【テーマ】変な先生 うべべ
- 2016.05.31 Tuesday
- 23:58
小学三年生のときの担任(30代後半女性)である。
その先生は、あらゆる意味で「異質」だった。
私の一年生のときの担任は学校で有名なおばあちゃん先生、
二年のときは20代前半でピチピチの新人お姉さん先生だった。
両者とも、明るくてハキハキしたタイプの先生だった。
一年生のときのおばあちゃん先生は、良い意味で印象に残っているので
ぜひ別の機会にご紹介したいと思っている。
三年生ともなると、小学校の仕組みを理解できたころであり
お兄ちゃんへの第一歩を踏み出す年代である。
私の場合は、サッカー部に入ったのもこの時からであり、
新たな世界が広がった印象深い年でもある。
始業式のあと、教室に戻ると担任の挨拶が始まった。
そのゆっくりと落ち着いた感じの喋り方に、私は改めて
お兄ちゃん世代になったのだと感じた。
三年になると、先生もこんなゆったりした感じになるんだなぁ。
のんびりというか、ちょっと眠たそうというか、
これまでに無い感じの先生だなぁ・・・。
去年までは別の小学校に居て、今年からうちに来たらしい。
今の私に言わせれば、覇気ゼロの先生であった。
しかし当時の私はまだ、どちらかというと好意的に捉えていた。
変化が起こったのは、夏休みまであと一週間になったときである。
私のクラスは荒れているというほどでは無かったが、
授業中にお喋りをする輩が数人居た。
しかし、小学三年生のクラスなんてどこに行っても
数人くらいはそんな奴らがいるものである。
そう思い、私は特に気にしてはいなかった。
しかし、担任の先生(30代後半女性)が、突然
「もう嫌だーーーーー」と叫んで教室を飛び出して行ったのである。
教室に残された我々は、しばらく呆然とするしかなかった。
5分くらい経ってから、クラスの優等生的キャラの女の子が
先生を探しに行こうと提案した。
私はこのまま自習になっても良かったが、先生がどこに行ったか気になったので
捜索隊に加わることにした。
職員室には居なかった。
グラウンドにも居なかった。
給食室に居ると思ったら居なかった。
(先生は毎日必ず2回はお代わりしていたので)
もしかしたら帰ったのではないかと思って駐車場に行ってみると
先生の車があった。
そして、先生がその車の運転席で昼寝しているのを発見した。
その次の日も、先生は気に入らないことがあったらしく
途中で教室を飛び出して行った。
また我々が捜索し、給食室の裏でタバコを吸っているところを発見した。
それ以降も、何度も我々は捜索劇を繰り広げることになった。
さすがに隣のクラスの人たちも、何か異様なことが起きていると察知しつつあった。
しかし、異常なクラスと思われたくない、何とかまともなクラスに戻したいという
それこそ担任の先生のような気持ちが我々に芽生え始めていたため
何を聞かれても、何でもないよーと受け流していた。
その後も先生の脱走劇は続いていたが、傾向として
「結婚」とか「旦那」とか「子供」とかいうキーワードが出るときに
教室を飛び出しがちであることが分かった。
当時は今ほどメンタル云々とか言われていなかったし、先生と言えば
絶対的で強い存在であるという思い込みがあった。
読者の皆様はもうお気づきだと思うが、先生は家庭で何かあったために
精神に異常をきたしていたということが今となってはよく分かる。
結局私の小学三年生の日々は、この変な先生とサッカーの記憶しか残っていない。
修了式の日、次にこの担任にあたる後輩は地獄だなぁと思っていたが、
その後二度とこの先生を学校で見かけることは無かった。