mission in trouble by NIKE

  • 2016.12.29 Thursday
  • 21:24

品川駅の改札の外へ足を踏み出したのは,意外にもこのときが初めてでした。

駅のショッピングモール?もさることながら,駅の外もオフィスビルが林立しており,おのぼりさんオーラ全開の私は,ポケットマップとにらめっこしながら,目的地のマンションへ向かって歩を進めていきます。

 

今回私に課せられたミッションは,そこに相手の生活実態がある(のに訴状を受け取らない)ということを判明させるための調査です。

 

問題のマンションはかなり築浅の物件ということで,嫌な予感はしていたのですが,セキュリティー万全のオートロックの入口でした。

中に入らないと調査すらおぼつかないところですが,ちょうど宅配便のお兄さんが中に入っていこうとしていたので,一緒に入っていくことができました。

この時点で,その日の運は使い果たした気がします。

 

中に入ってまず,1階にある集合ポストに向かいます。

ポストをのぞいてみると,チラシと思しきものが少したまっているようでしたが,チラシは空き家にもポスティングされているので,これだけでは生活しているかどうかよく分かりません。

よく分かりませんが,一応カメラに収めておこうとカメラを構えていると,誰かが近づいてくる足音が聞こえてきたので,慌ててその場を離れてやり過ごします。

 

次に,ガスや電気のメーターが動いているかどうか調べるため,問題の部屋の近くまで来ました。

しかし,問題の部屋は通路の一番奥の部屋で,通り過ぎることができないため,いきなり人が出てきたらと思うと,近づくのに躊躇します。

意を決して近づいてみましたが,部屋の隣にはメーターはありませんでした。

地下にも回ってみましたが,いくつも鉄の扉が並んでいるだけで,無暗に開けまわっていると,不審者と思われる(既に不審者ですが)ので,断念します。

 

いったん外へ出てみると,物件管理者や不動産屋の張り紙があったので,問い合わせ先を確保するために写真をパチリ。

しかし,結局はインターホンを鳴らさないと始まらないだろうということで,重い腰をあげて,問題の部屋のインターホンを鳴らすことにしました。

応答なし。なぜかホッとします。

しかし,これで終わるわけにもいかないので,情報収集のため,隣の部屋のインターホンを鳴らします。

ほどなく,若い男が応答しましたが,予想通り露骨に不審者扱いで,「何の用なんですか?」「忙しいんでね,帰ってください」と挙句切られてしまいました。

世の飛び込みの営業マンは,このような経験を数知れずくぐり抜けてきているのかと思うと,頭が下がる思いです。

 

どうしたものかと途方に暮れながら見上げたところ,問題の部屋の窓際に,日用品や雑貨が置かれているのが見えます。

これこそ,居住していることの動かぬ証拠ということで,喜んで写真に収めておこうとしたのですが,カメラのズームに限界があるようで,はっきりと撮影できません。

困ったところでしたが,一案を思いつき,近くのマンションの同じ高さにのぼって,通路から部屋の窓際を写真撮影することにしました。

 

このあたりで調査は尽くしたということで,撤収することにします。

やり過ぎとも思われるかも知れませんが,東京まで何度も足を運ぶことはできませんから,後で追加調査しろなどと言われないように,どうしても調査は念入りになります。

ミッションを遂行した私は,早々に頭を観光モードに切り替えて,上野方面へ立ち去っていったのでした。

逃げるは恥だし腹が立つ by NIKE

  • 2016.12.03 Saturday
  • 22:43

「裁判所から電話があって、訴状が送達されてないようです」

このような報告を事務員から受けると、気分的に憂鬱になってきます。

 

訴状は、郵便配達人が、送り先を訪ねて、原則として名宛て人に直接手渡し、誰もいない場合は、不在連絡票を置いて一定期間内に郵便局まで取りに来れば同様に印鑑をもらって渡しますが、期間内に受け取らないときは裁判所に戻されることになります。

訴状が裁判所に戻ってくると、このような電話がかかってくることになるわけです。

 

この場合、こちらの選択肢としては、夜間休日の再送達か、職場への送達か、郵便に付する送達か、公示送達という手段をとることになります。

前2者でうまくいけば文句ないのですが、問題は後2者の場合です。

 

人によっては、そこに住んでいるはずなのにあえて受け取らない(無視している)場合も当然あります。

この場合、裁判所が訴状等を書留郵便で改めて送り、送ったことで(受け取らなくても)送達されたと扱う方法があります。

これを「郵便に付する送達」とか「付郵便送達」と呼んでいます。

受け取っていないのに受け取ったものとして勝手に裁判手続が進むのですから、そこに住んでいるかどうかについては、しっかり調査する必要があります。

もちろん、裁判所が出向いて調査してくれるはずもなく、原告側の我々で調査することになります。

これが憂鬱なのです。

 

一方、被告が訴状記載の住所に住んでいないという場合もあります。

その場合、被告の住民票をたどって行って、住民票が移転していれば訴状の被告の住所を移転先に訂正してそちらに送達することになります。

しかし、そもそも住所の手がかりがない、住民票上の最後の住所地に住んでいないなど、被告の住所が分からないということになると、公示送達の手続をとるかどうかということになります。

これは、訴状を裁判所に掲示することで送達したものとみなすことになります。

しかし、これも付郵便送達と同じく、被告が知らない間に手続が進んで判決が下ることになりますから、調査を尽くしても住所が分からないと判断される必要があります。

この、住民票上の住所地に住んでいないという調査もまた、憂鬱なのです。

 

何が憂鬱かといって、その住所地を訪ねる手間もさることながら、住んでいることや住んでいないことを調査するには、探偵さながらの行動をこなすこともあります。

はっきり言って、かなり怪しい人間です。

調査では、周辺の住民や大家さんに話を聞くこともありますが、不審者扱いされても文句は言えません。

以前には、家出して行方不明の夫を相手にした離婚訴訟で、夫の元自宅の借家に行くと、ちょうど大家さんがもぬけのカラの元自宅を清掃しているところで、事情を話すと未払い家賃を請求されそうになったこともありました。

なぜ逃げ腰の相手にここまでしなければならないのか、やるせない気持ちを押さえて調査に励みます。

 

そんなこんなで冒頭の電話に戻るのですが、5月のある日、付郵便送達の調査をせねばならない事態と相成りました。

しかも場所はTOKYO。

ここまでくると、もはや旅行とでも割り切るほかないということで、徹底調査に乗り出して、「ついでに」久々の東京めぐりをすることにしたのでした。

姫路ええとこ by NIKE

  • 2016.03.21 Monday
  • 22:25
私が姫路に来て,もう4年になります。
もともと出身は明石で,何があるというわけでもない田舎ではありますが,交通の便はいいところで,JRの新快速を使えば20分で三宮,40分で大阪という都会へ出ていくことができます。
そんなわけで,明石にいたころは,西に目を向けることもなく,神戸か大阪で働くつもりでいたものでした。
そんな中で,ふとしたきっかけで姫路の事務所に足を運び,姫路で働くようになりました。
 
以前プリミエールで,大阪から姫路を訪れたという人が,一見どこにでもある地方都市である姫路の夕方の街並みを見渡せるスポットをドヤ顔で教えられたのに触発されて,姫路城に寄ってみたが,褒めていいのか貶していいのか分からなかったというような,見ようによっては「姫路をディスってんのか?」というような日記があったのを覚えています。
 
居住している人間として言わせてもらうのであれば,姫路はどこにでもある地方都市ではなく,適度なバランスのとれた都市であると感じています。
 
駅前には,百貨店もあれば,商店街も繁華街もあり,駅の前には芝生とともにちょっとした広場もあります。もちろん,東京や大阪には及ぶべくもないのですが,日常の一通りのことは姫路で完結するといったところです。
一方で,車を3,40分も走らせれば,蛍を鑑賞したり,鮎つかみもできるような清流に行ったり,いい温泉に行くこともできます。
何より,姫路は姫路城を中心とした城下町,世界文化遺産でもあり,ドローンもぶつけられた姫路城は,威風堂々としています。
市民の憩いの場でもあり,これからの桜の季節はお城周りの桜を楽しむことができますし,城前の大手前広場では,休日ともなればフリーマーケットや祭りなど色々なイベントが開かれます。
 
また,地方都市は,職住近接が比較的容易に可能です。
地価や物価との兼ね合いで,姫路はそれなりに恵まれていると思います。
私の場合,車で10分程度走ったところに職場がありますが,何がいいかと言えば,朝の7時30分から12時間働いたとしても,夜の8時前には帰宅していることになります。
効率がいい。
何か事情があれば,昼ごはんを食べに帰ることも可能です。
携帯電話を忘れたら取りに帰ることも可能です,ええ。
 
それでいて,鉄道交通の便がいい,特に新幹線と直結しているというのは,人によっては魅力的です。
これは,駅の近くに住んでいることが条件になりますが,たとえば駅徒歩20分弱のところに住んでいる私の場合,家から20分も歩けば,あとは新幹線で東京にも福岡にも行くことができることになります。
遠方出張のときなどはやはり重宝します。名古屋あたりで飲んでいても夜9時くらいまでは大丈夫というのも魅力です。
新幹線だけでなく,在来線の新快速も神戸や大阪に繋がっているので,中距離や近距離のアクセスもいい方だと思います。
 
取りとめもなく書き連ねてきましたが,姫路ならではの魅力,お分かりいただけましたでしょうか。
結局,どこにでもある地方都市ではないかって?
そうかも知れません。
姫路で就職の面接を終えてボス(今の上司)と飲みに行った店で,店のマスターが私に話した言葉が今でも記憶に残っています。
「私は神戸出身で,姫路に来た当初は,神戸からこちらへ帰ってくるとき心細く感じたものでしたが,今ではこちらに帰ってくる方が落ち着きますね」
住めば都とはよく言ったもので,ホワイト氏もそういう話をしたかったのかも知れません。
落ち込んだりもするけれど,私この街が好きです。
 

最優秀作品の御礼など by NIKE

  • 2016.02.24 Wednesday
  • 22:02
昨年末は,久しぶりの投稿で最優秀作品に選ばれました。
投票していただいた皆さん,作品を読んでいただいた皆さん,ありがとうございました。
がりは氏の指摘するところと重なりますが,この作品は,ヤマブキ氏の『記憶について語るときに僕の語ること』を読みながら考えたことを書いたものです。
忘れるということをプラスの側面から眺めてみたものですが,忘年会のことといい,離婚事件のことといい,たまたまそういうことを考える機会が何度かあったので,思うままに書いていきました。
 
そして,先月はテーマで1本。
このテーマで私以外に書く人は現れないのではないかと思ったので,日ごろ思っていることを書き連ねてみました。
そういうわけで,構成から書き上げまで,20分程度のさらっとした作品です。
この作品に限っていえば,賞は二の次,一人でも世界名作劇場に興味を持ってもらえればという意識で作ったものです(負け惜しみですか?すみません)。
作品においても述べたとおり,世界名作劇場は,幅広い年齢層に支持されています。
それだけ普遍的な価値を持っているということでもありますし,子どもには子どもの,大人には大人の物の見方や楽しみ方があるということでもあります。
これをきっかけに,原作や作品の背景について知見を深めていこうと思わせる何かがあります。
ぜひ1つでも手に取っていただければと思います。
 
そうは言っても,どの作品に手をつけてみたものか…というあなた。
忘れておりましたが,最優秀作品受賞者としての願い事でした。
世界名作劇場について,いくつかの作品に寸評を加えていきたいと思います。
だいぶ前にそのようなリクエストがあって,そのときは需要の点から難色を示したかと記憶していますが,今回のテーマ投票でも少なからず票をいただいたので,書いてみようと思います。
少しでも名作に触れる機会になれば幸いです。
 

【テーマ】世界名作劇場のすすめ by NIKE

  • 2016.01.11 Monday
  • 20:17
 明けましておめでとうございます。
 新年1回目のキーワードは『世界名作劇場』ということで,かなりマニアックで,私しか書かないのではないかというようなキーワードですが,決して私が仕掛けたわけではありません。しかし,せっかく設けてくださった機会ですし,土俵に上がれという叱咤激励と受け止めて,私の思いの丈をぶつけたいと思います。

 さて,世界名作劇場とは,ウィキペディア先生によれば,主に日本アニメーションが制作していた『カルピスこども名作劇場』や『ハウス食品・世界名作劇場』といった名称で放送されているアニメシリーズであるとされています。
 この辺りは諸説あって,『カルピスこども名作劇場』の始まりにあたる『フランダースの犬』からの作品群とするのが日本アニメーションの公式見解のようですが,その前作としてブレークのきっかけを作った『アルプスの少女ハイジ』からとする人もいますし,より広く1969年の『ムーミン』からという人もいるようです。
 当時生まれてもいなかった私が言うのも何ですが,ハイジの人気が大きいという印象なので,ハイジまでを含めていいのではないかと思っています。
 作品としては,『フランダースの犬』,『母をたずねて三千里』,『あらいぐまラスカル』,『赤毛のアン』など初期作品は有名なところかと思います。中期以降では,『愛の若草物語』,『私のあしながおじさん』,『ロミオと青い空』あたりが有名でしょうか。『トムソーヤの冒険』など男の子向けの冒険活劇もあります。

 この世界名作劇場シリーズ,日曜夜7時半からの番組として,かなりの高視聴率を叩きだしていたようです。私も,小学生のころは,『サザエさん』『キテレツ大百科』からの世界名作劇場シリーズという流れでテレビを見ていました。
 高視聴率のポイントは,やはり家族全体で楽しめるという点にあったと思います。日曜の夜のゴールデンタイムですから,家族全員で食卓を囲んでテレビをみることが多いわけで,必然的に幅広い年齢層で楽しめる番組であることが重要となります。
 では,なぜ家族全体で楽しめるのか?
 1つは,誰もが知っているような著名な名作を題材にしていることが多い。名作には名作となるだけの理由がありますし,『赤毛のアン』のような著名作品であれば,親子で楽しむことができます。
 2点目は,情操教育の観点からみて,感受性の強い幼少期に文学作品に触れることができるというのは,子育てする親の側からみてもポイントが高い。通俗的なアニメ番組には抵抗のある親御さんでも,世界名作劇場ならばという人は多かったようです。
 3点目は,それでいて,子ども受けする楽しさも備えているということです。原作を子ども向けにアレンジしていますので,子どもの視点からみても面白い。

 そのようなわけで,世界名作劇場は日曜夜の定番番組として,長年にわたって定着してきました。

 しかし,盛者必衰といいますか,このような看板番組もいずれは陰りを見せ始め,1990年代に入ると難しい局面に入ります。大きなポイントは,TBS系列の裏番組『さんまのからくりTV』が登場して,そちらに視聴者が移って行ったこと,同時に世界名作劇場としても題材として取り上げる作品にも限界が出てきます。馴染みやすい作品を選んで,週に1度,年に50回程度の作品に仕上げていくというのは,なかなか大変な作業だと容易に想像できます。 
 そして,1996年『家なき子レミ』を最後に,地上波から姿を消し,活動休止期間に入ります。10年後,BSフジ系列において『レ・ミゼラブル〜少女コゼット』で復活するも,3年で活動中止して現在に至っています。
 家族で日曜の夜に食卓を囲むとか,家族でテレビをみるという生活様式もだいぶ変容してきた現代においては,このようなアニメ番組は流行らないのかも知れませんが,似たり寄ったりのバラエティ番組や情報番組に終始するよりは,新作のみならず再放送でもいいので,このようなアニメ番組を制作しても面白いのではないかと思ったりします。

 ちなみに,世界名作劇場シリーズは,ツタヤで借りることができる作品が多いので,興味のある向きは,お子さんをダシにして,あるいは一人で勇気を出して借りにいくのもいいかも知れません。

忘れること,区切ること by NIKE

  • 2015.12.29 Tuesday
  • 15:48
「人間ってよくできているなぁって思うのは,忘れることができるということですよね。人間がもしコンピューターのようにいつまでもあらゆる出来事をそのまま記憶保存できるのだったら,私は今ごろ生きていられなかったかも知れない。少なくとも正気ではいられなかったでしょう」(とある依頼者)
 
上記の言葉は,とある離婚事件の依頼者の言葉です。
離婚事件というのは,感情の対立が激しい事件も多く,気持ちの整理をつけるのに苦労するものです。
しかし,日にち薬とはよく言ったもので,そのときの生々しい記憶・激しい感情は少しずつ薄れて日常の中に溶け込んでいく。
完全に忘れられるものではないにせよ,人はそうやって過去に折り合いをつけて,将来に向き合っていく。
依頼者は理工系の人ですが,機械に喩えて真理をよく表現している一言として印象に残っている言葉です。
 
師も走る忘年会シーズン,そんなに忘れたいことがたくさんあるのではないでしょうが,皆さん色々な付き合いの中で忘年会が開かれていることかと思います。
一年を振り返って区切りをつけて,また新たな一年への一歩を踏み出すという作業は,人が生きて行く中で必要であって,その区切りにちょうどいいのが年末あるいは年度末ということになるのかも知れません。
 
わが業界には,一つのジンクスのようなものがあって,年の瀬になると,それまでまとまりそうにもなかった事件が和解で決着したりすると言われたりします。
「今年の汚れは今年のうちに」ということなのか,ある程度時間の経過とともに感情が落ち着き,年末という区切りに差し掛かってきたところで,そういう方向に気持ちが傾くこともあるのでしょう。
我々は依頼者の喧嘩を請け負うわけですから,戦って判決を勝ち取ることを目指すのは当然のことです。
依頼者としても,言いたいことや主張をぶつけて殴り合わないと,和解しようという気持ちにもならないものです。
しかし,あるときふと気持ちの変化が訪れることがあって,激する感情がいくらか風化して丸みを帯び,区切りを迎えようとしているとき,戦い続けるのか早期解決か,難しい判断を迫られることがあります。
いずれにせよ,区切りをつけるそのときに,やれることはやったと思っていただけるように最善を尽くすことが重要で,そのために日々頑張るものだと思っています。
 
色々なことを忘れて区切りをつけ,色々なことを記憶して次への糧にして,歩みを進めていく。
年を重ねていく面白さではないかと思います。

よい年末を。
 

頑張れニッポンの皆様 by NIKE

  • 2015.08.30 Sunday
  • 22:18
8月も末,暑さも少し落ち着いてきた頃,皆さんいかがお過ごしでしょうか。
私が自宅から職場に向かう途中には,陸上競技場や体育館,野球場が見えるのですが,そこには朝早くから,高校球児や陸上部など運動部の生徒たちが毎日のように集まっています。
土日も関係なく,体操服姿の生徒たちがごったがえしています。
 
自分が文化系で自由放任的な部活に所属していたからでしょうか。
顧問の先生が大会の日と卒業アルバムの写真撮影の日しか部活にやってこないような部活でしたから,あまりにギャップがありすぎて驚くところです。
 
そう思ってネットを調べてみると,夏休みはどうやったら休めるかといった子どもたちの赤裸々な悩みが綴られているほか,家族旅行に行くために夏休みの部活を休むのは肩身が狭いというような書き込みもありました。
先生がそのような指導を好きこのんでしているのかというと,プリミエールにも記事があったかと思いますが,顧問の学校の先生も休みがなくて大変だそうです。
休暇をとるのも気を遣う日本社会は,下部組織である学校の運動部から徹頭徹尾鍛え上げられているのかも知れません。
 
基本的に,休日をどう使うかは本人の自主性に委ねてよいのではないかと思います。学校に来て集団で群れなければトレーニングができないというものでもないでしょう。
実際,自分たちの将棋部の場合でも,土曜の午後に活動したり,夏休みに道場行ったり友達の家で指したりということはままあったことでしたが,いずれも自主的にやっていたことです。詰め将棋の本なら,家で休日にでも読めます。
 
もちろん,団体競技であれば,チーム全体の連携やレベルアップや士気を高めるために,全体練習が欠かせないということもあるでしょうが,それも四六時中全体で練習しなければならないというものでもないでしょう。
盆正月しか休みのない全体練習漬けのチームが,それなりに休日をとるチームに比べて成績がいいのかどうか,知る由もありませんが,仮にそうであるとしても,勉強や家族関係など個々の生活への影響も考えなければならない。
 
 結果があってこその世の中で,結果を出すには努力が必要であることも事実です。
労基法もそっちのけで人件費カットに血道をあげて,従業員の犠牲の上に安く提供されている某牛丼チェーンも,未だに根強い支持層がいる世の中です。
しかし,競争社会に勝つ必要があるから,どこの会社もやっていることだから,ルールは二の次だと考えていいのかどうか。
現在の国際社会の変化に対応する必要があるから(本当に必要があるかどうかはさておき),憲法なんて二の次だと考えていいのかどうか。
 
話はそれましたが,中高生には実りの多い学生生活を送ってほしいものです。

法律相談の着目点 by NIKE

  • 2015.02.11 Wednesday
  • 21:42
久しぶりに投稿させていただきます、NIKEです。
早いもので,仕事を始めて4年目に突入しました。
「とりあえず3年は無我夢中で頑張れば、少しずつ周りが見えてくるようになる」とは,私のボスの言葉です。
事件は一つとして同じものはなく,常に研鑽の日々ですが,少しずつ見えてきた弁護士としての日常を時々お伝えすることができればと思います。

この仕事では,法律相談で各地の市役所や町役場に出かけたりすることがあります。
法律相談で弁護士がどのようなことを考えて話を聞いているかといえば,検討すべき事柄として,主に次の3つが挙げられます。

1 主張が通るものであるかどうか
 当然ですが,法律的にみて認められる主張であることが大前提となってきます。
 借りた金を返さない,これは詐欺ではないですか,警察に刑事告訴できないのですか,などという質問をよく受けたりするのですが,初めから返す意思がなく借りたのでもない限り,詐欺には当たらないでしょう。

2 事実を立証できるのかどうか
 いくら主張として法律的にみて筋の通ったことを言っていても,主張を基礎づける事実を証明できなければどうしようもありません。
 例えば,夫の浮気を原因として慰謝料を請求したいと相談される方はよくいらっしゃるのですが,写真や携帯メールなど何も証拠がなければ,夫がしらを切って否認してしまえば裁判で勝てる見込みは低いと言わざるを得ません。
 こういうと,「裁判ってずるい人が勝つんですね」と怒られる方もいらっしゃるのですが,逆に証拠もないのに訴えられて敗訴するような世の中だとそれはそれで問題ではないか,裁判官は実際に事件を生で見ているわけではない以上,訴訟で事実認定するには限界があるものなのですと納得していただくようにしています。

3 現実的に支払ってもらえるのか
 主張も通る,証拠もバッチリとなれば,訴訟には勝てる見込みが高くなります。
 しかし,訴訟に勝てるとして,では現実にお金を回収できるのかとなると,それは相手に財産があるのかどうかにかかっているといえます。
 先ほどの例でいえば,浮気の証拠が揃っていたとしても,夫が無職で貯金もないというような方であれば,訴訟で勝って判決を得ても,差し押さえるものすらなく,訴訟にかけるお金の無駄遣いということになりそうです。
 強制執行では,裁判所が相手の財産を探して差し押さえてくれるわけではありませんので,相手がどこの銀行に口座を持っているとか,どこに不動産を持っているとか,こちらで把握しておかなくてはなりません。
 「そうすると,判決が出ても支払わないで開き直ったもん勝ちということやね」と怒られる方もいらっしゃるのですが,そこは強制執行をめぐる法律をもっと実効性のあるものにしていく立法(国会)の役割で,作られた法律を解釈適用する我々弁護士の立場でできることには残念ながら限界があります。
日本の執行法制は,諸外国に比べても劣るもので,財産開示制度をみても,応じない場合の制裁が30万円の過料(刑事罰ではない)では,財産隠しを抑止することは困難でしょう。

市役所の法律相談では,1人あたり2,30分しか相談時間がなく,相談者の話をそのまま聞いていると,すぐに時間切れになってしまうこともありえるため,事情を選り分けて聞いていきます。
そのため,相談者として話しておきたい事柄や思いの丈を十分に聞いてもらえないこともあろうかと思いますが,弁護士としての視点から聞かなければならない事情を聞き出そうとしているものとご理解いただければと思います。

反則は誰?(前編)

  • 2011.05.19 Thursday
  • 22:50

それは、検察修習の決裁資料を作成していたときの話だった。
僕は、ポケットの中の携帯電話が小刻みに2度震動するのを感じた。
作業が一段落着いてから、おもむろに携帯を取り出して確認したところ、メールの主はハッガリーニ編集長であった。

「nike先生、作品がまだ着いてないんですが、お加減いかがですか?」

思えば、今月投票したときにGWの近況を聞かれ、「10連休を満喫しております」などと浮かれて書いてしまったばかりに、
「もし余裕があれば三本くらい書いてください!できればハンソクのテーマで」
という思わぬ反撃に遭ったのであった。
(三本なんて書けるわけないやん!でも、一本くらいなら行けるかな)
という心理まで織り込み済みでこのような仕掛けをしてきたのかは知らないが、まんまと編集長の策略にかかってしまった僕は、
「来週ひとつは書きます」
と二つ返事で請け合った。

ところが、その翌週から、修習は途端に忙しくなった。
検察が処理する事件には、勾留しない在宅事件と勾留する身柄事件があり、身柄事件では基本的に10日間の勾留期間の間に事件を処理することになる。
そして、指導検察官もご自身の取調べなどを抱えておられるので、修習生の指導はその合間に行われることになり、身柄事件の処理は夜遅くにもつれ込むことになり、朝8時半から始めても夜8時か9時になったりする。

そうこうしているうちにあっという間に週末を迎え、週末は週末で野暮用に追われていた。
(まあいいや、編集長もあまり気にしてないやろうし…)
などと事態を軽く見ていた僕に届いたのが、一番最初のメールだったのである。
これが、
「作品がまだ着いてないんだけど、どうなってるんですか?」
などと詰問されると、こちらも反発してしまうところなのだが、
「お加減いかがですか?」
と柔らかく来られると、申し訳ないような気持ちになってくるから、不思議である。
あるいは、この丁寧さの裏には脅迫めいたものがあると考えるのが自然なのかも知れない。

ともあれ、編集長の催促の鎖ガマ攻撃をかわしきれなかった私は、鉛のごとく重い腰を上げて、ディスプレイの前に向かったのである。
以下、友人の反則級に理不尽なお話を書いていきたいと思う。
しかし、最も反則なのは、テーマ投稿期限を堂々と破っている私なのかも知れない。
このような機会と手段を与えてくれた編集長には感謝したい。

反則は誰?(後編)

  • 2011.05.19 Thursday
  • 22:49

最近、私の周りの修習生の間では、将棋がにわかに流行している。
流行しているといっても、指しているのは僕と約2名であり、あとはギャラリーが4,5名といったところだが、昼休みの時間があるときには、修習生室の棚に長年置きっぱなしになっている盤駒を取り出して、楽しんでいる。

しかし、僕が将棋部員であったことは、修習生の中では周知の事実である。
そこで、友人A(以下、しだかさんと呼ぶ)は一計を案じ、僕と対等に指せるハンデを色々考えてみようと提案した。

しだかさんがまず考えたのは、6枚落ち(上手が飛車、角、香車、桂馬を落とす)である。
6枚落ちでも、ただの6枚落ちでは負けそうなので、落とした駒は下手のしだかさんが使えるという変則ルールである。
しかも、しだかさんが先手というオマケ付き。
あまりのハンデに、全くやる気がしなかったが、しだかさんの懇願に負け、ものは試しにやってみることにした。
すると、しだかさんは飛車角に持ち駒の桂香を絡めて簡単にこちらの守りを破った。
予想通りの完敗であった。

さすがにつまらないので、しだかさんは平手で挑んできた。
但し、僕が一手指す間にしだかさんが二手指しできるというルールである。
一手目に駒を打って王手して二手目に王将を取るのは反則とした。
しかし、そのようなフォローを考えるまでもなく、飛車先の歩を突いていけば飛車先から簡単に破られることに気がついた。
人生で最短記録の6手(僕2手、しだかさん4手)で投了した。

さすがに観念したのか、しだかさんは普通に4枚落ち(飛車、角、香車を落とす)で勝負することにした。
しだかさんは棒銀で飛車先を破ろうとし、僕は左の金銀で防御しつつ右の銀桂で中央から攻めていくことになった。
やがてしだかさんの角が成りこんだが、こちらも中央から玉を抑えにかかる感じになった。
余裕のあったしだかさんの顔がやや真剣になり、まさしくいい勝負と思われたその時である。
「しだかさん、電話入ってます」
と教官に呼ばれるしだかさん。
「仕方がないな〜」
などと勿体をつけて立ち去って行ってしまった。

それにしてもあまりに簡単に飛車先を破られるので、後から鋭意追及してみると、しだかさんは2段に2枚落ちで勝ったこともあるそうで、その実力で上に書いたようなハンデで挑んでくること自体、バカにした話なのであった。

calendar

S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< March 2024 >>

カウンター

ブログパーツUL5

selected entries

categories

archives

recent comment

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM