改めてイッテンヨン、素晴らしい大会でした。
1月2日のNOAH、1月3日の全日本と観客にフラストレーションと先行きの不安を与えるような興行が続いた中で(どちらも大切な要素ですが、お正月のビッグイベントでやらなくても。。。)、業界の盟主として底力を見せつけました。予想をところどころ上回るようなものを見せてもらえて私は大満足です。
タイトルマッチはすべて挑戦者が勝ち、ベルトが移動しました。
ちなみにイッテンヨンは新日本プロレスワールドというアプリで何度でも見返すことができます。
一晩ぐっすり寝て、まだ興奮が醒めませんが、予想を振り返っていきたいと思います。
第10試合 IWGP世界ヘビー級選手権試合 (王者)SANADA ● VS(挑戦者)内藤哲也 ○
(予想1)
SANADAがデッドフォールにて勝利。
試合終了後、場内を暗くしての「ギフト」の時間に「暗闇の王」EVILが乱入、SANADAを血だるまにして衝撃のバッドエンド。ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンとの遺恨を清算できたかと思ったら、今度はEVILを始めとしたHouse of Toutureとの抗争。10月にランバージャックしたのになあ。
(予想2)
内藤がデスティーノで勝利。
(1)試合終了後、セミで勝利したブライアン・ダニエルソンがリングへ。自身の引退ロード中でどうしても戦いたい相手として内藤の名前を挙げていました。
(2)試合終了後のロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンの面々がリングに集まって内藤を祝福。待ちに待った大合唱の瞬間、辻陽太が内藤を襲う。高橋ヒロムは叫びながら止めに入るが、Bushi、鷹木、Titanは辻に加勢。内藤がいたら自分たちは上に行けない、内藤を踏み台にするという宣言で衝撃のバッドエンド。私が辻ならこうする。
結果)内藤がデスティーノで勝利。待ちに待った大合唱に向けてマイクが始まろうとしたタイミングで「暗闇の王」EVILが乱入。2020年、最悪の乱入と呼ばれたKENTAを彷彿とさせ、衝撃のバッドエンド再びかと思われたが、内藤に敗れたSANADAが起き上がり、EVILをシャイニングウィザードで排除。暗闇の王をシャイニングウィザードで振り払うなんて素敵、どこまでいってもSANADAはシテではなくアドなのかという哀しみは、「デ!ハ!ポン!!」の大合唱で埋め尽くされた東京ドームにすっと滲んだ。
(感想)
内藤が目の手術明けでコンディションが心配されたが、肉体的には休養を取れたプラスが大きかったように見えた。序盤から要所で繰り出される相手の腕を掴んだまま首筋に叩き込むバックエルボーの連打が効果的で、内藤のリズムで進んでいたように思う。SANADAのリバースフランケンシュタイナー、危ない角度で突き刺さったデッドフォール、掟破りのデスティーノなどの頭部頸部への攻撃と、スピード満点で美しい弧を何度も描いたラウンディングボディプレスの整合性のなさが、首の一点攻撃を続けた内藤との差だったのか。終盤の攻防はプロレスが大好きな二人の終わらない物語、いつまでも見ていたかった。
東京ドームでのデ!ハ!ポン!の大合唱は、内藤ファンのみならず新日本プロレスファンの念願であるとともにトラウマにもなっていて、EVILを排斥した後も誰か来るのではないか、また大変なことになるのではないか、と不安の中進行、我が家でも家族四人で大合唱できて安堵の涙を流した。
第9試合 スペシャルシングルマッチ オカダカズチカ○vsブライアン・ダニエルソン●
(予想1)
オカダカズチカがレインメイカーで勝ち。試合後、ブライアンとオカダが抱き合いノーサイドの雰囲気になっているところにジョン・モクスリーが現れ、ベルトで二人を殴打。負けて相手と抱き合うなんてブラックプールコンバットクラブの流儀に反すると。AEWでのオカダーモクスリー戦の機運高まる。
(予想2)
ブライアンがオカダをタップさせて勝ち。オカダは四方に深く礼をして退場。もしかして・・・・・
(結果)オカダカズチカがレインメイカーで勝ち。試合後、オカダから座礼。ブライアンも座礼で返し、日本プロレス・総合格闘技の文脈をしっかり汲んだ爽やかなエンディング。オカダの右腕をブライアンが上げようとして「あがらないよ!」とばかりに拒否されていたのも良かった。
(感想)
キャリアの最終盤にかかったブライアンの執念の右腕殺しにオカダが大苦戦。唇が紫になるほど右腕を中心に極められ、蹴られ、絞められた。ブライアンはポジションコントロールも冷静で、オカダの長い足でもロープに届かないリング中央で攻め続けていた。腕が上がらなくなってから、時折繰り出される顔面への膝(ブサイクニー)が攻撃としてもプレゼンテーションとしても効果的だった。三周りくらい小さいブライアンが術理でオカダを翻弄するのは如何にも日本人好みで、リテラシーの高い観客が集まる日本でだからこそブライアンは自分のやりたいことを全開できたのではないだろうか。面白い試合だった。
第8試合 IWGP GLOBALヘビー級選手権3WAYマッチ ウィル・オスプレイ●vsジョン・モクスリーvsデビッド・フィンレー○
(予想1)
モクスリー勝ち。サイズが違う。
(予想2)
オスプレイ勝ち。場外で先頭不能となったモクスリー。リング上で1対1となったオスプレイとフィンレー、途中からオスプレイは必殺技のフルコースでフィンレーを追い詰める。オーバーキルともおもえるほどボコボコにして最後、ストームブレーカーに行くためにフィンレーに近づく。そこでフィンレーは反撃の余力もないのだが、唾を吐きかける。ケニー・オメガvsオスプレイ戦のオマージュに観客は涙する。
(結果)フィンレーがオスプレイへのオーバーキルで勝ち。序盤は前日会見でのオスプレイの提案どおり、モクスリーとオスプレイが共闘、代わる代わるフィンレーをいたぶる。場外でのフィンレーをノックアウトしてからリング上での一対一に。両者の出し惜しみのないぶつかり合いが展開される中、終盤にフィンレーのユニットであるWarDogsが介入しスクランブルに。フィンレーが劣勢を跳ね返し、オスプレイに一気に畳み込んだ。
(感想)モクスリーとオスプレイの対戦が決まりかけたところにフィンレーが襲撃し、かかるはずだったベルトをハンマーで破壊したことから決まった試合。この数年で才能のある若者から世界ナンバーワンレスラーにまで上り詰めたオスプレイが新日本を離れる試合なので、新日本におけるナンバーワンガイジンの座をフィンレーに継承するような試合になるのかと予想していたが大きく外れた。オスプレイの入場でテンションが爆上がりし、会場中がオスプレイ!オスプレイ!と歌っているのを見て心底羨ましかった。試合?最高に決まっているではないですか。乱入はあったものの、序盤に2対1でいたぶっている時間があったおかげで理不尽感は最小だった。
第7試合 IWGPジュニアヘビー級選手権試合(王者)高橋ヒロム●vs(挑戦者)エル・デスペラード○
(予想)
高橋ヒロム勝ち。さすがのデスペラードでも病み上がりでは無理。
二人とも事前のインタビューではお互いが至高で、お互い以外眼中にない感じだったので、House of Tortureの金丸とSHOと東郷が乱入、試合をぶち壊す展開はあるかもしれない。私がSHOならそうする。
(結果)エルデスペラードがロコモノ、リバースタイガードライバーからのピンチェロコで勝利。試合後バックステージで、WATOの挑戦表明とHoT金丸及びSHOの襲撃を受けた。
(感想)
デスペラード様申し訳ございませんでした!!同日入門の二人がお互いに最高だと認めあっての対戦。デスペラードが特別仕様の、デスマッチで吹き出す血を連想させる赤く染まったマスクで入場、ヒロムは特別仕様のいつもよりもより散らかったガウンで入場。デスペラードは目の手術明けなので相手の体を触っていたいのではと思い、ヌメロドス中心の足責めでいくものとばかり思っていたら、入場してきたヒロムに向かっていきなりのトペコンヒーロで全快アピール。途中ヌメロドスへの移行を腹筋で起き上がってきてからのカナディアンデストロイヤーで切り返したのには開いた口が塞がらず。ヒロムの世界だなあと思っていたが、デスペラードの執念が上回ったように見えた。バックステージ、そこは金丸ではなくSHOが行かんかい。
第6試合 IWGPタッグ&STRONG無差別級タッグ選手権試合 毘沙門●vsGoD○
(予想)
GoD勝ち。実際はWarDogsがGoDの意図しない所で介入、毘沙門をボコボコに。勝利したものの納得がいかないGoDがWarDogs制裁を宣言。トンガ兄弟とともにGoDは勢いを増す。
(結果)
GoD勝ち。2m超えの巨人ヒクレオがコーナートップからダイビングしてくるサンダーストラック‘91。介入なし。
(感想)
今までより両軍ともに二人プレイが多くてもやもやした。ドーム大会の中盤でタフガイコンテストのような試合はできなくて、毘沙門は攻め手に困ったのかなと。後藤のコンディションがかなり悪そうなので、直してもらって3月のNewJapanCupで活躍してほしい。GoDが勝ったことで、TMDK、WarDogsはもちろん、海外や他団体のタッグ屋が寄ってくると良いのだが。
第5試合 NEVER無差別級選手権試合(王者)鷹木信悟●vs(挑戦者)タマ・トンガ○
(予想)
タマ勝ち。鷹木さんが今年龍のごとく昇っていくためには、まずは下がるところからかなと。どちらが勝っても試合後石井智宏を呼び出し、挑戦者に指名することとなるでしょう。鷹木さんが万が一勝った場合は、タンガロアが兄の敵討ちに出てくる可能性もあります。
(結果)
タマ勝ち。ガンスタン、ブラッディ・サンデー、スタイルズクラッシュとバレットクラブのリーダーたちの必殺技からのDSDで。NEVERらしい火の出るようなゴツゴツしたぶつかり合いの中で、タマのシュプリームフローの浮遊感が良いスパイスに。試合後のバックステージで、タマは家族との時間を増やすため、来月から新日本を離れることを明らかにした。
(感想)
タマのレスラーとしてのカッコよさが全開の試合だった。強さも速さもしなやかさも。鷹木さんがいつものようにパンパンパンと畳み込んで勝ってしまうのかと思ったが、同い年同士でお互いに認めあっている仲の試合らしく、技の読み合い、お株の奪い合いが高速で展開され、しかもゴツゴツもしているという非常に面白い試合だった。タマが取った時には両手を突き上げてしまった。鷹木さんも良い一年になりますように。
タマが新日本を離れアメリカに拠点を移すことで、ベルトをどうするか不透明に。新日本のアメリカでのブランドSTRONGの中で展開するのか、それであればタマは新日本を離れると言わなくても良いのではないか、とモヤモヤは残る。
第4試合 清宮海斗 海野翔太●組 vs EVIL 成田蓮○組
(予想)
EVIL組勝利。影響を受けやすい清宮、まさかのHoT入り。NOAHに激震。と言った予想が取りざたされていますがさすがに無理筋。しかし急造タッグでは勝てず。途方に暮れる海野翔太に手を差し伸べるのがユナイテッドエンパイアの余ことグレート・オーカーン。オスプレイの移籍を受けて強化が急務のUE、抜け目なく海野を獲得。HoTとの抗争に入る。俺がオーカーンならやる。
(結果)
EVIL組勝利。HoT総出で入場してくるHoTトレイン状態で、がっつり介入しっかり蹂躙という感じ。
(感想)
HoTが試合の流れをきっちりと読んで悪の限りを尽くしていることが良くわかった試合。解説席にディック東郷が座っていたのだが、「ちょっと参拝してくる」と言って立ってリングに上がり、清宮に対するセカンドロープからの股間攻撃を成功させた。これをするには
1海野を排除
2レフェリーの視線を誘導し目撃させない
3清宮を痛めつけてコーナーから程よいポジションで逆さにし、強制的に開脚させる
ことが同時に必要で、そのタイミングで該当のコーナーポストに登って見栄を切る必要がある。見事過ぎる。
試合後、成田はもっともっと海野を蹂躙してくれないとオーカーンが助けに入れないではないか。成田は他の皆さんが前に出るときに(今度金丸がデスペに挑戦しそうだけれども)、流れを阻害せずにしっかりサポートできるのだろうか。
第3試合 スペシャルシングルマッチ 辻陽太● vs 上村優也○
(予想)
辻勝ち。上村が勝ったらどよめきそう、というくらい差がある。正直、ドームでやらなくても、と思う所もあるので、ハプニングがあるならここなのか。オーカーンが乱入して二人を蹂躙、自らの存在感を誇示する可能性はある。俺がオーカーンならやらないけど。
(結果)
カンヌキスープレックスで上村勝ち。
(感想)
いやー、どっちでも良い。ドームでやる試合じゃなかったなあという感想。辻が引っ張っていたように見えたけど、辻もいうほど、ということか。辻はLIJの中での役割も果たしているが、上村はJ5Gの中で役割があるのか、それを果たせるのか。棚橋のようにシテだけをやってきたレスラーもいるが、アドの時代かもしれんよ。
第2試合 NJPW WORLD認定TV選手権試合 (王者)ザック・セイバーJr.● vs(挑戦者)棚橋弘至○
(予想)
ザック勝ち。社長の新日本初陣だが、10度以上防衛を重ねているチャンピオンを落とせるほど精進してないし、ビジネス的な打算も働きそう。
(結果)
棚橋勝ち。丸め込み合戦でうっかりという感じ。忖度したのはザックの方か。
(感想)
レスラーとしての格が違ってしまって、ザックが窮屈そうだった。今後内藤の点滴としてザックは世界ヘビー戦線に行くのかな。一年間で16回の防衛は本当に立派。ホームだけでなくアウェーでも何回も防衛したザックは王者の鑑。
第1試合 IWGPジュニアタッグ選手権試合 War Dogs● vs Catch22○
(予想)
Catch22の勝ち。TJPの闇落ちからのWar Dogs入りが一部では心配されているようだが、鬼神TJPとなって帰ってくると見た。オシャレでテクニカルなイメージから一転無法ファイトでWarDogsを蹂躙。試合後アキラに抱き締められて正気を取り戻し、いつもの甘い笑顔に観客も安堵。
(結果)
Catch22の勝ち。TJPのクロスアームDDT、顔面への血の噴霧、合体技2/2と畳み込んで勝ち。
(感想)
TJPがフィリピンの吸血鬼Aswangとなって入場。恐ろしかった。調べていた化け物がでてきたのでそのことにちびるほど驚いた。今後はTJPとなるのか、化け物のままでいくのか。化け物ムーブではタマ・トンガが白塗りになっていた頃の方が恐ろしかったが、あれはタマの身体能力あってのことだったのか。
こう書いてみてなんですが、プロレスってつくづく点で見ても面白いし、線で見たり面で見たりするとまた面白いなあと。
今年は少し計画的にこういう取り組みをしてみたいと思っています。
え?予想が当たったのか、ちゃんと振り返れ?
いやいや、当たったから何なんだよ、当たってなかったら何なんだよ、て話なんですよ。
予想はプロレスをもっと楽しく見るための方法の一つですから。
そうそう、イッテンヨンを受けてのイッテンゴは新日本プロレスワールドで無料配信されます。
18時からです。
どうぞお楽しみに。