光と影 Mr.Indigo

  • 2019.03.12 Tuesday
  • 22:13
最近、通勤中にウォークマンで音楽を聴くことが増えた。理由は単純明快で、SEKAI NO OWARIのニューアルバムを入手したからである。
2月末にリリースされたアルバムは「Lip」と「Eye」の2作で、彼らにとっては4年ぶりのニューアルバムである。待ちに待った、という表現がしっくりくる。
彼らがこのアルバムでどんな方向性を示すのか、私は興味があった。理由は3年ほど前に書いた。
 
〜(前略)彼らに残された時間はそれほど長くない気がしてならない。彼らの詞は人生に対して肯定的である一方で、現代社会に対しては否定的である。そして彼らは現代社会の魔物といえるメディアを通じて、自分達の哲学を発信している。すなわちそこには矛盾がある。
彼らが綱渡りを続けられるかはわからない。世間に迎合して面白くなくなるかもしれないし、何らかの形で消えることになるかもしれない。(以下略)〜
 
昨年、彼らは「サザンカ」という曲を発表した。NHKの平昌オリンピック・パラリンピックのテーマソングだったから、ファン以外にも広く知られているだろう。
いい曲だとは思ったが、しっくりこない感じもあった。NHKとかオリンピックとか、極めてメジャーなものと結びついたことに違和感があったのだ。先の文章でいうところの「世間に迎合して面白くなくなる」方向に向かっているような気がした。
ニューアルバムはこの疑念に対する答えになるはずだ。私はそう思っていた。
 
彼らの出した答えは、テイストの異なる2枚のアルバムを出すことだった。すなわち「Lip」は「サザンカ」や「RAIN」といったおなじみの曲が入っていて、他も軽い感じの曲が多く万人向けの内容である。一方の「Eye」は重い曲が多く、ファン向けと言えるだろう。それは発売前の情報でも明らかにされていて、前者はポップ、後者はダークという表現が用いられている。
実際に聴いても、この表現は的確だと思った。先程の「人生に対して肯定的」という一面は「Lip」に、「現代社会に対して否定的」という一面は「Eye」に集約されているように感じた。
「Eye」は1曲目のスタートから過激である。
 
〜いつの時代もいるんだ。「大人はいつも矛盾ばかり」とか「嘘ばっかり」って言うkid。今の君はどうなんだい。そんなに子供は純粋だったかい?(SEKAI NO OWARI『LOVE SONG』)〜
 
初めて聴いてどきりとした。このノリが小一時間続くのかと思うと気が重かった。実際は重い歌詞ばかり続くわけではないのだが、油断していると12曲目で不意打ちを食らうことになる。
 
〜人が生まれて何万年?それは信じる光によって違う。光が生み出す強烈な影。正しい道を指す光はやがて、魔女を探すサーチライトへ(SEKAI NO OWARI『Witch』)〜
 
こうした曲を聴いていると、現代社会に対する彼らの見方は変わっていないように感じられる。少なくとも面白くなくなってはいない。
ただ、物足りなく感じる部分もある。光と影が完全に分割されているために、両者の共存というこのバンドの個性が削がれている面も否定できないと思うのである。
似たテイストの作品をまとめるのも、過去のアルバムのように多様な作品を混在させるのも、ともに有力な手法である。しかし、メンバーのパーソナリティの中に光と影が混在しているのであれば、作品集においても混在させるのが理想なのではないか。メンバーのコメントによると今回は早い段階から2枚出すと決めていたようだが、それが自然かというと、そうでもない気がする。
ともあれ、彼らの綱渡りはこれからも続いていくようだ。
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