【テーマ】解答用紙 by Mr.ヤマブキ

  • 2016.10.31 Monday
  • 22:58

 3月も中旬にさし掛かろうという頃、その日は春の陽気が漂っていて防寒具ばかり用意していた受験生を苦しませた。自分が悲しい時に浮かれた奴を見ると、腹が立つ。僕自身はそんな気分でその麗らかさを受け止めていた。

 最後の科目、配られた解答用紙はほとんど白紙に近い、たった一枚の大きな紙だった。これまで何度も練習してきたように問題冊子を開き、これまで何度も解いてきたような類似問題を思い出して用紙を埋めていく。予想外の問題もあれば、似て非なる問題もある。類似問題を思い出せればもらったようなものだというのは分かっているのだけれど、どうしても焦ってしまう。何かに急き立てられるように、あるいは逃げるように解き続ける。そうだ、時間だろうと思い、時計を見てもまだ始まったばかりなのだから時間は余っている。それでも安心できない。転がるように解き続けて、見直し、解けなかった問題に再び手を付ける。

 そこで試験終了の合図がなる。

 回収されていく解答用紙を呆然と眺める。全然解けなかった。また一年、この生活に戻るのか。このただの紙切れが、こんなにも苦しめるのか。紙じゃない、僕自身を見て僕の人生を決めてくれ!……でも、僕からこの解答用紙を埋める能力を取ってしまったら何が残るというのか。何もないからこそどこまでもこの解答用紙に縛られ続けるのだ。きっともう一年、陰鬱な日々が始まる。

 

 特別勉強が好きだったわけではない。ただ得意というか、他人より少し勉強ができたからそれがうれしくて続けているうちに居場所がそこにしかなくなってしまっただけだ。運動ができたり話が面白かったりすればそうならなかったのかもしれないなとも思う。

 田舎の中高ではトップクラスできたのに大学入試は失敗。都会に出て浪人生活を始めてようやく知った。最初、誰もかれも服装が垢抜けていて恥ずかしかった。遊んでまともに授業にも出ないやつ、休憩時間にはサッカーを始めるようなやつ、それでも僕なんかあっさりと飛び越えていく。何をしているのか分からなくなっては何をすべきか思い出して、何とかかじりついて迎えたのが前期試験。そしてこれが後期試験。

 

 合格発表の掲示板を見に行くと、僕の番号はなかった。またあの日々に吸い込まれるのだ。敷かれたレールの上すら進めないあの日々が。正気でやれるだろうか。刺青を彫った柔らかな皮膚から血が滲んでくるように、紙に書き続けたあの日々が戻ってこようとしている。

 

 その日もやけに麗らかで、隣ではアメフト部が合格者を胴上げしている。

明るい悩み相談室PREMIER(204)〜暇潰し〜  がりは

  • 2016.10.31 Monday
  • 01:34

明るい悩み相談室PREMIER、本日の担当医がりはです。

こんばんは。

今日はどうされましたか?

 

スカイツリーに行ったら3時間待ちと言われたので帰りました。皆さんどうやって時間を潰しているのか気になります。

 

ほうほう、わっかりますわっかります。

以前も似たようなご相談がありましたが、あれは梅田での暇潰しでしたかね。

今回はスカイツリーで、しかも行列での時間のつぶし方ですね。

ぱっと思いつくのは並ばなくても良いように予約をしてはいかがでしょうという案です。

でも、きっと予約するなんて案はすでに思いついていて、何らかの理由でそれができないんですよね、わっかりますわっかります。

それが他人から見たらどんなにちっぽけでどんなに滑稽な理由でも当人にとっては譲れないことがあります。

きっとこのスカイツリーの件もそういうことなんでしょう。

 

スカイツリーの行列の最中、これは出たくもない会議、興味もないが義理で出ている結婚式にシチュエーションが似ています。

時間を潰さないと解放されませんし、その場にいないと非難されます。

出たくもない会議の最中については先行研究がいくつも出ており、手帳にパラパラ漫画を描くとか(ほぼ日手帳の下部に名言が載っているのもその変形でしょう。)、用意していた書類がタコになっていたことを妄想するとか、さまざまな方法がありますので会議でいくつか試してみてご自身に合うものをお選びください。

結婚式についてはこれも一部業界では有名な先行研究があり、それは今を時めく三浦弘行八段によるものですが(冤罪であることを強くお祈りしております。)、結婚式中に一心不乱に詰将棋を解くというものです。

これは行列の中であればそんなに目立ちませんし、棋力も向上します。

将棋が強くなりたいならこれ以上ない解決方法でしょう。

え?それほど強くなりたくない?

しかも連れがいる?

 

先に行ってくださいよー。

あ、確かに一人でスカイツリーに上る人なかなかいませんね。

こりゃ失敬失敬。

 

東京ディズニーランドにカップルで行くと別れるというジンクスが私が高校生の頃ありました。

今も続いているかもしれません。

それはアトラクションの待ち時間が長くて、そのうちいらいらして喧嘩をするからだと推察されます。

その意味であなたの問いは非常に本質的で汎用性の広いものだと思います。

個人的にはそんなに混むところに行って、時間を無駄にしなさんなと言いたいですがそれも冷たいですね。

スケッチブックと色鉛筆を持っていき、お話を共作するのはいかがでしょう。

または連れの顔を描いてあげる、もしくはお互いに描きあうというのはいかがでしょうか。

もちろんお連れさんが満足するまで修正してくださいね。

これは結婚生活長持ちにもつながる人生の奥義体得のための修行だと思ってください。

三時間くらいすぐに過ぎ去りますよ。

 

 

※明るい悩み相談室PREMIERではあなたのお悩みを受け付けております。

ブログにコメント、投票時にコメント、ハッガリーニにメール、電話、伝書鳩、のろし、などの手段でどうぞ。

ちなみに投票時のコメントでのお悩みには必ず回答いたします。

【テーマ】紙芝居  Mr.Indigo

  • 2016.10.31 Monday
  • 00:35

この1年ほど、図書館へよく行っている。自分が仕事の資料として使う本を借りることもあるが、そういう場合も長女を連れて行くことが多い。彼女はとにかく図書館が好きでたまらないのだ。

初めは絵本の読み聞かせも大変だった。聞く側に集中力がないし、やっとの思いで読み終えたと思ったら、すぐに次を持ってくる。表紙を見ただけで本を選ぶので、易しすぎることや難しすぎることもある。化け物が出たり主人公が危険な目に遭ったりするのは苦手なようで「怖い〜おしまいにして〜」で強制終了ということも何度かあった。

しかし、それが今年の夏くらいから変わってきた。容易に帰ってくれないのは相変わらずだが、平仮名と片仮名がほぼ完璧に読めるようになり、自分で読む楽しさがわかってきたのだ。読まされることもなくはないが、自分で読んでくれると私は見ているだけでいい。ずいぶん楽になったものだと思った。

 

ところが、さいたま市の図書館にはなかなかの難物が潜んでいた。

「お父さん、これ読んで〜」

ある日、長女が持ってきたのは紙芝居であった。「うらわし としょかん」と書かれたケースに入っているから、相当な年季モノだ(気づけば浦和市が消えて15年になる)。こればかりは私が読むしかない。

しかも、前に読んだ人が順番を間違えて片付けていることがあり、読み始めても話がつながらなかったり、全く違う場面の絵を見せてしまったりする。まず紙の配列を確認しなければならないということに、私はすぐ気づかされた。なかなか面倒だ。

一方で、紙芝居には絵本にはない効果があった。まず、絵からその場面や話の流れを考えることができる。一般的な絵本に比べて絵が大きく、キャラクターの表情や背景もしっかりと描かれている。想像力を掻き立てる効果はかなり期待できるだろう。

また、話し手の言葉をよく聞くようになるという効果もある。なにしろ、話を聞かないと具体的な内容がわからない。この1枚で話が終わりであるかすらわからないのだ。したがって、普通に絵本を読むより集中力が持続するようだ。

逆の立場になったこともあった。自分が読むから聞いてくれと言うのだ。早速やってみたものの、実にわかりにくい。裏面もほとんど平仮名で、稀に出てくる漢字も全てルビがふってあるのだが、抑揚がほとんどなく、文節の区切りが怪しいこともある。途中で「疲れたからお父さん読んで〜」となり、正直安堵したものだ。小学校で音読をしっかりやって、体が大きくなり紙芝居自体を持ちやすくなれば、4歳下の妹に読んでやることができるかな。

 

さて、今は新聞も雑誌もデジタル化されていて、通勤電車で見かけることもめっきり減った。おそらく、絵本の電子版をパソコンで閲覧することもできるのだろう。そういえば、妻のスマートフォンには音声付きの童話集のアプリが入っていた。

しかし、あれこれ考えてみても、紙芝居に代わるものはデジタルの世界にはない。大きくて持ち歩きも不便で、読める場所も限られる(図書館ですら他の利用者を考慮して声量を抑えなければならない)が、紙芝居は日本の子供達に残された貴重な宝物だと思う。

だから、私はこれからも娘達が望む限り紙芝居を読んでいこう。それが彼女たちにとって、実に贅沢な学びの時間になると思うゆえに。

投票を丁寧に(H) Mr.アールグレイ

  • 2016.10.31 Monday
  • 00:00

お手軽応援について  ☆☆

 

A.ハッガリーニさんのお知らせ。

でもこれ誰か投票したんでしょうかね。

自由すぎるとかえって不便ということはあるかもしれません。

みんなのコメントをもらうのって本当に大変ですね。

私も何かできないか考えてみたいと思います。

 

 

「鉄の海(20) by Mr.ヤマブキ  ☆☆☆

 

ヤマブキさんの巨弾連載。

人が幸せに亡くなるというのは丁寧に生きることの終着点だと思います。

患者さんのガイドをしながら、実際に手を動かす主人公は、あくまで患者さんのために患者さんの家族の理解と議論を深める努力をします。

説明しファシリテートする役には専門的な技術が必要です。

大学在学時、二年間臨床倫理学のゼミでファシリテーターとしての研鑽を積み増したが、必要な質問を投げかけて納得感のある合意形成をするのはいつまでたっても難しいことでした。

それが直接の利害関係者であり、必要な知識がない初めて会う人に対してファシリテートしていくのは非常に困難なことだと推察します。

もちろん患者さんの診察、治療をするのには専門的な技術が必要で、そこには弛まぬ研鑽が必要なのでしょう。

将来的には分業してもらった方が良い医療、良い終末につながると私は考えますが、終末医療ファシリテーターには今のところ需要はなさそうです。

 

誤字というか「回答」という言葉が抜けているだけだと思うのですが、瑕疵を見つけました。

私はヤマブキさんに連絡する手段を持たないので、こんなところでアピールしておきます。

 

 

あとがき

 

丁寧なコメント書きが終わりました。

私は書き終えてとても満足しておるのですが、皆様におかれましては私のコメント楽しんで頂けましたでしょうか。

 

9月分は非常に読み応えがありました。

この中に私の作品があることをとても嬉しく思っています。

ここまで読んでいただきまして、大変ありがとうございました。

【テーマ】野球論考(14)  がりは

  • 2016.10.30 Sunday
  • 00:28

野球に神様はいないことが2016年10月29日の日本シリーズ第六戦に証明されました。

 

全知全能の神はニーチェによって死亡が確認されているのは有名なところですが、部分的な神様については生き残っており、たとえば新日本プロレスでは蝶野正洋選手によって002年2月1日札幌大会にて確認されていますし、トイレにはそれはそれはきれいな神様がいてはるんやでーと植村花菜によって発見されています。

情報化が進んだ現代日本では名もなき神様がどんどん発掘されており、○○の神様なんてちょっとすごい人を売り出す時にすぐに使われてしまいます。

野球で言えば打撃の神様川上哲治が思い浮かびますが、この人は実績もさることながら「球が止まって見える」という名言を残しました。

この一言が一体いくつの創作物に影響を与えたか、神様を名乗るなら少なくともこれくらいの影響力がほしいものです。

それまで冴えなかった選手が1シーズン打ちまくったからと言って神様にするのはいかがなものか、もっと大切なことにその言葉を取っておきなさい、とたしなめたくなります。

この間、後輩が漏らしていた仕事をフォローしておいたところ、お礼のつもりか

「先輩マジ神っすね!あざーっす!!」

と言うので

「俺は神じゃねえ!」

と叫びその場でふわりと浮いて打点の高いドロップキックを叩きこんでやろうかと思いましたが、労働状況に関して何かとうるさい昨今なので控えました。

代わりに別室に連れて行って礼節、敬語、仕事の進め方について指導しました。

 

さて、冒頭の言葉についてです。

古来神様は善の塊として描かれたり、人の尺度では量れない判断基準と人離れした影響力を持つ禍福を与える存在として描かれたりしますが、前者は良いことをすると願いを叶えてくれたりするコミュニケーションが成立する存在なので意味がありますが、後者は神である必要はなく自然と言い換えて良いと思います。

ここで問題にしているのは前者です。

北海道と広島の日本シリーズにおいて、両監督は第七戦にそれぞれスーパースターの黒田と大谷を先発させることを示唆しており、誰しもがその戦いを観たかったはずです。

両チームが最後を託すに足る好投手による緊迫した試合が期待できますし、日本球界を象徴する投手でこの試合をもって引退する黒田が試合を通じて次代の象徴大谷に何かを継承するというストーリーも見えます。

何なら勝てば日本シリーズを制する北海道のファンですらも今日は接戦の末広島が勝って、明日札幌に降る雪のように真っ白になるまで応援しよう、と思っていたに違いないのです。

みんなが願っていることなのだから神様は叶えてあげればいいと思うのです。

でもそんな神様はいませんでした。

あきらめの悪い人は「神は時に残酷だ。」というようなことを言って、こういう時にも神様がいることにします。

我々は戦われなかった第七戦を最高の試合として記憶にとどめることになります。

 

2016年、野球に神様はいないし、最高の第七戦もありませんでした。

星5つのラーメン屋 うべべ ☆☆☆☆☆

  • 2016.10.30 Sunday
  • 00:07

広島に住むようになってしばらくした頃。
商店街の裏の通りで、一軒のラーメン屋を見つけた。
いわゆるチェーン店なのだが、その派手な看板に懐かしさを覚えた。
子供の頃、祖母の家の近くに同じチェーン店があり、
祖母に会いにいくときは必ずそこでラーメンを食べていたのだ。

 

そのお店は、私が中学に入ってすぐ潰れてしまった。
あれから20年ほど経った今、この店に再会できるとは思ってもみなかった。
その日はあいにく食事の予定が入っていたので、一週間後の日曜日に
改めてそのラーメン屋を訪れることにした。

 

店に向かう車の中で、昔食べた味噌ラーメンの味を思い出していた。
少し甘めで、濃厚な味噌スープ。たっぷり入ったシャキシャキのもやし。
麺はやや太めで、スープと絶妙に絡まって旨みが口の中に広がる。
祖母の家に遊びに行く喜びも重なって、とにかく子供の頃の私にとっては
至福の瞬間だった。

 

暖簾をくぐって店に入ると、茶髪の若者が厨房から声をかけてきた。
店員は一人しか居なかったので、この男が店主なのだろう。
私の頭の中にいる店主は、太っちょでハチマキのおじさんだったので
そのギャップに少し戸惑っていた。
店内には他に客はおらず、私だけだった。

 

気を取り直して、味噌ラーメン大盛を注文した。
子供の頃と今の私では味覚もかなり違っているはずなので、
あまり懐かしさを感じられないのではないか、と要らぬ心配をしていた。
だが、出てきたラーメンはそんな心配を吹き飛ばすものだった。

 

唐辛子がたっぷり入った、赤色のスープ。
そうそうこれこれ・・・いやいや、ナニコレ?

 

味覚云々ではなく、まったくの別物だった。
食べてみると、ごくわずかにあの甘味のあるスープが顔を出そうとして
それを暴力的なスパイスが覆い隠している感じだった。
私はたまらずに、店主に話しかけた。

 

「このお店って、甘めの濃厚スープが売りじゃなかったっけ?」
『そうなんス。でも甘味だけじゃ単純なんで、この店ではアレンジしてるんス』
「他のチェーン店と味が全然違っても大丈夫なの?」
『大丈夫ッス。よそはよそ、うちはうち』
「でも・・・」
『この店はただのチェーン店じゃなく、ホームラン級狙ってるんス』

 

店内を見渡してみるとカープグッズが色々飾られており、
根っからのカープファンなのだと認識できた。
もしかしたら真っ赤なスープもその影響かもしれない。
ただ、私は自分の感情を抑えることができなかった。
子供の頃の自分を、祖母との楽しい思い出を、汚されているような気がしたのだ。

 

「でもね。今日私はヒットを打ちに来たんですよ」
『は?どういうことスか?』
「ど真ん中のストレートを待ってたんです。ヒットを打とうと待ち構えていたんです。
 でも、今日はフォークを投げられた気分ですよ」
『そうッスか。気に入らなかったんなら別に帰っていいッス』
「正直言うと、全然気に入らなかったです。後悔してます」
『そこまで言われる筋合いねぇスよ、帰ってください』
「言われなくても帰るよ、二度と来ないよ、バーーーカ」
『帰ってください!』
「お前が帰れ!」
『帰る!!』

 

・・・。

 

店主が帰ってしまい、私だけが店内にぽつりと取り残された。
何故私はここにいるんだろう。
そのとき、客が一人入ってきた。
どうしようか悩んだが、少し責任を感じて私が厨房に入ることにした。

 


それから10年。
まだまだ思い出の中の太っちょおじさんの味には遠く及んでいないが、
何人かの常連さんを抱えてそれなりにやって行けている。

 

ホームランなんて要らない。
特別なスパイスなんて必要ない。
甘めの濃厚ストレートを投げ続け、安打で満足する小さなラーメン屋だ。

明るい悩み相談室PREMIER(203)〜新環境〜  がりは

  • 2016.10.30 Sunday
  • 00:00

明るい悩み相談室PREMIER、本日の担当医がりはです。

こんばんは。

今日はどうされましたか?

 

新しい環境が苦手でクラス替えすら嫌だったのに転職してしまいました。慣れるまでどうすればよいでしょうか。

 

ほうほう、わっかりますわっかります。

私も実は新しい環境が苦手です。

しかもその病識(というほど大げさなものではありませんが)はつい最近までなく、変化に強いし、出張にも強いと思い込んでいました。

それが冷静に振り返ってみると、引っ越しでは毎回強い悲しみに襲われるし、出張も行くのは毎度毎度楽しいのですが、楽しいせいか出張先ではほとんど休めず疲弊してしまい、日に日に仕事のクオリティと人間としての健康具合が下がっていってしまいます。

あなたのお気持ち、痛いほどよくわかります。

クラス替えに関しても毎度毎度失敗してきました。

新しい環境になるとテンションが上がってしまい、さまざまなことにチャレンジしてしまうのです。

目立つのも嫌いではないので、どんどん目立つ方向へ行き、周囲の冷たい視線が私を止めるのか、それをぶち抜いてキャラクターとして受け入れられるのかのギリギリの勝負を強いられることになります。

疲れる生き方です。

あなたは苦手な新しい環境に飛び込む時、どんな癖がありますか?

積極的になる、慎重になる、弱気になる、協調的になる、などいくつかのパターンに分けられると思いますが、過去を振り返ってください。

どうでしょう。

新しい環境が苦手だとおっしゃっているのは、おそらく今までいい思いをしていないんでしょうね。

引っ越しの度にヒーローになっているなら新しい環境大好きになるでしょうし。

今までの手法でうまくいかないのであれば変えてみませんか?

真逆のアプローチでなくてもいいです。

弱気派と慎重派、慎重派と協調派、協調派と積極派は親和性が高いです。

誰にも興味がない無関心派はどの派からも距離がありますが、どれとも同じ距離でしょう。

あなたがどの派だったとしても、今度環境が変わるときには過去を振り返って、いつもと少し違うアプローチをしてみてはいかがでしょうか。

そして、新しい環境では慣れるまで意識していないうちに疲労がたまります。

ですから慣れるまでは意識的によく寝てください。

万が一、ギャグが滑って心の傷が深くても、寝たら治ります。

 

※明るい悩み相談室PREMIERではあなたのお悩みを受け付けております。

ブログにコメント、投票時にコメント、ハッガリーニにメール、電話、伝書鳩、のろし、などの手段でどうぞ。

ちなみに投票時のコメントでのお悩みには必ず回答いたします。

投票を丁寧に(G) Mr.アールグレイ 

  • 2016.10.29 Saturday
  • 00:00

「明るい悩み相談室PREMIER(199)〜ダイエット〜」 がりは  ☆☆

 

連載200回に王手をかけた(一回使ってみたかった表現!)がりはさんの作品。

ブートキャンプシリーズ面白かったですね。

ああいう企画ものというか、ボケにボケを重ねる流れが最近はあまり見られなくて寂しいです。

打ち合わせをして書いておられたんでしょうか。

いつものようにがりはさんはまともに答えようとしません。

こういう回があってたまに真面目に答える回が活きてくるのだと計算しているとすると、手のひらの上に乗せられているような気持ちで少し悔しくなります。

本当はどうなんでしょうか。

そうだとしたら☆にあまり意味はないですね。

全体として悩み相談は好きでいつも楽しみにしています。

 

 

「夕暮れ」 Mr.Indigo  ☆☆☆

 

Indigoさんの作品。

「夕焼けがすごいよ」なんて何年も言っていない気がします。

Indigoさんの方が日々を丁寧に生きておられるように思います。

彼は人の思惑を実によく汲み取ります。

五歳児のからかいを汲み取り、末弟の思惑も汲み取ります。

そこに答え合わせはありませんし、むしろ蛇足なのでしょう。

それは豊かな人生の在り方だと思います。

おそらく作品を読むときにも優れた読者なのでしょう。

ところで関西と関東で日の入りの時間が随分違うことを皆さんご存知でしょうか。

夕飯を取った後外出してまだ夕焼けがすごいなら、それは西日本だと思われます。

私は西の方に住んでいたことがあるのですが、随分日が長く感じられてとても得した気分になったものです。

何しろ夕焼けを見ながらビールを飲むというのは、とても贅沢ですからね。

 

最優秀作品賞受賞の辞  がりは  ☆☆☆

 

確かにがりはさんの書いている数は圧倒的だなあと思いました。

私がこれから運よく書き続けていっても絶対追いつけない気がします。

そういう意味では分厚い壁だなあと思います。

量より質という見方もありますが、量は量なので。

それを自分で言うのがすごい。

 

俺が壁、その他が卵。

つぶれちゃいそうだから応援したくなる。

わかる、わかるよぉ。

 

こんなことなかなか言えません。

「わかるよぉ。」の「ぉ」がめちゃくちゃイラっときます。

イラっときてしまって笑ってしまうほどです。

新人扱いしてんじゃねえぞ!

てめえなんか顔じゃねえんだ!

私が賞を取ったら言ってやろうと思っています。

彼が青鬼で私が赤鬼であるならなおさら。

 

投票を丁寧に(F) Mr.アールグレイ 

  • 2016.10.28 Friday
  • 00:00

「鉄の海(22)」  by Mr.ヤマブキ  ☆☆☆

 

ヤマブキさんの作品。

私はここでこの物語が終わるのだと思っていました。

最後のパラグラフに行くまでそう思っていて、主人公と同じく私もショックを受けました。

今は終わらなくて嬉しいという気持ちと、これからどこに連れていかれるのだろうという恐ろしい気持ちが半分半分です。

 

 

Never Ending Story  Mr.Indigo  ☆☆☆

 

Indigoさんの小説。

桃太郎と浦島太郎を使って無限ループを作った試みは斬新だと思いました。

面白かったです。

大阪弁のくだりや背水の陣のところが滑っていて、評価を少し割り引きました。

しかし普段エッセイを主に書いておられるIndigoさんが小説にトライされていることを評価して逆に評価を足しました。

 

 

「テーマコンテスト受賞のコメント」  Mr.Director  ☆☆☆

 

私と同じく「色」じゃないお名前のDirectorさんの作品。

テーマを選ぶのって大変ですよね。

テーマ「水」はかなり良い方のテーマだったと思います。

四つの作品はそれぞれ良いものでしたので。

ひらがなだったらもっと広がったかもしれません。

見ず、女性の呼称としてのミズ、ヤマブキさんに教えてもらった「診る」の反対で診ずなどというところも。

せっかく頑張ると言っていただいた次回を、読者として首を長くして待ちたいと思います。

星はテーマに対する評価で☆☆☆です。

 

 

「日々を丁寧に(2)」  Mr.アールグレイ

 

自作ですので評価しません。

どうぞ忌憚のない意見をください。

お手軽応援という制度もあるようなので。

 

 

「鉄の海(21)」  by Mr.ヤマブキ  ☆☆☆

 

ヤマブキさんの作品。

自分の経験から、医療と焼き肉はとても難しい面があると考えています。

それは素人が高度な判断を突然に求められるからです。

焼き肉においてはどんなに素晴らしいお肉であっても焼くのは素人である自分であり、高いお肉であればあるほど素人のミスで容易にその価値が毀損されます。

同じにするな、と叱られると思いますが医療においては緊急時をのぞいて、お医者さんが患者さんやご家族に現状と課題を説明し、その対処方法を複数説明したうえで検討を迫ります。

昔はそうでなかったようですが、今はそうなっているようです。

今までは患者側としてその理不尽さを感じていたのですが、鉄の海を読んでお医者さんの方にも苦悩があり、であればぎりぎりのところまでお互いの合意を取りに行くアプローチは正しいのではないかと思い直しました。

正解のない問題に答えを付与するために患者さんとお医者さんが協働するのです。

鉄の海(28) by Mr.ヤマブキ

  • 2016.10.27 Thursday
  • 00:00

 次は喘息で通院中の患者だ。喘息は今でも死に至る病で、吸入治療で普段から発作予防に努める必要がある。良くなるとなかなか続けられない人も多いが、それはその分だけ軽症だからよいかという気にもなる。

 その人はもう20年も喘息の治療を続けている。一般に、小児喘息は完治しやすいと言われるが成人で発症した喘息はなかなか治らないと言われる。40歳で発症してから吸入薬だけでなく様々な飲み薬を追加してどうにかこうにかコントロールしているつもりだがなかなか安定せず、季節の変わり目というだけでも発作を起こして入院することもある。

 案の定、診察室に入室するとぜーぜーとした呼吸音が聴診器を当てずとも聞こえてくる。

 

「入院ですか」

「入院、だと思、います」

 

 僕が入院ですか、と聞いた。本人が一番分かっているのだ。看護師がバイタルを測っていく。血中の酸素濃度の指標となるSpO288%を示している。90%を切ると呼吸不全と考えられ、酸素投与が必要となってくる。2L/分の酸素投与を開始するとともに、中〜大発作としてすぐに入院の手配を指示する。

 その間に、病歴聴取と身体診察をする。3日前から咳、昨日から熱があって、昨晩は呼吸困難もあったようだ。今日が診察日だったのでそれまで発作用の吸入薬を使いながら我慢していたとのことだ。呼吸音は両側にwheezesを聴取する。左下肺でcrackleもある。喘息と紛らわしいのは心不全だがそれを示唆する下腿浮腫は無さそうだ。おそらく肺炎契機の気管支喘息発作だろう。

 

「採血、レントゲン、生理食塩水でのルート確保。治療はメプチンをネブライザーで」

 

 検査結果と吸入の効果を待つ間に、外来を再開する。次は間質性肺炎で3か月に1度レントゲンを確認している人だ。通常の肺炎は肺胞の中、要するに風船の中に細菌が繁殖するものだが、間質性肺炎は風船のゴム自体が徐々に硬くなっていく病気だ。間質性肺炎の中でも原因不明で発症する特発性間質性肺炎はまともな治療法もなく、病状の進行を見守るしかないのが現状に近い。肺が線維化して硬くなるのを止める抗繊維化薬というのもあるが、副作用も小さくなく、劇的な効果をもたらすわけでもない。

 元気そうではあるが、動いたときの息切れが強くなってきたという。SpO290%。そろそろ自宅での酸素が必要かもしれない。本人は寂しそうに言う。

 

「そうですか。酸素ねえ。先生も前からおっしゃってたから分かってはいたんだけどやっぱり付けたくはないもの」

 

 次の外来までの時間が受け入れの時間になるのだろう。

 

 喘息患者の検査結果が出た。聴診で異常のあった左下にはレントゲンでも影がある。やはり肺炎による喘息発作だ。と、そこへピッチがなる。

 

「先生、外来中すみません。COPDNさんがリザーバー10Lです」

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