世界陸上を観て〜ブルーボルト、つまりは青いイナズマ〜 がりは
- 2011.08.31 Wednesday
- 23:57
あまりに残念だったので、ちょねちょねちょねちょね考えていたら、陸上競技界への提言が出来上がったので公開しようと思う。
陸上競技をつかさどる組織に少しでも近い人は早いとここの意見を上申してください。
もちろん下命していただいてもかまいません。
今回の世界陸上の100m男子決勝は2つの意味で完全に失敗であった。
1つは競技としての不完全性ゆえに。
1つは興行としての不完全性ゆえに。
まずは前者から。
百分の一秒を争うこの競技において、スタートの重要性は今さら語るまでもないだろう。
人間の反応速度の限界に基づいて、スタート音から0.1秒以内に反応した場合には失格というのが現状のルールのようである。
人間の反応の限界が本当に0.1秒なのかは判らないが、音が鳴って耳に届いて身体が反応して走り出すのに0.1秒以上はかかりそうだとは思う。
音速を340m/sと仮定して、スターターからスタート地点までの距離は30mはありそうだから、それだけで0.1秒。
現状スタートは人が「ON YOUR MARK」「SET」を口で言い、「BANG!」で走っているのだが、これは人によってばらつく。
他にこんな競技があるだろうか。
例えば水泳は電子音でスタートしている。
英語で言うより公平な感じだし間隔も一定だからスタートの練習のし甲斐もあるだろう。
し甲斐というのは、有意にパフォーマンスが向上するということである。
現状のスタートではスターターの癖で「SET」から「BANG!」までの時間がずれることが考えられる。
スターターだって人だから。
純粋に100mを早く走る人を決める大会であれば、必要なのはその能力をなるべく公平に競う環境なわけで、スターターの癖に思いを馳せなければいけないような環境ではないと思う。
何名かの有名スプリンターが今回のスタートは少し遅かったと言っている。
改善すべき事項だと思う。
次に後者から。
今回、興行的な観点で何名かのスーパーアスリートの戦いは目玉になっている。
イシンバエワ、室伏、ルディシャ、ベケレ、フェリックス、もちろんボルっちゃん。
国によっても扱いは違うだろうが、世界陸上に興味のある人にとっては彼らの勝ちっぷり、負けっぷりは大きな関心があるところだろう。
イシンバエワやベケレのように負けていく姿が見られれば我々は大きなため息とともにいいものが見られたという思いを抱くことができる。
しかし、ボルっちゃんの負け方たるや島田紳助ではないが「それくらいのこと」という感じではなかっただろうか。
我々はそんなに厳格な物がみたいわけではなく、しっかりした勝負が見たかったのではなかろうか。
なにも今の大相撲のように無制限の待ったを許容しろとは言わない。
しかしある程度の譲歩は必要なのではないか。
前まで行われていた「一回目のフライングはおとがめなし、二回目に犯した人は問答無用にアウト」という方法は相当の悪法だと思うが(俺なら絶対一回目にフライングをして他の選手にプレッシャーをかける。)、たとえば1年間の陸上競技大会の総フライング数を数えてそれを元にフライングの許容回数を決めておくとか、改善策はあると思うのだ。
我々は数少ない「本物の戦い」を見るチャンスを大事にしたい。
だから興行を打つ側はそれを最大限尊重する形でルール作りをするべきだ。
少しでもハッピーな世の中になりますように。