逃げるは恥だし腹が立つ by NIKE

  • 2016.12.03 Saturday
  • 22:43

「裁判所から電話があって、訴状が送達されてないようです」

このような報告を事務員から受けると、気分的に憂鬱になってきます。

 

訴状は、郵便配達人が、送り先を訪ねて、原則として名宛て人に直接手渡し、誰もいない場合は、不在連絡票を置いて一定期間内に郵便局まで取りに来れば同様に印鑑をもらって渡しますが、期間内に受け取らないときは裁判所に戻されることになります。

訴状が裁判所に戻ってくると、このような電話がかかってくることになるわけです。

 

この場合、こちらの選択肢としては、夜間休日の再送達か、職場への送達か、郵便に付する送達か、公示送達という手段をとることになります。

前2者でうまくいけば文句ないのですが、問題は後2者の場合です。

 

人によっては、そこに住んでいるはずなのにあえて受け取らない(無視している)場合も当然あります。

この場合、裁判所が訴状等を書留郵便で改めて送り、送ったことで(受け取らなくても)送達されたと扱う方法があります。

これを「郵便に付する送達」とか「付郵便送達」と呼んでいます。

受け取っていないのに受け取ったものとして勝手に裁判手続が進むのですから、そこに住んでいるかどうかについては、しっかり調査する必要があります。

もちろん、裁判所が出向いて調査してくれるはずもなく、原告側の我々で調査することになります。

これが憂鬱なのです。

 

一方、被告が訴状記載の住所に住んでいないという場合もあります。

その場合、被告の住民票をたどって行って、住民票が移転していれば訴状の被告の住所を移転先に訂正してそちらに送達することになります。

しかし、そもそも住所の手がかりがない、住民票上の最後の住所地に住んでいないなど、被告の住所が分からないということになると、公示送達の手続をとるかどうかということになります。

これは、訴状を裁判所に掲示することで送達したものとみなすことになります。

しかし、これも付郵便送達と同じく、被告が知らない間に手続が進んで判決が下ることになりますから、調査を尽くしても住所が分からないと判断される必要があります。

この、住民票上の住所地に住んでいないという調査もまた、憂鬱なのです。

 

何が憂鬱かといって、その住所地を訪ねる手間もさることながら、住んでいることや住んでいないことを調査するには、探偵さながらの行動をこなすこともあります。

はっきり言って、かなり怪しい人間です。

調査では、周辺の住民や大家さんに話を聞くこともありますが、不審者扱いされても文句は言えません。

以前には、家出して行方不明の夫を相手にした離婚訴訟で、夫の元自宅の借家に行くと、ちょうど大家さんがもぬけのカラの元自宅を清掃しているところで、事情を話すと未払い家賃を請求されそうになったこともありました。

なぜ逃げ腰の相手にここまでしなければならないのか、やるせない気持ちを押さえて調査に励みます。

 

そんなこんなで冒頭の電話に戻るのですが、5月のある日、付郵便送達の調査をせねばならない事態と相成りました。

しかも場所はTOKYO。

ここまでくると、もはや旅行とでも割り切るほかないということで、徹底調査に乗り出して、「ついでに」久々の東京めぐりをすることにしたのでした。

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