『2017年10月度最優秀作品賞受賞会見』文責:Mr.Pink
- 2017.12.03 Sunday
- 18:04
嘘のようにどこまでも吹き抜けた青空から直線的に陽光が注ぐ。
だが、夏の厳しさを持たないそれは、あくまで柔らかく私の精神を温めてくれている。
風は無い。
風はないが、空気の冷たさはある。
その空気の冷たさが失う哀しさを五感で思い出させくれる。
ふとした瞬間、空気が細波(さざなみ)を起こすとその冷たさがその哀しみを再起させてくれる…
陽光の心地よさと大気の冷たさと。
ともすると、そのバランスはすぐにでも崩れてしまいそうなそんな危うい関係。その狭間に爪先立ちで立つような、心持で享受する小春日和の午後。
広大な草原にばさりと身を投げ出し、ぼんやりと空を眺める自分。
思考は感性に、感性は五感へと委ねこれを享受する。ひたすらに。
編集長から『長月の夜に寄せて』で最優秀賞を受賞したと聞かされた時、私の胸に広がった心象風景がそれであった。
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場所:プリミエール記念会館記者会見場
編集――このたびは、最優秀作品賞受賞おめでとうございます。まずは、受賞の喜びを。
ピンク「え…ええ。まあ、第一報を受け取った時に冒頭でお話した感じがしたという。そんな感じですが」
編集――随分と漠然とした言い回しですね…さて。並居る執筆陣を抑えての堂々の6票獲得でしたが
ピンク「これは、大変ありがたいお話だなということと意外だったなということと。その二点に尽きますね。今回の作品がいつもの物と違って私風味といいますか、(いつもは意図的に奇を衒って衒って衒いぬいて作っているのですが)そういうものとは言わば対極に位置するようなものだったことと、月初に掲載されてほとんど振り返ってもらえないんじゃないかということ。何せ、後から聞きましたらその月は60作品…日に2作品も毎日上梓されている過密スケジュールでしたから、そんな中で投票者のみなさんがよくこれほどまでに私らしくない、何と言うか地味でかつ忘れがちな発表日に掲載された作品でしたので、よくまあ、これを拾い上げてくれたなと驚きの方が大きかったように思います。」
編集――最優秀作品賞受賞は意外にも数年ぶりですね
ピンク「それは、何と言いますか。私が昨今ほとんど作品を投稿しなかったことと、投稿してもプリミエールの執筆陣諸兄らの実力はかなりの物ですから、全盛期のように全力で投稿し続けたとしても賞を頂くだけの力のある作品を書きえなかったという実力の問題ですね。そんな中で久しぶりに投稿した…言わば、リハビリ的に書いた作品で自分が今まで縁遠かった賞を頂いたことは驚きでした。嬉しくもありましたがハッピー一色に染まった感覚ではなかったことは確かです。」
編集――なにか、コメントがいつものピンクさんらしくありませんが何か悪いものでも食べましたか?
ピンク「その“ピンクらしさ”ということについては、また、後日論じないといけないと思い続けているのですが、今はさておき。何と言いますか、今回の受賞作品は乱暴にまとめると死んだメジロへのrequiemですので受賞して『わっ』と嬉しいというよりは、私の個人的な感傷に寄り添ってくれる方が沢山いらっしゃったという“ありがたさ”の方を大事にしたいと思っております。また、本作品一品だけにもかかわらずMVPの方にも投票頂いた方もいらっしゃいましたのでこの場をお借りしてお礼申し上げます。」
編集――ところで、今後の作品投稿のスケジュールですがピンクさんいつになったら次回作出せます?
ピンク「…えへ?ええと。。。来年春ごろ…ですか、ね?」
編集――そんなの、許さねぇ!
ピンク「ひぃ!お代官様、ご勘弁をっ!」
(了)