豚野郎に賭けを要求せよ(1)

  • 2010.09.30 Thursday
  • 23:16

天才への道(仮)
第1回「豚野郎に賭けを要求せよ 〜経験は蓋然性を高めるか〜」

A「二度あることは三度あるとか、同じような条件を整えた時には前回と同じような結果が得られるはずだとか、そうあなたは思っているかもしれないが、決してそのような保証はない。世の中では経験則と呼ばれるものが尊ばれ、経験は蓋然性を高める、すなわち、何度も同じようなことが繰り返されたことを確認すると次も同じようなことが起きる見込みがより高くなると当然のように思われているが、それが正しいかどうかが誰かによって証明されたわけではない」

B「じゃあ、例えばトマトは安全でおいしい食べ物だと経験的に知られているが、ここにあるトマトを私が食べたら実は有害な物質でありぶっ倒れてしまうかもしれない、という意味か?」

A「その通り」

B「では賭けをしよう。このトマトを私が食べてぶっ倒れるか否か。負けた方はトマト1年分の金額を相手に支払う。あなたはどちらに賭けるか?」

A「倒れない方に賭ける」

B「なぜだ。あなたはトマトに関する人類の経験がトマトの無害さに関する蓋然性を高めているとは考えていないのではなかったのか。あなたは自分自身が信じていない説を吹聴していたのか、この豚野郎ッ!」

A「○○○○」

この会話におけるAの最後のセリフを考えるのが今回の目的です。
ちなみにある辞書(Googleで一番上に現れた辞書)によれば、蓋然性とは「ある事柄が起こる確実性や、ある事柄が真実として認められる確実性の度合い。確からしさ。これを数量化したものが確率。」と説明されています。
「可能性」と言い換えて全く問題ないこともありそうですが、文脈により意味が異なることもあります。ここでは「可能性」という言葉を使うのは避けることにします。
今回の目的のために、
 ・経験則としての自然科学
 ・確率と蓋然性との関係
 ・経験は蓋然性を高めるか
について考えたいと思います。

今日はここまでです。
続きは明後日に載せます。

( つ づ く )

林檎

  • 2010.09.30 Thursday
  • 23:14

ある朝、私がいつものように食卓でオレンジジュースを飲んでいると、
テーブルの中央に置かれたバスケットの中のリンゴが私に話しかけてきた。
「てめー、なんでリンゴジュースを飲まねーんだ!」
やっぱりリンゴとしてはリンゴジュースを飲んでほしいものなのか、と思いながら私は答えた。
「朝はオレンジジュースかコーヒーでしょ。ホテルでもそうじゃん」
リンゴはモゴモゴと動き出し、バスケットの縁からゴトンとテーブルに落ちた。
落ちたとき、「いてっ」という小さな声が聞こえた。私は必死で笑いを噛み殺していた。
ヨタヨタとこちらに向かってくるリンゴの姿を見て私は、転がれば早いのにな、と思った。
「てめーはホテルの言いなりか?アホが。朝のリンゴジュースの爽やかさがわからんのか?」
リンゴにアホと言われた私は、とりあえずオレンジジュースを飲み干した。
リンゴは一瞬、あああぁぁっといううろたえた表情をしたが、すぐに平静を装った。
「うーん、わからんでもないけど、朝からリンゴジュースねえ。ちょっと爽やかすぎない?」
チッという舌打ちが聞こえた。リンゴにも舌があったのか。
「てめーは何もわかっちゃいない。てめーが飲んでるオレンジジュースは果汁何パーだ?」
「100%」
「で、いくらした?」
「500ミリリットルで100円ちょっと」
「バカか、てめーは。100%ジュースがなんでそんなに安いのか、考えたことがあるか?
 要するにてめーは、第三世界で搾取されたオレンジという甘い汁を吸って喜んでるわけだ」
リンゴは怒りつつも私を言い負かしたつもりで得意気であった。
ふふん、たかが果物が、それで私に勝ったつもりか?
「でもさ、リンゴジュースも100%で同じ値段だったよ。リンゴジュースも搾取の結果じゃないの?」
リンゴは明らかに狼狽を隠せない様子であった。真っ赤な皮に水滴がつーっと滴った。
そこで揺らいでいたのは、リンゴのリンゴとしてのアイデンティティに他ならなかった。
少しの間があって、リンゴはようやく「ミキサーをもってこい」とだけ言った。
言われたとおりに私はミキサーを持ってきた。
「おれは濃縮還元なんて認めねえ。ストレートジュースのうまさをとくと味わいやがれッ!」
真っ赤な体全体でそう叫びながら、リンゴは一気にミキサーの中に飛び込んだ。

遠いようで近いかもしれない未来 Mr.ブラウン

  • 2010.09.30 Thursday
  • 00:34

最近、友人達に子供が増えてきて、そこら中で親バカ話が飛び交っている。

もう少し若かった頃、「子供ってさ、言葉が通じないからキライなんだよね」なんて言ってるヤツがいて、
オレはオレで「そもそも生まれる時に親から記憶とか知恵を受け継げれば良いのにね」なんて言ってたこと
を思い出した。
その時は、脳の仕組みがそんなに単純じゃないんだろう、なんて残念がったりしてたんだが、
今はむしろ丸ごと継承なんて出来てしまったら気持悪い、と思い改めている。

未来のことを考えていて、2つのことが気になった。
・立ち会うことが出来ないような未来ではあるが、100年なら自分との関与を想像できるのではないか。
・100年以内にどんな面白いことがあるだろうか。

さっきの話じゃないが、知恵とか経験を利用できるカタチにすることで未来への関与を想像できそうだ。
たとえばゼリーのフタ。
昔はうまく剥がせないことがあったけど、最近は気にすることすらなくなった。
剥がしやすい方向に自然と力が入るように容器がデザインされているらしい。
ゼリーのフタだと3世代も先まではキビシイかもしれないが、関与のスタイルとしては分かりやすい。

効率的な思考ルートを辿れるように道標を残すっていう方法もあって、これがスマートに出来たらいいと思
う。まあ、これを体系化したものがすなわち教育なんだろう。
最近親になった友人達は、自分の子供への関り方の延長で、その先の世代まで想像したりするんだろうか。

今より過去の100年では、技術としてはトランジスタの発明とコンピュータの登場がやはり一番大きい変化
だっただろう。自分の親の世代に聞くと、やはりコンピュータに着いていけたかどうかが転換点だったと言
う。
着いて行くことが果たして良いことなのか、なんてこと考えても考えなくても同じだったと。

この先の100年の中でも、デカいブレイクスルーがやってくるだろう。
きっと想像もつかないことなんだろうが、ついつい想像しようとしてしまう。

ネットワークは益々進化して、移動や面会は贅沢なものになっていくだろうし、
そうなるとメンタル面はすごくプリミティブな部分に向き合うことになりそうだ。
生態系や医療面で意識の転換が必要になるかもしれないし、ついに宇宙へ進出することにもなるかもしれな
い。

もし生きてる間に遭遇するのなら、願わくば、変化を受け入れられるようでありたい。

夢競馬の人々(19)

  • 2010.09.29 Wednesday
  • 23:12

僕は複勝馬券などハナから眼中になく、ただ購入金額が一万円とあったので思わず聞いてしまった。
「幾らつくんですか?」と。

百円馬券で万馬券ばかり追いかけている身にすれば全く未知の世界だ。
最低でも五百円、いやひょっとすると千円つくかもしれない。
一万円が五万円、もしかすると十万円になる―いいなあという思いだったのである。

「百三十円ほど。大本命でこんなにつくなんてホントおいしいよね」

一万円の投資が一万三千円である。
僕は何だか拍子抜けしてしまった。

しかし髪束さんは心底うれしそうであった。
よく見ると満面の笑顔に前歯が二本欠けている。
人は何か嬉しい事があるとやたらと饒舌になる。
その後も彼は何やらおしゃべりを続けたが東北地方の訛りや方言が混ざっていて、その意味するところがよくわからなかった。

「本日これで予定終了!」

髪束さんはベンチ下に置いていたスーパーのポリ袋を三つ抱え払戻所へと消えていった。

しばらくして出店の前で再び彼の姿を見た。
天ぷらを頬張りながらビールを飲んでいた。
実にうまそうであり、楽し気でもあった。

彼と二度目にあったのは意外な場所でその時「おっ」「ああっ」とお互い思わず声を出し合った。
僕が住んでいるアパートのゴミ収集所での出来事である。

住人のお年寄りと若者が、髪束さんを間に言い争っている。

「ちょっとくらいいいでしょう。そんなに目くじら立てる事じゃないでしょう」
「いや規則は規則だ。第一ここに集められた空き缶を持っていく事は窃盗になる」
「棄てる空き缶が減ったからっていったい誰が困るんですか」

若い方の男は何かの団体活動に従事していて、一度僕の部屋に署名と募金を求めに来た事がある。

髪束さんは二人の間で本当に困った顔をしていて、足元のネット上の袋にあるひしゃげた空カンが半分こぼれかかっていた。
どうやら髪束さんは資源ごみ回収日に空カンを集めて、業者に横流しをしているらしい。

「じゃあ今すぐ私が警察に通報しましょうか?」お年寄りが強く出た。

その時、髪束さんは袋の中の空カンを戻そうとしたのである。

ひもの百年

  • 2010.09.28 Tuesday
  • 23:11

コンセントがね、家のいたるところにあるでしょ。
そいでもって、そこにささるプラグが山ほどあってね、そこを起点として伸びるヒモ、電源ケーブルっちゅうの?あれがにゅにゅにゅとのびるでしょ。
その先にいろいろ電気で動くもんがついてるやないですか。
ほいで、電気で動くもんは最近なんでもインターネット的なもんとつながるようになってきて、LANケーブルっちゅうの、あの丸っこいケーブル、あれも電気で動くもんに刺さるようになってる。
それをたどっていくと、なんか四角い白い箱にぐじゃらぐじゃらつながってて、その箱がなんか嬉しそうに緑のライト点滅させとる。
かわいいなあいうて撫でようと思たら熱い熱い。
あれが熱いから部屋がなんとはなしに温もって、電気で動くクーラーが余計働いて、外が熱くなって、外は外で宇宙に熱を放射するねんけど、そらそうや僕かてちょっとはむずかしそうなこと知ってるねん、そないなことはどないでもええねん、放射や放射、放射がね、間に合わん分だけ世の中暑なって、そしたらどうなるか言うたら僕らまたクーラー強するんですね。
なんの話やっけ?
ちゃうちゃう、温暖化のメカニズムの話やないで。

ひもの話や。
とにかくね、家がヒモだらけなんよ。
ほんまに仕事もせんとパチンコばっかりやって、金やらんかったら殴る蹴るやし、酔うたら「すまんなあ、すまんなあ」言うて泣きついてくるしね、こういうのは惚れた方が負けやねん。
すまんすまん、女に食わしてもろてる無職の徒、のことではなくね。
そうそう、たまには文学的な表現もね、散りばめんねん。
あ、こういうボケは新鮮?あ、そう。
おっちゃん、なんやうれしいわ。

ヒモだらけやー、言う話やね。
ヒモってねじれたりたるんだりしてね、美しくないでしょ?
美しくないからあんまり目に入ってほしくない。
目に入るからにはピンとしててほしい。
わしの前でだらしない格好するな、親しき仲にも礼儀あり、いうことやねんけど、そうそうおっちゃん諺もしっとんねん、うっとうしいか?ほうか。
なんの話やっけ?
うっとうしい言われてショックで話のヒモを忘れたわ。
ヒモちゃうな、筋やな。
て、覚えとるやないかーい!
こういうのどう?
ちょっとよかったやろ?
自分、もっと来なあかんで、ほんまは自分の仕事やで。

そうそう、もうね、家具に囲まれて、ちゅうかヒモに囲まれて生きてるんですよ、我々は。
それがおっちゃんはうっとうしくてな。
百年後くらいには、ヒモ、無くなっとるんかなあ。

100年後

  • 2010.09.28 Tuesday
  • 23:09

「毎日毎日、日々は変わらんねえ。今日も何にも起こりやしない。
 昨日と同じ時間に起きて、昨日と同じ電車に乗って、昨日と同じ職場へ行って、
 昨日の続きの仕事をやって、昨日と違うランチを食べて、昨日と同じ自販機で昨日と違うコーヒーを買って、
 昨日と同じ人としゃべって、昨日と同じ時間に帰って、昨日読んだ本の続きを読む。
 どうなんだ、お前はそれで満足か、満足してんのかい、ええ?」

「そりゃあ退屈なのは退屈なんでしょうけど、平穏といえば平穏で、
 変化も進化も進歩も少しずつですけど、退化も劣化も悪化も少しずつで、
 それで満足かというと、もう満足してしまってよいのだと思います。
 がんばればがんばるほど世の中が何か良いように変わっていくような、
 そんな右肩上がりの世界観を僕らはとうの昔に捨てたじゃありませんか。
 何をやったってどうにもならないという諦めからしか、僕らは幸せにはなれません」

「つまらんことを言うなよ。お前はまだ若いだろうが、ええ?
 おれの毎日よりもお前の話のほうがつまらんじゃあないか。
 なあ、期待をもって何が悪いんだ?期待のない人生に何があるんだよ。
 明日は何か良いことがあるだろうかと思うことはいけないことか。
 いや、おれの馬券の話をしてるんじゃないぜ。まあそれもあるがな。
 でもな、人間を突き動かしているものは、諦めとかじゃあないってことはわかるだろう」

「期待してはいけないとは思ってませんし、それが人間を突き動かしていることもわかります。
 ただ、僕らは大きな期待あるいは無邪気な期待をするには、あまりにも報われない立場にあります。
 これまでもそうでしたし、これからもそうでしょう。
 期待をしてもしなくても、何も返ってこないという意味ではまったく同じです。
 違いといえば、期待をすればするほど、僕らの悲しみが大きくなることだけです。
 だから僕らは無邪気な期待をしません。その前提で世界を捉えていません。
 僕らの喜びは、沈んでいく夕陽の美しさを愛でるような、そういう喜びなのだと思います」

100年後の飲み屋では、こんな話をしてるんじゃないかな。

百年

  • 2010.09.27 Monday
  • 23:08

たまには、化学の話を。
歴史についてそんなに詳しいわけではないのだが、化学は間違いなくこの百年でめざましい進歩を遂げた。
ただ化学の進歩は、おそらく他の科学の進歩と同じく、分析機器の進歩ととも進んだと言われる。イメージとしては、ノートパソコンやケータイが10年前とは比べられないほど機能が充実し、使いやすくなったことと同じようなものとなる。

次の百年、どのような進歩が見込めるかと考えたとき、私の個人的な考えでは、生物化学の分野ではまだまだ大きな進歩が見込めるだろうが、その他の一般的な有機化学や無機化学という分野においては、それほど大きな進歩は見込めないだろうと思う。
進歩が見込めるとすれば、脱石油資源という分野であろう。

石油資源の枯渇について、少し前は頻繁に警鐘が鳴らされていた気がするが、最近はそのことについてあまり言われないようになった。
それでも、少なくとも百年後には、今ある石油資源はほとんどなきがごとくなってしまっているだろう。
これからの化学の進歩について期待されるのは、石油資源を用いずに、今ある石油由来の製品たちをどのように生産していくかということになっていくのではなかろうか。

まずはエネルギーとしての活用について。
今現在、太陽光発電とか言っているけれども、実際の太陽光のエネルギーへの転換率としてはせいぜい10%程度のものだったはず。それも実験室レベルのもので、一般的に用いられているものとしては、数%程度だったと記憶している。
それをどれだけ効率化し、発電所のエネルギーとして使用していけるかというのは一つの課題であろう。

次には、各種石油由来製品をいかに作るかについて。
私たちの身の回りのもの、電化製品などのプラスチックだったりポリエステル製の服だったりは、そのもとをたどれば石油由来であるものばかりである。
それらをどうやって石油を原料とせずに生産していくかということは当然ながら一つの課題となってくる。
私が知っている一つのルートとしては、二酸化炭素と水素からメタノールを合成しそれを出発物質として各種製品を合成できないかという試み。
どのようなルートであれ、数ある資源を利用しての生産ができなくては今の暮らしを保っていけない。

私が知る限りは、今のところメドはたっていないはず。
これからの進歩に期待したいというところである。

百年後〈無〉に一票

  • 2010.09.26 Sunday
  • 23:07

「昨日どこにいたの?」
「そんな昔のことは覚えていない」
「明日会ってくれる?」
「そんな先のことはわからない」

これは映画『カサブランカ』のワンシーンである。
僕の敬愛するレイモンド・チャンドラーが遺した言葉だ。
ウイスキーのCMで使われ一躍有名になった二枚目限定のセリフである。
二枚目どころか四枚、五枚六枚目あたりの小生がとても発するような言葉ではないが、明日の事もわからないのに百年後って「そんな先の先の先の先のことまでわからない」というのが正直な気持だ。
このテーマを設定したMr.ホワイトさん、今年の異常な暑さで頭の回路が混線したのかな?(失礼!?)
一体このテーマに取り組む我々に何を期待しているのかな?

百年後という事で断言できる事はただ一つ。
この原稿を書いている小生はもちろんのことこれを読んでくれているあなたも、そしてテーマを出したホワイトさんも、百年後には存在していないという事実だ。
これは極めて公平。
年配者である小生にとって痛快なまでに公平な事だ。

人類は誕生以来、様々な滅亡の危機を乗り越えてきた。
文明を生みだし、医学や化学を発展させ寿命を伸ばし続けてきた。
だから百年後には、今年のような異常気象や正体不明のウイルスによる伝染病、死亡原因の第一位であり続けるがんなどすべて解決して、人類は不老不死の時代を迎えている―とでも書けばテーマ設定者の意図に沿うのかな。

確かに知的に論理的にかつ理化学的に物事をとらえられない小生にとって、人類が生み出してきたものは驚嘆そのもの。
今でも無線の携帯電話でどうして会話が出来るのか、文字や写真を送ることが出来るのか、ジャンボジェットというあんな巨大な鋼の塊が空を飛ぶ事が出来るのか、まったくもって解らない。
そんなアナログ人間の考える百年後なんてホント知れている。
何しろその結論が〈存在しない〉だからね。
シンジラレナイヨ!!

だけど形あるモノはやがてその形を失うだろうし、その意味で地球が終わりを迎える日も必ずやってくるに違いない。
それ以前に人間が戦争という行為で滅亡しないとも限らない。
何しろボタン一つでそれが可能になってしまったから。

そういう事で百年後の結論は〈無〉に一票。
掛け金は百年後の今月今夜。
ただし煌めく星々に、卵の黄身のようなお月さんを眺める事が出来たらの話。
その時が来るまで、今を、この瞬間を出来得る限り楽しく面白く生きたいと思う。

PREMIERと100年後

  • 2010.09.26 Sunday
  • 23:06

〜雑兵日記PREMIERがない世界の100年後〜

「………」
「…………」
「…なにか…満たされないな…」
「ああ…なぜだろう…」
「物質的には、かつての時代と比べて今ほど恵まれている時はないはずなのにな…」
「なにかが足りないのか…」
「…きっと社会が悪いんだよ…」
「社会か…そうだな…政治のせいか…」
「あるいは…文化的な退廃…」
「道徳的規範の失墜…モラルの崩壊…」
「最近の若者は…」
「…批判のための批判にももう飽きた…」
「むなしい…」
「ああ…何もかもがむなしい…」
 

〜雑兵日記PREMIERがある世界の100年後〜

「この世界は最高だ!人生は最高だ!」
「ああ、私も今まさにそう感じていたところだ!」
「もちろん、この社会に改善されるべきところが何もないなんて言うつもりはない、しかし私達はその困難を乗り越えることができるとこんなにも強く信じられる!」
「この確信と幸福とを一体誰に感謝すればいいというのだろう!」
「地球という環境に生命が生まれた奇跡と、この世界を作り上げた先人たちの努力と、私達と共に今を生きる人類に感謝するしかないな!」
「もっと具体的には、100年くらい前に存在したであろう今となっては名前も分からない人々による執筆活動のおかげかもしれないな!」
「HAHAHA!なんのことだいそれは?」
「私にも分からないよ!ただそうじゃないかっていう気がしただけさ!」
「そう言われてみれば、私もそんな気がしてきたよ!」
「HAHAHAHAHA!」
 

僕がPREMIERの書き手に望むものは、単純に言って次の通りです。
「読者を変えることで世界を変えてみせろ」
どんな内容であれ読者がそれを読んでくれれば、その人の内部に変化が生じます。
その人は当然世界と相互作用するのですから、世界が変わります。
だからそれでもう目的は達せられたことになるのですが、どうせなら大きく変えてみたいのです。
そのためには、多くの人に共感を与えるのも良し、たった一人の人に衝撃を与えるのも良し、いろいろな方法があるはずです。
その結果として生じた変化が我々にとって歓迎すべきものであるなら、それ以上すばらしいことはないと思います。

精霊、100年後を憂う

  • 2010.09.25 Saturday
  • 23:04

100年後の未来はどうなっているだろう。きっと我々の想像できない未来になっているに違いない。しかし、我々にも100年後の2110年付近を想像させる可能性のあるものが存在する。

それはドラえもんの存在である。ドラえもんは2112年生まれらしく、ドラえもんの秘密道具というものはその時代においては日常使用道具ということになる。
 
もちろん、それは20世紀において作者が創造した未来の道具であるが、歌にあるように「できたらいいな」っていう気持ちで創ったに違いない。そして、おそらく100年後の未来にはこれくらいのものは存在するだろうと。しかし、中には「糸なし糸電話」や「翻訳コンニャク」でんじろう先生による「空気砲」のように、形は違っても現代においてすら存在するものもあるのだ。つまり、人間の想像の速度よりも創造の速度の方が早いのである。今までに出てきた秘密道具の多くはたぶん100年後までには創造されるので
はないか。
昔よく考えたことは「どこでもドア」があれば学校や会社への遅刻はほぼなくなるだろうし、テストは「暗記パン」で乗り切ればいい、四次元ポケットもあれば、きっと机の上なんかももっと片付いているに違いないということだった。

と、ここまで書いて、思い出したことがある。確かある会社での新入社員への質問の一つにドラえもんの感想を聞くことがあったようだ。

もちろん大半は面白い、友情を学んだ、想像力をかきたてられたといった答えをしたらしい。しかし、本当に面接官が望んだ答えとは「便利な道具による人間の怠惰さへの警告」「甘やかしすぎることの警告」だったようだ。
確かにノビタ君はドラえもんの出す道具によっていつも助けられ、成長がみられない。
たまにそれを反省するときもあるが、結局また戻ってしまう…。そしてそのように頼まれた結果ノビタ君を甘やかしているドラえもんもノビタ君を駄目にしている原因の1つであると判断してほしかったらしい。
会社にとっては「叱ってくれる人ほど自分の心配をしてくれる人」ということを新入社員にわかってほしかったのだと思うが、ドラえもんという漫画をそういった警告面のある漫画だと捉えると、ドラえもんの秘密道具にあふれる100年後の未来は人間が怠惰になった世界なのかもしれない。

「どこでもドアがあれば…」「暗記パンがあれば…」そう考えるあたりノビタ君に近付いている自分がいるのかもしれない・・・。

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