ある理系学生の勉強についての考察 byたりき

  • 2008.04.28 Monday
  • 00:09
「授業にはかばんが出ていますよ」(将棋部の某同期の金言より)

のっけからnikeさんのパクリのような出だしだが、部室で一緒にナポレオンをしていたある日、とある同期が言っていた言葉である。
読者の多くは上回生たちかもしれないが、一部の1、2回生のため、学生の勉学(理系版)について書いてみようと思う。

学部生時代、授業に臨むに当たっては適当なかばんを用意し、半出席は当たり前、講義が終わる頃に顔を出せば全然オッケー。そして、昼からは部室に居座り、次の日の授業に備えて徹マーをして講義で得られないメンタル面のトレーニングをする。
というのが、私の1、2回生の頃の生活であった。一部の専門の授業を除けば、出席率はひどいものであった。
試験に当たっては、nikeさんが理系の学生には通用しないと言った方法を使う。ただ違うことは、コピーするのがノートではなくて過去問であることが多いということだろうか。
多くの場合、数年間の過去問があればその先生の出題の傾向がわかる。下手すれば毎年同じ問題を出す先生すらいる。
すなわち、過去問さえあれば何とかなっちゃう場合が数多くあるのだ。

これは効率的な方法である。
おそらくどのクラスにも一人は過去問を集めている人がいるだろうし、少数派だろうが「試験で良い点数を取れば普段の出席がゼロでも構わない」と明言した先生だっている。
しかし、そういった他力本願の方法から得られるものはほとんどない。
というのは事実であろうが、では全出席でこまめにノートを取った授業の内容はしっかり頭の中に残っているのかというと、そういうこともないのである。
理系の学生の多くは大学院に進学する。そして、これが結構重要なんじゃないだろうかと最近思えてきた。
「そういえばこんなこと勉強したなー、覚えてないけど」とか思いながら勉強し直す。しかも、試験のように「こんなもんでいっか」という妥協点がないから必死である。

もちろん、だからといって「たくさんサボりましょう」とは言わない。
個々の考え方にもよるだろうが、私の場合、共通教育の授業についてはもう一度やり直しても同じ手法を使うだろう。自分の専門分野の授業に関しては、授業に出るんならそのときくらいはもっとマジメに授業に臨めばよかったとは思うけれども。
どれくらい参考になるかわからないが、社会人2年目を迎えて考えたことである。

ある文系学生の勉強についての考察 by NIKE

  • 2008.04.25 Friday
  • 01:02
「試験は人脈と金脈がモノを言う」(将棋部の某先輩の金言より)

のっけからミッチー氏のような滑り出しだが、学部試験も終わったある日、とある先輩がおっしゃった言葉である。
ここを見ている人の中には、右も左も分からない新入生、分かっているけどあまり前進する気配のない学生もいるだろうと思う。そこで、新鮮な気持ちの冷めないこの時期に、学生の勉学について少し考えたい。

僕の学部生時代、授業に臨むに当たっては周到に予習をし、全出席は当たり前、講義が終われば不明な点は質問に行った。そして、放課後は復習に勤しみ、講義では触れなかった応用分野についても文献を調べてフォローした。
というのは勿論ウソで、上の先輩と似たような勉強生活であったように思う。
すなわち、数人の友人と手分けして、自分の興味ある科目を中心に聴講し、その他は友人のノートで乗り切るという分業制を組むのである。そして、学期末ともなれば、用紙詰まりを繰り返すコピー機に悪態を吐きながらノートをコピーする。詰め込み教育の弊害が叫ばれる昨今だが、旧態依然の一夜漬けの助けを借りて乗り切ったわけである(なお、これは法学部の話であり、他学部、特に理系の学生には恐らく通用しないと思われる)。

これは効率的な方法ではある。単位認定だけを見れば、普段の勉強のプロセスなどは一顧だにされないわけで、試験で点数を取ったもの勝ちである。
しかし、そうした直前暗記突破法から得られるものはほとんどない。他力本願で単位を得た国際○法など何一つ頭に残っていない。一方、全出席で小まめにノートを取った科目は、単に知識が役立つというだけでなく、物の考え方にも厚みが出る(他のことにも応用が利く)。ゼミなどプレゼンテーションや質疑応答を通じて物の考え方や理解が深まるのも、そういうことだと思う。
要は、自分の頭で考えて理解するというプロセスを重ねたならば、何か残るものはあるということである。

勿論、キャンパスライフの充実も大事で、部活やバイトも存分楽しむ方がいい。しかし、どうせ勉強に時間を費やすなら、後に何か残るものがあってほしいし、社会人になってからあれを勉強しておけばと思ったという話もよく聞く。講義に出て少し復習して自分の頭で考えるだけでも違ってくると思う。試験前の負担も、出席して自分で考えた科目は一夜漬けの科目よりも当然軽い。
自分を棚に上げているようで恐縮ながら、経験から得た教訓として参考にしてもらえればと思う。

ダイアローグ18 がりは

  • 2008.04.24 Thursday
  • 00:06
「ちゃーんちゃーんちゃちゃーんちゃーん、ちゃちゃちゃちゃちゃんちゃんちゃーん」と響く合唱。
歌うみんなの前で一歩前に進み、ハッガリーニの前に直立不動のがりは。

「えー、MVPを獲ったということは、雑兵エイトを引っ張るエースになったということなのだから、その自覚を持ってこれからも励んでもらいたい。おめでとう!!」
拍手。
ハッガリーニから栄光の背番号18が手渡される。
ぎこちなくそれをワイシャツの上から着込み、満面の笑みでがりはがマイクの前に。

「ありがとうございます。ありがとうございます!!」

一礼二拍手。

「今まで数々の賞をいただいてきましたが、この賞ほど嬉しい賞はありません!」
「がりはさんは2007年10月度にMVPと最優秀作品賞をもらっただけです。」とハッタリの冷たい野次。
「そしてそれは数々と呼べるものではありません、あえて言うなら数=1です。」と重ねてミッチーの野次。

「あの時とは状況が違うんだ。この賞をもらえるとは思ってもいませんでした!」
「いやいや、がりはさんが自信がないところなんて見たことがないですよ。明らかに形勢不利でも『互角や。』くらいのことは言うじゃないっすか。」
とたりきの長い野次が飛ぶ。

「うるせえ。毎回毎回ダイアローグを書いてきて良かったなあと。」
「被告人!二月は小説を書いていたことをどう説明されるのですか?」とNIKEの詰問。
「そうだ!大体僕だってダイアローグ書きましたよ!」とうべべの足し算。
「そうだ!俺かて書いた!」足し算といえばたりきが来ないわけがない。
「そうだそうだ!!」と電池。

沈黙があたりを支配した。

「証人、証人は事実のみを述べてくださいね。」とたしなめるNIKE。
「はあ、まあ・・・。」
「電池さんは本当に書いたんざますか?」とMr.ピンク。
「はあ、まあ・・・。」
「はあ、まあじゃわかんねーよ!」とたりき。
「彼はダイアローグを書いていないが、書いたと信じている。」とミッチー。
「あっ!」とうべべ。
がりはが悪鬼の形相で全員をにらみつける。
「全員整列!歯を食いしばれ!」

「俺の晴れの日なのにぺちゃくちゃぺちゃくちゃお前らは!!」
全員が目を閉じ、来るべき衝撃に耐えようとしている。

「最高だ。」

右端から左端まで熱い抱擁をしていくがりは。

「と、思うじゃん。」

全員に薙ぎ倒すようなローキックを見舞うがりは。

ハッガリーニの拍手だけが響く。

突発企画・ハッタリストが3月を振り返る

  • 2008.04.23 Wednesday
  • 03:05
こんばんは、ハッタリストです。
突然ですが、今日は僕が勝手に3月の文章達を振り返りましょう。

2008/03/14 (金) マック事件簿 by NIKE
このように専門的な話を分かりやすく語ってくれると、もうにやにやしてしまいますね。こういう文章は好きだしありがたいのですが、最優秀作品賞には選ばれにくいのではなかろうかとちょっとだけ思っていて、誰かこの作品に投票してくれないかと思いつつも僕は他の人に入れたのでした。

2008/03/15 (土) 元山賞受賞会見 うべべ
早すぎる突っ込み、強すぎる突っ込み、いずれも全体を損なうことはしばしばあります。僕だけの好みかもしれませんが、突っ込まないことは重要だと思うのですよ。

2008/03/17 (月) バケガク byたりき
これも専門的な話ですが、ああ、なんかおもしろそうですね。物理学のすぐそばにあるのに僕が知らない世界です。

2008/03/20 (木) 地獄 〜鹿地獄編〜など by DENCH
以前のサブタイトル「千文字で、あなたに伝えたいことがある」を決めたのは僕なのですが、それを敢然と無視した長編であり、やるからにはこれくらいやってもらえるといっそ清々しいです。シルバー・ダウンの意味が分かる人はどれくらいいるのでしょうか?

2008/03/21 (金) 春の風、雲の行き先 文責:Mr.ピンク
つくづく美しい文を書く人ですね。実は漢詩の部分が全部は読めませんでした。教養はこんな文章を読むためにこそ必要です。

2008/03/24 (月) ヘテロ、飢えている者 byミッチー
小説は虚構であり無意味ですが、それがこのジャンルの強みです。ちまたにあふれる小説たちを見ても、読む者の頭の中にあるものを喚起することがいかに強く求められているかが分かるような気がするのです。「意味は作品に内在するのではない、見る者が与えるのだ」と語ったのは僕です。

2008/03/26 (水) ダイアローグ17 がりは
8人登場させるのは苦しいだろうと薄々思っていましたが、ここでは4人にしぼられており、このほうがいいじゃんとの印象を持ちました。でも2票を獲得したのはダイアローグ16の方です。そういうものですか。

2008/03/30 (日) おれとおまえらのせかい ハッタリスト
ヘテロに対抗するべくこれを書いたときの目標はズバリ「3票で1位タイ」、目論見通りでぴっくりですがうれしいです。

書ききれませんでしたが、Mr.Xさんとハッガリーニさんにもこの場でお礼をいたします。ありがとうございます。

4月度の投票もよろしく!

いやんばかん byミッチー

  • 2008.04.21 Monday
  • 23:30
文章は得意な方だと思っていたのですが、現実には人が読んで楽しい文章を書けていないのだろうと諦めていたような状態でした。

そんな折に最優秀作品に選んで頂いたことは、僕にとってある種の救いでした。本当にありがとうございます。

しかし一方で、僕はこの結果に戸惑っています。よりによってなぜこれが……という感じなのです。
時間に追われてネタもなく、ネタがないならいっそ全く内容のない文章を書いてやれ、と思って自暴自棄に書いた作品でした。次の一文、そしてまた次の一文と、ただ指が動くままに完成させました。

書き上げてみるとあまりに恥ずかしく、とても読み返す気になれません。
最低限の推敲だけ施して、逃げるようにブラウザを閉じました。
これが最新の作品だという状況に耐えられず、隠すために別の作品を書いたりしました。

自分がやりたいものと人から求められるものが違う、なんてのは、結構良い身分になったアーティストが吐きたがる台詞ですが、ひょっとしてこんな僕にすらそういうケースが生じているのでしょうか。
ちょっとできる雑兵に過ぎないこの僕にも。

いやいや、そんなカッコイイものではないでしょう。
作風だとか満足度なんか関係ないのです。受けた評価だけが全て。書き手が読み手よりも作品のことを分かっているなんてのは幻想に過ぎません。

かつて僕は、ひらめきの記録としてさっと書き上げる短編小説を得意にしていました。
その次には、入念にストーリーを練った時代小説を書いていました。
その次には、その場でお題を貰って書く即興の小説こそが唯一本物の文学だと信じた時期がありました。
やがて小説を離れ、思弁的なエッセイを垂れ流すことに精を出した時期がありました。
淡々と私小説を書き連ねたこともありました。ちょうどこの段落でやっているように。
自分の研究についてだらだらと述べてみたこともあります。
そして今は、最近の傾向をミックスしたような文章を目指して書いています。それが一番良いと信じて疑いません。

受賞作品は、時間に追われてついうっかり、昔のような感覚で書いてしまったものです。ポロッと手からこぼれてしまった、という感じなのです。
しかしそれが支持されてしまった。恥ずかしくてどうして良いか分かりません。いま将棋を指したら、きっと穴熊ばかりやることでしょう。

本当にありがとうございました。

2008年3月度投票結果発表! A.H

  • 2008.04.21 Monday
  • 01:38
こんばんは、ZPGP統括本部長ハッガリーニです。
発表が遅れて申し訳ございません。
今月は15票もの投票を頂き、まことにありがとうございます。
早速発表してまいります。

まずは講評から。
今月は長編化を嫌う流れができていたのですが、突如として超巨編がDENCHによって投下されました。
しかしその衝撃が薄まるほどに、衝撃作、問題作、話題作が林立した投票者泣かせの月でした。
レギュラーに好作がそれぞれありました。
ハッタリスト「おれとおまえらのせかい」
ミッチー「ヘテロ、飢えてるもの」
がりは「ダイアローグ16」
NIKE「薄情も情のうち」
うべべ「袋小路」
たりき「アネモネ」
DENCH「地獄シリーズ」
Mr.ピンク「春の風、雲の行き先」
素晴らしい作品群です。
ここにMr.Xと私も加わって激しい争いになりました。
今後もこのようなハイレベルの争いが続けてほしいと願っています。
では発表に移ります。
まずは最優秀作品賞。
今月はこの作品です。

「おれとおまえらのせかい」 ハッタリスト
「ヘテロ、飢えている者」  ミッチー

渾身の2作品が3票ずつを集めてトップを分け合いました。
両者とも小説で勝負してきました。
「おれとおまえらのせかい」はハッタリストの新しい文体への挑戦でした。
そしてその挑戦は成功しました。
「ヘテロ、飢えているもの」は完成された世界の一部を切り取った、映画の予告編のような作品で、今後の展開が期待されます。
是非続編が読みたいです。
ミッチー、サブタイトルを変えていいよ。

以下参考
2票獲得
「袋小路」うべべ
「ダイアローグ16」がりは
1票獲得
「ミチヒットの場合」 ミッチー
「元山賞受賞会見」 うべべ
「アネモネ」 たりき
「ホワイトデー」 ハッタリスト
地獄シリーズ  DENCH

それではMVPの発表です。
今月はこの男です!

がりは

7名に票が入る大激戦の中、4票を獲得して鼻差制したのはがりはでした。
ダイアローグシリーズ3本で勝負したがりはですが、「ダイアローグ16」への支持が厚く、A.ハッガリーニやレギュラー陣の猛追を振り切りました。
がりは、願い事を一つしてもいいよ。

以下参考
3票獲得
A.ハッガリーニ
2票獲得
ハッタリスト
うべべ
たりき
1票獲得
ミッチー
DENCH

今後も雑兵日記PREMIERをよろしくお願いします!!

物件の物権は所有権なのだ・・・の巻 Mr.Pink

  • 2008.04.20 Sunday
  • 01:53
バブル経済崩壊後の、失われた十年。
激動の政治・経済の変革期を経た日本。

いま、我々は何を教訓として得て、そして、何を失ってきたのだろうか。

みなさま、こんにちは。
サラリーマンの夢とはなんでしょう。

家族があって、課長に出世して、家を買い、老後はそこそこの退職金でつつましく夫婦生活を。てな、感じなんでございましょうか。
それは、幻想なのか、現実になりうるのか。

しかしながら、「家」を買う。つまり、一国一城の主になる、ということは、多くのサラリーマンの持つ願望の一つではないかと思います。
でも、それって、本当に人生を豊かにしてくれるのでしょうか?
まあ、結局ローンの金利の支払いで、ひいひい言いながら残業して、リストラの大鉈を紙一重でかわしつつ、買った家には寝る為だけに帰って、妻とも子供とも団欒のときを持つこともなく、段々と家族と疎遠となり、結局は購入金額の倍ぐらいのお金を払って、借金を完済して定年した時。
ほっとして、気付いて周りを見渡わたしてみましょう。
そこには、悪徳リフォーム業者に狙われそうな、ぼろぼろになった我が家と、亭主を粗大ゴミ扱いする六十路の女房が残るだけなんですね。

おや?
お前喧嘩売ってんのかって?

でも、そうでしょ?
貴方の、ご両親をご覧下さい。
当たらずと言えども、遠からず。皆さん大体そんな感じでしょ?
ピンクのとこも、同じだろうって?

ククク・・・残念!
我が家は、貧乏すぎて家さえ買えないから大丈夫!!

そんな、生活送っておりません。
バブル崩壊後、地価は10分の1以下に暴落し、日本は、大不況に見舞われました。
土地を財産だと思っていた銀行は大損害を被り、国民全体を巻き添えにして地獄へ堕ちていきました。

で、今現代。
あの頃から比べ、景気がよくは、なりましたが、アメリカがサブプライムローン問題で、簡単に言えば、土地バブルが弾けて、大不況の引き金を引こうとしています。
お陰さまで、土地にかかわる債券を抱えていた日本の銀行も巻き添えに。
メガバンクは次々と数千億円の損害を、計上しています。

いままで、苦しんできたことから、何を学んだのでしょう?
偉そうな事言ってしまいましたが、なんだか、やるせなくなるのです。

ちなみに、私は大不況になったら、今目をつけてる新築マンション(5000万円)が、底値の500万円ぐらいになったら、買ってみようと思ってます。

悪魔はサイコロを振らない ハッタリスト

  • 2008.04.19 Saturday
  • 02:33
あぐらをかいてにやにや笑いを隠そうとしないこの男の名は、ケンタロウ。
五百万円を超える札束を無造作に積み重ねている。
俺がこの男に勝てば札束が手に入るが、負ければ借金がさらに百万増える。
だが今の俺はもうダメになっている。
五百万が六百万になったところでどうということはない。

「さあ、にいちゃん、たのしぃげえむを始めようやないか。ここに九枚の歩ぅがある。このうち一枚は、血染めの呪われた歩ぅや。と金が赤い涙を流しとるわ。にいちゃんはその一枚を当てたら勝ち、そうでのうたらわしの勝ちや」

将棋盤に几帳面に並べられた歩が九枚、俺はその中から一枚を指さした。
悩んでどうなることもないだろう。

「へっへっ、そいつでええんか?」

突然、ケンタロウは俺が選んだ歩の隣の一枚を裏返した。
ふつうのと金だった。

「いまにいちゃんの歩ぅを裏っ返してもええんやけどなぁ、他のやつを選んでもええんやで?」

俺には変える理由などなかった。
期待も不安もなかった。
ケンタロウはまた別の一枚を裏返した。

「にいちゃん、げえむりろん、て知ってるか? にいちゃんが選んだ歩ぅ、そいつが呪われとる確率、九分の一や。っちゅうことはや、にいちゃんが選んだんやないほう、そっちが呪われとる確率は九分の八、やろ?」

ケンタロウは一枚ずつ歩をめくっていく。
そのどれもがただのと金だった。
九枚の歩のうち七枚がと金となり、俺の選んだ歩ともう一枚の歩だけが残った。
ケンタロウはその歩をとんとんと指で叩いて言った。

「この歩ぅ。九分の八や。にいちゃんの歩ぅ。九分の一や。あんたこれでも変えへんのんか? その歩ぅと心中する覚悟はできとるっちゅうこっちゃな?」

変えようと変えまいと同じだと俺は思った。
俺の勝ちなのか負けなのか、聞きたいのはそれだけだった。

「にいちゃんみたい頭の悪いのんはめったにおらへんで。その歩ぅ、めくってみいや」

俺は俺の歩を裏返した。
内心、恐怖を感じたほどのどす黒い赤だったが、俺は勝った。

もし、俺が選んだのがハズレだったらどうしたんだ?
今みたいに七枚めくってから選び直させたのか?

「ほんまに頭からっぽやなにいちゃんは。さっさと終わりにして残念サイナラまたあした言うに決まっとるやろが」

ケンタロウはそれまで以上のにやにや笑いを浮かべながら、札束を置いてふらふら去っていった。

棋道 〜前編〜 by DENCH

  • 2008.04.17 Thursday
  • 23:45
たまには、将棋部員らしい文章を書いてみる。
棋道とは囲碁や将棋の道のことであるが、今回は将棋についてのみ書く。

現在の阪大将棋部の最大の目標は、王座戦出場であろう。
そのためには、一軍戦で良い成績を残さなければならない。
部員の目標は、一軍戦で高勝率を残すこと、レギュラーになること、棋力向上など人それぞれだろう。
棋力向上は全部員に共通していることだろうが、一軍戦に出ることも目標とすべきだろう。
残念ながら、プロ棋士は一軍戦には出られないが。
一軍戦のメンバーは、部内リーグ戦や個人戦の結果に基づいて決められる。
もうすぐ春季個人戦があり、阪大将棋部からはかなり多い人数が出場するようなので、期待したい。

私の将棋に対する姿勢は、イメージが悪いだろう。
しかし、学部時代はどんなに忙しい時期でも部内リーグ戦は全てこなしていたし、個人戦にもほとんど出場していた。
入部した頃は部内で最低レベルの棋力だったが、師匠を中心とした指導対局や、得意戦法の研究などにより、強くなった。
達成できたのは負け越した、がりはさんとのものだけだったが、たりきやMIPとも100番勝負を試みた。
団体戦の成績は、一軍戦は入れ替え戦を含めてA級で4戦4敗、B級で4戦4勝、二軍戦はA級で1勝のみ、B級で4勝1敗、C級で5戦5勝など。
個人戦の成績は、新人戦ベスト8、個人戦ベスト16、個人戦ベスト32など。
部内のイベントでは、忘年会で10秒将棋の電撃王の「デンゲ」の座1回、忘年会で師匠と組んだペア将棋で優勝、夏合宿でサタジと組んだペア将棋で準優勝など。
個人戦については、くじ運が良かったとか強豪が休んだとか、そういう要素が大きいが、格下にはほとんど負けていない。
一軍戦でレギュラーが敗れたことがある相手に、勝ったりもしている。
マジックを起こしたこともある。
度を越した盤外戦術はいけないが、心を攻めることやツキも大切だ。
私は将棋に限らずブランド好きで、7冠制覇の前から羽生善治のファンだが、一昨日の王将位授与式で彼は、頓死で勝ったことに触れ、「毎回ツキに頼ってはいけない、実力をつけて前へ進んで行きたい」とコメントしたらしい。
彼ほどの実力者でも、更なる高みを目指しているのだ。
見習うべき姿勢である。
是非とも、永世名人になってもらいたい。

棋道 〜後編〜 by DENCH

  • 2008.04.17 Thursday
  • 23:44
続きで棋道。
「礼に始まり礼に終わる」は当然。
私は最初の秋季個人戦で、立命館大2年のエースK島氏に敗れた。
丁寧な感想戦の後、彼は他大学の棋譜係の方にもお礼を言った。
慌てて私もお礼を言ったが、感心した。
棋譜を取ってもらうことや取ることは何度かあったが、棋譜係にお礼を言う場面は初めて見た。
それ以降、私は棋譜係にもお礼を言うようにしている。
他にそれができているのは、知る限りではオネバさんだけ。
私に勝った勢いか、K島氏は自身2度目の個人戦優勝。
部室にある「縮図」を参照。
そんなK島氏を新人戦で破ったのは、我らが誇る新人王のシンジさん。
私の棋譜集「堂々人生」に、対K島戦の棋譜は残っている。
「堂々人生」には数局しか残っていない。
表紙に「研究厳禁!」と書いているのに、先日部室に行った時、本棚の目立つ所にあった。
中を見ると、数箇所ピンク色のペンで訂正されていた。
例えば、「6五歩を4五歩」など。
訂正はありがたいが、研究は厳禁のはず。
まあ、私は心が広いので研究しても構わない。
印象に残っているのは、最初の部内リーグC級・D級入れ替え戦の、対サタジ戦。
D級の1位と2位が師匠とオータラカさんという、余りにも理不尽な結果だったので、3位の私に昇級のチャンスが与えられた。
戦形は相矢倉。
30秒将棋だが、Mひっとさんが正確に棋譜を取って下さった。
連発する疑問手や悪手など、コメントもある。
並べてみたが、笑えた。
成長したのだろう。
最後の王手をサタジが詰みと錯覚して投了という、2人のボケにMひっとさんがツッコミを入れる漫才のような将棋だ。
この1局が、でんでん矢倉の原点。
笑いを求めている方、並べることをお勧めする。

最後に、1番書きたいことを書く。
阪大将棋部では一軍戦の際、盤・駒・時計は下級生が持って行くことになっているが、試合に出る選手が持って行くべきではなかろうか。
二軍戦などの際は、本人も試合に出るので下級生で良い。
しかし、一軍戦では試合に出ないことが多い。
例えると、武士が自分の刀を人に持たせるようなものだ。
新入生の頃からこう考えていた。
ずっと言えなかったが、今や長老のような立場なので、書かせてもらった。
申し訳無いが、他大学がどうしているかは知らない。
話し合う価値はあるのではなかろうか。

将棋部員は、棋力だけを求めるのではなく礼儀もわきまえ、棋道についても考えてみるべきだと思う。

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