夢競馬の人々(202) 葉山 悟
- 2014.01.12 Sunday
- 11:28
確か777という数字は、片山さんの競馬の投資資金だった。競馬はギャンブルそのもので投資などととんでもないと一笑されたそうだが、彼女はハイリスク、ハイリターンの魅力に満ち満ちた投資だと確信していた。
実際に彼女は自らが経験した競馬ビジネスについて話してくれたことがある。
「会費の完全保証を謳った財テク予想会社で競馬の事を知ったの。そこは絶対勝負のレースを一年に数回不定期に実践するんだけど、一度でも予想が外れた場合は会費全額を返してくれる制度がウリになっていた。会費は百万円。予想は一点勝負で、年に十回ほど。ホントに良く当たったわ。単勝、複勝、枠複と配当は二倍から五倍までのガチガチの本命馬券ばかりだったけど、他の投資に比べるとその配当はものすごく魅力的だった。たかだか数分で、投資したお金が二倍三倍になるんですもの。予想はパーフェクトとはいかなかったけれど、年間十回の予想のうち七割から八割は的中した。それだけで会員は儲けていたと思う」
僕は間を置かずあからさまな質問をぶつけていた。
「本当に会費は全額戻ってきたの?」
「当然よ。だけど二年契約だから、返金は二年後ってわけ。その間、絶対勝負のレースが不定期にあって二年なんてあっという間に過ぎちゃう」
いわゆるバブル絶頂期のお話だ。この財テク競馬予想会社の説明会は都心の有名ホテルで催され、毎回会場いっぱいの人で溢れていたという。説明会は毎週一回開催され、会費の完全保証付情報は、ニュービジネスとして話題を呼んでマスコミにも取り上げられた。都心のホテルを借り、集まった客達にコーヒーなどの飲み物もサービス。その他DMや広告でのプロモーション。ハイグレードなパンフレット類にスタッフの高級感漂う制服。それよりも人件費をどこから捻出していたのか。この財テク予想会社はどこで利益を生み出していたのか。彼女はそこでウフフと目尻にしわを寄せて悪戯っ子のような笑いを浮かべた。
「答えはあなたの嫌いなもので信じ難いもの。このシステムは会員も、主宰者側も誰も傷つかず、あなたの信じないウィンウィンの関係が成立しているってこと。会員は銀行や郵便局に眠らせている百万円を有効活用し、財テク会社の予想した買い目で利益が出せるというわけ。その目覚めた百万円は財テク側に集約され、利ザヤという新しい任務に就くの」
実際に彼女は自らが経験した競馬ビジネスについて話してくれたことがある。
「会費の完全保証を謳った財テク予想会社で競馬の事を知ったの。そこは絶対勝負のレースを一年に数回不定期に実践するんだけど、一度でも予想が外れた場合は会費全額を返してくれる制度がウリになっていた。会費は百万円。予想は一点勝負で、年に十回ほど。ホントに良く当たったわ。単勝、複勝、枠複と配当は二倍から五倍までのガチガチの本命馬券ばかりだったけど、他の投資に比べるとその配当はものすごく魅力的だった。たかだか数分で、投資したお金が二倍三倍になるんですもの。予想はパーフェクトとはいかなかったけれど、年間十回の予想のうち七割から八割は的中した。それだけで会員は儲けていたと思う」
僕は間を置かずあからさまな質問をぶつけていた。
「本当に会費は全額戻ってきたの?」
「当然よ。だけど二年契約だから、返金は二年後ってわけ。その間、絶対勝負のレースが不定期にあって二年なんてあっという間に過ぎちゃう」
いわゆるバブル絶頂期のお話だ。この財テク競馬予想会社の説明会は都心の有名ホテルで催され、毎回会場いっぱいの人で溢れていたという。説明会は毎週一回開催され、会費の完全保証付情報は、ニュービジネスとして話題を呼んでマスコミにも取り上げられた。都心のホテルを借り、集まった客達にコーヒーなどの飲み物もサービス。その他DMや広告でのプロモーション。ハイグレードなパンフレット類にスタッフの高級感漂う制服。それよりも人件費をどこから捻出していたのか。この財テク予想会社はどこで利益を生み出していたのか。彼女はそこでウフフと目尻にしわを寄せて悪戯っ子のような笑いを浮かべた。
「答えはあなたの嫌いなもので信じ難いもの。このシステムは会員も、主宰者側も誰も傷つかず、あなたの信じないウィンウィンの関係が成立しているってこと。会員は銀行や郵便局に眠らせている百万円を有効活用し、財テク会社の予想した買い目で利益が出せるというわけ。その目覚めた百万円は財テク側に集約され、利ザヤという新しい任務に就くの」