コンピュータ将棋について ハッタリスト
- 2013.04.30 Tuesday
- 23:53
1.はじめに
将棋のプロ棋士とコンピュータが将棋で対局する企画である「電王戦」が行われました。
去年に第1回があり、今年の第2回は全部で5局ありました。
結果は、人間から見て1勝3敗1引き分け。
今日は将棋の具体的な内容には触れずに、コンピュータ将棋とは、みたいなことを書きます。
2.将棋の強さとは
将棋の指し方というものは、大雑把には「先を読む」「形勢判断をする」の2つの要素だけでできていると言っていいかと思います。
これはアマチュアでもプロ棋士でもコンピュータでも同じです。
他にもこういう要素があるはずだと思うことがあれば、それらは全て形勢判断の側に含めてしまってください。
そのように考えた場合、将棋の強さは、
強さ = 先を読む能力 × 形勢判断の能力
です(イメージ)。
3.「先を読む能力」
先を読む能力が無限に高い場合、将棋のあらゆる局面から詰みの局面(ルール上の勝敗が決まった局面)までの全ての手順を瞬時に列挙することができる、ということになります。
この場合、形勢判断の能力が全くなかったとしても次に何を指すべきか正確に分かることになります。
しかしこの方法では、世界で最速のコンピュータを使ったとしても現実的な時間で計算を終えることはできません。単純に分岐が多すぎるためです。
そこで、最後まで読むという正確な方法の代わりに、途中で読みを中断してその局面の形勢判断をするという必ずしも正確とは限らない方法を用いることになります。
4.「形勢判断の能力」
先を読まなければ形勢判断はできないはずだ、と考える方もいると思います。おっしゃる通りです。
ここでは、先を読むことなくある単一の局面のみを見て行う形勢判断のことを単に「形勢判断」と呼ぶことにします。
この考え方が最も分かりやすいのは、ハンデ戦である駒落ちの最初の局面です。
将棋のルールをよく知らない人にとってでさえ、駒が相手よりも少ないというハンデを負っている状態が不利であることは明らかだと思います。
具体的に次にどう指すかという視点を抜きにして単一の局面だけで判断することができなければ、途中で読みを打ち切ることができません。
つまりここでは、先を読むべきか否か、読むとしたら何を読むべきかといった判断もこの「形勢判断の能力」に含めているのです。
5.人間とコンピュータの比較
人間とコンピュータの将棋を比較すると、先を読む能力はコンピュータの方が圧倒的に上です。なにせ、1秒間に数千万手とか数億手を読むという話ですので。
現状でプロ棋士とコンピュータのどちらが強いかはともかくとして、大雑把には大体いい勝負ぐらいだと言っていいでしょう。
すると、形勢判断の能力はプロ棋士の方がコンピュータよりも圧倒的に上である、ということになります。そうでないとつりあいませんので。
かつてのコンピュータ将棋は、主にハードウェアに依存する「先を読む能力」では既に人間を圧倒していたにも関わらず、ソフトウェアに依存する「形勢判断の能力」が低かったため人間に太刀打ちできませんでした。
ハードとソフト両方の進歩により総合力が増したためプロ棋士と互角以上に戦えるようになった、というのが近年のコンピュータ将棋の歴史です。
6.おわりに
コンピュータ将棋は総合力でプロ棋士レベルに達したとはいえ、形勢判断の能力で劣ることははっきりしているので、ソフトを改良する余地はまだいくらでもあるはずです。
コンピュータ将棋の開発者が開発しているのはソフトであってハードではないですから、ソフトの改良は今後も続くだろうと思います。
これからもいろいろ楽しみです。
将棋のプロ棋士とコンピュータが将棋で対局する企画である「電王戦」が行われました。
去年に第1回があり、今年の第2回は全部で5局ありました。
結果は、人間から見て1勝3敗1引き分け。
今日は将棋の具体的な内容には触れずに、コンピュータ将棋とは、みたいなことを書きます。
2.将棋の強さとは
将棋の指し方というものは、大雑把には「先を読む」「形勢判断をする」の2つの要素だけでできていると言っていいかと思います。
これはアマチュアでもプロ棋士でもコンピュータでも同じです。
他にもこういう要素があるはずだと思うことがあれば、それらは全て形勢判断の側に含めてしまってください。
そのように考えた場合、将棋の強さは、
強さ = 先を読む能力 × 形勢判断の能力
です(イメージ)。
3.「先を読む能力」
先を読む能力が無限に高い場合、将棋のあらゆる局面から詰みの局面(ルール上の勝敗が決まった局面)までの全ての手順を瞬時に列挙することができる、ということになります。
この場合、形勢判断の能力が全くなかったとしても次に何を指すべきか正確に分かることになります。
しかしこの方法では、世界で最速のコンピュータを使ったとしても現実的な時間で計算を終えることはできません。単純に分岐が多すぎるためです。
そこで、最後まで読むという正確な方法の代わりに、途中で読みを中断してその局面の形勢判断をするという必ずしも正確とは限らない方法を用いることになります。
4.「形勢判断の能力」
先を読まなければ形勢判断はできないはずだ、と考える方もいると思います。おっしゃる通りです。
ここでは、先を読むことなくある単一の局面のみを見て行う形勢判断のことを単に「形勢判断」と呼ぶことにします。
この考え方が最も分かりやすいのは、ハンデ戦である駒落ちの最初の局面です。
将棋のルールをよく知らない人にとってでさえ、駒が相手よりも少ないというハンデを負っている状態が不利であることは明らかだと思います。
具体的に次にどう指すかという視点を抜きにして単一の局面だけで判断することができなければ、途中で読みを打ち切ることができません。
つまりここでは、先を読むべきか否か、読むとしたら何を読むべきかといった判断もこの「形勢判断の能力」に含めているのです。
5.人間とコンピュータの比較
人間とコンピュータの将棋を比較すると、先を読む能力はコンピュータの方が圧倒的に上です。なにせ、1秒間に数千万手とか数億手を読むという話ですので。
現状でプロ棋士とコンピュータのどちらが強いかはともかくとして、大雑把には大体いい勝負ぐらいだと言っていいでしょう。
すると、形勢判断の能力はプロ棋士の方がコンピュータよりも圧倒的に上である、ということになります。そうでないとつりあいませんので。
かつてのコンピュータ将棋は、主にハードウェアに依存する「先を読む能力」では既に人間を圧倒していたにも関わらず、ソフトウェアに依存する「形勢判断の能力」が低かったため人間に太刀打ちできませんでした。
ハードとソフト両方の進歩により総合力が増したためプロ棋士と互角以上に戦えるようになった、というのが近年のコンピュータ将棋の歴史です。
6.おわりに
コンピュータ将棋は総合力でプロ棋士レベルに達したとはいえ、形勢判断の能力で劣ることははっきりしているので、ソフトを改良する余地はまだいくらでもあるはずです。
コンピュータ将棋の開発者が開発しているのはソフトであってハードではないですから、ソフトの改良は今後も続くだろうと思います。
これからもいろいろ楽しみです。