秋の歯医者 がりは

  • 2018.09.19 Wednesday
  • 00:00

数日間体調が悪くて。 

我々の仕事は季節労働者的な側面があり、大体冬はその名にふさわしくホワイトが働くし、夏はやはり私の季節ということになる。 

春秋はヤマブキやIndigoに任せる。 

また、他の仕事との兼ね合いで季節労働的に働く人もおり、それがマルーン。 

山に登れる時は物狂いのように山に登っている。 

登った分だけ文章が自動生成される仕組みならば、私も夏を引退し、本来の姿に戻って寒の戻りや厳しい残暑といった狭いところを深く掘る仕事に戻れるのだが。 

よくわからないのがアールグレイ。 

副業の会議中に執筆しているらしいのだが、ほんまかいな。 

いつも黙々と書いてくれるのがたりき。 

無事是名馬。 

締切ギリギリになることも多いがそれもご愛敬。 

 

さて、体調の話だ。 

夏に重ねた無理がたたり、秋分の日の前後はいつも体調を崩す。 

これはもう決まっているのだが、決まってそのことを忘れてしまう。 

今回は午前中はそんなに悪くないのだが、午後は割れるように頭が痛むという状態で、あれ?いつの間に三蔵法師様がお帰りになられたのであろう、などと思うほどだった。 

三連休をすっかり無駄にしてしまった。 

体のあちこちから五百円玉が見つかる話など、面白いショートショートが書ける予定だったのだが。 

寝ても寝ても眠たくて、頭の痛いのも収まらないし、うとうとすると自分のいびきで起きるような状態で、うすぼんやりと膜が天井から覆いかぶさってきて、俺こんな風に死ぬのかなあと思った。 

 

それでも日常は厳しくて、歯医者に行かなければならなかった。 

上の前歯の裏側に小さな虫歯がある、とのことで、二週間前には右の上の奥歯に小さな虫歯があってそこを治療したのだが、その場で全部解消せずに二週間置いたのはなぜ?寝かすとおいしくなるの?と聞いてみたかったが歯医者にそんなことを訊いてわざわざ虐待の基を築くのもためらわれて訊いていない。 

葛根湯とイヴを併用し頭痛を抑えて歯医者へ。 

若い女医だが、やることはやってくるタイプ。 

ちょっとしみますね、などと言いながら結構長いことしみてます。 

ちょっととかなりの間ってレンジが広いことをいいことにやりたい放題な感じ。 

ちょっとは程度であって時間ではないのですよ、と。 

そんなことを考えていたらうっかり寝てしまったらしく、 

「口を閉じないでください!」 

と叱られてしまった。 

そんなに怒らないでください!と叱ってやろうかと思ったのだが、相手は凶器を持っている。 

穏便に穏便に。 

入り口は狭いが奥が広かったのか、だいぶ長いことゴリゴリ削っていて、そろそろ前歯貫通するで、などと思っていたところ気が付いた! 

俺は今寝かけていた! 

しばかれる! 

という恐怖で目が覚め、同時に目を見開いた。 

「どうかしましたか!!」 

女医が大きな声を出し、周りが少しざわついた。 

まさかまた寝る寸前でしたとも言えず(そもそも一回目も言ってない。)、 

「あにもあいまへん」 

と間抜けな返事をして、目を閉じた。 

 

夏が終わった頃に歯医者に行くのはやめておこうと思う。 

最優秀作品賞受賞会見 がりは

  • 2018.09.18 Tuesday
  • 00:00

―本日はご多忙の中、2018年8月度最優秀作品賞受賞会見にお集まり頂きありがとうございます。私、本日司会進行を務めますハッガリーニと申します。どうぞよろしくお願いいたします。それでは早速受賞者が入場いたします。拍手をもってお迎えください。がりは選手、入場です。

(荘厳なテーマ曲とともにがりはが入場。四方のカメラに向かってポーズをゆったりと決め、着席。光り輝く二本のベルトを恭しく机に置くと、係がそれを立てて飾る。)

 

―それではまず、がりは選手より受賞のコメントを頂きたいと思います。

「いやーいやーいやー。あれ?これ何分あるの?あそう。適当ね。三か月連続でこのベルト(最優秀作品賞のベルトをポンポンとたたく)と一緒に暮らしているけどさ、なかなかいいもんだよね。腰にもピタッと来るというか。MVPの方はね、俺夏男だから。三年連続8月のMVP俺だから。今年もそうだろうと思ってた。でも最優秀の方はね。やっぱり狙って獲れるもんじゃないから。特に「おい、時事ネタだったら取れると思ってんなら時事ネタで来てみろ」って先月言っちゃったからね。そしたら時事ネタ来たじゃん、高校野球?オリンピック?いや、そうだよねー、そこ来るよねと思った。いやいやいやいや言いやがって清少納言か!と思ったよね。思わなかった?ああ、そう。それにしてもあんなに露骨に来るかね。元々俺の土俵でもないしね、うん、慣れないことはするもんじゃないと思ったけど、今回もね、無事取れてよかった。ありがとう。」

 

―それでは各社からの質問に移りたいと思います。ではそちら。

「Y社です。がりは選手、今回の勝因は何だとお考えでしょうか。」

「勝因?勝因は特にないな。わかんないよ。むしろ、皆さんに敗因を聞いた方がいいんじゃないの?聞いたら教えてよ。」

 

「U社です。今回有力なU選手やW選手やM選手やH選手が欠場していますが、そんな中獲って嬉しいですか?」

「嬉しいね、嬉しいよ。うべべなんてこのベルト丸一年以上巻いてないんでしょ?山にいさん日記で獲ったのが最後じゃない?どこが有力なの?ホワイトやマルーンやハッタリストが有力なのは間違いないよ。リングに上がってほしかったなあ。俺はいつも待ってるよ。つよーくてこわーい敵が来るの。今でも十分手強いけどね。」

 

「E社です。今回がりは選手自身はアールグレイ選手の『オリンピックいや』ではなくあえて『ちこくするのいや』に投票されていますよね。もし順当に『オリンピックいや』に入れていたら同点だったのではないですか。」

「ほう。はい、そうですねとしか言いようがありませんね。」

「なぜ『ちこくするのいや』に投票されたんですか?」

「入れたかったからですよ。」

「あなたは始め『オリンピック』に入れようとして、しかしこれが時事ネタで、しかも自作のライバルとなることを察して投票先を変えたんじゃないですか?」

「しつこい!投票に対する冒とくだ!大体どっちもお前の作品だろうが!喜べ!」

 

「I社ですが。」

「ああ、あの予想屋の。」

「そうじゃ。おかげさまでMVPと最優秀、両方本命で的中したわい!」

「良かったじゃないですか。MVPはともかく最優秀は難しかったんじゃないの?」

「わしの目にかかれば簡単じゃ。」

「ところで質問は?」

「どうして最近テーマコンテストがあんなにどうしようも」

「あーあーあーあーあーあーあーあー」

「テーマコンテストもお前と心中したせいで」

「あーあーあーあーあーあーあーあー。質問も出尽くしたようだし、そろそろ締めましょうか。」

 

―それではがりは選手、最後にファンの皆さんにメッセージをどうぞ。

「今回、これをお読みくださっている皆さん、ありがとうございます。今月も熾烈な争いが繰り広げられています。富士山だ連絡網だチッキンチッキンチッキンだ、良いのがたくさん出てきてます。そんな中このがりはが前人未踏の四連覇を達成しちゃうのか、それともできないのか、答えはもちろんトランキーロ!!てことで。是非これからも毎日欠かさず、朝昼晩と雑兵日記PREMIERご覧になってください。それではまたお目にかかりましょう。アディオス!!」

―退場するがりは選手に大きな拍手をお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。

 

 

 

 

 

タイトルマッチ後リング上でのコメント  がりは

  • 2018.09.16 Sunday
  • 00:00

ちょっとさ、インタビューに入る前にさ、みんなに謝っておきたいことがあるんだよ。

みんなが別に俺の優勝を望んでなかったのは知ってるよ。

こんな終わり方でごめんなさいね。

ただ、プリミエールをご覧くださって、本当にありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

 

会場、一瞬水を打ったように静まりかえるがブーイングと歓声の嵐。

「大坂なおみのパクリじゃねえか!!」

「がりはが好きー!」

「なになに、なにがあったのー?」

「がりはやめないでー!!」

「が!り!は!!が!り!は!!」

 

このベルト巻くのも今年四回目だね。

MVPって毎回毎回獲るのがしんどいから、俺何でこれを目指してるんだろうって気持ちになる時もあるよ。

たりきが毎度当たらない予想を毎週書いてるじゃん、Indigoも毎月定型の予想と振り返りに毎回手を変え品を変えアラカルトを出してきている。

ブッキーも連載100回超えてる。

アールも8月はいやいや言いながらタイトル8文字みたいな奇妙な縛りで頑張ってる。

しんどいよね。

(会場笑い)

なんか濃すぎるというか、ギトギトしてて。

豚骨の名店から餃子の王将まで揃っちゃってる。

みんなおいしいんだよ。

じゃあどうやったら勝てるの?

 

今回の投票、みんな何となく俺に入れてくれてるのよ。

総合的に、て感じで。

結局は、みたいな。

わかる、わっかりますわっかります。

抹茶アイス的なさわやかさが欲しくなっちゃったんでしょ?

 

実は執筆陣の夏バテに備えて、7月30日までに2本、8月10日までにさらに3本、相談室をストックしていたんだ。

不測の事態に備えてね。

8月でストックを一掃することができたよ。

ははは。

その辺の陰で積んでた徳みたいなことが今回評価されたのかな、あとは俺のさわやかさね。

みんな陰徳を積めよ!!

作品ストックしてね!!

 

作品を一つ一つ振り返ってもいいけど、ベストコメントの方に移ろうか。

今回の俺の勝因は何度も言うけどさわやかさと本数(種類)だった。

中でも明るい悩み相談室PREMIERで6本書いているから、もう今回は相談室様様なんだよ。

でも相談室ってあんなに書いているのに全然票が取れないんだ。

どう思われますか?

 

相談室がかわいそうだよね。

だから、今回のベストコメントは相談室に票を入れてくれた「ラッコ」さんに捧げたいと思います。

最後の設問に対するコメントを読んだけど、もしかするとラッコさん、停電してた地域にいらっしゃるんじゃないのかな。

まずはご安全に、早く元の生活に戻れますように。

それにPREMIERがほんの少しでもお役に立てますように。

 

みんなももう一度防災グッズや緊急避難場所確認してね!九月だしね。

我々、雑兵日記PREMIERは「いつもそこにあるもの」としてこれからも続けていきます!

それでは、これを読んでくれた皆さん、

愛してまーす!!!

(全員でこぶしを突き上げ大合唱!)

物は言いよう  がりは

  • 2018.09.12 Wednesday
  • 18:43

世の中にはBIG5と呼ばれる会社があり、マイクロソフト、グーグル、アマゾン、アップル、フェースブックがそれにあたるという。

彼らはこぞって「AIスピーカー」を開発し、廉価でそれをばらまいている。

みんな「安くて面白いものが手に入ったねえ。」と喜んでいる、もしくは「思ったより面白くないがまあこれくらいの金額ならつまんない飲み会一回分だから許せる。」と納得しているのではないか。

うちの三歳の子もFireStickに向かって「どうが!しまじろう!」などと命令して、しまじろう動画を見ているし、八歳の子はポケモンウルトラサンをやりながら「オッケーグーグル、〇〇、進化、方法」などと呪文を唱えている。

へえ、嫌な世の中だ、と思うのだが、しゃべるのでAIスピーカーだ、とBIG5が言い張るあの物体は、使い方からわかるように実はマイクが備わっており、四六時中集音したデータを本部に送って分析し、それをサービスに生かしているんだと。

もしかすると、アマゾンなんかは配達時に不在で受け取ってもらえないことで流通コストがかさむという課題を、集音したデータを活用して(まさか直接活用してはないと思うけど!)在宅可能性が高い時間を運送会社にサジェストすることで解決してたりするんじゃないだろうか。

もし、AIスピーカーではなくAIマイクだったりフォンだったりしたらこれだけ普及したかどうか。

物は言いようですね。

 

一流ホテルの宴会場で働いていた頃。

駆け出しの俺はシャンパンを注いで回る際に、グラスから溢れさせてしまった。

そこで一言。

「お客さま、幸せがあふれております!」

するとお客様は九州男児だったようで

「よう言うた!飲みんさい!!」

と卓上のコップにビールを注いで俺に差し出し、仕事中だから飲めないですと言う俺に「というのは他のお客様の場合です!」などと仕掛けてき、飲み干した俺に「飲みっぷりが気に入った!!」と一万円のチップをくれた。

いやー、物は言いようですね。

 

全然、関係ない話だが、甲子園をテレビで観ていて、試合開始直後に息子がこんなことを。

「あの、いやーーーーーーーーーんていうのは誰が言ってるのかなあ。」

 

サイレンが「いやーーーーーーーーーん」という悲鳴に聞こえたらしい。

暑いからね、みんな好きで観てるわけでも、好きで野球してるわけでもないかもね、でも表立って言えないそんな気持ちを代弁してるのかもね、と。

【テーマ】宇多田ヒカルと俺 がりは

  • 2018.08.31 Friday
  • 22:40

昔のクラスメイトでどうしてもわかりあえなかった、触れようともしなかった人と年を取ってばったり会ってものすごく話が弾むことがある。

宇多田ヒカルのことについてはアマプロ問わず多くの人が言及しており、曲の特徴、歌詞の特徴、歌い方がどうだ、生い立ちがどうだ、帰国子女というかアメリカ産だ、紀里谷とどうだ、ブラックミュージックがどうだ、すごい奴らを引き立ててどうだ、声がどうだ。
そんなことは俺は知らない。
宇多田は歌が抜群にうまくて、面白い声をして、コスプレ好きの、なんか帰国子女に共通した(完全に偏見です)
圧を持った人、という印象で、好きな曲と言えばtravelingであり、まあなんかすごいけどそっちはそっちで頑張ってよ、という存在だった。
そのうち活動休止し、とは言え生きてるんでしょ?何を大げさな、と思うくらいの距離感。

しばらく宇多田ヒカルを見なくて、千葉の山の中を営業車で走っている時にカーラジオからすごい曲が流れてきてなんだなんだ今の曲誰の歌だよ、ねえDJ鬼丸もう一度曲名教えてくれよ!と焦った。
そう、焦った。
初めての曲を聴いてその曲をもう一度聴きたくてその機会を逃すかもしれないと焦ったのは久しぶりだった。
鬼丸さんはそれを教えてくれず、他愛もないトークに流れてしまい、俺はさっき聞いた曲の断片を必死に反芻した。
「なあ、今のウタダか?」
「そう、ですか?」
それまでウタダに持っていたどこか自分とは違う人という感じがなく、優しくて力んでいなくて、すうっと包み込んでくれるような。
反芻している間も器用な後輩は運転を続けながら話しかけて来ており、俺はそれをぎりぎり成立するくらいの相槌で返しながら、夕焼けきれいだな、とウタダらしき歌声の余韻を甘噛みしていた。

そのあと、宇多田ヒカルが六年ぶりにアルバムを出すことがわかり、やはりあの曲は宇多田のものだったのだが、後輩にほら!と言ってもわかってもらえず。
CDを買うことはほとんどなくなったのだが、数年ぶりに買って、宇多田好きの妻にプレゼントした。
俺のプレゼントは(要望に応えてなされるもの以外)あまりドンピシャで喜んでもらえることがないのだが(大体体勢不利の状態から繰り出されるアッパーみたいなもんです。)、これは気に入ってもらえた。
家に帰ると宇多田がかかっていることが多く気分が良い。
様々な要素をテンコ盛りにした彼女のアルバムは様々なことをダイソンのように吸収し続けている二人の子供にとっても良い体験になるんじゃないかと。

二年くらいたって、やっぱり千葉の山奥を走っている時に、やっぱり鬼丸さんのラジオから幽霊みたいな声が聞こえた。
かそけき声、この世なのかどうかわからないところから歌っているような気がして、これはなんだ!!とゾゾゾとした。
初恋だった。
その後続けて「あぁなぁあーたああのおおお」と力強い声で「あなた」が流れ、ほとほと感心してしまった。
やられてしまったので、またCDを買った。
前回よりもさらに優しさを増した彼女のアルバムはまたもやお気に入りになった。
宇多田ヒカルのことがわかるようになったというか、宇多田ヒカルがこっちのことをわかるようになったというか。
俺もいろいろあるけど、君もいろいろあるのね、わかるよ、そんな感じ。
 

最優秀作品賞決定試合後の出来事 がりは

  • 2018.08.25 Saturday
  • 20:17

「真夏の祭典P CLIMAX2018、勝ったのは誰ですかー!!!」

が!り!は!が!り!は!

会場から大きながりはコール。

「Mr.Indigoの化け物のような長編、Mr.マルーンの美しい写真付きの中編、全部食らってそれでも最後まで立っていたのは誰ですかー!!!」

が!り!は!が!り!は!

会場から大きながりはコール。

「そう、勝ったのはいつ何時どんなに切羽詰まっても何かひねり出してくるこの男!早いのは手だけじゃない、仕事も早いこの男!がりはの技が決まればどんな相手もJUST!TAP!OUT!」

「もういいよー。」

会場から笑い。

「やりづらいから後は俺がしゃべる。ありがとう、どうぞお帰りを。」

「こういうのが好きだと思ってやってやったのに。お前のことなどもう知らん。」

アンモニア・クッサイーニ氏がロープをくぐり、花道を両手を挙げながらリングを後にした。

「彼も悪い奴じゃないんだ。」

 

がりはが笑いをとる。

 

「今回さ、正直みんな、さすがにインディゴ三冠いっちゃったと思ったでしょ?俺もそう思っていた。でもさー、それって最もおいしいシチュエーションなんじゃないの、て気付いたよね。心底ほしいものがかなっちゃいそうな時、人間だれしも怖くなるんじゃない?昔「兼好 がりはという作品で書いた通りだよ。この夏ケニー・オメガもSANADAもその気持ちには勝てなくて大きなものを失った。Indigoも昔のようにしゃにむに自分に投票すべきだったのかもしれない。でも彼はそれをしなかった。俺は彼のその部分を評価していますよ。おかげである意味最高においしくなったよ。グラシアス。もちろん彼が自分に一票を投じたとしても、最後に勝っていたのは俺だろうけどね。」

 

「6月がワールドカップ、今回が被災の話で時事ネタを書いて連覇というのはやっぱり寂しい感じはあるよね。力を評価されたんじゃなくて、ネタのインパクトなんじゃないの?て。でーもーさー、そう思うならそれ、やってみればいいじゃん。それで獲れるのかって。」

 

調子に乗ってしゃべり続けるがりはの背後、サードロープの下を腹ばいでくぐり、すくっと立った黒い影。

右足が円弧を描き、がりはの延髄を捉えた。

何が起きたかわからないままがりはは昏倒。

 

マイクを拾い、がりはの頭を踏みにじりながら黒い影が叫ぶ。

「最優秀作品賞おめでとうございまあああす!!!」

 

どよめく会場。

マイクをマットに叩きつけた黒い影は、空間をペンライトのようなもので縦に切り裂き、その割れ目を通ってどこかに消えてしまった。

 

がりははまだぴくりともしない。

防衛ロードは厳しいものになりそうだ。

 

 

 

教育 がりは

  • 2018.08.24 Friday
  • 00:00

大学にいた頃、三回生の三月くらいからゼミに来ない学生がいて、理由を聞くと就活です、と答える。

しゃーしゃー、と音がしそうなすまし顔で。

いやいや、週一のゼミぐらい来いよ、と思うのだが。

早い人はもっと早くから就活していることを会社に入ってから俺は知ったのだが、三年の八月くらいから長いと四年の八月九月くらいまで就活している。

勉強せえ、と思うのだけどいかがでしょう。

 

高校にいた頃、高三の夏から受験勉強に勤しみ、文化祭やら化学のレポートやらという類の時間はかかるわ受験に貢献しないわというイベントを敬遠する集団がいた。

俺は高三の時が人生で一番忙しいんじゃないかと思うくらい(無論今のほうが何倍も忙しいのだが。)全力でいろいろやっていたように思う。

高三の夏は一度しかないんだぞ!と青臭いことも言った。

彼らの胸には一切響かなかった。

分かり合えねえな、高校にいる時くらい高校生しろ馬鹿と思ってたら高校卒業して、彼らの中の一人(女子)からお手紙を頂いた。

そこには

「去年がりは君に何で地理の勉強をさぼるのかを問われて、受験の科目にないからと答えたけれどそれが引っかかっており、あなたが言っていたことが正しかったと思う。気づかせてくれてグラシャス。アディオス。」

と書いてあった。

彼女はもちろん現役で大学に行き、俺は代ゼミの津田沼校で高校四年目を送っていた。

表とか裏とか慎重に点検したのだけれど、好きとか付き合ってとかは書いていなかった。

もしかしたらあぶり出しだったのかもしれない。

ブラックライトもあてなかった。

愚かだったな。

 

そんな話はどうでも良い。

大学にしても、高校にしてもその中にいる時間のうち少なくない時間を、次のステップに行くための選考やその準備に充てて、それが当たり前になっているのは大きな損失なのではないかと俺は考える。

採用活動で会う学生の中には大学三年生からインターンでタダ働きさせられ、貴重な経験をさせていただきました(させていただく、て気持ちの悪い日本語!)などと言っている。

いやいや、貴重な経験は大学でせえよ、と俺は言うのだけれど。

自分の今いる場をしっかり照らせなくて次にいけるのかね、とも思うし。

教育機関にいるうちはちゃんと勉強してほしいし、大学や高校でしかできないことを経験してほしい。

 

ということで、大学入試は高校を卒業した年の7月に行い、10月入学。

大学は9月卒業になるので、それからの半年間で就職活動とする。

それぞれ卒業要件を厳しくして、青田買いを抑制する。

入学、入社要件を緩くして、試験のコストを下げる。

というようなことをやりませんかね。

みんなもっと大学や高校で学ぶことを大切にすると思うし、大学や高校の側も自分たちが与える価値に自覚的になるのではないかと思うのです。

 

早くから働くのが好きなら高校出てすぐ働けばいいと思うのです。

バイトでの経験を就職活動で語るのなら、大学いかなくていいじゃないかと思うのです。

なので採用の面接官をするときには

「大学で学んだ概念の中で一番感銘を受けたものについて説明してくれ。」

と聞いたりしていたのだが、そういう選考が一般的にならないかなあ。

 

こどもが減っていく中で一人一人を丁寧に育てていく方向に社会はシフトしていっているのだから、教育からの出口の部分についてもその方針でお願いしたいものです。

ルールとかとか がりは

  • 2018.08.12 Sunday
  • 20:00

こんな文章を書いてもらいました。

ルールとか ハッタリスト

 

2006年W杯決勝のフランスーイタリア戦が延長後半に入ったところで、フランス代表のジダンがマテラッツィに対し頭突きを行い、もちろんジダンは即退場、その影響もあってフランスは敗退したという出来事があった。

ジダンはこの試合で引退した。

ジダンはアルジェリアからの移民であり、フランス代表は今夏のワールドカップでも取り沙汰されたように移民が多く、議論の対象になることも多い。

マテラッツィが何事かを何度も囁いてジダンが激高、頭突きという流れは見て取れるのですが、何を話したかは闇の中。

ただ、互いに人種差別的な発言ではないことは認めており、ジダン曰く「母と姉に対する侮辱」、マテラッツィ曰く「Preferisco la puttana di tua sorella.」(お前の姉妹より娼婦の方がいい)という内容だった模様。

これは問題が起きた後三年くらい経ってわかったことで、直後は「(あのジダンがあんなに怒ったのだから)人種差別的な発言だったに違いない」という論調で語られていた。

 

発言内容の是非は言うまでもない。

私からすれば、口で言われたことを暴力で返していいのはプロレスの中だけなのでジダンの行為も言語道断。

制裁を加えるならすぐに審判にアピールをするべき。

実際にそうした選手がおり(黒人選手でした。)、選手が差別発言をした場合はもちろん、ファンがツイッターで選手に対して差別発言をした場合も厳罰が課せられている。

日本でも浦和レッズでそのような事件が起こり、処罰されている。

ジダンがそうしなかったのは興奮していたのもあるが、自分の側に大義がないことを彼自身もわかっていたからではないかと思う。

で、あるならばやはりあの頭突きは愚行だ。

 

サッカーの世界に限らず接触プレーのあるスポーツでこの手のトラッシュトークは付き物で、今までジダンが出会ってこなかったというならかなり不思議なことだ。

ジダンは当時世界最高のプレイヤーの一人で、相手からすれば何をしてでも止めたい選手。

審判に見えないところで肘を入れる、ふくらはぎを蹴るといった「削る」という行為はもちろん、反則を取られてでも嫌がらせをして少しでも実力を出せないように対策をしなくてはならない相手。

物理攻撃ではなく、言葉で揺さぶって相手が動揺する、もしくはプレーに関係なく暴力に訴えかけて「くれて」、退場してくれるなら喜んで嫌がらせの言葉をかける選手はいる。

(バスケの神様と呼ばれたマイケル・ジョーダンもこの手の嫌がらせの上級者だったそうだ。)

この手の嫌がらせに負けているようでは世界最高の選手というレベルには到底到達しないはずで、なぜW杯決勝、そして自分の引退試合で頭突きをしたのか、理解に苦しむ。

 

ハッタリストの意見はジダンやベッカムに限ったものではなく、一般について話していたものなので一般論で返すと、こんな感じか。

1.言葉で投げかけられた悪意については言葉で返すのが原則だと思う

2.投げかけられたら暴力で返さなくてはならないようなルールに従って生きているのであれば徹底的にやるべきだと思う

3.サッカーに思い入れがない人がワールドカップの決勝には出てこれないだろうから、サッカーで勝利することより重たい価値観はそこにはないのではないかと思う

4.サッカーの価値観からするとあの行為は愚行。ひどいことを言われたのなら相手に警告を出させるくらいのことはできたはず

5.すごく一般化されると傲慢かもしれないが、ことサッカーを語る文脈でジダンとベッカムを例に引いて書いたあの一文が傲慢だとは思わない

6.ここに書いたようなことが前提になっているあの一文について意見を表明してくれてありがとう。傲慢かもしれないと気を付けて書くようにする。他人を理解できるなんて幻想だもんね

 

 

【テーマ】24くらいでちょうどいい  がりは

  • 2018.07.31 Tuesday
  • 22:55

副業でコミュニケーションを生業にしている会社で働いている。

そのせいかこの年になってコミュニケーションをテーマに話す機会が時々ある。

ありがたいことである。

対象は子どもから大人まで幅広い。

大人も社内、社外、偉い人、そうでもない人、派手な人、地味な人、みんなー、みんなー、ありがとう、いえー。


コミュニケーションとは交換であると誰かが言っていて、ほな交換て言えや、新しい言葉作るな紛らわしい、と思うんだけど、人間は飽きやすいし忘れやすいし人のいうこと聞かないので、似たような概念を違う言葉で呼びがち。交換というとギブテクとか言う人がいて、そういう人が苦手。そういう人はすぐコスパとか言いがち。苦手。交換の概念がせまいよね、なぜ等価を前提にするのか。


コミュニケーションとは絆であると誰かが言っていて、〇〇とは絆である、てどんだけ搾り尽くされた表現なのかについて思わず想いを馳せた。つなぐ、とかね。いやー、言うよね。3月のライオンで絆でがんじがらめになるベテランが描かれていたけれど、ああいう側面もある。きれいに便利に使われている言葉を見ると少し汚してやりたくなるのは俺が天の邪鬼だからだね。


コミュニケーションとはプロレスである、と誰かが言っててそれはさすがに話が逆、秋元康が頻発する秋元話法だろうと、もちろんプロレスがコミュニケーションの一つの形だろうと思う。棋は対話なりと言うわけで、対話は棋とは限らん。


コミュニケーションというのは贈与であると誰かが言ってて、俺はそれはええやんか君なかなか話がわかるなあ、と思うんだけど、それはなぜかというとプレゼントは見返りを求めないし、喜ぶかどうかは相手に委ねるから。わかんないよね、そうだろうそうだろう。こっちが伝えたいことがすぐに相手に伝わることなんて稀、伝わっても何年か経ってたなんてザラ。できれば届いてほしいと祈りながら差し出すのがコミュニケーションのあり方なのだろうと思うから。


12345678910と俺が話しても246810と酌み取られるならいい方、24くらいが妥当な目標だろう、それ以上はきっとお腹いっぱいになっちゃう。12345678910と伝わるなんて気持ち悪い、いろんな組み合わせで何かを持って帰ってもらい、それがいい感じで発酵して、他の素敵なものがいつか全然違う形で世の中に還って、その恩恵をちょっと受けられたらいいな、と思う。



一夜明け会見  がりは

  • 2018.07.23 Monday
  • 23:34

ー本日はご多忙の中お集まりいただきありがとうござます。ただいまから2018年6月度MVP及び最優秀作品賞を獲得したがりは選手の一夜明け会見を始めます。

がりは選手入場。

 

(上下白のスーツにボルドーのシャツ、ベルトを二本肩にかけたがりはが部屋に入ってくる。大きなサングラスが目立つ。正面に立ち、部屋の隅々まで見渡した後着席する。ベルトをスタッフが預かり、がりはの前に立てて置く。)

 

ーそれでは始めたいと思います。がりは選手、まずは先月の戦いを振り返って一言いただけますか?

「チャンピオンのがりはです。先月の戦いを振り返って?お客様の満足度の調査で、ちょー気持ちいいが1票でした。ファンのみなさんのお声を大切にする私としては非常に心を痛めています。」

 

ーたしかに、ちょー気持ちいいが1、よかったと思うが6、ふつーが7、だめじゃーが1でした。

「インパクトがない、というのが大きいですよね。そして書いているメンバーが少ない人数で決まっていると。確かに6か月連続最多投稿のたりき、毎週火曜は外さないIndigo、鉄の海連載中のヤマブキに俺、隙が無いシステムだよね。企画物、連載物を持っていると書きやすい反面どうしてもマンネリ化してきてしまうので、そこの中でどうもがいていくのか、いかに裏切り、いかに満たしていくかというのが個としては大きなテーマになる。また、PREMIER全体としてはもう少し多様化を図っていくことで満足度を上げていけるのではないか。その辺は統括本部が動いていると思うが俺もリングの上から呼びかけていくつもり。」

 

ーまっすぐなコメントありがとうございます。ここからは各社からの質問を受けたいと思います。ではまずそちらの女性から。

(E社)6月を振り返って印象に残った作品をいくつか挙げて、コメントを頂けますか。

「いくつか?俺が投票したもの以外でいくと、「中央区vs中区」「やまがある日記」「iron sea」の三本かな。Indigoの作品はいつもち密に調べてあるし、構想も手間暇かかっていてすごいとおもうよ。この作品はオチが最高だった。こうも暑いと避暑に行きたくなるがマルーンの作品、特に写真はチルアウトしてくれるよね。感情を押し付けてこないのもいいよ。iron seaは逆に長期連載中の著者が心情を吐露するのだけど、それもまたいいよね。アールのテーマ以外の二本も面白かったよ。これらを俺はそっと推すよ。」

(E社)ありがとうございます!!

「なんだでっかい声出して。次の質問ある?」

(Y社)どうして精確な文章を心がけないんですか?それがカッコいいとおもってるんですか?

「ほう。面白いこというね。俺も書きてえなあと思っている。選手寿命を延ばすためには真っすぐを鍛えろと山本昌も言ってた。半年くらいでモデルチェンジするから待ってろよ。」

(Y社)それがカッコいいとおもってるんですか?という問いについてはどうですか?

「答えはもちろんトランキーロだよ。がりはのどこがカッコいいのか、まあそれは皆さん、考えてみてください。他!」

(M社)なんのために書いてるんですか?

「もちろん、あなたのためですよ。ほかに何がある?」

(M社)・・・・・

「次!」

(I社)今回の投票全体を見て何か思うことは?

「質問が粗いね!今回MVPをがりはに、最優秀作品を頑張れ日本代表に入れた人が四人いる。ブッキーとIndigoとたりきとながともだ。ありがとう。Indigoに至ってはテーマまで俺だ。ありがとうありがとう。この四人には特に感謝している。さらに、システムを形成している四人のうち三人が俺を支持しているんだからそりゃ俺も二冠になるわなあと思った。」

(I社)テーマが取れなかった理由をどう考えていますか?

「失敬だな!!ノーコメント!!次!!」

(X社)そろそろベストコメント選んだらどうですか?

「お、もうそんな時間?これは決めてあるんだよ。今回はハッタリスト!!」

(X社)何でですか!出来レースですか!

「テーマの投票のコメントがよかったよ。アールの作品世界にハッタリストが紛れ込んでも違和感がない感じがして、今回のコメントで一番「絵」が見えた気がした。」

ーこれでハッタリストさんは連覇達成です。

「連覇の副賞としてさ、三連覇への挑戦権とテーマコンテストへの参戦権を差し上げますよ。また、この夏の暑さに負けないように命燃やしていこう。」

 

ー以上を持ちまして一夜記者会見を終了いたします。ありがとうございました。

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