公園物語(2) 傾向と対策

  • 2011.03.31 Thursday
  • 22:31

私は道を空けるようにして走るのをやめた。
黒ずくめの男が後ろへ去って行くと、ウォーキングの主婦たちが私を間に通り抜けて行った。
よくよく考えてみたら私は公園を逆に周回していたのだ。

私は時計廻りだが、ほとんどの人は左廻り。
この公園では左廻りということが不文律になっているのだろうか。
それともジョギングやウォーキングはすべて時計と逆廻りということが、日本体育連盟や日本ジョギング協会あたりで決まっていたのだろうか。

公園を自由きままに廻っているのは犬とその飼い主だけである。
もしそのような決まりがあるとするならば「オートバイ乗り入れ禁止」や「犬のフンは飼い犬氏が必ず持ち帰りましょう」といった立て看板と同様の案内があってしかるべきである。
私は自分の公園デビューを「上々の出来栄え」と評価したことを恥ずかしく思った。

ベンチで持参したスポーツドリンクを飲みながら公園全体を眺める事にした。
そこには実に様々な人々が蠢動している。
運動している人や犬を散歩させている人以外にも、学校へ向かう小学生と中学生の姿。
それを送る親たち。
公園の隅で集めてきた空きカンをつぶす人等々。

今の時間帯は運動する人が主体の公園だが、時を刻むにつれ様々な貌を見せるのだろう。

私は公園デビューを実現するに当たりその傾向と対策を怠ったことをひどく悔いた。
そしてとりあえず一日は今日一日の公演の様子をじっくり見てみようという結論に至ったのである。

この公園にはいったいどんな人が、いかなる目的で、何時頃やってくるのだろう。

午前八時半過ぎに自転車で次々にお年寄りたちが集まってくる。
その数ざっとで四、五十人。
ボールを売つT字型のスティック持参だ。
おっと、今安易に「お年寄り」と書いてしまったが、私自身もそれ相応に齢をくっている。
その仲間の一人なのだ。

いつもその視点を忘れて批判したり評価を下したりする。
自戒の念を込めて「お年寄り」という言葉は封印してしまおう。

彼ら彼女らは芝生の上にホール番号の入ったゴール旗を立て、ホイッスルの合図で一斉に競技を始めた。

しかし、すぐ横にある小さな砂地のラウンドでも同じような競技でも同じような競技が行われている。

こちらは十人程度の少人数制。
私にはどちらもゲートボールに見えてならないのだが・・・

「競馬論考」論考

  • 2011.03.29 Tuesday
  • 22:29

たりきの「競馬論考(1)」に注釈をつけてみました。
合わせてお読みください。

世界最高賞金のレース・・・競馬で勝つと賞金がもらえるんです。

ドバイワールドカップ・・・アラブの王様がスポンサーのレース。日本のレースはスポンサーとJRA(つまり馬券収入)から賞金が出ています。

日本馬がワンツー・・・出走14頭中3頭が日本の馬でした。

数ある世界の大レース・・・英、仏、伊、独、愛、米、加、アルゼンチン、チリ、豪、NZ、日本、シンガポール、香港などで行われています。

芝レースの最高峰が凱旋門賞・・・歴史とかの都合でそういうことになっています。

ダートレースの最高峰がドバイワールドカップ・・・アメリカのブリーダーズカップが上じゃ、という人もいます。歴史とかの都合で。

馬場・・・本名馬場正平の故ジャイアント馬場、ではなく馬が走る場所のこと。

芝のレースとダートのレース・・・芝の上を走るレース、砂の上を走るレース、人工素材の上を走るオールウェザーがあります。オールウェザーがナウい感じです。

現実にはなかなか・・・芝に向いた走り方、砂に向いた走り方があり、馬の方でうまく切り替えるのは難しいようです。

これまでも多くの馬たち・・・日本の馬。海外のレースに参加するには数十時間の飛行機での移動が必要で、コンディションを万全に保つのが難しいといわれてきた。

今では、世界の強豪相手に互角以上の戦い・・・エルコンドルパサーが走った凱旋門賞は衝撃的でした。

日本と海外では同じ芝、同じダートでもまったく異質・・・競馬場の中を歩いたことがありますが、芝が結構ふかふかしてました。砂はずぶずぶでした。坂も急でした。

速い時計・・・走破タイムが短い。参考までに一流の競走馬は2400mを2分20秒くらいで走ります。

海外の方が重い芝・・・ふっかふかで下がやわらかいということです。軽いというのは下がパンパンに固くて走りやすいということです。

オールウェザーコース・・・砂埃の中を走るのは人馬にいい影響を与えない、ということから。

芝実績馬・・・芝のレースで良い成績を収めた馬。

世界のすべての競馬場・・・形状も長さも手入れも違います。
日本国内の競馬場であっても・・・回る方向が右だったり、左だったりもします。

季節や天候によって〜異質のもの・・・例)砂は雨が降ると固くなるので芝みたいに走りやすくなるようです。

馬券購入者・・・ネット経由でも買えます。

野球論考(1)

  • 2011.03.28 Monday
  • 22:28

野球という球技を考えたとき、サッカーやバスケットボールとの比較でまず思い浮かぶのは時間制限がないということでしょうね。
たとえ何点差が開いていても、最後のアウトを取るまでは何が起こるかわからないんです。
「野球は9回ツーアウトから」という言葉はもう使い古された言葉ではありますが、あと一つのアウトが取れなくて負けてしまうことって結構あるんです。

また、野球には流れがあります。
攻守の交代があって攻撃と守備が明確にわけられているのにもかかわらず、流れを感じる場面に本当によく遭遇します。
プロと違ってメンタル面がまだ未熟であると考えられる高校野球では、その傾向はなおさら強いような気がします。
直前の守備でファインプレーをした選手が、その次の打席でまさかのホームランを打ってみたりとか。もしくは、その選手のヒットが大量得点の足がかりになったりとか。
ちょっとした緩慢なプレーだったり牽制球でアウトになったり、そういったことがあった後にあっさりと逆転されてしまうとか。
春休みや夏休み、何気なく見ていた高校野球でそういった場面に出くわしたことのある人がいるのではないかと思います。

野球は攻撃と守備とにわかれます。多くの人は打つ方を好きになるものですが、守備を好む人もいます(私がそうです)。
野球において派手な乱打戦と緊迫した投手戦、このどちらにも、たくさんの魅力が詰まっています。

乱打戦では、なんといってもホームラン。
たった一つのホームランで、先に書いたように流れが劇的に変わってしまうことはよくあることです。
テレビで負けている方を応援している私たちも、なんだかいけるような気がしたりするから不思議です。
5点差くらいだったら「あ、こんなもん」とか思ったり。前に飛べばヒットゾーンに飛びそうな気がしたり。
そういった、雰囲気を変えてしまうという魅力がホームランにはあります。

投手戦では、一球一球が勝負です。
たった一つの、一球のミスが命取りになります。そして打つ方も、微塵のミスも許さないという最高の集中力でバッターボックスに立たなければなりません。
ミスすることのできない緊張感が、たまらないんです。

考えれば考えるほど、野球ってほんとにいいもんですねぇ。

競馬論考(1)

  • 2011.03.27 Sunday
  • 22:27

世界最高賞金のレース、ドバイワールドカップにおいて日本馬がワンツーを果たしました!
数ある世界の大レースの中でも、芝レースの最高峰が凱旋門賞、そしてダートレースの最高峰がドバイワールドカップということになるでしょう。
そんなレースをついに日本馬が制したのです。歴史的快挙と言っていいでしょう。

さて、このことに関して書きはじめたら止まらなくなってしまいますので、ここまでにしておいて、ここでは馬場についての話をしようと思います。

競馬には、基本的には芝のレースとダートのレースがあります。
どちらのレースでも強いというのが一番いいのですが、現実にはなかなかそういうわけにもいきません。
凱旋門賞やドバイワールドカップには、これまでも多くの馬たちが挑戦しては世界の大きな壁に阻まれ続けてきました。
それが日本と世界の差という向きもあるのかもしれませんが、そんなことはないはずです。
今では、世界の強豪相手に互角以上の戦いができることは日本国内のレースや他の海外の大レースにおいて認められているところです。
違いがあるとすれば、それは馬場に対する適性の違いです。

芝とダートの二種類のレースしかないのですが、日本と海外では同じ芝、同じダートでもまったく異質の馬場であることが多いのです。
よく言われることは、芝レースならば日本の芝は海外に比べると速い時計が出やすいという傾向です。海外の方が重い芝だということはよく言われることです。
ダートに関しては、逆に海外の方がスピード重視の馬場であるようです。
さらには、一昨年からドバイワールドカップはオールウェザーコースという人工馬場で開催されるようになりました。どちらかと言えばダートに近い馬場のようですが、これまで以上に芝実績馬が走りやすくなったという話を聞いたりします。

このように、一口に芝、ダートと言っても世界のすべての競馬場が同じというわけではまったくありません。
もちろん、そのことは同じ日本国内の競馬場であっても言えることなのです。
競馬場によって、そして例えば季節や天候によって、同じ芝、同じダートでも異質のものとなることがよくあります。
私たち馬券購入者の多くは、そういったことも考慮に入れながら予想をします。
ややこしい話ですが、これがなかなか楽しかったりするんですよね。

「精霊、詐欺罪を憂う」

  • 2011.03.27 Sunday
  • 22:27

刑法246条 詐欺罪
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。


問題1
他人の名前で銀行口座を作った。作って預金通帳を貰うだけならタダのものなので、詐欺罪に当たらない。○or×

問題2
18歳未満は買ってはいけない本を中学生が「20歳です」と言って買った。店員を騙して本を売らせたので詐欺罪にあたる。 ○or×

問題3
釣銭が多いことを気付いたがそのまま黙って受け取った。
ア 店員を騙しているから 詐欺罪
イ 金を盗んだのと一緒  窃盗罪
ウ 間違えた店員が悪い  無罪
エ とりあえず      遺失物横領罪

問題4
釣銭を受け取ってからしばらくして多いことに気付いたがそのまま持ち去った。
ア やっぱり店員を騙しているじゃん 詐欺罪
イ やっぱり盗んでいるじゃん    窃盗罪
ウ やっぱり間違えた店員が悪い   無罪
エ 今度こそ            遺失物横領罪

問題5
誰かが自分の口座に間違って振り込んでくれたので、それをATMから引き出した。
ア 間違えて振り込んだ奴が悪い   無罪
イ 今日のテーマは詐欺罪だから   詐欺罪
ウ 男は黙って           窃盗罪
エ よくわからないので       遺失物横領罪


答え1
預金通帳も価値があります。
他人名義だとわかったら銀行員も通帳を作らないでしょうから、銀行員を騙したことになり詐欺罪に当たります。

答え2
詐欺罪にあたりません。
店員は騙されていますが、損害がないからです。

答え3
詐欺罪に当たります。
釣銭が多いとわかった瞬間、店員にそのことを告げる義務があり、その義務があるのに言わないことは店員を騙していることと同じになるからです。

答え4
遺失物横領罪です。
あとで釣銭が多いことに気づきそれをネコババすることは、偶然の利益を自分のものにすることです。これって、道路に落ちていた金を拾って自分のものにすることと同じと考えられないでしょうか?
これが今日一番の難問です。

答え5
この問題自体の答えは窃盗罪です。
ATMという機械を騙すことはできないから詐欺罪は成立しません。
もし、これが窓口の店員から引き出したものなら詐欺罪が成立します。
誤振込に対して預金者は申告義務があり、敢えて言わないことは銀行員を騙していることになるからです。

公園物語(1) デビュー

  • 2011.03.27 Sunday
  • 22:25

ついに私もやりましたよ。
念願の公園デビューを。
意味がわからないって?

ほら若い母親たちが、生後間もない子供たちを初めて公園に連れていくこと。
いわばヤングママ達の我が子の顔見世興行。
子供たちが砂遊びなどしている横で、とても母親に見えない彼女たちが楽しげに、それでいてお互いの服装や化粧をどこかで意識していて競っている感じでのおしゃべり。

私?
六十五歳の定年過ぎたオヤジです。
何か、疑問でも・・・?
いや子供や孫を公園デビューさせたのではなく、私自身が堂々と公園デビューしたのです。

上下揃えのおニューのスウェットスーツにピッカピカのランニングシューズ。
一応スポーツメーカーのブランド物。
どちらかというと私は意志薄弱の人間で、何か事を成そうとするとき、スタイルやカッコから入りたがる傾向があるのです。

新品のシューズ、いきなり地面におろすのがもったいない気がして、三日間スリッパ代わりにして家の中で履いていました。

家から十分ほどのところに、一周四百メートルほどの芝生の広場があって、そこにはテニスコートやゲートボール広場、それに砂場や様々な運動遊具まで備えられていました。
現役の時は通勤の行き帰りに広場を横断していたのですが、颯爽とトレーニングウェアに身を包みジョギングする人達とすれ違います。
彼らは実にカッコいいのです。
いつか私もそれをやってみたい・・・。
定年になれば必ず実現して見せよう。
あの人達のように公園の心地いい風を受け、数多くの人々の羨望の的になってみようと・・・。

それがやっと実現したのです。

ある日の早朝、公園に着くとそこにはすでに様々な姿で運動に取り組む人がいた。
ジョギングをはじめ、ウォーキングに犬の散歩、縄跳び、ボール遊びなどなど。

私は新参者だからすれ違う人それぞれに「お早うございます」と頭を下げまくった。
中にはこちらがあいさつする前に声をかけてくれる人もいて、何となくジョギング中に身体をすり抜けていく風同様すがすがしい。

私は私の公園デビューをひそかに上々の出来栄えだと自己満足していた。

ところが公園を何周目かした時、いきなり前から来る人にぶつかりそうになった。

「どこを走っているんだ!!」
その黒づくめの男は私にそう言うと「どけっ」とばかりに手で追いのけた。

「精霊、ホワイトデーを憂う」

  • 2011.03.26 Saturday
  • 22:24

「クッキーが返ってきたらOKで、マシュマロなら友達からお願いしますって意味で、チョコなら嫌いって意味やで!」
「違うよ!マシュマロがOKって意味!チョコは普通ってこと!」

女の子たちがキャイキャイ騒いでいる。

どうやらこの会話の中心にいる女の子がある男の子にバレンタインをあげたらしい。
彼女は少し大人しい、清純そうな現代には少し珍しい女の子である。
相手は違うクラスの野球をやっていて少しスポーツマンタイプの男の子である。
そんな彼女をおしゃべりな友人たちが囲んで、彼女に返される物の意味合いを教授している。
もちろん教授しているメインの子は、この日記でお馴染み○○ちゃんである(笑)。

私は即座にお返しをするであろう男の子を心配した。
大人の私でもホワイトデーのお返しの品物がどんな意味合いを持つかをしらない。
ましてや小学生には想像もできないだろう。

そうこうしているうちに彼女が呼び出された。
私は気になって、教材を探している振りをしながら2人の会話を盗み聞きしていた。
男「えっと…これお返し」
女「あ…ありがとう…」

私は男の子のお返しがマシュマロであることを祈って流し眼で2人を見た。
マシュマロであるならば、女の子たちのどの説を取っても悪い結果ではないからだ。

しかし結果はチョコであった。
チョコは女の子たちのどの説においてもいい結果ではない。
女「…これって…」
男「チョコやで。バレンタイン、ありがとう!」

男の子にとってはごくごく普通のやりとりである。
いやむしろ彼女からの好意を嬉しく思っていたのかもしれない。

しかしである。
事前にレクチャーを受けていた女の子にとってはこの結果は絶望的なのである。
日頃、大人しく清純なだけに、女の子は友人のアドバイスを真に受け、悪い結果に泣きそうになっていた。
しかも、男の子のむしろ好感触の対応に大混乱を起こしているようだった。
女の子はいたたまれなくなったのか、その場を立ち去って行った。
教室に帰った半泣きの彼女は友人に結果を聞かれていた。
そして、あとに残された男の子は不思議そうに自分の教室に帰って行った。

誤解が生んだ悲劇なのか、本当なら通じ合っていたかもしれない気持ちが通じなくなった話である。
男の子にも女の子にも罪はない。

一部始終を見ていた私だけが真実を知っている。

おごれるゲーマーは久しからず (1/4)

  • 2011.03.25 Friday
  • 22:23

■2011/03/21 (月) 音楽の聴き方(上・中・下) Mr.ホワイト
を読んで考えたことを書きます。そちらを先に読んでください。

目次
1.「音楽のレベル」への反感
2.ゲーマーと非ゲーマー
3.衰退したジャンルとしてのシューティングゲーム
4.ゲームと音楽と
 
 
1.「音楽のレベル」への反感

最初に書きますが、僕はMr.ホワイトの主張に同意します。
すなわち、音楽は語り得るという主張、および、音楽のレベルの向上を望むなら音楽を語るべきだという主張に同意します。

しかしながら、Mr.ホワイトが「音楽のレベル」という挑発的な表現を用いたことについて、僕は危惧を感じています。
そのような方法をMr.ホワイトがあえて選んだ理由と目的を僕は理解しているつもりですし、それは有効な方法の1つであるとも思います。
しかしそれでも、その表現に対して直感的に抱いた反感について語りたいと思いました。
そのために、僕がよく知っているゲーム業界について書きます。
 
 
2.ゲーマーと非ゲーマー

ビデオゲーム・テレビゲーム(以下ゲーム)を好む人々は、自らを「ゲーマー」と呼ぶことがあります。僕もその一人です。
彼らの一部は、ゲーム業界の未来に関して深刻な危機感を持っています。
5年後や10年後には自分たちの好むようなゲームは消滅していてもおかしくないのではないか、という悲観的な可能性を軽視していないからです。

おごれるゲーマーは久しからず (2/4)

  • 2011.03.25 Friday
  • 22:22

2005年に「脳を鍛える大人のDSトレーニング」および「もっと脳を鍛える大人のDSトレーニング」(以下脳トレ)というゲームが発売され、両者を合わせると国内だけで累計800万本以上が売れました。超特大のヒット作です。
しかし、一部の「ゲーマー」はこのことを必ずしも好意的に評価しません。
いわく、「あんなものはゲームではない」「ブームに乗った非ゲーマーが買っただけ」「これでゲーマーが増えたことにはならない」…

ゲーム開発者はゲーマーのためにゲームを作ることをやめて、大衆に迎合する道を選んだのでしょうか?
そうではありません。
ゲーム業界の未来を誰よりも案じているのは、他ならぬ開発者自身です。
ゲームはわかる人にだけわかる「作品」ではなくてただの「商品」であり、それを最もよく理解しているのもゲーム開発者です。
彼らは「非ゲーマー」にゲームを手に取ってもらうためにはどうすればよいかを考えました。

ある人がゲーマーに尋ねます。「そのゲームの目的は?」
ゲーマーは答えます。「クッパにさらわれたピーチ姫を助けることだよ」
質問をした人はピーチ姫なんかに興味はなかったので、そのゲームをやってみたいとは思いませんでした。
こんなやりとりでゲームをするかしないかが決まるのは間違っています。
なぜなら、ゲーマーだってピーチ姫を助けたくてゲームをしているわけではなく、ただ楽しむためにしているだけだからです。
無目的の中に目的を見出し、無意味の中に意味を与えるのがゲームの本質です。だから、その中に飛び込まなければゲームの楽しさは得られません。
ならば、ゲームに興味のない人をゲームに飛び込ませるにはどうすればよいのでしょうか?

脳トレは「脳年齢を若返らせること」を目的として、「計算などのトレーニングをすること」を手段としています。
そうして日常生活から半歩だけ踏み出したところに目的とルールを設定することで、ゲームの中に身を投げるような覚悟がなくても脳トレを手に取ってもらうことができたのです。
そういう人は、最初の1回は「自分の脳年齢を知りたい」という理由でやってみたのかもしれません。
しかし2回3回と繰り返すのは、脳を鍛えようなどという動機からではなく、自分の試行錯誤が「脳年齢」という得点で評価されるのが楽しいからです。

おごれるゲーマーは久しからず (3/4)

  • 2011.03.25 Friday
  • 22:21

脳トレの中身はただの算数ドリルではなく、ゲーム開発者が最も得意とする「ゲームの文法」で作られています。
やってみる、うまくいかない、ちょっと変えてみる、うまくいった、もう一回やってみる、ますますうまくいった、この本質的な面白さにおいて脳トレはゲーム以外の何ものでもないのです。

一方で、ゲーマーが好むゲームは日常生活とは完全に乖離したルールを持っています。
ゲーマーやゲーム開発者が人々に脳トレだけでなくそのようなゲームをも遊んでもらいたいと願うのは、脳トレが低レベルなゲームだからではなく、日常生活とは無関係なルールでしか得られない面白さがあるからです。
脳トレは脳トレで良いけれどゲームはそれだけではない、他にもこんなに面白いゲームがたくさんある、そう知っているからこそ非ゲーマーにもそれを知ってもらいたい。
ゲーム業界の発展を願うゲーマーは、そう考えています。
 
 
3.衰退したジャンルとしてのシューティングゲーム

ゲームのジャンルのひとつに、シューティングゲームと呼ばれるものがあります。
おおよそ、戦闘機のようなものを操り弾丸を発射して敵をやっつける、といった内容です。「ゼビウス」や「グラディウス」、あるいは「インベーダーゲーム」などがこれに当てはまります。
シューティングゲームは、少なくともメーカーが商品として発売する数が減ったという点においては、かつてと比べて衰退したジャンルです。

ゲームが上手なゲーマー達は、必然的により難しいゲームを求めました。
その要求に最も端的な形で応えたのがシューティングゲームでした。
一部のシューティングゲームは、非ゲーマーどころか大部分のゲーマーでさえもプレイするのが不可能なほどに難しくなりました。
ある意味で「レベルの高い」それらのゲームは、限られたゲーマーにしか楽しむことができない要素を抱えていました。

誤解してほしくないのは、そのようなゲームの開発者が先細りの道に抵抗しなかったわけでは決してない、ということです。
非常に難しいゲームの中にも「イージーモード」が用意されていて、そこから順に難しい方へ進めばある程度までは誰でも遊べるようになっているなど、初級者向けの様々な配慮がなされていました。
そういった諸々の条件を含めると、シューティングゲームが他と比べて突出した難しさだったわけでは必ずしもありません。
しかし「難しそうに見える」という一点だけで、人々がそのゲームを避ける理由としては十分だったのです。

calendar

S M T W T F S
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< March 2011 >>

カウンター

ブログパーツUL5

selected entries

categories

archives

recent comment

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM