【テーマ】33歳のノルウェイの森  Mr.X

  • 2017.06.30 Friday
  • 12:00

私はMr.X。最近嬉しかったのは、いつも会う猫がお腹を触っても怒らなくなったことだ。
 
研究者だって小説を読む。村上春樹の「ノルウェイの森」を初めて読んだのは高校生の頃だ。(その頃はもちろん研究者じゃないけど) この小説は、学生運動華やかなりし頃の東京で、親友を自殺で失った大学生が色々な人達と出会いながら成長して、、、はいないように思うけど、ともかく様々な体験をしていく話だ。
 
田舎に住む高校生から見て、描かれる東京の情景は興味深く、日本の社会的な動きや流れみたいなものを知っていこうとしている年頃でもあったので、学生運動のうさんくささや偽善も新鮮だった。
 
しかしこの小説を自分なりにシンプルに表現するなら「性と死」の3文字になる。少なくとも某男子高校生にとっては性描写は濃厚で(厳しい国ならR指定されてもおかしくない気がする)、かつ登場人物はバッタバッタと自殺していく。そんなどどめ色の世界の中で、主人公は「緑」という女性と出会う。この小説の中でおそらく唯一、生き生きとしている人物だ。
 
両親からあまり愛されなかったと感じる「緑」はどこか飢えみたいなものを感じさせるキャラクターで、その言動はなかなかエキセントリックだ(もし自分が「緑」の知人なら、呆れ果てると思う)。病気に倒れた父親の介護という生々しい現実に直面しながらも悲壮感は感じさせず、周辺人物への悪口は痛快でさえある。あと、彼女が作る料理はとても美味しそうだ。
 
初めてこの小説を読んでから15年程経ち、登場人物のほとんどよりも年上に、要するにオッサンになった。今、この小説を振り返ると、彼らを見る自分の目が変わっていることに気がつく。この小説で主人公が出会う人たちの多くが、優れた才能や美貌とか、人より抜きん出た何かを持ち合わせている。登場人物達と同じ二十歳前後までは、自分もそういった”ハイスペックさ”に憧れを持っていた。しかし、三十を過ぎ、生きていくためにはそれよりも必要な何かがあると感じる今では、美味しそうな卵焼きを作れる「緑」の方が魅力的に映る。
 
無理やり生物学にこじつけるけども、光合成を行う植物や藻類が持つ緑色は、地球の生態系を支える、生命力にあふれた色だと言える。作者がそういうことを考えていたのかは分からないけれど、私にはこのキャラクターの名前は「緑」以外はありえなかったのではないか、という気がしてならない。

Mr.Xに聞いてみた(2) Mr.X

  • 2017.06.19 Monday
  • 11:57

インタビュワー(以下、イ)「Mr.X、5月テーマコンテスト優勝おめでとうございます!! 3ヶ月ぶりの受賞です!!」
 
Mr.X(以下、X)「初めて人を好きになりました、私、PREMIERゲストオーサーMr.Xは、結婚します!!とか言いたかったのですが、私、Mr.X、相手がおりませんでした、残念ながら」
 
イ「受賞の感想聞いていいすか?」
 
X「本当に嬉しく思っています。しかし正直、狐につままれたような気もしないでは無いです」
 
イ「と申しますと?」
 
X「5月のテーマ作品は5月末から6月1日までに集中していたので、5/14に載った自分の作品は忘れられるだろう、と」
 
イ「なるほど」
 
X「今回のテーマコンテストでは、独特の感性で綴った『商店街のキッコ』、久しぶりに高階が登場した『幻想商店街へようこそ』など有力な作品がありましたので、正直、自分じゃ無いだろうというのもありました。
 
実際、これらの作品に勝てたとはいえ僅差でした。想像の域を出ませんが、これら作品の中でどれを選ぶか決めかねて悩んでいるときに、『そういえば月の半ばにでたやつ、あったなあ』と思い出していただけたのかな、などと考えております」
 
イ「前回(2月)のテーマコンテスト受賞時には、『どうして自分の作品は最優秀に選ばれないんだ』と号泣されていましたが、今回はほわいとさんの一票が入っています!!」
 
X「泣いてねーし、もう一回それ言ったら殴るぞ、いいな?
それはともかく、『魂をえぐってくる』という言葉をいただけましたし、2月に私の『イイダコ・バレンタイン』を最優秀に推していただきましたし、もしベストコメント賞を選ばせていただけるならほわいとさんですね」
 
イ「それでは次のテーマをお願いします!!」
 
X「Mr.Indigoの『DATE』でお願いします。一般的には、異性と映画を見に行く等をいうと思うのですが、英和辞書で調べると他の意味もあります。皆様がどのように捉えるのか興味深いです。前回選んだダッシュもそうですが、多義語の方が面白くなる気がします」
 
イ「デートのイメージが『映画を見に行く』とか、昭和ですね」
 
X「もう一回それ言ったら殴るぞ、いいな?」

 

【テーマ】駆け抜ける商店街 Mr.X

  • 2017.05.14 Sunday
  • 10:14

私はMr.X。二日で7時間ほどしか寝ずに仕事を頑張ったけど、三日目に16時間ほど寝てしまい、結局、普段よりも起きている時間は減ってしまった男だ。

私の地元は平地が広がっているせいか自転車通勤・通学が多かった。街の中心部には総延長が全国一というアーケード街がある。自分が高校に自転車で通っていた頃は、雨が激しい日は雨風を避けたい自転車で溢れ、自然発生的に右側通行となり、無言のまま(当たり前だ)、分厚い雲の下のアーケードのそのまた下の灰色の街を高速で駆け抜ける。その風景は、今思えばそれなりに奇異なものだったと思う。

その床はタイヤが持ち込んだ水でツルツルしており、脇道に入るとか、脇道から入ってきた自転車を避けるとか、そういうちょっとした拍子に自転車が転ぶことになる。密集した自転車の一台が転ぶと、それを追走していた自転車が避けようとして転び、さらにそれを追走していた自転車が避けようとして転び、、、というふうに自転車転倒の連鎖反応が起きることになる。えらいこっちゃ。

私はこの商店街の本屋に通っていた。通りに面した間口は小さいが、その奥がかなり広く、こういう商店街には珍しいと思うけれど広さでは県内最大級だった。この頃は講談社の新書(ブルーバックス)を中心に科学書を読んでいたけれど、目に付いた文系のムズカシ気な本も買っていた。「ムズカシ気な本を買っただけで賢くなった気になる」系男子だったので、そういう本をカバンに入れて再び商店街に出た時は、一端のインテリになった気がして一人優越感を感じていたものである。
本を抱えて商店街に出た時に、本屋の目の前のCDショップから、同じクラスのちょくちょく口をきいていたというだけで特に気にするとかは全然無い普通の女子が、自分の知らない男子と笑いながら出くるのを目撃した、なんてこともあった。よく覚えてないけど。

今年の正月、帰省の折に久しぶりにその商店街を歩いてみた。
本屋は変わらずあったけど、例のCDショップはパスタ屋になっていたり、道の中心には自転車が走りやすい専用レーンができていたり、前まで汚かった街の端は小綺麗になってブランドの店が林立していたりと、再開発の波はかなり大きく町並みを変えてしまっていた。

自分も地元を出て成長した気になっていたけれど、それ以上のスピードで地元の商店街は変わっていた。そういうものかもしれんけど、なんだか悔しい。
 

受験英語は役に立たない?  Mr.イエロー

  • 2017.04.06 Thursday
  • 19:34

毎日のように、「英語教育が変わる」という内容の記事を見ます。

よりコミュニケーション力重視へ、使える、本物の英語力を目指して・・・。

これらの言葉は、これまでの英語教育に対する否定的な見解から生まれています。

6年間習ってもしゃべれるようにならない、世界に後れを取っている等。

私は「受験英語も役に立つ。スピーキング力という点から見てもそれほど間違ったことはしていない」という意見に立って理由を述べていきます。

 

受験英語というと、いかにも役に立たないもの、実際の使用からは必要のないものといったニュアンスがついてきます。

「役に立たない」というのは、おそらく「受験には必要だけど、実際に使う場面に必要な知識ではない」ということでしょう。

 

受験で問われる英語力はどのようなものがあるでしょうか。

一般的な高校入試を例に考えてみます。大体3部構成です。

➀リスニング・・・リスニング力

長文読解・・・リーディング力(精読力・多読力)

1兀酳検ΑΑΕ薀ぅ謄ング力

そして全体にかかわっているのが語彙知識と文法知識です。4技能の基盤となるものです。

4技能のうち、入試で欠けているのはスピーキング力だけです(※秋田県の公立入試ではスピーキングのテストも実施しています。)

実際、中学校の英語の授業では文法解説に加え、上の3技能を向上させるための学習には時間を割きますが、スピーキング力向上を目的に行う学習活動はそれより少ないです。

そのため、3技能と比べるとスピーキング力は弱いという結果になってもおかしくないと思います。

では、スピーキング力を向上させるため、授業でもスピーキング活動を増やすべきなのでしょうか?

 

スピーキング活動は、ライティングと同じく「アウトプット」です。

インプットのみではできるようにならず、スポーツと同じで、練習が必要です。

しかし、アウトプットは、膨大にインプットされたデータという基盤がなければ生まれません。

もしアウトプット活動を重視するあまりインプット活動を減らせば、それは土台に手を抜いて家を建てるのと同じことになります。

私としては、中学生レベルでは「文法的に正しい理解がなされ、意味が分かる大量のインプット」が受けられる授業が望ましいと思います。

アウトプット活動もゴールとしてもちろん取り入れるべきですが、それは充分な量のインプットが前提です。

 

基盤をしっかり作ったら、あとは練習あるのみです。

身も蓋もありませんが、ひたすらしゃべることです。3技能がしっかりトレーニングされた人なら、スピーキング力の向上もそれほど難しいことではありません。

時間はどれくらいかというと、純粋に英語のみの会話をしたとして、2000時間±500時間必要です。これでネイティブ並みとはいきませんが、かなり流ちょうにしゃべれるようになります。

(ただし、基盤のない人は基盤作りからです。中学生用の文法問題集を開きましょう)

仕事で必要に迫られている人、受験英語で努力したことを自信に、頑張ってください。

【テーマ】爆裂衝撃波!!からのスーパーバリア!! Mr.X(461字)

  • 2017.03.30 Thursday
  • 12:28

こんな記憶がある。

幼稚園〜小学一年まで住んでいたアパート。おそらく夕方。親は出かけていて自分は一人だ。子供部屋でドラゴンボールちっくな話を空想し、こちらで「xxxx波!!」とか言いながら片手を前に突き出し、あちらへ移動して「バリア!」とか言いながら両手をクロスさせている。
 

同じアパートに友達もいるのに、なぜ一人でそんな空想遊びをすることになったのか分からない。それに、一人で遊んでいた記憶がなぜ残ったのか、分からない。

アパートの友達と大ケンカをして止むを得ず一人で遊んでいたが、子供ながらに空想一人ごっこ遊びがあまり情けなく、強く印象に残った。今はそんな仮説を立てている。


自分のこれまでの人生で、友達と楽しく遊んでいたとき、一人で孤独に耐えているときの両方がある。なんだかんだ言って、やはり友達がいたときのほうが楽しい。

けれどまあ、空想一人ごっこ遊びもそれはそれで楽しかった気もする。
子供には、大人から見て不完全なものではあっても、心がまぎれるのなら、それは必要なものなんじゃないかと思う。子供には、子供の事情だってあるわけだし。

「Mr.Xにきいてみた」Mr.X

  • 2017.03.26 Sunday
  • 19:37


インタビュワー(以下、イ)「Mr.X、この度は2月テーマコンテスト優勝おめでとうございます!! まずは今の気持ちを教えてください!!」


Mr.X(以下、X)「ありがとうございます。皆様に投票いただき、ありがたいやら、自分でいいのかと畏れ多いやらで」


イ「ストーリーについて教えてください」


X「ハッガリーニ氏から『マグロで一筆』と依頼を受けた瞬間に、なぜか手塚治虫の『火の鳥』で絵仏師が輪廻転生を繰り返す中で一度マグロになるシーンを思い出しまして」


イ「ほお!」


X「今考えると、転生したのはマグロに食べられるプランクトンの方でした」

イ「はあ」


X「そもそも、マグロの成魚の餌には小さいから、イワシか何か別の魚だったんじゃないかと今は思います」


イ「へえ…。で、その後は? 」


X「巻き網漁には批判があるそうなので、そこは少し混ぜたいとは思いましたが、まあ、思うままに書いていっただけです」


イ「え? こだわってたのそこなんですか? 評価もされていたエンディングは?」


X「自然に落ちてああなったという感じですね。考え抜いて出てきたものではなく、再現性はありません。逆に、何も考えなかったのが良かったのかも」


イ「そういうものですか。…テーマコンテストに勝てる自信はありましたか?」


X「自分で自分の作品を評価するとかできないんで。Pスポ3月号を読んで、あれ良かったんだ、という感じでした」


イ「自分で自分の作品を評価するとか、できませんか?」


X「実を言うと、行けると思っていたのがOcean side通勤だったんですが、テーマコンテスト『通勤』で、がりは氏にきっちり負かされまして。

 自分を客観視とか、言うは易く行うは難し、の典型的な例でしょうね。まあ、リベンジできたのは、悪くなかったんじゃないでしょうか?」


イ「先ほど控え室で、『がりは氏は最優秀作品賞にも入っているのになぁ』とぼやいていませんでしたか?」


X「うっさい! どつくぞ!」


イ「さて、次回のテーマは?」


X「みしぇるさんの『だっしゅ』でお願いします。漢字になるのか、カタカナもありそうですし」


イ「今日はどうもありがとうございましたッ!!!!!」


X「うっさい! どつくぞ!」

【テーマ】マグロ転生  Mr.X

  • 2017.02.27 Monday
  • 07:55

スマホでゲームをしながら自分の部屋で酒を飲んでいた。つまみが足りないなと思って一階へ降りようとした時、足を滑らした。

気がつくと、目の前にお釈迦様が立っていた。自分が知るお釈迦様の姿だが、後光が強過ぎて表情が読み取れない。

「お前はダラダラし過ぎだ。常に動き続けなさい」

一言呟くようにそういったのが聞こえたかと思ったら、マグロになっていた。

それ以来、自分は泳ぎ続けている。一日中泳ぎ、イカや小さい魚を追い続けている。
一度休もうとしたけれど、そうするとエラを通る海水が少なくなるせいで息苦しくなり、とてもじゃないが「のんびり休む」というわけにはいかなかった。泳ぎ続けるにはエネルギーがいるからずっと食べ物を追い続けることになる。夜寝て目がさめると記憶とは全然違う場所。寝ながらだって泳いでいるから当然だ。

もう、サメかシャチかクジラだかに食べられてしまいたい、こんな泳ぎ続ける生活は嫌だ。何度もそう思った。しかし、月日を重ねていくとこの苦しい生活にも慣れ始めている自分がいた。要するに、サメなどの外敵を避けつつ、餌を食べ続ければいいのだ。何度か危ない目に遭いつつも、サメがどういうところで、どんな風に攻撃してくるか、経験を積むごとに危険性は下がっていく。深度、海水温、潮の流れから、どこに行けばイカやイワシが食べられるのかが分かるようになってきた。

体が大きくなり、つるんでイカを取る仲間達と、どうやったらメスのマグロに出会えるのか、冗談が混じりながらも真剣に相談している時、突然、網に巻き込まれた。わけがわからず暴れていると周りの海上に引き上げられ、驚く間もなく、これまで経験したことがないような冷たさの中で意識がなくなった

目の前にお釈迦様が立っていた。

「動き続ける生活、どうだった?」

急にそんなこと聞かれてもマグロの脳ではよく分からないけど、

「大変でしたが、慣れたら自分のペースでできるようになったので、それなりに楽しめました」

と答えた。そうすると、お釈迦様は怒ったような、笑ったような、泣いたような表情をして姿を消した。

気がつくと、病院のベットで寝ていた。頭から血を流して倒れていたので母が救急車を呼んだらしい。幸い、重くはなかったけれど数日入院することになった。

ベットから動いてはいけないし、退屈だ。とりあえず今はスマホのゲームの続きがとにかくやりたい。

テーマコンテストチャンピオン記者会見

  • 2017.02.18 Saturday
  • 21:27
本日はお忙しいなかお集まりいただきありがとうございます。
今回皆様のおかげさまをもちまして、テーマコンテストのベルトを預からせて頂きます、アントーニオ・ハッガリーニでございます。
最近の記者会見では乱入が当たり前になっていて、人格者だと思っていたヤマブキやインディゴまで入ってくるので、気を付けておるところであります。
記者の皆さんに何かあってはいけませんからね。
また私は選手ではなく背広組ですから、選手が輝く舞台を整え読者の皆様に届けるのが本業ですから、今月のテーマには参戦いたしません。
あくまで尊敬限定での特別参戦でございますので、今乱入を予定していた皆さんは私を襲っても何か盛り上げられるわけでもないことと、重いペナルティを課せられることをよく考慮して、思いとどまることを勧めます。

普通だと試合を振り返るわけですが、私は今回の大会はみな素晴らしい内容で誰が獲ってもおかしくなかったと思ってますので、個々を振り返るのは控えます。
ZPGPが大きくなって統括本部を置くことになり、私が本部長に就任してからもう何年経ったでしょうか。
その中で本当にたくさんの作家さんたちとお仕事させていただきました。
原稿を読んで涙をこらえるのがやっとで、ありがとうございますの一言を絞り出せなかったこと。
完成には程遠いんだけど、と原案を頂いて幾夜も意見交換をしてマスターピースが完成した!と思った原稿が全く評価されなかったこと。
せっかく頂いた原稿の大幅改訂をお願いして二度と原稿を頂けなかったこと。
もちろん、初めは原稿を揃えることが難しい状態で、毎月ジャックバウワーばりに「DO!IT!NOOOOOW!」と電話口で叫んでいたのに、今では多すぎるから評価を割り引くと言われるまでになったこと。
あれもこれもそれも全て大切な思い出です。
尊敬すべき作家の皆さんとの想い出を代表する形で、葉山さんとの想い出を綴りました。
それが多くの皆さんに届いたことを大変嬉しく思います。

さて、想い出の時間は終わり、我々はネクストステージを目指し未来へ進みます。
そう、来月のテーマの発表をします。

来月のテーマは「ともだち」です。
一月、いろいろありましたが、我々はともだちなんだよと、読者の皆さん心配しないでねと、そんな気持ちをこめています。
せっかく私がチャンピオンなので、もう一つ珍しい条件を。
「五百字」でお願いします。
たまにはね、違ったルールで行きましょう。
いやー、新しい一面を開拓しちゃいますね、また。

もちろん、今月のテーマ「まぐろ」も作家陣が着々と制作中です。
こちらもお楽しみに。

これから私はまた良質な作品を大量に供給する背広組の仕事に戻ります。
今後とも雑兵日記PREMIERをどうぞよろしくお願いします。
ご清聴ありがとうございました。


イイダコ・バレンタイン Mr.X

  • 2017.02.14 Tuesday
  • 20:07

私はMr. X。「ブラックチョコレート」はイギリスでは「ダークチョコレート」と言う、ということを最近知った男だ。


2007年2月14日、私は大阪梅田のデパート地下の食品売り場で、一匹のイイダコを買った。

その時私は学部四回生。研究者としては駈け出す前のヒヨコ。将棋で言えば、今がフリークラス四段として奨励会3級くらいだ。

初めての研究はタコの寄生生物の研究だった。卒研発表に向けて追加の実験をしていた2月の初め、大学事務から呼び出された。

「卒業に単位が足りません」

偉大な生物学者になる可能性が残されている若者になんと無礼な。ほらみろ、単位数は足りているではないか、馬鹿め。

「いえ、取るべき授業はそれではありません。文句を言われても、卒業は不可能です」
 

呆然としたまま実験室に戻る。キリがいいところまで、とにかく、やろう。気がつくと、ピペットマンを握る手が震えていた。混乱して、いつも使っている酵素を入れ忘れる。前がうまく見えない。



それから数日はいろいろな先生方に相談に行ったりと走り回っていたが、もちろん明るい方向に話は進まなかった。指導教官とも話し合い、何はともあれ卒業研究は完成させることになった。


卒研発表にはパワーポイントを使うが、説明のためにタコの全体の写真が必要になった。シーズンオフだったために近くの魚屋になく、わざわざ梅田のデパートへ。イイダコを買い終えた頃、同じ研究室の同級の女性からメールが来た。


「今日バレンタインデーだから、梅田でケーキ買ってきて!」

 

何でパシリやねん。日本ではチョコは女の子が買うもんやろがい。ほらみろ、チョコ売り場、女の人だらけやん。イイダコの墨を551の肉まんにかけて、今年流行りのチョコです!とか言ったろか。


そんなことを思いつつ、ケーキを買い、大学に戻る。

研究室の学生部屋に同級生が集まり、男女数人で楽しいティータイムが始まった。話題は、卒業旅行のスキーの話。それを聞きながら、私はケーキを食べた。
 

そのおよそ半月後、大学事務の「卒業要件を勘違いした学生があまりに多過ぎるから、単位数が足りていればOKにする」というしょうもない変更で、私は卒業することになった。言葉も鼻血も何も出ない。


窓から差し込む夕日でさらに赤くなる紅茶。その横にある、全体をチョコでコーティングされた真っ黒いケーキ。なぜかは分からないけれど、10年経つ今でも、その光景を忘れてはいない。

大きなかぶはこう教える  Mr.イエロー

  • 2017.02.05 Sunday
  • 15:21

久しぶりに大学で講義を受け、面白かったので一部分シェアします。

「大きなかぶ」といえば、小学生1年生の国語の教科書に載っている定番のお話です。

これは「主張を物語として語っている」読み物で、子どもの「物語的思考」を育てることを目的に採用されています。

 

※以下の授業の運びは、指導要領などで策定されているものでも何でもありません。大学の先生の解説を元に、こんなふうに進められたら面白いなあと考えたものです。

 

問題1:この話の主人公はだれでしょうか?

―おじいさん!かぶ!ねずみ!(←最後に出てきて活躍したから?)

色々な意見が出ましたね。主人公ってどんな人なのかな?

主人公は、いちばんたくさん出てくる人ではありません。「物語の初めと終わりで変わる人」です。

大きなかぶの主人公はおじいさんです。

なぜか?

最初、おじいさんはかぶが抜けなくて、どんな気持ちかな?

―困った!抜けなくて悲しい!悔しい!どうしよう。

そうだね。そして、最後を見ると、かぶが抜けて、どんな気持ちになったかな?

―やったあ!うれしい!やっと抜けて安心。

このように、最初は困ったじいさんだけど、最後は嬉しいじいさんに変わった。という話なんです。

 

問題2:いぬとねこはふだんからおともだち?

―たぶん、あんまり仲良くない。ライバルかも。

でも、犬は猫を呼んだ。猫も、犬に協力した。どうしてだろう?

―困ってるから。他にいないから。困ってるときは助けてあげなきゃいけないから。

そうなんだね。この話を書いた人は、困ってるときは、協力しよう、ということが言いたい。なぜか?この話を書いた人はロシアの人なんだけど。ロシアはどんな国?

―大きい。寒い。

大きくて寒いロシアを維持していくためには、普段は意見が違う人どうしても、いざという時は協力しないといけないってことを言いたいんだね。

 

問題3:ねずみがいちばん力持ち?

最後にねずみが来て、やっとかぶが抜けました。ということは、ねずみが一番力持ちなんだね!

―うん!←ややぼーっとした男子

―??←多数

―先生!違うと思います。ねずみが一番力持ちじゃないです!←しっかりした女子

違うかあ。どうして?・・・休み時間突入。

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