その過程で苦手なことをやらなくてはいけなかったり、自分の価値観にそぐわないものを受け入れなければならないシーンがきっと訪れます。

そのシーンが来ることを予期していれば、いら立つパートナーに「トランキーロ!」と声をかけることができるのではないでしょうか。

そして不断の努力をお互いに重ねて混ざり合いながら変わり続けていく毎日に戻れるのではないでしょうか。

少なくとも私はそう思っており、今のところ円満です。

 

※明るい悩み相談室PREMIERではあなたのお悩みを受け付けております。

ブログにコメント、投票時にコメント、ハッガリーニにメール、電話、伝書鳩、のろし、などの手段でどうぞ。

ちなみに投票時のコメントでのお悩みには必ず回答いたします。

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