秋が来た  ミスターピンク

  • 2011.09.30 Friday
  • 23:51

みなさま、おこんばんは。
ミスターピンクでございます。

ときどき肌寒い思いをすることもある今日このごろ、いかがお過ごしでしょうか。
夏の暑さをあれだけ我慢したのだから、心地よい季節をもうすこし味わっていたいところです。

今まさに食欲の秋、とりあえず今年の初ナシは頂きました。
リンゴはなんだか年中食べられるような時代になってきたようでも、ナシはやっぱり秋ですね、大変おいしゅうございました。
食べ物がおいしい季節との評判ですが、私は年中おいしく食事をしておりますので、春には春のもの、夏には夏のもの、冬には冬のものを頂いて、健康な自分の体に感謝の日々です。

そんな健康を脅かす現代人の敵、運動不足が気になります。
相変わらずよろしくないのが肩の凝り、毎朝のストレッチを運動と称したくらいでは騙されてくれないようです。
なんだか首まで凝ってきた気がするので、もそっと真面目に体を動かしてやらねばなるまいと今日も決意を新たにするのでございますが、決意を新たにするのは毎度のことなので、やあ決意するのって簡単だなあ何事も案ずるより産むが易しだねという気分で、きっと明日も決意を新たにすることでしょう。
これぞ無精なスポーツの秋。

ところで私は昔から体重が全然変わらないので、たま〜に測ってもいつも変わりなく、特別おもしろいこともなかったのです。
ですが最近、というより今、お腹のお肉が以前よりたくさんつまめるような、そんな気のせいがするのでございます。
脇腹のあたりもムチムチ感が出てきたような、なかなかいい感じになってきたような、そんな気がするのでございます。
こうなるともう体重よりも体脂肪率を測る方がよいのか知らん、でもそんなものどこで測るのかしら、世の中には知らない方が幸せなこともあるさ。

寄る年波を感じるとはこういうことを言うのでしょうか、しかし年齢と脂肪になんの因果やあらん、生活習慣の問題かもしれない、かもしれない。
危急存亡の秋、でございますなあ。
なんて言ってる間はまだまだですなあ。

夢競馬の人々(41)  葉山悟

  • 2011.09.28 Wednesday
  • 23:56
(このすぐ下に夢競馬の人々(40)があります。まだの方はそちらからどうぞ。)

「最初のレースで彼が投資した百万円は百十万円になった。大本命の複勝馬券を一本買いしたわけだ。次のレースで全額百十万円を3番人気の馬に投入。それが180円の配当だから198万円。ものの1時間で投資金額はほぼ倍になった。その資産家の弾けるような笑顔が今でも忘れられない。彼はその後何と言ったか、想像できるかな。競馬記者である
俺のことを、我が社の投資顧問に迎えたい、と。十万円ほどの金を俺に握らせて帰ろうとするから、俺は金を突き返し、話が違うと言い返したんだ。どうなってもいい百万円だから最後まで投資する約束だと主張したんだ。俺はその百万円を倍々ゲームのように転がす計画だった。百万円が百十万円、百十万円が198万円、198万円が237万円と、複勝馬券の一点買いを繰り返して行くつもりだった。その投資家にとって新しい投資対象の実験、試みだったのかも知れないが、俺にとっては俺の持論を実証する絶好のチャンスだった」
僕は競馬記者の「勝つ馬券戦術」に何度か付き合っている。例えば千円の金を彼の主張する複勝馬券に投入し、適中すればそのまま次のレースに一点投入して行く。そうして順調に転がし続け、千円の金が36万円までなった時、彼は「やめよう!!これ以上出来ない」
とその挑戦から降りてしまった。金額が増えると欲が出たり、迷いが生じたり、びびってしまうのが人間なんだと、彼は自分の体験から痛感しているのだ。だからどうしても資産家の投資実験を最後まで履行したかったに違いない。
その資産家の実験と新聞記者の片山夫妻のケースは似ているようでまるで異なる。人生が懸かっているかどうか、それに関わる人、関わらざるを得ない人が多いか少ないか。次のような競馬に関する箴言でも明白だ。
資産家は「競馬は新しい投資先だ」といい、主催側の中央競馬会は「競馬はロマンだ」とうそぶく。また多くの人々は「競馬はギャンブルそのもの」と指摘し、年金生活者は「競馬は楽しみであり娯楽である」という。そして僕や髪束さんにとって「競馬とは生活の糧であり、税金であり、授業料であり大いなるたのしみでもある」のである。
「センセ、今日はセンセのために特別席をリザーブしています」
息を切らせて片山夫妻が僕のもとにやって来た。何かそれはまるで馬券が外れたときのために僕を確保するためにやって来たようである。いよいよ有馬記念の出走だ。

夢競馬の人々(40)  葉山 悟

  • 2011.09.28 Wednesday
  • 23:55
片山夫妻は僕の指示通りに馬券を買ったのだろうか。いや買えたのだろうか。僕は夫妻と全く同じ馬券を、金額は異なるがかき集めた百万円で購入した。百円単位で投票していた(正式には馬券購入をそう呼ぶ)時は自動式の機械を相手にしていたのだが、百万円分の投票は対面販売の窓口で行った。その時窓口の係員は一人だったのだが百枚の福沢諭吉を数えるときは二人に増えていた。片山夫妻の資金二千万円から比べると些細な金額だけれども、僕にとっては天文学的数字だった。しかし不思議と僕の気持ちは落ち着いていた。福沢諭吉も野口英世も区別無く、僕にとってそれらはただの紙切れに過ぎなかった。そう思わないと、途方も無い額の金をギャンブルにつぎ込むことなど出来ないことも事実であった。
「自分が必死でつくったお金、例えそれがどんな金であれ、命の次に大切な金を賭けるのだから落ち着いてなんかいられない。まして金額が増えると、人間っていう生き物はどうしても欲が出たり、迷いが生じたり、余計なことを考えてしまう。それでびびっちゃうんだ」
僕に競馬を教えてくれた競馬記者は一つのエピソードを語ったことがあった。記者が競馬ファンの集まりで「勝つ馬券戦術」というテーマで講演を行った時のことだ。講演が終わったあと一人の男が記者のもとに来た。そして記者の友人の紹介だといって、いきなりこんな話を持ち出してきた。
「ここにどうなってもいいお金が百万円あります。これを明日一日で増やして欲しい。もちろん競馬だからハズしてゼロになることも覚悟の上です。」
その時タイミングを計ったように記者の携帯が鳴った。男を紹介したという友人からの電話であった。――その人K市でも有数の資産家で、競馬における投資の価値を見極めたいんだって。それでアンタを紹介したわけさ。怪しい人じゃないし、人物や素性については僕が保証する。アンタの持論、競馬で勝つには複勝がベストを実証してほしいんだ――
銀行預金や種々の債権を活用しての投資などは時間がかかる上に利率がこの上なく低い。株式投資はリスクが高い上に手数料や税金など余計な経費がかかり過ぎる。その点競馬は
高々数分で最低一割の配当が付く。しかも税金は全て自己申告で有名無実の存在だ。こんな魅力的な投資対象は無い、というのが男の出した結論である。そこで実践ということで競馬記者が選ばれたというのである。

業務は慎重に  Mr.ヤマブキ

  • 2011.09.27 Tuesday
  • 23:32
―ブルンベルグ星―

「できた!ついにできたぞ!」

 ブルンベルグ一の天才と謳われるF博士は、近年盛んになっている宇宙開発事業の技術的な補助を政府から直々に依頼されていた。元々、この星の技術水準は高く、反重力宇宙船やワープ術などが開発されており、宇宙飛行士たちは資源ある星を探索していたのだが、まだワープ等の燃料のコストは高く、また、一つ一つ星を調べて行くため、効率も悪かった。そこで博士は、星雲図から特定の星を選ぶと、その星を詳細に見ることのできる、いわば水晶玉のような装置の開発に着手し、2年(地球の5倍となる)の努力の末、ついに装置の開発に至ったのである。

「博士、よくやりましたな。早速、宇宙開発部門で使いましょう」

 開発の知らせを受け、研究室を訪れたブルンベルグ統一政府総合大臣は、すぐさま宇宙開発局まで装置を運び、スイッチを入れた。

 まずは星を選ばなければならない。銀河の左の方へ行く。ある飛行士がその辺りはどうですか、と提案した。P37系だ。地球では太陽系と呼ばれている。

「そこの3番目の星は綺麗な青色ですから何かあるかもしれませんよ」

 モニターに映し出された映像に飛行士たちは歓声をあげた。見渡す限りの水と木々が飛び込んできたからだ。

「いいぞ、この星に行ってみようじゃないか。どれ、どんな生物が住んでいるんだろう」

 すると、モニターに人間の姿が入って来た。アフリカの若い先住民族のようだ。

「こいつら、うまそうだな。科学力も低そうだし、すぐにでもこの星を奪おう」

 なんと、彼らは人食い宇宙人だったのだ。地球の侵略を狙う高度な科学力。人類への大いなる脅威は1隻の宇宙船に乗り込んだ3人のブルンベルグ星人という形で、程なくして地球へと辿り着いたのであった。


「よし、あの大河に着陸するぞ。全員席につけ」

 目も開けていられないようなひどい揺れの後、宇宙船は無事静止した。

「装備はいいか?下級種族だからと言って油断するなよ」

 ついにブルンベルグ星人の、手足は三本ずつ生え、顔面は腹についた、緑の奇怪な風貌が地球人のもとにさらされる時が来たのだ。地球人はその恐ろしい風貌と圧倒的な科学力に恐れをなしながら逃げまどい、喰われ、家畜として虐げられるだろう!

 期待と興奮に満ちたまま外に出た3人はまず、自分たちの何十倍はあろうかという巨大な魔獣とさらにその倍はあろうかという巨人がこちらへ向かってきているのを認めた。

「あー、ポチ待ってよー!そっちいっちゃダメだってばー」

 ポチと呼ばれたその魔獣は彼らの宇宙船をくわえると、川へ放り投げた。そして、それを追う女の巨人の靴底が一瞬我を忘れたブルンベルグ星人たちの頭上を覆った。

 靴底が頭に接する直前に、一人のブルンベルグ星人は至ってシンプルな事実に気付いていた。すなわち、自分たちとの相対的な大きさはモニターには映らない、という事実である。

「もー、ポチったら。ほら帰るよ。今日はおいしいカレー作るんだから」

 こうして一人の少女によってブルンベルグ星人による地球侵略は防がれたのであった。

手紙2 byたりき

  • 2011.09.26 Monday
  • 23:58
周りからはおそらくいつものことであろうざわめきが聞こえてくる。
ぼくはとりあえずのビールの後、二杯目の焼酎をちびちびと飲んでいる。
ちびちびと。
ひとりでお酒を飲むとどうしてこんなにも酔いが早くまわるものなのだろうか。
そして、お店に入ってようやく30分を過ぎたところだというのに食事ももう必要なさそうである。

この近くのどこかの居酒屋では、同僚たちが飲んでいるはずである。
誘われはしたのだが、好きではない上司や仲の良くない同僚たちと交わるのがイヤで断った。
手持ちぶさたになってケータイを見てみても何の連絡もない。

今朝みたような気がする夢のせいだろうか、頭に浮かぶのは最近渡された手紙のことばかりだ。
10年という月日は口にしてしまえば一言だけれども、それは遠い遠い過去の話のような気がする。

10年前にぼくが渡したという手紙について考えてみる。
渡したことは覚えているが、その内容については多くの部分を忘れてしまっている。
それでも、渡したことと同様にその内容についてはおぼろげながら覚えている。きっとこんなことを書いたんだろうなあと。


誕生日おめでとう!
僕は、あなたがいつも楽しそうに話しているのを本当に喜ばしく見ています。
あなたの笑顔がいつまでもそのままであってほしいと心から願っています。
あなたのこの一年が、これまで以上にすばらしいものでありますように。


二杯目の焼酎を飲み終えて、三杯目には甘いカクテルを注文する。
ひとりのときはいつもこうだ、これ以上飲むことはあまりない。飲めない。

ぼくの思考は、ぐるぐると同じところをまわっていてそこから抜け出しそうにもない。
昔のことを思い出そうとするけれど、記憶の大事な部分だけがもやがかかってしまっているようでどんなに頑張っても何も心に浮かんでこない。

ケータイを見てみるといつの間にかお店に入ってから2時間近くの時間が流れていた。
それと、同僚たちとの飲み会に珍しく参加していた仲の良い先輩からメールが入っていた。
先輩からの兼ねてからの約束により今からボウリングに行こうとの誘いである。
すぐさま「了解です」との返事をする。
待ち合わせの場所は、チェックアウトをすぐに済ませて歩いて向かうとちょうどいい時間である。

ひとりのんびりと、自分の手紙と彼女からの手紙について改めて考えながら歩き出した。

赤鬼  Mr.ヤマブキ

  • 2011.09.25 Sunday
  • 01:28
 深夜二時。とっぷりと闇が街を包み、電灯の音が聞こえてきそうなほどの静けさ。
 ふと、道路に一つの影が落ちる。筋骨隆々の赤い肉体、犬と獅子を混ぜたような顔面、額に生えた二本の角。赤鬼。
 赤鬼はあるアパートを探していた。これがそうだと分かると、三階のある部屋の扉を一睨みし、途端に駆けだした。たちまちアパートまで辿り着き、階段を駆け上がる。三階分などあっと言う間で、廊下もあってないようなものだった。探し求めていた扉の前に立つと、赤鬼はゆっくりと扉に手を掛けた…。

 ふぅと大きく一息吐き、僕は覗き穴から体を離した。きっかり二時に行うこの日課も、もう半年ほどになる。だいぶ慣れて来た。徐々に鬼の映像が鮮明になって来ているのが分かる。退屈な日常を逃れる唯一の手段。赤鬼に思いを馳せてすっと目を閉じ、眠る。

 次の日も、研究室へ行き、飯を食い、赤鬼を見て寝た。その次の日も、研究室へ行き、飯を食い、赤鬼を見て寝た。その次の日も、その次の日も。

 ある日、研究室の同期が学会で発表することになった。僕が実験している横で、他のメンバーに、どこへ連れて行ってもらえ、教授の紹介でこんな人と会える、と嬉しそうに話していた。その間に出て来た実験の結果はまたしても失敗だった。初めからやり直しだった。

 いつも通り、帰りに大学で唐揚げ定食を食べた。日常的に殺され、揚げられる鳥たちのタンパク質の味がした。その日も風呂に入り、歯を磨き、赤鬼を見て寝た。

 研究は遅々として進まなかった。何も考えずに朝から晩まで手を動かすだけだった。赤鬼の鮮明さだけは日に日に増していた。

 家に帰り、扉の前に立った。覗き穴に顔を近づけようとすると、携帯が震えだした。弟からだった。二年前から付き合っている彼女と結婚することになったらしい。
「それに聞いてくれよ。係長に取り立ててもらえたんだ」

 おめでとう、と言って少し話した後、電話を切った。覗き穴に顔を近づけた。

 真っ赤な鋼の肉体に生える褐色の剛毛、歯垢に覆われた犬の様な歯、荒い息遣い。僕のアパートを見つけ恐るべき速さで疾走し始める。飛ぶように階段を駆け上がり、廊下を滑るように走って来る。その力強く踏みしめる一歩一歩の音が聞こえ、揺れを体に感じる。そして突然、覗き穴が暗闇に覆われたかと思うと、獣じみた唸るような呼吸音が聞こえてくる。赤鬼が扉に手を掛ける。と、確かにノブが下がり、扉が開かれ、顔の引きつりと微かな笑みを抑えきれなかったのだった…。

「精霊、幸せの価値を憂う」 byアフリカの精霊

  • 2011.09.24 Saturday
  • 23:52
知らなかったらよかったという事実がある。

会社の裏事情、恋人の過去、自分の出生など時には人生に影響を与えることもある。
今日の話はそんな重いものではないが、人の幸せについて少し考えたことを書く。
それは物の値段である。

例えば缶コーヒーの値段。普通に買えば120円である。
スーパーや安売り店で買うと有名メーカーのもので70円・80円、無名のものでは30円のものもある。
その値段で買うと安く買ったようで、得した気分になるのは大阪人の気質であろうか。
しかし、聞くに原価は缶代を合わせても10円くらいであるらしい。
なるほど有名メーカーなら広告代みたいなものもあるだろうが、無名メーカーで実際30円で売っても利益を出すためには原価は10円くらいでないとダメだろう。
こういう原価を知ってしまうと例えそれが安く買えたとしても幸せが半減である。
つまり、この場合原価が知らなかったらよかった事実であり、幸せだった気分が事実を知ってしまったがため、幸福感が減退することになる。

この前、法律の予備校に無料講座を受けにいった。
もちろん、このいった類のものはその裏に有料講座を取らせようとする宣伝の意味もあるので、無料講座を受けたあとには「有料講座を取りませんか?」みたいな勧誘がくる。
でも私は元々この予備校の有料講座を受けるつもりだったので、話を熱心に聞く。
「私は元々、講座を申し込むつもりで今日きたんですよ」
「そうですか!ではもうみなさん帰られて貴方一人ですから、特別に25%OFFにしますよ。私の権限でできるのはそこまでですが…」
なにー。
予備校の講座って家電量販店みたいに定員の判断で値引きしてもいいのかーって思った。
22万の講座が18万である。
私は元々22万でも申し込む気持ちだったので、喜んで契約をした。
しかしである。
今日、その予備校のホームページのインターネット申し込みのページをみて愕然とする。
『秋の特別祭!22万の講座が17万に!!』
なんだ!これは?
特別祭って何の祭りだ!?

みなさんも何か家電量販店で高い買い物(例えばテレビ)を買った結果、後になって他の店で安く売っていることに気づいたり、同じ店でも少し時間がたてば安くなっていたことを悔しく思った経験のある人は多いだろうと思う。
それを私は予備校の講座という商品で経験することになった。
物の値段って適当だなって思うと共に、知らなかったらよかった事実に気づいた瞬間だった。

ただし、私はこう思うことにしている。
幸せというものは、それを幸せに感じた瞬間に評価が終わっているのだ。
あり得なかった未来を想像してそっちの方が良かったと感じることは、神ならできることであるが人間にはできないだろう。
例えば、A大学にある程度満足していたとして、B大学に入っていればさらに満足できただろうだからA大学に入ったことを悔むということは2つの人生をもっと上の地点から比べることができる場合にしかできないことなのである。
でも実際、人間は神ではないので、同時に2つの人生を歩むことはできないので比べることすら愚かな行為である。

私で言うならば、講座を18万で申し込んだ時点で幸せを感じている。
そしてこの時点でインターネットで17万で申し込む人生はありえなかった未来になっている。
あり得ない未来を想像して、悔むことは意味のない行為である。
今の幸せを感じればいい。
17万という知らなくてもいい事実を知ったがために不幸になったように思えるが、この人生が自分にとってあり得ないものだと思えば別に腹は立たない。

私は18万円で申し込んだ時点で幸せだったのである。

よって私は
もし、あの大学に入っていたら…
あの子と付き合っていたら…
この職業についていたら…
と悩んだことはないのである。






ハッタリストが相談に応じるの巻   ハッタリスト

  • 2011.09.23 Friday
  • 23:59
8月度の投票で募集した読者の皆様のご相談、ご質問に対して、ハッタリストが凡庸に答えます。
それではさっそく。

「仕事場で丸一日一人ぼっちになることがあります。一見うれしい事のようですが、張り合いがなくなって、心身へろへろになります。邪魔されず自分の仕事を進めるチャンスなのに、両足にレンガがくっついたようなダルさが襲います。あまりに疲れはてて、帰ってきた事業主に八つ当たりしそうです。どうしたら、普段くらいの体の軽さで動けますか。」

一人ぼっちの間に何をしていたか、帰ってきた事業主に報告してみてはどうでしょうか。
報告できるだけの何かをしなければならないという義務感でしばるとか。
あるいは、一人のときは絶対に仕事をしないと決めて、勝手にストライキをしてみてはどうでしょうか。
すぐにバカバカしくなってストライキをやめたくなること請け合いです。


「ひげを剃っているのに、朝一番「髭ぐらい剃って来い!」と、支店長に叱られました。どうしたらいいでしょう。」

髭を剃るときは電灯で明るくして、眼鏡を使用する方は眼鏡をかけ、鏡をよく見ながら髭を剃るとよいと思います。
電動髭そりを使う場合は、手入れを頻繁にするべきかと。
それでだめなら、髭に理解のある人を味方につけて、支店長を遠巻きに包囲する方向で。


「円滑な社会生活を送るために、いつもさわやかな挨拶が出来ることが必要だと思っています。しかし、自分を偽っているような心地悪さがしてうまくできません。どうしたらあるいはどう考えたら、さわやかな挨拶ができるようになりますか。」

円滑な社会生活を送りたいという心情に偽りは全くないと思います。
その気持ちに対して正直になれば、さわやかな気持ちでなくとも、さわやかに挨拶することは可能だと思いますよ。


「1歳9カ月の息子が「月」を見ると実物でも絵でもすぐに指を指して教えてくれます。将来的に月に帰ってしまったり、満月の夜に変身したりしないか心配です。どうしたらよいでしょうか。」

月に帰るなら笑顔で見送るのが吉と思います。
変身したらもしかすると取り押さえる必要もあるかもしれないので、体を鍛えて備えるのがいいでしょう。ジョギングとか。


「夜、上手に眠る方法を知りたいです。」
「夜眠れないときはどうすればいいですか?」

すぐ眠れるかどうかは寝る直前の行動に左右される気がします。
寝るまでの行動の順序をいつもと変えてみてはどうでしょう。
ところで個人的な好みの話ですが、床に就いているけれど眠っていない状態はとても好きです。何をする必要もなく好きなことを考えていられますから。


「ディケンズのくそ長い小説とか、よほどの事が無いと読み返す事が無さそうな本を扱いに困ります。本棚の一角を占領してどきません。容量には限りがあります。どうしたらいいでしょうか?」

人にあげるか売るか捨てるか、そうでなければインテリアだと思ってあきらめましょう。
読み終わった本は電子化してpdfファイルとして所有する、という人もいます。
そういうサービスを請け負う業者に任せているそうです。
ただ、いつでも読めるという安心感はむしろ、いつまでたっても読まないという方向へ圧力をかけるように思います。
いつか読み直したいなら手放すほうが近道かもしれません。


「最近残業時間が増えてきて困っています。早く家に帰るコツを教えて下さい。」

家でやりたいことがあればいいんじゃないでしょうか。
なんとしても早く帰らなければと思えるような。


というわけでまとめて答えましたが、我ながら平凡な答えだと思います。
もっと違う答え方もあるかと思いますので、他の書き手の方々もぜひどうぞ。

「精霊、メールを憂う」  byアフリカの精霊

  • 2011.09.22 Thursday
  • 23:24
「せんせー、好きな人からメール来たんやけど、いつ返したらいいんやろ?」
「すぐ返したらいいやん」
「そんなん、すぐ返したらメール来るの待ってて、来たから喜んで返したみたいでイヤやん」
「だって、本当に嬉しいんやろ?」
「けど、それが相手にわかるのイヤや!」
「じゃ、明日になったら返事返したら?」
「あんま遅すぎたら、相手に失礼やん!」
「どっちやねん!」

お!?初々しいなぁと思いながら、メール内容を見せてもらう。
『○○さんへ、来週の遠足の班行動について決めるので月曜までに考えておいてください』
この学校の遠足は班行動らしくどうやら一緒の班らしい。
ちなみに本日は土曜日である。

「こんなん『わかった』とか『了解です』とか適当に返しとけよ」
「それだと味気ないやん!もっと気のきいたメールをいいタイミングで返したいねん」
「じゃ、2時間後くらいに、『塾やったからすぐ返事できなくてごめん。班行動については考えておくね。遠足楽しみにしています』くらいの内容で送っとけや!」
「そんなん『楽しみにしている』みたいなこと送ったら好きってバレへん?」
「バレへん。バレへん。適当にかわいい絵文字もつけとき!」

〜次の日〜
「せんせー、今度は返事がこなくなったー。送った中になんかマズイ所あったんかな?」
内容をみる。
少々絵文字が頑張りすぎているがマズイ所はない。
「別にまずくはないぞ。ってかこれだと特に返事を要求してないから返事がなくても普通やん」
「ああ、そんなもんなん?返事がなかったからメール内容のどこかに相手を怒らすような部分があったんかなって思ってしまった」
彼女はどうやらすぐに返事を返すことはイヤがるくせに相手からすぐに帰って来ないと不安になるようである。

面倒と思いながらも彼女の初々しさを微笑ましく見ながらこれって昔の自分だ、と思った。
私にもメールを返すタイミングを悩んだり、相手からの返事がないせいで自分のメール内容を不安に思ったりした時期があった。
「あ、ここの部分悪く取るとこう思われるなぁ…」
「なんか返事を強要するような内容送ってしまってまずかったかな…」
今思えばあの時期が一番メールするのが楽しかった。
いつからこのドキドキがなくなったのだろうと思う。
彼女も今は真剣に悩みながら、これを懐かしく思う時が来るのかと思った、そんな週末だった。

空気を読め  がりは

  • 2011.09.21 Wednesday
  • 01:40
「空気を読めよ。」と言われることが多分人よりも多いがりはです。
祖父の遺言で「ゴルフはやるな。空気は読むな。」と言われているので仕方ないですよね。

空気を読め、と思う場面はどんな場面でしょうか。
その場に明らかにそぐわないふるまいをしている時ではないでしょうか。

たとえばお葬式でみなが静粛にしているときにズカズカと入ってきて、位牌に灰を投げつけるとか。
たとえばお正月で人々が浮かれているときに「こうなってこそ本当にめでたいのじゃ!ほれほれほれほれ!」としゃれこうべを杖の先につけて町を練り歩くとか。

以上の例はそれぞれノブとジュンの有名なエピソードですが、このシーンに立ち会った人は「空気読めよ。」と言ったでしょうか。
初めのエピソードに立ち会った平手正秀はノブを諫めるために腹を切りました。
ジュンのエピソードでは人々は逃げ出したと言います。

たとえば将棋の対局中、相手の真後ろに立って考えるのはどうでしょうか。
たとえば将棋の対局中、賛美歌を歌うのはどうでしょうか。
たとえば将棋の対局中、時計を強く叩きすぎて中の電池がボロンと落ちてしまったならどうでしょうか。
いずれのエピソードでも人々は嬉しそうにそれを語ります。

空気を読め、とは誰も言いません。


空気を読めよと言われるのはどんな時なのでしょうか。
先に挙げた例ではもはや空気を読めよとは言われません。
みんな驚きあきれるばかりです。
空気を読め、というのは決して大きな声で語られる言葉ではありません。
外野からぼそぼそという言葉、近くから言う場合は周りに確認しながら。
だって空気を読め、という声が空気にそぐわないことだってあるわけで、空気を読めと言っている以上それだけは避けなくてはいけないからです。
なんとさもしい。

大勢で集まっていて、さあ乾杯と言うときや、さあ帰ろうという時、ばしっと一言さっといえばみんな大人なのでやあやあやあということになるのですが、いつもそれを言う役の彼や彼女がいないと途端に不穏な空気に。
そしさも自分は空気が読めると言った風の愚か者が自分以外の誰かを生け贄にするために「ほら。空気読めよ。」などと半笑いで押し出したりするのです。
「ほら、空気読めよ。」が始めると空気は固まり、どうあっても穏当には終わらなくなってしまいます。
この「空気読めよ」には「何かおもしろいことを言えよ」というメッセージがべっとりとくっついています。
何度かそういう目に遭ってから、私は場がぐだぐだになる前に率先して乾杯をし、締めの音頭を取ります。
そりゃもう必死に。

ゲストとして参加しているパーティーでもぐだぐだな空気を察知するや否や体と口が反応してしまいます。
その結果、実は本来の乾杯役がちょっとタイミングを計っていただけで、私の登場がそのタイミングをぶち壊してしまい、何と空気の読めない奴!と謗られることも多いのですが、それがなんだというのです。



空気を呼んで慰めてくれる人、募集中。

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