僕ミーツ科学 Mr.グレー

  • 2008.06.30 Monday
  • 17:41
今回はマッドサイエンティストの僕が科学を語りたいと思います。

最近ホットなニュースはやはり原油価格の高騰でしょうか。
直接的にはガソリン等の値上げ、そして間接的には輸送コストの高騰に伴って
食品その他の値段が上がってしまうなどという影響が見られます。
「スーパーに行くのに歩いていかなければならない」という声も聞かれます。
「会社に行くのに公共交通機関を利用しなければならない」などという苦情も聞かれます。
僕はこう思うのです。
原油価格の高騰は、地球の温暖化防止に役立っている、と。

地球温暖化のみでなく、環境問題に対する提言は色々と矛盾を孕んでいるものです。
「地球のために何かしようと思うなら、まず人類を皆殺しにするべきだ」というのは素晴らしき名言です。
エアコンは28℃にしよう。観ないときはテレビを消そう。
毎日少しの努力で地球温暖化を防げる・・・はずがない。
残念ながら少しの努力では少しも変わらないのです。

結局「何かしなきゃな〜」と思っても何もしないのが人類です。
僕に言わせればかなり緩やかな基準であるはずの京都議定書ですら守れない。
でも仕方ないじゃない、人間だもの。
だからこそ、我々サイエンティストとしてはとことん科学に依存してもらいたい。
たとえば、『地球温暖化防止装置』を作ればいいじゃない。
作ろうと思えばもちろん作ることができる。お金さえあれば。
他にも環境問題、医療問題、全てを科学に任せてほしい。
だから科学者の給料を今の5倍にしてくれ。
全ての非科学者は科学者によって生かされていることを自覚してもらいたい。
街で科学者に会ったら靴を磨け!肩を揉め!
 
 
最後にもう一度言っておきます。
環境破壊の一因として科学技術の進歩が挙げられることは間違いない。
しかし、だからと言って脱科学の道に解決策を求めるのはナンセンスです。
お前たちはもう科学から抜け出すことはできない。
より洗練された科学技術、環境問題を解決する科学に救いを求めろ。
科学に不可能など無い。

ほら、見えるかい。
僕は空を指さした。

一人の科学者が、プカプカと空を飛んでいた。

僕ミーツ物理 byミッチー

  • 2008.06.29 Sunday
  • 23:56
(1)皆さんは、入学試験の合格発表に向うとき「受かっていてくれ!」と祈ることを下らないと思いますか?
祈ったところで、その時点で出ている結果が変わるわけではありません。一体何のために祈っているのか。実に下らない。そう考える人は多分いるでしょう。

(2)サッカーの試合を録画しておいて、あとで見るとしましょう。
結果を教えようとする悪魔のような友人たちから逃げ、やっと家にたどり着いて画面にかじりつき、ハラハラしながら見る。このケースはどうでしょう。下らないでしょうか?

(3)試合を録画して2時間後に見ることと、生中継で見ること、そしてスタジアムで見ることの間には、「下らなさ」に違いがあるでしょうか?
録画の場合は、実際の試合から2時間の遅れがあることになります。生中継でも、厳密には遅れがあるでしょう。したがって本当に下らなくないと言えるのはスタジアム観戦だけだ。
と、言えるような気がしますね。

しかし待って下さい。「実際の試合」からの遅れを問題にするのなら、当然スタジアムの観客にもそれはあると言わざるを得ないでしょう。音は音速でしか伝わりませんし、光は光速でしか伝わりません。
スタジアムで、「次のプレイはどうなるんだ」とハラハラしながら見ているその瞬間に、「実際の試合」ではもう次のプレイが始まっているのです。

だから、僕は(1)も(2)も下らなくはないと思います。

ところでこの間、科学哲学の専門家による量子力学についての研究発表を聞く機会がありました。誤解している部分があるかも知れませんが、その内容を大雑把に紹介させてください。

ある粒子がAとBの2つに分裂して違う方向に飛んでいったとします。このとき、AとBはそれぞれ+と-の電荷を持っているのですが、どっちが+でどっちが-かは観測しないと分かりません。それどころか、観測するまでは、そもそもAとBの電荷はどちらがどちらとも決まっていないんだそうです。

つまり、我々がAの電荷を観測してそれが+だったとすると、まさにその瞬間にBの電荷が-になる。電荷についての情報が、光速を超えて伝わっていることになってしまうのです。

しかし光より速いものは存在しないはず。
そこで「電荷の情報が、観測の時点から分裂の瞬間へ、時間を逆行して伝わる」という解釈が提案されているそうです。なんてこった!

やはり下らなくはない……、のでしょうか?

街が飛ぶ がりは

  • 2008.06.28 Saturday
  • 18:11
私はハッタリストのように愚かで小さな者ではない。
空?
もちろん私にだって飛べる。
ほらね。
見えたかい?
見えない人は反省をしたほうが良い。
それは心が汚れているからです。
もしくは眼鏡が曇っているからです。

あまりに当たり前になってしまって、気持ち良いとも思わなくなってしまっていたが、空を飛ぶというのは気持ちの良いことらしい。
そういえば伸び放題の髪がぼうぼうと風に吹き流されるのも、ひらひらの服がびろびろびろびろとなるのも心地よい。
ようやっと空を飛べたハッタリストが自らを神であると錯覚するほどに気持ちよい。
庶民の中の庶民、普通オブザイヤーのハッタリストが、そんなに気持ちよいのであれば、私はこの喜びを全ての民に味わわせてやろうと思う。
少し、ほんの少しだけ、想像してみた。
想像すれば、何でもできるのだ。

ほら、浮いただろう?

わからないのか。
残念だなあ。

もう一度、さっきより少し強く想像してみるよ。

ほら、ほらほら!

なぜわからないんだ。
残念だよ。

今度はもう、かなり強く想像するよ。

ほらほらほらほらほら!!

こんなに飛んでいるのにわからないのか!
どうしてわからないんだ!伝わらないんだ!
あえぎ嘆きながら、私は自分と戦うよ。
何度でも。

もう地球の直径が15cmも広がっているというのに、マントルから15cmも浮いているというのに、愚民どもは気付きやしない。
俺はため息をついた。
そして自分ひとりが空を飛んで全能感に浸りきっている普通の人代表ハッタリストをこそ、自分だけ地表から数メーター浮いているだけのハッタリストを、普通の人たちは神だ仏だと崇め奉り、本当に問題かどうかもわからない地球温暖化の解決などを頼むのだろう。

みんなを幸せにしたところで、みんなはそのことに気がつかないのだ。
変化が起こったことにすら気が付かないかもしれない。

みんな、相対的な軸の上で生きてる。
みんな自分の地面の上で生きている。
きっと、私もそうだ。

空を飛ぶ ハッタリスト

  • 2008.06.28 Saturday
  • 14:15
いま、私はまさに空を飛んでいる。
空気は絶え間なく私に向かって吹きつけ、そして回り込んでいく。
太陽の光がこんなにも心地よく、空は青い。

神の声を聞いたのだ。
曰く、神は存在しない、ただ私の意識のみが真実であると。
同時に私は悟った。
この世界を動かす大きな力を私自身が手にしていることを。
世界は不確定であり、私の意識がそれを観測する、位相の干渉が消失するとともにそれは存在を得る。
意識は複数の状態の重ね合わせであり、それらの位相が強め合う状態を意識的に作ることが可能である。状態は意識そのものであるからだ。
観測の対象に働きかけることも可能である。
レーザー光を作ることができるのと同様、原理的には私の意識は観測しうるあらゆる事物の状態を制御することができる。
私はこの身にマクスウェルの悪魔を従え、窓から飛び立つことができた。
奇跡はおそらく存在した。
それは私と同じ悟りを得た人々によるものであったはずだ。

長い時間が流れ、振り返ると人々はようやく驚愕とともに私を目で追い始めたばかりである。
思えば私はなぜあの教室に閉じこもっていたのだろう。
どこへ行くこともできるのだ。
いまの私は想像もできないほどの可能性を手にしている。
やり方によっては温暖化やエネルギー、食料の問題すら解決できるのかもしれない。
しかし空を飛んでいること、それがいまの私の全てである。
これは訓練を要する。
現に、先ほどよりも少し高度が下がっているように感じられる。
飛んではいても重力から解放されるわけではなく、地面の手招きには抵抗しなければならない。
集中する必要がある。

見上げれば日差しは大きな運動量をもって私を上から打ち付けている。
赤外線が体に突き刺さるのが目に見えるようだ。
気ままに振る舞う空気たちと、意志を持って動き回る風の流れとが共存している。
その中を、ゆるく結合した私がかき分けていく。
後ろには相変わらずの表情で私を見送る人々。
また少し地面に引かれてしまった。
集中しなければならない。

たんさんでんちの作り方、教えたろか Mr.ピンク

  • 2008.06.27 Friday
  • 23:21
このギョーカイに入りますと、どうも、友達からいろいろ質問を受けるようになりました。
中には、こんなご質問も(複数)ありまして。

「薬屋で下剤と下痢止めを買ってきて、同時に飲んだらどうなんの?」

ククク・・・

どうなるんでしょうね?
どうなるんでしょう?

出るか止まるか? 止まるか出るか?

アクセルとブレーキを同時に踏むようなもんですもんね。

どうなるんでしょう?

知りたい?

そんなに知りたいですか?

どうなるの? どうなるの??
どうなるの???

下剤と下痢止め。両方買っていっぺんに飲んだらどうなるの???
































答えは簡単。


「お薬屋さんが儲かる」

以上。

ぐへ。


だって、そうでしょう?
病気でもないのに、下剤と下痢止めを二つも買ってくれたら、売り上げが無駄に上がって儲かるじゃないですか。お薬屋さんが。



さあ、てと。
みなさま、おこんばんわ。

Mr.ピンクでございます。
ぐへへへ〜

今夜も、やって参りましたよ。
貴男の側に。

うふふふ・・・

え?
キモイ、臭い、暑苦しい?
ていうか、むしろ、見苦しい!?

そいつぁ、しつれーいたしやした。
ごめん遊ばせ。
悪うございましたね。気分を害しちゃって。

さて、と。
先ほどは失礼致しました。

自分が見ている視点と、他人が見ている視点。
これは、違うこともある、というのは、よく言われることですが、なかなか、実生活を営む中では、そういったことを意識することは無いかと思います。

先ほどの例を、出しましたとおり、質問者は「薬を飲んだ人はどうなるか?」という、視点からその答えを期待しましたが、Mr.ピンクは、「その薬を売った薬屋さんはどうなるか」という、視点で答えを出しました。

結果、質問者は期待と異なる答えを貰うことになりました。

騙された?

ええ。騙しました。
騙しましたが、嘘は言ったつもりはないですよ?

でも、よかったですね。
被害金額がゼロで。

視点を変えると世界が違って見えます。相手の手の内が見えてきます。
他人と自分は違うもの。
だから、世の中は面白く、そして、怖いものなのです。

ハンマーの使い方、教えたろか? by DENCH

  • 2008.06.25 Wednesday
  • 02:17
ハンマー関連のニュースが2つ。
中学校で教師が校長の頭を金づちで殴った事件、老人ホームで男性が女性の頭を金づちで殴った事件。
幸い、どちらも被害者は怪我で済んでいます。
阪大将棋部でハンマーと言ったら、電池ハンマーです。
電池ハンマーとは。
昔、聖地すーぱー百番で、私がビールジョッキを机に叩きつけたことがありました。
何回か繰り返すうちに、他のビールジョッキに当たって割れてしまいました。
割れたとは言っても、ひびが入っただけなので、全く問題はありませんでした。
「酔って力の加減ができなかった」のが理由だと囁かれていますが、「周りがガンガン飲んでくれなくて不機嫌になった」のが本当の理由です。
以来、電池ハンマーは恐れられています。
今、電池ハンマーを食らわせたい奴らがいます。
写真部と鉄道研究会のドアホです。
そいつらの火災のせいで、明道館の各団体の代表者が呼び出され、学生部から多くの規制をかけられました。
その規制の1つが理解できません。
麻雀や宴会などの使用目的に沿わない行為(?)が禁止されました。
火と全く関係ありません。
ドアホの火災の原因は、全自動卓でもなく、泥酔者でもなく、タコ足配線です。
先日、部室に行っても将棋を指す部員は10人もいませんでした。
レポートなどで忙しいとしても、平日にしては少な過ぎます!
将棋への熱意は?
全国大会を目指してるんだろ?
麻雀の禁止により将棋に専念できる、という訳ではないようです。
このままでは、部全体のレベルが落ちてしまう可能性すらあります。
しかし、学生部に口実を与えてくれましたね。
論理的思考力が欠けています。
「音や声がうるさい」のが理由か?
なら、一部の下手な楽器の音や歌声、そして応援団は?
「賭け事」が理由か?
ポーカーやブラックジャックなら良いのか?
真剣将棋は良いのか?
賭けなきゃ良いのか?
意味不明。
近所に迷惑をかけるな、ドアホ!
ドアホは、カメラや電車模型を持っているのか。
全て電池ハンマーで粉々にしたろか?
また火災?
自動車部も電池ハンマーを食らえ!
将棋部に来週、学生部から査察に来やがるそうです。
腕に自信のある奴、2人以上で来い!
電池ハンマーを食らわせたいところだが、2対2の鷲津麻雀で勝負や!
血ぃ吸うたろか?
以上、不謹慎な内容ですが、お許し下さい。
私の怒りは収まりませんが、電池ハンマーなどの危険な行為は行いませんので、ご安心を。
人は杭でも釘でもありません。

雰囲気 byたりき

  • 2008.06.24 Tuesday
  • 00:39
僕は飲み会が好きだ。そしてそれは必ずしもお酒が好きだということと同義ではない。
もしかしたら多くの人はそうなのかも知れないが、飲み会という空間が好きなのである。

大学に入った当初、それまで経験のなかったアルコールになかなか慣れることができなかった。飲み会というイベント自体は好きだったので参加はするものの、少し飲んではすぐに眠ってしまっていた。
当時の将棋部は、飲み会が多い方では決してなかったと思う。それでも、いつの間にかそれなりには飲めるようになり飲み屋で眠ることもなくなってきた。
周りの人に合わせて焼酎を飲むようになった。気がついたらビールの味を覚えていた。自分の限界がなんとなくながらわかるようになった。
最近になって、家でひとりで飲むということを覚えた。しかしながら、そのときはチューハイ1本や缶ビール1本飲んだだけでもう眠たくなってしまう。それ以上飲もうという気にならない。自分ひとりということが何かしら影響しているのだろうか。

先週末、会社の同期会があった。
たった9人の同期。僕自身を含めて個性の強い人間ばかりなのだが、やじろべえのように不思議と均衡が取れている。会社の話で、それぞれの仕事の話で盛り上がった。杯も順調に進んだ。
帰りは当然のように終電になった。それぞれの帰路につき、最後ひとりになってすぐに電車の中で眠ってしまった。降りる駅の直前で起きてギリで電車を降りた。家に着くとすぐに、倒れるように朝まで眠った。
そのときは自分では平気のつもりであるが、今思うと完全に酔っ払っていてぞっとする。

昔、先輩方が言っていたことを思い出す。「上の立場になると眠ったりしなくなる」と。
たしかに、昨日は同期会を言えどもお金集める仕事をしたり、また帰りも途中まで女の子と一緒だったということもあって、しっかりしなければならないような立場にあった
会社の飲み会でも「上司がいるから大丈夫」なんてことはありえないことで、上の人に楽しく飲んでもらうために僕たち下っ端がせっせと働かなければならない。
しかし、だからといって気を張ってばかりでしんどいかというとそうでもない。それ以上に飲み会の雰囲気が楽しくて好きということなのかもしれない。
僕は、これからも二つ返事で飲み会に参加するだろう。
その雰囲気が好きだから。みんなが楽しんでいる姿を見るのが好きだから。

グレー法律相談所 Mr.グレー

  • 2008.06.21 Saturday
  • 18:36
明日は大事な試験がある。
2限・・・すなわち10時30分開始だ。
絶対に落とせない単位なので、目覚ましを三つかけて、
さらに携帯のアラームおよびテレビの音量を最大にしてオンタイマーをセットした。
それでも不安なので、いつもより二時間早く寝ることにした。
脳内に数式を描きながら、僕はベッドへと入った。
 
 
もちろん寝坊してしまった。
目が覚めて時計を見ると、ジャスト10時半であった。
家から学校までは走っても15分かかる。
しかし、15分程度の遅れなら、挽回できないことはない。
将棋部らしく、加藤一二三の名言を引用しよう。
『我が才能をもってすれば、何とかなるはずだ』

玄関のドアを閉めようとすると、ドアの郵便受けに新聞が入っていた。
ご存知のとおり、僕は新聞をとらない主義である。
ふと隣の玄関を見ると、新聞が入っていなかった。
僕の素晴らしい推理力により、隣の新聞が間違って僕のところに入っているのだと分かった。
しかし時間がないので、とりあえずそのままにして学校へ向かった。

試験には間に合った。
時間的にはかなりギリギリだったが、何とか粘って最後まで解くことができた。
将棋部らしく、一分将棋に入ったときの加藤一二三の名言を引用しよう。
『あと何分?』

やり終えた感と共に家に帰ってきた。
おそらく単位は取れただろうという安心感もあって気分は良かった。
しかし僕の気分は玄関を見て一変する。
なんということだろう・・・新聞が、無いのだ。
この辺りにこう入っていた新聞が無いのだ。
隣の部屋にも入っていない。
推理した結果、以下のどちらかであろうという結論に達した。

(1)新聞配達人が気付いて、入れなおした。それを隣の人が受け取った。
(2)隣の人が自分の新聞が隣に入ってると気付いてパクッた。

しかし僕は(1)と(2)のいずれも窃盗罪ではないかと思うのである。
特に(2)なら完全にアウトだと思う。
たしかにその新聞は本来は僕のものではない。
だが、僕の郵便受けに入った時点で、僕に何かしらの所有権みたいなのが発生するのではないか?

だが(1)の場合。
例えば新聞配達人が僕のポストに入れようとして、途中まで新聞を入れたところで
「あ、間違えた隣だわ」と気付いて取り出した場合はセーフな気がする。
手を離して3秒後とかもセーフな気がする。いつからアウトなのか・・・まさにグレー。

ちなみに「グレー法律相談所」はただ相談するだけの機関である。

縛られて切ない気持ちに byミッチー

  • 2008.06.19 Thursday
  • 12:47
こんにちは。
もう自分の担当が何曜日だったか、それすらも忘れかけてる僕です。

先日、羽生がようやく永世名人を獲ったというニュースに関連して、各界のコメントを読む機会がありました。

作家の某が言うことには「素人には有限にしか見えない将棋盤の中に、羽生さんは無限の世界を見ているのでしょう」。
このコメント自体は陳腐だと言わざるを得ませんが、しかしここで言われていることは示唆に富んでいます。凡人は有限だが天才は無限。

あらかじめ言っておきたいのですが、僕はここで「天才は実在する」とか「過去の偉人の誰それは天才だった」と語りたいのではありません。恐縮ですが、ハッタリストさんについて語りたいのでもありません。
僕の興味は「我々はなぜ天才に憧れるのか」ということにあるのです。

僕がこのコメントからヒントを貰って考えたことは、我々は天才というものに対して「我々が課されている制約を突破する」という性質を見出し、そこに憧れるのではないかということです。

こうした考え方は、人間は制約を課された有限な存在者である、ということを前提しています。僕らは全知全能からは程遠い存在。知ることも為すことも、一定のレベルまでいくと「外枠」にぶつかってしまうのだ……。つーか結局死ぬし。
そんなセンチメンタルな人間観です。

だから、ある分野に関して人並みはずれた業績をあげる人を見ると、この人はこの分野に関して「枠」を外されているんじゃないか、と考えたくなるのではないでしょうか。

つまり、我々の天才への憧れは、言わば自由への憧れなのではないかと僕は思うのです。
実際にこの意味で「自由」だった人間は、おそらく人類史上ひとりもいなかったことでしょう。それはもはや人間ではないでしょうから。
けれども鎖に繋がれている我々にとって「解放」は見果てぬ夢であり、その諦め切れない思いが、例えば科学の発展への動機付けにもなっているわけです。

とはいえ、「解放」は基本的に幻想です。

将棋における羽生もまた、厳重に鎖に縛り付けられています。
しかし、彼の鎖は自分よりもちょっと緩いか、あるいは「遊び」が多い気がする。彼は鎖に縛られたまま、自分よりもちょっと遠くまで出かけているように見える。

「ひょっとするともっともっと遠くまで、それこそ鎖が消尽するくらい遠くまで行くことも、原理的には可能なんじゃないか?」

ダイアローグ22 がりは

  • 2008.06.19 Thursday
  • 00:16
「なんやねん話って。」とたりき。
「まあええやん。」とでんち。
「ええやんて。俺名古屋から来てんねんで!」とたりき。

休みの日の待兼山はどこかのんびりしている。
遠くで吹奏楽部のホルンが聞こえている。

「そういえば、でんちと二人で話するのも久しぶりやなあ。」
「うん。」
「大抵がりはさんおって、麻雀してたもんなあ。」
「今日はそういう気分ちゃうから。」
「珍しいこともあるもんやなあ。雨降るんちゃうか。」
とベンチに寝転がったたりきが見上げた青空。
白い物が視界を横切る。
飛行機か。
あ、紙飛行機か。
よう見たらぅべーべやんけ。
と思ったことをすべて口に出すたりき。

とん、と胸に衝撃がある。
懐かしい感触だ。
グローブ?
また口に出してしまう。
視線を左に移すとでんちが右手の握りこぶしで左手のミットの真ん中を叩いている。
ぽろっと落ちたボールがでんちの足もとに弾んでいく。
たりきは立ちあがった。
少しずつ距離を離しながらふたりはキャッチボールを続けた。
フォームも全盛期のヒデオ・ノモを思い起こさせるようなダイナミックなものに。
でんちは必死に受け止めている。

百往復を超えたあたりでたりきは額の汗をぬぐいながら
「いやー、ええ運動になったわ。」
とグローブを取った。
「スーツのままじゃしんどいなあ。」
その時である。
でんちはキャッチボールをやめていなかった。
それなりのスピードのボールがベンチに向かっていたたりきの右肩にそれなりの衝撃でぶつかった。

「なにすんねん!」とたりき。
転がったボールを拾い、さっきより近いところで振りかぶったでんち。
「なんやねんおまえ!ちょ!まて!」
たりきは素手でボールをキャッチするとでんちに詰め寄った。
「なんやねんお前!」
「ピッチャーが勝手に降板したら、キャッチャーはどうしたらええねん。」
「わけわからんこと言うなや。」
「俺とたりきはバッテリーみたいなもんやんか。そして今日は俺とお前が出会ってちょうど七周年やろ。」
「うわ、ほんまやちょうど七周年や。」

「とでも言うと思ったか!くそー!先言われた!!」
たりきは背広のポケットからごそごそと単二のオキシライド電池を取りだす。
でんちはカバンの中から電池の抜けた対局時計を取り出し、たりきの電池をはめ、ちょちょっと設定して、勢いよくボタンを叩いた。
ピー、と間の抜けた電子音が響き渡った。

二人の次の八年目が始まった。

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