【テーマ】愛のノンパータベーション ハッタリスト
- 2013.09.30 Monday
- 23:49
ほとんどあらゆる分野で使われますが、もともとは天体の軌道計算のために用いられたと聞いています。
仮に太陽系に太陽と地球しか存在しないとしたら、古典力学では地球はずっと楕円軌道で回り続けると言ってしまえばだいたい正しいです。
しかしここに木星をひとつ追加すると、それだけでもう「楕円ではない何か」を計算しなければならず、精度が非常に悪くなってしまうのです。
これは三体問題と呼ばれるもので、影響しあうモノがたったの三個あるだけで未来の予測が難しくなります。
物理学は非力なのです。
その非力な物理学でより効率的な計算を行うための手法のひとつが摂動で、地球にとって最大の影響を持つ太陽を主として、その次に木星や土星などの影響を持ってくるというふうに、順序をつけてやります。
すると地球の軌道は、楕円軌道からこれくらいずれる、という形で計算されます。
最初の方により重要な部分があるので後ろを無視してもあまり変わらない、という点が重要なのです。
で、唐突ですが僕は自分が第一、家族が第二、三四が知人で五が他人、みたいなイメージで生きています(方針ではなく、イメージです)。
たとえば雨の中で踊りたいと思ったとして、もし風邪をひいたら人に迷惑をかけてしまうということが気になるかもしれません。
そんな時は、自分が踊りたいから踊るけど、家族に迷惑をかけると申し訳ないのでほどほどにしておこう、というのが僕の行動の摂動論的なイメージです。
ところが、もし自分に小さい子供がいたとしたらどうでしょうか。
風邪なんかひいている場合ではありませんから、踊りは断念するでしょう。
この場合は、自分のやりたいことが第一であるという前提が破綻しているので、摂動論的なイメージで行動を決めることができないのです。
こじつけっぽく聞こえるかもしれませんが、愛ってのは非摂動論であって、順序が変わってしまうことなのかなあと、十年くらい前に僕は思いました。
物理学の話に戻しますが、非摂動論というやつは計算が困難です。
だからみんな、あの手この手で計算してやろうとして苦労しているのです。