【テーマ】サケの一生 by Mr.ヤマブキ

  • 2015.12.31 Thursday
  • 23:38
 たった5mm大の卵から一匹の鮭が孵化する。卵のころから湛えていた艶めかしい秋色を腹部に抱えた仔魚は、水中を移動することすらままならず、ただその場でゆっくりと腹部の養分を吸収していく。冷たい渓流の底で数十日を過ごし、卵のうと呼ばれる茜色の栄養を吸いきると、身をその流れに任せ始める。5cm程度に成長した周囲の稚魚たちも同様で、プランクトンを食べながら川を自在に遊泳する。
 春先になると解(ほど)けた雪を集めた清廉な川の流れを下り始める。急速に成長する稚魚たちは、プランクトンからユスリカ、カゲロウ、トビケラなど水棲生物へと捕食対象を移行させていく。生まれた川を下り長い旅を終えると、とうとう潮の香りが漂ってくる。彼らは稚魚として泳げるようになった頃からすでに海水への耐性を獲得している。迷うことなく大海へと飛び出し、すぐさま順応していく。
 彼らの旅は終わらない。川を離れた後も、さらに北上し、北海道沿岸に至る。刺すように太陽の照らす夏に、オホーツク海へと辿り着くと、その周辺を遊泳しながら暮らす。海に出てからはウミノミ類、カイアシ類、オキアミ類といった小さな海棲生物を食しているが、直にホッケ類、イワシ類や他のサケ科魚類の稚魚を捕食するようになる。
 冬にはオホーツク海の水温が8℃から5℃程度へと低下するため、北西太平洋の一部の地域で越冬する。夏には再びオホーツク海を生活の拠点とし、そのような周遊生活を28年行った後、千島列島沿いにとうとう生まれ育った母川へと回帰する。
 広大な海を回遊した彼らも、これが最後の旅になる。次の命を残すとともに、自身にとっては死の旅でもあるからだ。川を遡上する間、彼らは餌を一切口にしない。本能が彼らを駆り立て、焦燥にも似た切迫感で川を上る。縦縞を備えた彼らが小さな沢にも殺到して犇めく。そして、彼らは急速に免疫力を落として、鱗を白カビに浸食されてしまう。文字通り、死ぬ気で川を上るのだ。
 とうとう辿り着いた彼らは放卵、放精し、その役目を終える。全ての力を振り絞って、卵の周囲を数日周遊したかと思うと急速にエネルギーを失い、死に至る。ダイナミックな生態が次の世代へと引き継がれる。
 
 艶めかしい秋色を抱えた卵の中では二つの目が蠢いている。


 

年末特別スペシャル!Mr.Pinkが語る!2015年ハロウィンナイトの宴の後で、狂騒ニッポンホントにいいの?人間文明は最高潮プリミエール執筆陣が成長と衰えを乗り越えて目指すべき新たな境地とは?問題作3作を一挙公開!言い過ぎやりすぎOKですっ、こんな考えありなの?Mr,Pink

  • 2015.12.30 Wednesday
  • 23:52

 

…ふう。

題目だけで200字できたな…

残り800。適当に埋めよう。

みなさま、ごきげんよう。Mr,Pinkでございます。

さて、先々月の続きで、お忘れの方もいらっしゃいましょうから少し説明を。

 

ハロウィンナイトの乱痴気騒ぎを起こしたプリミエール執筆陣一同。

翌朝、渋谷の街を見てみると、まあ、ゴミだらけの散らかし放題。ワイドショー・週刊誌、果てはTwitterからフェイスブックに至るまで避難号壕の嵐。

 

そんな中、我々プリミエール執筆陣一同がお掃除隊を出動させようとしたら…

 

怪盗キッドに扮した一人の若者を始めあちらこちらから、さまざまな姿に扮した若者たちがお掃除を始めてました。

キャスター「どうして、こういう活動を始めようと思ったのですか?」

怪盗キッド「やっぱり、こういうことで(みんなの)非難が集まってハロウィンが(来年以降)出来なくなったら嫌なので(笑顔)」

 

 

参りましたm(_ _)m

事実は小説よりも奇なり。

 

てか、怪盗キッドかっこよすぎだろ。あたしゃ、惚れちゃったヨ。なかなか、できるもんじゃないよ。人間捨てたもんじゃないねぇ。

こんな奇特な青年を実話で出されたら、私なぞの三文文士はもう何も書くことありません。

と、言うことで『ハロウィンナイトは百鬼夜行』はこれでおしまい。

 

はい。めでたし。めでたし。…と。

 

ほんでもって次は?

「成長と衰え?」

ああ。なるほど。これも、なかなか面白い課題ではありますが個人的にはもう答えは決めてある課題なので語る必要もないかと。

いろんな視点から書ける話題ではありますが、殊私自身の文章に関して、と、言う風に限って言えば成長も衰えも単なる一体の物だと思っています。成長しているように見えるのは単に経験を重ねて多少なりとも文章の技巧がうまくなったりするのでしょうし、いろいろな技を使えるようになった分どのような方法を取るかを悩み始めるので書く速度は格段に遅くなりました。だから、衰えているように見える。

ただ、それだけの話。以上。

 

人間の成長と衰えや、文明文化の成長と衰えと言った話は、プリミエールやそれ以外の所でも弟子たちに話したりしてきたので、今回はバッサリ割愛します。

 

さて、そんなこんなで最近プリミエールを読んでいて気になった作品。

「気になった作品」ですよ。間違わないでください。

「よかったと思った作品」では、ありません。「なんか、もやもやしたり、トゲトゲ感じたり妙な違和感を感じたりと言った、心の片隅にひっかかった作品」ですから、これから紹介する3点は、褒めるつもりは全くありません。

先にはっきりと言っておきましょう。

 

順不同でしかも、最近のだけを拾ってみたのでごくごく備忘録程度の物だとご承知置きください。

 

まず、1点目。

10月23日「マグリットと不在」文責:Mr.ヤマブキ

確か、ヤマブキ氏はこの作品でこの月の章を取っていたように記憶しています。

非常に端正で丁寧な文章で、存在するということ、そして喪失するということ。マグリットの作品を引き合いに出しながら葉山氏の死をプリミエールがどのように向き合って行くべきなのか。

そういうことを書いたものでした。

個人的な感想としては「それはそうだけれども」、やはり何かが「違う」と言いたくなるもどかしさ。その「何かが」まだ、うまく言い切れないもどかしさ。を感じました。

それは、プリミエール誌上に作品として提示することで闘わなくてはならない問題なので言うべきことでは無いのかもしれませんが、そういう形で不在となった形を語るべきではない。もっと、何かがあるはずだと、つまり、「いや、やっぱり違う」と言いたくなる感覚。

 

自身の中で葛藤させられた作品でした。

 

2点目

「本屋の仕事」シリーズ 文責:Mr.ホワイト

こちらは、自身の本屋でのアルバイト経験に基づきながら書かれた「僕の体験日記」に見せかけた「小売店舗経営実践」の入門書です。

騙されてはいけません。単なる体験記ではありません。ここには、小売店舗の入荷・仕入・マーケティング・決済などの経営学として学ぶべき基礎がふんだんに盛り込まれています。

実店舗の経営のやり方を懇切丁寧に解説しているのです。シリーズとなっているのでこれは、完結するまで評価を下すべきではないと私は思っています。

そして、ここまで裏側を書いてしまっていいのかと今の私なら躊躇してしまうことも平気で書いています。具体例を挙げてバレると拙いので避けてますけど。あーた、それ、企業秘密じゃありません?

単なるお話としては読んでもらいたくないのが正直なところです。

 

3点目

10月15日「精霊、祭りを憂う」文責:アフリカの精霊

 

これは、実に現代人と伝統の衝突を現代人の視点から書いた作品です。

平たく言うと、だんじりやってる人間を冷めた目で眺める作者。

なぜ、祭りをやるのか。ということに関してもう、語りたくて語りたくてとりあえず文章をこさえてみたのですが、どうにも1000文字では書ききれず断念した課題の一つです。

平たく言うと、「まあ、アナタそんな単純に祭りについて切り捨てなさんな」ということ。

興味のある方は直接Pinkまで聞きに来てください。

大阪の大地に根付く海神の信仰から古代のシャーマニズムと神話の世界世界、現代の新興宗教との衝突などの話をからめて一晩寝させるつもりはありません。

 

…と、いずれも思う所が一つ二つとあった作品ですが、作品に対して物言いをつけるなら作品でぶつけ返すのがプリミエールのマナーだと思っておりますので、まあ、私の個人メモに書かれた備忘録がたまたま情報漏れしてしまったと、いう感覚でご容赦頂きたいと思います。

 

今回のテーマがそうだったので、もう、テーマを選んだ選者とテーマを通達した編集長の責任ですのでPinkの責任の負う所ではありません。

 

ということで、大体この辺りで失敬しましょう。

 

いずれの課題も面白い要素がたくさん含まれています。対抗する時は本気で取り掛かりますから。

ぐひひひっ!首を洗って待っていてください。

 

それでは、ごきげんよう。良い年を。

【テーマ】成長と衰え  がりは

  • 2015.12.30 Wednesday
  • 01:24
クリスマスのエピソードとともに「成長と衰え」を描いた作品を用意していたのだが、気が変わった。
もちろん、久しぶりに年末に帰ってきた総合格闘技イベント「RIZIN」のメインイベント、桜庭和志―青木真也を観たせいである。
 
2000年代前半、PRIDE最盛期を支えた桜庭和志。
俺の世代の格闘好きはみんな彼が大好きだ。
入場テーマ曲の「SPEED TK REMIX」(TKと書いたら誰のことかわかる時代だった。)が流れてくるだけで背筋がゾクゾクしてくる。
高田延彦を始め、船木、ケンドー・カシン、安生など日本人ファイターが次々にやられる中、小柄で優しい顔をしたどこにでもいるような親しみやすいキャラクターなのに、IQレスラーとの異名をとる奇想天外な作戦と確かな極めで、数々の海外強豪を打ち破ってくれた桜庭。
当時30代前半だった桜庭も今は46歳。
その間、2005年にPRIDEを離れてからは不運も重なりぱっとしなかった。
 
桜庭がPRIDEを離れた後にPRIDEで頭角を現してきたのが、早稲田大学卒業後警察官となったが退職、プロに転向した青木真也である。
バックボーンである柔道を生かし、長い手足で絡みつくよう寝技を駆使する青木は、そのトリッキーな関節技への高い評価から跳関十段と呼ばれていた。
PRIDEで王座に輝き、消滅後はDREAMでも王座に輝き、自他ともに認める大黒柱として戦ってきた。
DREAMを背負って、強大化するUFCとの世界一争いに孤軍奮闘してきたが、DREAMも消滅、今はシンガポールを拠点とするONE FCの現役王者として防衛中の32歳である。
 
現役の世界王者と、全盛期は14年前にあった元王者を闘わせるのはあまりに酷ではないか。
青木は桜庭のファンであることを公言し続けてきた選手であり、今回の試合前の取材でもそう答えている。
一方で現役のチャンピオンであることから絶対に負けられないし、現在の実力を考えれば試合を組んだ意味を問われるくらいの大差が着くとも述べている。
 
果たして、試合の展開もそうなった。
序盤にタックルで倒した青木は終始桜庭をコントロールし続け、五分以上マウントポジションから殴り続けて勝った。
危ないところが一つもない勝利。
 
関節技が得意な青木が関節に行かないで勝ち、青木の成長と桜庭の衰えをまざまざと見せつける結果になった、と書いて締めようと思ったのだが、引っかかる。
青木は勝たなくてはいけないが、実力差があるのもわかっているし、桜庭を傷つけたくない気持ちも強い。
普通なら相手をコントロールして参ったを取りに行くだろうと。
しばらくすると、本人のコメントが出てきた。
各社似たような記事の中、一社だけ試合の決め方にについて言及していた。
「(サブミッションは)トライしてるんですけど、取らせないんです。そうなるとフィニッシュするために殴るんです。「殴りたくなければ、サブミッションにいけばいいじゃん」って、格闘技ってそんなもんじゃない。」(東スポwebより引用)
 
桜庭は一本負けの少ない選手として知られており、意地で極めさせなかったのかもしれない。
そしてそれは青木に伝わったのだろう。
 
試合後、青木は人目をはばからず泣いた。
試合後青木が桜庭からかけられた言葉。
「これが仕事だよ。」
憧れの存在を壊したくないのに壊さなくてはいけない、壊さないように勝ちたいのにそうはさせてくれない、自分が勝っても誰も幸せにならないかもしれないけど勝たなければならない。
 
成長と衰え、で簡単に括れないのである。

コンピュータ将棋いろいろ(3)   ハッタリスト

  • 2015.12.30 Wednesday
  • 00:00

(3)コンピュータ将棋はなぜ強いか

コンピュータ将棋はなぜ強いのかという問いですが、これはコンピュータ囲碁はなぜ弱いのかという問いでもあります。

答えは、将棋には王将があるけれど、囲碁にはないからです。
当たり前のような気もしますが、僕はけっこう長い間このことに気がついていませんでした。

囲碁の方がルール上可能な選択肢の数が多いという説明も時々ありますが、その条件は人間にとっても同じです。
差があるのは、局面を判断して選択肢の中から無意味な手とそうでない手とを見分ける能力です。
その能力はコンピュータにとって、そしておそらく人間にとっても、囲碁の方が将棋よりも身に付けにくいものなのではないかと思います。

ルールをよく知らない初心者に将棋を見せたとして、相手の王将を手に入れれば勝ちであるという最低限の知識さえあれば、自分の王将の周りに自分の駒があるのは安心なことであり、相手の王将の周りに自分の駒があることはチャンスであるということは容易に想像できるのではないかと思います。
一方、囲碁の初心者にとっての囲碁はそう簡単ではありません。
たくさん囲えば勝ちというルールは将棋よりもむしろ単純ですが、初心者が囲碁の盤面を見てもどこが囲われているのかさえよく分からないのではないでしょうか。

将棋には中心があるわけです。両者の王将がそれです。
一番大事なものがはっきりしているので、将棋ソフトにとってもどの選択肢が重要かが分かりやすくなるはずです。
将棋の終盤では双方の持ち駒が増えていくに従って選択肢も増えていきますが、そのような局面においてコンピュータがむしろ強くなるのは、王将が直接関わる局面では形勢の優劣が判断しやすくなるからです。

あるプロ棋士がコンピュータ将棋を評して曰く、
「終盤は最強ですけど、その手前が粘りを欠くところがありますからね」
http://news.nicovideo.jp/watch/nw1499999
だそうです。
終盤の手前とは、王将が読みの射程圏内にギリギリ入る辺りです。
王将が見えた途端に読みがそちらへ偏ってしまうため、また、十分な深さで読めるほど王将が近くもないために、そのような感想となるのではないかと思います。

王将のない囲碁には中心がなく、意味のある手がどれなのかが分かりにくいのではないでしょうか。
有力な選択肢を絞り込むことはそれほど重要であり、かつ、高度な能力でもあります。


次回は、多くの将棋ソフト開発に用いられる技術として、機械学習について書きます。

忘れること,区切ること by NIKE

  • 2015.12.29 Tuesday
  • 15:48
「人間ってよくできているなぁって思うのは,忘れることができるということですよね。人間がもしコンピューターのようにいつまでもあらゆる出来事をそのまま記憶保存できるのだったら,私は今ごろ生きていられなかったかも知れない。少なくとも正気ではいられなかったでしょう」(とある依頼者)
 
上記の言葉は,とある離婚事件の依頼者の言葉です。
離婚事件というのは,感情の対立が激しい事件も多く,気持ちの整理をつけるのに苦労するものです。
しかし,日にち薬とはよく言ったもので,そのときの生々しい記憶・激しい感情は少しずつ薄れて日常の中に溶け込んでいく。
完全に忘れられるものではないにせよ,人はそうやって過去に折り合いをつけて,将来に向き合っていく。
依頼者は理工系の人ですが,機械に喩えて真理をよく表現している一言として印象に残っている言葉です。
 
師も走る忘年会シーズン,そんなに忘れたいことがたくさんあるのではないでしょうが,皆さん色々な付き合いの中で忘年会が開かれていることかと思います。
一年を振り返って区切りをつけて,また新たな一年への一歩を踏み出すという作業は,人が生きて行く中で必要であって,その区切りにちょうどいいのが年末あるいは年度末ということになるのかも知れません。
 
わが業界には,一つのジンクスのようなものがあって,年の瀬になると,それまでまとまりそうにもなかった事件が和解で決着したりすると言われたりします。
「今年の汚れは今年のうちに」ということなのか,ある程度時間の経過とともに感情が落ち着き,年末という区切りに差し掛かってきたところで,そういう方向に気持ちが傾くこともあるのでしょう。
我々は依頼者の喧嘩を請け負うわけですから,戦って判決を勝ち取ることを目指すのは当然のことです。
依頼者としても,言いたいことや主張をぶつけて殴り合わないと,和解しようという気持ちにもならないものです。
しかし,あるときふと気持ちの変化が訪れることがあって,激する感情がいくらか風化して丸みを帯び,区切りを迎えようとしているとき,戦い続けるのか早期解決か,難しい判断を迫られることがあります。
いずれにせよ,区切りをつけるそのときに,やれることはやったと思っていただけるように最善を尽くすことが重要で,そのために日々頑張るものだと思っています。
 
色々なことを忘れて区切りをつけ,色々なことを記憶して次への糧にして,歩みを進めていく。
年を重ねていく面白さではないかと思います。

よい年末を。
 

ベストコメント賞 Mr.ホワイト

  • 2015.12.29 Tuesday
  • 00:00
12月のMVPに選出くださり、ありがとうございました。人気があるとすれば「告白」の回だろうなと思っていたので、「クレジットカード」の回にも多くのコメントをいただけたのが意外でありがたかったです。

私にいただいたコメントへの回答です。

ヤマブキさん「老人と触れ合うことの多い職業ですが、まさに雰囲気や何気ない所作にどんな人生を送ってきたかが刻まれていることを実感します。」
私は祖父母を含めあまりお年寄りと話す機会がなく、たまに話す機会がおもしろいことが多いです。

がりはさん「安定の火曜日。」
これからもがんばります。

ダックスフンドさん「ホワイトさんのクレジットカードの話、これを見てからクレジットカードを使う機会が減りました。それくらい衝撃的な文章でした。」
使用頻度が減ったそうで、なんだか申し訳ないです。使えるところでは気にせずビシバシ使ってください。

みしぇるさん「本屋の仕事シリーズが全体的に面白い」
ありがとうございます。もう少し続けようと思います。

ハッタリストさん「「矢倉は将棋の純文学」と言われることがありますが、「純文学は文学の矢倉」と言えるほどの何かなのであろうか、と思ったり思わなかったり。何にせよ、この社会では金を使う人が正義であることが現れた面白い話だと思いました。」
私は将棋を知りませんので、矢倉が象徴するものが何なのかがはっきりとわかりませんが、それに「本流」とか「王道」とかいう意味が含まれているのであれば、たぶん純文学は文学の矢倉と言えるほどのもんではないと思います。矢倉は今も多くの人が使っているのでしょうけれど、純文学はもうほとんど誰も読んでないからです。私もむかしは純文学好きでしたが、最近はまったく読んでいません。

精霊さん「本屋シリーズ面白いです。中にいる人しかわからないことを紹介してくれるのが面白い。特にクレジットカードの回は勉強になった」
ありがとうございます。他人の仕事の話には自分の知らない世界が広がっていたりするので面白いものだと思います。

ベストコメントは唯一すべての欄に入力された2015/12/13 23:30:55のダメとも!さんに。最優秀作品の選出コメントも素晴らしいです。

次のテーマですが、ベストコメント賞の方の「世界名作劇場」にしたいと思います。(今月のテーマは「成長と衰え」でしたが、また機を見て書きます)

「時代区分」 byアフリカの精霊

  • 2015.12.27 Sunday
  • 22:41

 今日は基本に戻って戦国時代の始まりと終わりについて書きたいと思う。

 戦国時代という時代の分類は鎌倉時代や室町時代と違い、幕府の成立を前提としていない分明確な区切りがあるわけではない。しかも教科書によっては戦国時代の中に安土桃山時代なんて分類を入れているものもあったりで、もう訳がわからなくなってしまっている。

 みなさんはこの事実を不思議に思ったことはないだろうか。

 

 戦国時代は一般的には1467年応仁の乱によって始まったと教科書などには書かれている。ちなみに室町時代は一般的には1338年〜1573年なので、室町時代の中期に戦国時代が始まったということである。

 ここで注意してほしいのが、この1467年の始まりというのが絶対的なものではないということである。近年1493年の明応の政変を始まりとする説も有力になってきたからだ。

 

 戦国時代というと幕府の力が衰えて全国で大名たちがドンパチやるようになったというのがイメージとしてあるだろうが、1493年までは幕府もそれなりの力を持っており、また全国で目立った戦いも起っていないというのが理由になっているようである。そのうち「いいくにつくろう鎌倉幕府」が現在疑問視されてきたように、戦国の始まりもこの年にかわることもあるかもしれないので注意してみて欲しい。

 

 では戦国の終わりはいつなのか。一番早い説では1575年前後にする説もあるらしいがさすがに1582年の本能寺の変の時にはもう戦国が終わっていたとするのは無理があるだろう。

 有名な説は3つくらいにわかれており、1590年の秀吉による天下統一、1600年の関ヶ原、1615年の大阪の陣が唱える人が多そうである。意外と1603年の江戸幕府成立を戦国の終了とするのは少数派のようである。

 1590年説は天下統一により全国の大名同士の戦いは終わり、関ヶ原は豊臣家の内輪もめ、としているようである。

 1600年関ヶ原説はこれにより徳川家の地位が盤石となり、その後大阪の陣まで戦いがない平和な時代だったことを考慮していると思われる。

 1615年大阪の陣説はそんなこといっても10vs20万の戦いを戦国に入れないなんてありえないってことだろう。

 1603年から明確に江戸時代が始まるので、1590年説や1600年説は数年の空白期間が存在することになり、また1615年説では江戸時代が始まっても戦国が続いていたことになるようである。

 

 しかし始まりと終わりがこれだけ確定していない時代も珍しい。「戦国時代」と初めに名付けた人はどこを想定したものなのか知りたいくらいである。

 日本の時代区分は奈良時代しかり平安時代しかり、鎌倉、室町、江戸に至るまで主な時代分けが政治の中心地が変わったことによって明確に区分されている。そんな中、この戦国と言う時代区分はなんとも不思議な位置にあるように思う。

第60回有馬記念 たりき

  • 2015.12.27 Sunday
  • 02:23
2015年も猫も走るほど忙しい年末になりました。
そうですね、馬も走ります。有馬記念です。
60回の節目となる今年はどのようなレースになるでしょうか。
それでは例年のように、出走馬を内枠から順番に紹介していきたいと思います。
 
オーシャンブルー
3年前の2着馬。今年は2年目石川Jと最内枠からのスタートです。初のGI騎乗となる鞍上の騎乗ぶりにも注目です。
 
ヒットザターゲット
目黒記念で久々に重賞制覇した古豪。初出走の同距離、有馬記念でジャパンCからの巻き返しを期待したいところ。
 
ラストインパクト
ジャパンCでは最内を突いて惜しい2着。ここでも内枠からの連続好走を狙います。
 
ラブリーデイ
今年重賞6勝、GI 2勝と大躍進の本馬。ジャパンC3着も一番強い競馬。1着でこの一年を締めくくりたいところ。
 
アドマイヤデウス
春先にGII連勝もGIでは二桁着順が続いて。少しでも上の着順を目指します。
 
アルバート
前走は4連勝でステイヤーズSを制覇。その勢いでここでも上位を目指します。
 
ゴールドアクター
昨年菊花賞3着から長期休養を経て3連勝でアルゼンチン共和国杯を制覇。4連勝でGI制覇となるか。
 
ワンアンドオンリー
昨年のダービー馬も菊花賞以降はパッとしなくて。それでも前走は復調傾向あり、ここで復活となるか。
 
サウンズオブアース
昨年の菊花賞2着馬。3歳春より勝ち星がないが、最高の舞台で久々の勝ち星を掴む。
 
トーセンレーヴ
良血馬が7歳になってオープン特別を2連勝しての参戦。少しでも上の着順を目指します。
 
キタサンブラック
今年の菊花賞馬。菊花賞は上手く内を抜け出した印象も、ここを勝って菊花賞勝ちがフロックでないことを証明したい。
 
リアファル
春先までダートを走っていた同馬も芝に転向して菊花賞では3着。さらなる上の着順を目指します。
 
ルージュバック
世代屈指の能力と言われた同馬もクラシックでは惜敗続きで。この最高の舞台で牡馬古馬を蹴散らして初のGI制覇となるか。
 
ダービーフィズ
この春から重賞戦線に戻ってきて函館記念を制した同馬もGIでは厳しい結果に。少しでも上の着順を目指したい。
 
ゴールドシップ
このレースが引退レースとなる同馬。どのような位置取りになるのか、豪快なまくりは見られるのか。彼らしいレースを期待したいものです。
 
マリアライト
前走初のGI挑戦で見事エリザベス女王杯を制覇。その勢いでこのレースも上位を目指します。
 
 
有馬記念は15:25発走予定です。

ゲストオーサーの作品群 Mr.ホワイト 

  • 2015.12.26 Saturday
  • 00:00
Mr.ヤマブキの提案した「他人の作品を紹介するイベント」第一弾、先陣を私が切ります。後は任せた!

   *

雑兵日記PREMIERではレギュラー陣が作品を書いているだけではなく、ゲストオーサーたちも数多くの作品を書いてきました(私も実は今でもゲストオーサーです)。過去数年間の歴史において、ゲストオーサーたちはレギュラー陣に引けをとらない傑作を生みだしてきました。今回は、雑兵日記PREMIERの文化遺産「ゲストオーサーの作品群」から特に素晴らしい3作品を紹介しましょう。

■2013.02.03 「生活保護をちょっとだけ学ぶ人のために」Mr.スカーレット


全6回に及ぶこのMr.スカーレットによる大作は、単に生活保護ケースワーカーの生々しいドキュメンタリーであるだけではなく、知性と文才を感じさせる美しい筆致で書かれたエッセイでもあります。生活保護の現場を私たちが知りようがないことを前提としても、この文章を読んで私たちが感じざるを得ないのは、生活保護という現実に対する自分たちの無関心あるいは自分たちの想像力の及ばなさではないでしょうか。その圧倒的な事実を、まっすぐに、簡潔に、美しくまとめたこの作品は、雑兵日記PREMIER史上に残る傑作と言って間違いないでしょう。なお、Mr.スカーレットは2014年5月に「生活保護について語るときに僕の語ること」でさらに全7回の連作を書かれており、こちらも必見。

■2011.01.23 うなぎと涙と成田と正月 Mr.ブラウン


Mr.ブラウンによるこの小品は昔のバイトの思い出をさらりと語ったものですが、まるで目の前で友人が語っているかのような文章の親密さが際立っている作品です。すっと読んでいると知らぬ間に一気にぐうっと引き込まれてしまっていて、文章に「血」が通っていることのすごさを感じられる逸品です。


■2009.02.09 金閣寺 Mr.グリーン


Mr.グリーンによるこの小旅行記は単純におもしろすぎます。ぶっとんだユーモアセンスが弾けまくっており、一文一文がいちいちやたらおもしろい。「只のなんにもしない人」が「プラモのようなそれ」を見に行くんだから、面白くないわけがない。この言葉のセンス、やはり抜群。

クリスマス・ウェブ がりは

  • 2015.12.24 Thursday
  • 23:59
「よしっ!」
ノートPCの画面を思わずバタンと閉じた音のせいで、子供が目を覚まし泣き出してしまった。
慌てて駆け寄って頭を撫でてなだめる。
「夜中になに大きな声出してるの?」
妻が億劫さと不機嫌さを隠そうともせず追い討ちをかけてくる。
答えずベッドを離れる。
 
サンタクロースへの注文が電子化されたのは四年前だった。
それまでは郵便で行われていたのだが、JSAのサイト(クリスマス・ウェブ)からのWeb申請に変更になった。
それとともに上位の何割か(割合は公表されていない)が望み通りのプレゼントをもらえる権利を得ることになった。
今日、選考結果が発表となり、私はめでたく四年連続四回目の当選を果たしたのだった。
私は子供の頃のから欲しいものは細かく細かく想像してきた。
サンタへの要望もそれは細かく書いたものだった。
サンタからのプレゼントは時にジャストフィットだったし、時には外れていたけれども、今思えば要望を考えている時が何よりも楽しい時間だった。
Web申請になってことは私には追い風だった。
10月くらいから子供を連れて自転車店を回り、要件定義を重ねてきていた。
初めはきれいなそらいろのじてんしゃ、と言っていたが、最終的にスカイブルーの10インチの自転車、F社製に固まった。
三年間の保守と三か月毎の点検付きである。
自由記述欄にもプレゼントの持つ意義、プレゼントをもらった後のアクティビティを書いてアピールできる。
抽選だと思っている人が世の中には多いようで非常に助かっている。
私にとってはこの結果は偶然ではなく必然である。
 
 
「くそっ!」
ノートPCの画面を思わずバタンと閉じた音のせいで、子供が目を覚まし泣き出してしまった。
慌てて駆け寄って頭を撫でてなだめる。
「夜中になに大きな声出してるの?」
妻が億劫さと不機嫌さを隠そうともせず追い討ちをかけてくる。
答えずベッドを離れる。
 
サンタクロースへの注文が電子化されたのは四年前だった。
それまでは郵便で行われていたのだが、JSAのサイト(クリスマス・ウェブ)からWeb申請に変更になった。
それとともに抽選で上位の何割か(割合は公表されていない)が望み通りのプレゼントをもらえる権利を得ることになった。
今日、抽選結果が発表となり、俺はめでたく四年連続四回目のはずれ籤をひいたのだった。
もちろんサンタは来るが、プレゼントは何がもらえるかはわからない。
去年は二年前のヒーロー物のロボットだった。
息子はその番組を見たことがないので、三回遊んで使わなくなってしまった。
俺の子供の頃のクリスマスなんて望んだものが手に入った覚えなどない。
それでもまあまあ幸せな家庭を持っているのだから、クリスマスにサンタから望みのものがもらえなくてもマクロで見れば大した影響はないのだろう。
しかし釈然としないものは残る。
息子の希望、「きれいなそらのいろのじてんしゃ」は俺が探して買ってきてやろう。
いや、まてよ、買ってきたものじゃつまらない。
自転車を買ってきて、スプレーできれいに色を足してやろう。
それが青だけじゃないことを教えてやるのだ。
 

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