P国女王のスピーチ  Mr.アールグレイ

  • 2018.06.22 Friday
  • 00:00

アールグレイです。
こんばんは。
この度は最優秀作品賞という素敵な賞を頂き、ありがとうございます。
連覇する予定でしたので一ヵ月間が空いたのは残念ですが、女王に返り咲くことができて素直に嬉しいです。
半数の方の票をいただき、二着に五票差というのは本当に信じられません。
ありがとうございます。
これから半年くらい防衛したいのです。
テーマの睡眠で一発逆転を狙いたいと思います。(まだ準備できていませんけど。)

私といたしましては「こいのぼり」の方が面白く書けましたので、おかあさんに票が集まったのは意外でした。
イエローさんのHSPの話、がりはさんの相談室、Indigoさんのうんちく、ヤマブキさんのショートショートと評価すべきものが多くあったのに、です。
「おかあさん」はテーマが重いので、確かに今月他の作品で重いテーマを扱っているのは「鉄の海」だけですし、投票していただきやすかったのかなと思います。
感動は感情の一形式だと確かホワイトさんが書いてらしたと思うのですが、重いテーマは感情を揺さぶりやすいのだと思います。

母の日をテーマに書きたいなと思っていて、書き出しをいくつかぐるぐると書いていたのですが、今一つ決まりませんでした。
海を見に行くことを決めて、それを冒頭に持ってきて書き始めました。
あとはだだだだだだと書けたのですが、途中で海に行ってはいけない気がしてきて、冒頭を削りました。
ずるんと小説の世界の中に入って、息がもつ限り書いていく感覚でした。
気持ちが入って書いていると、涙がキーボードに垂れてきました。

説明的な部分をぎりぎりまで削りました。
私の今の肺活量ではあれが限界でした。
葉山さんやヤマブキさんはどんな肺をしているのか想像もつきません。


どの票もありがたいですがPREMIERの小説家達からの評価が特に嬉しかったです。
マルーンさんとハッタリストさんの票が頂ければ言うことなかったのですが、私にとっては伸びしろでしかありません。
次はもっと良いものを書こうと思います。
ちなみに父も母も千葉の片田舎で楽しく暮らしておりますし、私に弟はいません。
そんな説明は蛇足かもしれませんが、Indigoさんのために。
(さらに加えるなら、小説はこれだけではありません。)

なんか、どうでもいい話になっちゃいましたね。
サッカーが面白いという話を聞き、時間が許す限りワールドカップの試合を観ることにしています。
メキシコとドイツ、アイスランドとアルゼンチンの試合が面白かったです。
細かい話はわかりません。
解説を聞いていても混乱するばかりなのでミュートして観ています。
それでも上記の二試合は素人の私にもお互いの主張がわかるような、何がしたいのかわかるような気がしました。
ドイツの人たちが後半の途中くらいから「こんなはずじゃなかったのに!」とイライラしているのが伝わりました。

私も部分を読んでもよくわからないのだけれど、全体を読むと何か伝わるものがあるような小説を書いていきたいです。

 

最後に。
PREMIERの読者の皆さんの中には、もちろん作家の皆さんの中にも、今回の震災でダメージを受けている方がいらっしゃると思います。(私も友人が高槻に住んでいて、心を痛めています。)
とにかく身の回りを片付けていく、少しずつアジャストする、しんどい時にしんどいなあとちゃんとため息をつく、ということを私は東日本大震災から学びました。
元に戻ることを目指すと大変だと思います。
早く心安らかな生活が送れることをお祈りしております。

じめじめあめ  Mr.アールグレイ

  • 2018.06.08 Friday
  • 08:27

六月です。
お気に入りの傘、お気に入りのレインブーツ、お気に入りのレインウェアはもうご準備されましたか?
うっとうしい雨のシーズンでもオキニを身につけて気分を上げていきましょう。
と薄っぺらい言葉でスタートしましたが、身を守る装備としてお気に入りの物というのはかなり有効だと思います。
男性だとレインブーツはちょっと、という方も多いでしょうがハイカットのショートブーツを一つ持っているだけで雨の日が怖くなくなったとおっしゃる方もいらっしゃいますよ。
履くのは大変だそうですけれど。
女性向けはかなり色々出ていて目移りします。
バックリボンが付いてるのはやりすぎ?でも黒なら許される?カーキの武骨なのがむしろ潔いか。潔さでいけばパッションレッドの膝まであるようなやつをいっちゃうか。
結局こげ茶でシルバーのラインが膝下に入る無難なもの。

仕入れの担当として傘を扱っていた頃、傘を作る職人さんのところに伺ってお茶をごちそうになった時に
「僕は雨が嫌いなんですよ。でもね、僕が作った傘を広げて誰かがこの空の下を歩いていると思うとなんだか許せる。」
と話されていたのがとても印象的でした。
許せる、というのはいいですね。
私はそんなに雨が嫌いではありません。
傘は好きでないので(私のサイズにちょうど合う傘がなかなかありません。畳んで持っている時にかっこ悪く思えるのです。)、よほどの雨でなければ傘は差しません。
ちょっとしたものを雨除けにしてしのいでしまいます。
新聞とか。
目的を果たしたあと捨てられますしね。
それでもそんな装備では太刀打ちできない雨用にお気に入りの傘を持っています。
私の力不足で仕入れることができなかったその職人さんの傘。
軽くて強くて大きくて、持ち手が私の手にすっとなじむ形になっています。
隅々まで行き届いた茶席に招かれたような背筋の伸びる思いと、何をしていても大丈夫という安心感が私を包みます。
物を持っているだけで感じられる承認感というか。
なぜそんな素晴らしいものを普段から使わないのか。
私は忘れ物をしない性質なのですが、初めてその方から買った傘を買ったその日に電車に忘れてしまったのです。
電車を降りて、ドアがしまった瞬間に気づきました。
電車が動き出す前にぷしゅー、と言いました。
私はドアに突進して開けて!と叫びました。
電車は走り出しました。
窓から傘が見えました。
特別な傘に見えました。
探せど探せど出てきませんでした。
職人さんに謝りに行きました。
仕入れたいという気持ちもあったのですが、それとは別に謝らなければならないと思ったのです。
職人さんは何でもない、むしろありがたいとおっしゃり、持って行った人は僕の傘を気に入ってくれたのだからと許してくれました。
そして今できたとこ、と言って干してあった傘を授けてくれたのです。
お代はどうしても受け取っていただけず、社内報にお店の記事を出すことでささやかながらお返しをしました。
(社内報を書いている同期においしい食事をおごりました。)
さすがにもうなくすわけにもいきませんので、雨がしっかり降ってて、一日それが続くような日でないと持って行かないことにしています。
もう電車に乗る機会も多くないので、万が一忘れても取り返しがつきそうではあるのですが、忘れた時に感じた絶望の手触りは忘れられません。

さつきばれ  Mr.アールグレイ

  • 2018.05.25 Friday
  • 01:58

プリミエールを書くようになって広辞苑を引くようになりました。

今日も引いています。

ちなみに第七版、買いました。

大学、大学院ではLongmanと仲良くしていましたので、高校の生物の時間以来ですが(戸坂潤の「生物学論」を三か月首っ引きで読みました。)やはり引き始めると楽しいです。

今日は五月晴れを調べました。

サッカーがア式蹴球と呼ばれていると書いてあります。

イングランドで生まれたサッカーがア式なら今話題のアメリカンフットボールはどうなるのでしょうか。

・・・米国式蹴球だそうです。

サッカーはアソシエーションフットボールだそうで、なんだか複雑ですね。

サッカーが一段目にあり、二段目にはサッカレーがあります。

イギリスの作家でディケンズと並ぶ小説家だそうです。

並んでいる割に私は存じ上げないですが、広辞苑に書かれると私が無知である気がします。

二段目から三段目にかけて「さつき」の欄があります。

さつき○○がずっと並んでいて始めが「さつきあめ」。

さみだれのこと。

さみだれは梅雨のこと。

また梅雨時の雨のように途切れがちに繰り返すこと。

最近は梅雨時の雨もスコールみたいな降り方をすることが増えてきました。

 

五月雨をあつめて早し最上川

 

私は梅雨時のしとしと降る雨が黙々と集まって最上川が増水している、波立つほどではないがよく見るとすごい勢いである、という動きはあるけれど静かな句であると解釈していました。

今の小学生は囂々と流れる濁流を想像するのかもしれません。

濁流が音を立てて流れるのは私にとっては与謝野蕪村のこの句の方なのですが。

 

五月雨や大河を前に家二軒

 

五月雨ですみません。

会社のメールでよく見る表現ですが、梅雨時の雨をあまり想起することはありませんでした。

五月雨でちょこちょことお願いを送ってくるのはまだ許せますが(イラっとしますけどね。)、五月雨でズザー、ズザーっと送ってこられたらスコールのように怒ってしまいそうです。

 

さて、五月晴れです。

私は気持ちよく晴れて、風さわやかというような日和の意味で使っていました。

しかし広辞苑に載っている一番目の意味は「梅雨の晴れ間」です。

まさかの引き算でした。

空から梅雨を引いた答えでした。

二番目が「五月の空の晴れわたること」だそうです。

二番目の方は誤用が広まったパターンでしょうか。

 

さつきばれの日の喜びを書こうと思ったのですが、なかなかたどり着きませんでした。

ちなみにそのページの四段目には「ザック」があって、マルーンさんのことを思い出したのでした。

Wikipediaを覗いたらまた面白いことが書いてあったのですが、きりがないのでこの辺で。

てぶらぶら  Mr.アールグレイ

  • 2018.05.18 Friday
  • 23:24

この季節は朝と夜が涼しくて最高です。

この度思い立って、手ぶらで通勤できるように職場のアメニティを充実させることにしました。

元々徒歩通勤ですし、食事は電子決済できるところをいくつか確保しています。

飲み物は総務にお願いしてドリンクバーを設置してもらったので心配ありません。

フォーマルシューズと麻のジャケットは置いてあるので、かなりラフな格好で歩いてこれます。

重い鞄からの解放感たるや。

私は気が付くと本当に鞄が重くなるという深刻な病を抱えています。

上から振り下ろせば鈍器のようなものになるくらいの重さです。

何が入っているか?

秘密です。

本は大体三冊入っています。

鞄が重くてもやまがあるが山に登る時のように体の左右に均等に重さがかかるリュックなどを用いればまだ体への負荷は小さいと思うのですが、四十歳になろうとしているビジネスパーソンに似合うリュックはなかなかありません。

IT企業で働くエンジニアだったり、大学の先生などはあると思うのですが、アパレルの企画で働いているとまずお目にかかりません。

そうするとどうしても片手で持つ、肩にかけることになり、骨盤が歪み、バランスをとるために背骨が曲がります。

いくら私がストレッチとお祈りを欠かさないと言っても体に負担が蓄積していきます。

 

働いていて体を悪くするなんて馬鹿らしいとは思うのですが、鞄を重くすることはなかなかやめられませんでした。

仕事の資料を持って帰ったり。

帰りに寄るかもしれない喫茶店で読むための本をしのばせたり。

ペットボトルのお水を持っていたり。

分厚い手帳を買ったり。

化粧は薄い方ですが(アールグレイというマスクは分厚いですけれど。)それでも最低限ありたい自分であるための用意はあります。

さらに最近ではアールグレイとして活動するためにポメラを連れて行ったり。

鞄もなるべくたくさん入って、しかもごつごつしていないものを見ると買っていた時期がありました。

鞄自体が重いんですよ既に。

 

一つ一つを手放そうとして、その戦いには常に敗北してきました。

気が付いたら入っていました。

ある日気が付きました。

会社に鞄ごと忘れて家に帰ったのですが、しばらく気づかなかったことに。

自宅はキーレスですし、会社はICカードと指紋で入れます。

ICカードだけ首から下げて、手にスマートフォンがあれば何とかなってしまうのです。

とはいえ、鞄をいきなりなくすのは大変なので、二週間かけて用意して最近は手ぶらです。

この時期、腕を伸ばして手をパーにして大きく振って歩くのはとても気持ち良いです。

是非お試しを。

最高の季節なので。

おかあさん  Mr.アールグレイ

  • 2018.05.11 Friday
  • 00:00

母の日にお墓参りするようになったのは五年前のことです。

 

母が亡くなったのは八年前ですが、三年間は情けないことにお墓に行くことを受け入れられずにいました。
今までお仕事で関わりのある方のご不幸にはいくつもあっていて(幸せにも同じくらいの数めぐりあっていますけれど。)、私はある程度慣れているつもりでいました。
母はお医者さんにかかった時にすでに余命が幾ばくも無いという状態でした。
末期の肺がんで生きているのが不思議だと言われました。
心安くなった看護師さんが「ほとんど癌が人の形をしているようなものよ。」と言ってくれました。
書いてみるときつい表現ですが、その時はなんとも頼もしく感じました。

 

母はその死の淵から半年間家族に時間をくれました。
元々年齢よりも随分若く見られることが多かった母は、病院に入ってから急激に老け込み、白髪がみるみるうちに増え、頬はこけ、しわが増えました。
だから病院に来るのは嫌だと言ったのよ、と冗談のように言うのですが、目には涙が浮かんでいました。

父は二十年前に母と別れ、新しい生活をしていました。
娘として連絡先は知っていたので連絡を取りました。
一度病室に来たようでしたが、母は何も語らずふてており、手をつけられていないチョコレートケーキが椅子の上にありました。
私が食事に制限があることを伝えなかったために、父としては母の好物を買ってきたつもりだったのだと思います。
仕事の時はあまり手抜かりがないタイプなのですが、プライベートはからきしです。
友人が来てくださったり、私が実家を離れてからの母の彼氏が来たり、小学校以来見かけなかった伯母さんや叔父さんが来たり、大学院生で研究が忙しかった弟や、私が仕事で病室に行けない間も何かとにぎやかだったようでした。
部屋に残るにぎやかさの名残を見つけるたびに、私の知らない母が開かれている気配を感じ、少しまぶしいような気持になりました。

 

あまり立ち入った話を家族ですることが長いことなかったせいで、まぶしい気持ちをまぶしいまま持て余し、母が私の見ていない時にどんな人だったのかわからないまま、本人が死んでいくことに焦りを感じ、外泊の許可を先生に頂いて、仕事を調整して母の日に合わせ、二泊三日で海を見に行くことにしました。
土曜日に出発して月曜日に帰ってくる予定でいました。
私は死に物狂いで働いている時期で、その勢いを三倍くらいにして何とか金曜日の夜半に仕事を終わらせ、服は買えばよい、車の運転は弟よ頼む、という感じで病院近くまでタクシーで向かい、空いてたホテルに潜り込みました。
気力だけで目を覚まし、全身に重りをつけられたような状態で自分で自分を引きずりながら病院に向かうと、母はこと切れていました。
夜明けに急変してそのままだったと聞きました。

 

それからのことはほとんど覚えていません。
気が付くと三か月経っていた、というのが実感です。
母を代々の墓に納骨した時に目が覚めました。
母は死んでまでお墓に入るのは嫌だなあと言っていたのではなかったか、中学生の時に母方の祖父が亡くなった時にそんな話をした記憶が蘇り、とんでもない間違いを犯しているような気になって目が覚めたのです。
弟にそれを急いで伝えたところ、彼は私が過ごしたよりもはるかに長い時間を病室で過ごしており、その中で代々の墓に入れてほしいと言われていた、と静かに教えてくれました。

それでも私は三年間、お墓に行くことができませんでした。
弟には合わせる顔もありませんでした。

 

仕事ではマネージャーになり、より忙しい生活に進んで自分の身を置きました。

丸三年が経つひと月前の三月末で仕事を辞めることにしました。
先を決めずに辞めて、昼間は部屋の中で寝ていました。
夜になると晴れていれば桜の木に登りました。
雨の日は濡れながら外を走ったり歩いたりしました。
四月の一か月間そのように過ごし、私はすっかりボロボロになってしまいました。
ものすごく母が好きだった、という生き方をしてきたわけではありません。
しかし本当は大きな存在だったという当たり前のことをボロボロになった生活と引き換えに体で理解しました。

 

五月に入りある朝、たまたま、本当にたまたま、朝目が覚めました。
前夜に降った雨が上がり、世界中がキラキラと輝いて見える、そんな朝でした。
母の日でした。
母は母の日のカーネーションを理由もなく高いと言って憎んでいましたので、お花屋さんでカーネーション以外のなるべく色々な色のお花で花束を作ってもらい、お墓参りをしました。
どのような状態であるか想定していなかったのですが、周りのお墓から浮いて見えるほど美しく保たれていました。

 

それから毎年母の日にはお墓参りをしています。

こいのぼり  Mr.アールグレイ

  • 2018.05.05 Saturday
  • 00:00

こいのぼりを「恋のぼり」と読み替えて、恋愛に対して戦略的に望む同僚を少し軽く見ていたところが私にはありました。

あ、またいた、恋のぼりを背負ってやあやあ我こそは、と挑んでいる女武者が、などと。

いつもより少しスカートが短い、ヒールが高い、いつもと香水が違う、語尾がかわいらしい、などディテイルに目が行くたびにのぼりが目に浮かんでしまいます。

目の前にいる敵を生きるために殺すのか、立身出世のために少しでも名のある武将を殺そうとするのか、武者でも違いがあったかと思うのですが、恋のぼりを背負っている武者はどうも後者のように見えてなんともおかしかったのです。

どんな形で出会うのが自然か、自然な方が不自然より良いのか、というようなことについて定見もないですし、あまり真面目に考えたこともないのですが、年収や働いている会社、ルックス、年齢というような面で「名のある」感じの人を射止めようとしているように見えることに違和感を感じて。

私がまかり間違って戦場に放り込まれる時にはそのようなのぼりは絶対に背負わないようにしたい、と思いました。

生きるために殺す武者でありたいと。

 

そのような話を気の置けない友人としたところコロコロと笑われ、あなたは合戦よりも決闘に向いているタイプよね、と思いがけないことを言われました。

ペルドーン?と聞くとその他大勢はどうでも良いけれども、自分にとって意味のある人とは必ず決着をつけるじゃない、と。

なに!私は決着をつけに行って、結果こうなっているのか、そういうことを言っている?と迫ると、そういうところが全く変わってない!とたしなめられました。

決着つけに行って、一緒にならないって決めるのはいつもあんたでしょ、あー聞こえない聞こえない。

 

窓の外には立派な鯉のぼりが風に翻っています。

彼女の後ろには立派な兜が。

二階から男の子がじゃれ合って大きな声を出しているのが聞こえます。

 

「最近、決闘してないの?デュエルって流行ってるみたいだけど。」

いろいろ言いたいことはあるけど、結論として決闘してない。大体デュエルってどこで流行ってるのよ。

「ハリルJAPAN。」

何の話?

「サッカーよ。」

サッカーって決闘よりは合戦て感じだけどねえ。

「確かに!言われてみれば。だから解任されたのかね。」

 

最後に決闘したのはいつだったのかわからなくなっていますが、確かにそれは決闘と呼ぶにふさわしい戦いで、ほらまだここの傷が時々疼きます。

きりんじ  Mr.アールグレイ

  • 2018.04.29 Sunday
  • 18:00

数年連絡を何となく取らずにいた友達からキリンジのライブに行こうと誘われた働き始めて三年目の初夏。

お台場に六時で、と雑な待ち合わせをしたら、ちゃんと観覧車の前のアイスクリーム屋さんの前で落ち合うことができて、こういうところが素晴らしいと思ったのだけれど、二人とも二つアイスを持っていることの方が笑えた。

二人ともチョコレート好きな私と絶対にバニラな彼の分を律儀に持っていたので、私が持っていたチョコレートを「これおいしいよ。」と彼に渡し、彼が持っていたチョコレートを「そう言えばこれ、おいしいらしいよ。」と渡してくれた。

暑くも寒くもない気持ちの良い日。

ゆっくりと夕焼けになる時間で、ベンチでカップに入ったアイスを食べながら見上げた空にはグラデーションが描かれていてとても美しかった。

「宇宙の真ん中にいるみたいだな。」

「独我論的な意味?」

「いや、物理寄りな解釈でお願いします。」

物理寄りね、と思いながらよく見るとグラデーションがリング状になっていることに気が付いた。

天球が意識されて、空の深みを再認識する。

「たしかに、これだけリングが空にあるとそんな気にもなるね。」

「エスキモーは虹が二色らしいよ。」

「あのさ、もう少し人と話すときは親切さを大切にした方がいいと思うよ。」

「そう?」

「そう。」

 

しばらく黙っていたら、飛行機が何機も空を横切っていって、空は赤みを増していった。

 

「チョコレートもおいしいんだね。」

「わかっちゃった?」

「わかっちゃった。」

「私はバニラを再評価するところまではいかなかったけれど、よりチョコレートのおいしさを引き立てるという発見があったよ。」

「試してみるもんだね。」

「試してみるもんだねー。」

 

食べ終わって、わんぱく坊主のように右の手首で口を拭った彼が立ち上がり、

「そろそろいっちゃう?」

と背中で言った。

「行きますか。」

「キリンジのファンてみんな年上かなあ。俺ら浮かないかなあ。」

「我々、老け顔だし大丈夫じゃね?」

「そうかー。ここで役に立つのか。」

 

キリンジの二人はまだその時は仲良く一緒にいた。

歌っていると先ほどまで見ていた優しく美しいグラデーションが彼らから発せられるように見えるのだけれど、曲がやむとぼそぼそと話して少しウケをとるおじさんたちだった。

私たちは少し遠慮して、後ろの方の柵に寄りかかりながら聴いていたのだけど、みんなリラックスしているのがよくわかった。

ゆったりと波のように揺れて。

 

アンコールを一曲やってパチパチ手を叩いていたら、会場がシーンとなって。

「ご要望があるかどうかわかりませんが、最後に一曲。」

エイリアンズが流れてきて。

世界の真ん中に二人して取り残されたような気持ちになって背中がぞくりとして隣を見たら彼は涙を中指と人差し指の腹でぬぐっていた。

 

それからどうやって帰ったのかは覚えていない。

キリンジは形を変えてしまった。

そう言えば、チケット代をまだ払っていない。

ふつつか  Mr.アールグレイ

  • 2018.04.25 Wednesday
  • 00:00

来月のテーマを決めてくれと申しつけられていたのに、しぇりいいいいいい!!にすっかり気を取られて忘れてしまいました。

申し訳ありません。

昔、マルーンさんもしぇりいいいいいい!!と叫んだ際にテーマの発表を忘れていたことがありました。

あの時は物騒なことになったので、今回は事態を早めに収拾したいと思います。

あの時コメントをくださった方は今も読んでくださっているのでしょうか。

ブログのコメント欄だと言っても、意見をするのは勇気が必要です。

今もあの方が読んでくださっていれば嬉しいのですが。

 

テーマは、と改めて訊かれて投票時に書いたテーマにしない理由はあるのでしょうか、と考えていたのですが、自分が選ぶ側になってみると妙に選びづらいです。

私が「おちゃ」を指定したのは、新茶の時期だということと私のペンネームがお茶にちなんだものなのでどなたか一人くらいは私のことを書いてくださるのではと思ったことが理由です。

いかにもがりはさんあたりが書きそうですよね、執筆陣をお茶に喩えて不発に終わる感じ。

飲み物に喩えて、お茶の部門で私を挙げておけば面白いものになったのに、と後に気付く感じ。

そういえば歴代のチャンピオンはみな自分が投票の時に書いたテーマを指定したでしょうか。

 

十二月のチャンピオンはXさんで・・・この時は投票者名は開示されていませんが、テーマに選ばれた「鬼」「オニ」を投じられたお二方はXさんではなさそうです。

一月度のチャンピオンはたりきさんで、Indigoさんが投票された「卒業」をテーマにしておられます。

二月度はチャンピオンがXさんで、がりはさんが投票された「デアイ」を定義しています。

どうしたことでしょうか。

これが噂のストロングスタイルでしょうか。

私も先輩チャンピオンの顰に倣い、自分の「おちゃ」ではなく、他の方の投票されたテーマから選びましょう。

今は密かに平仮名四文字をタイトルにして書いておりまして、その観点で見ていくと「たましい」「だーびー」「かんげき」が候補に上がります。

一番汎用性が高く、みなさんがバラバラのことが書けそうな「かんげき」にいたしましょう。

なるべくバラエティに富んだものが読みたい、質の高い争いを見たい、それが私の願いです。

最近の競馬作品の多さから「だーびー」は外した方が良さそうですし、たましいは魂以外の変換が難しそうです。

たましいを元に皆が様々なバリエーションを紡ぐことができるのは知っているのですけれど、門戸は広いに越したことはないと考えました。

良い戦いをして、私が女王になりたいと思います。

かんぱい  Mr.アールグレイ

  • 2018.04.13 Friday
  • 23:10

こんばんは。
最優秀作品賞&テーマコンテストの二冠王、いや二冠女王のアールグレイです。
わざわざ女王と言い直さなくてもいいじゃないか、王は王でしょう、女の敵は内部にいる、ということをおっしゃる方はほとんどいらっしゃらないとおもいますが、王よりも女王の方が美しくて希少であるように感じられますし、今の私の気持ちにしっくりきますので女王ということで。
読者という神から王権を授かったわけですから、これを未来永劫守り続ける、わけではなく、私よりも良いものを書く人が現れることを祈りながら毎月審判を受けたいと思います。

投票に際してコメントを書くのは本当に大変だとおもうのですが、今回は私の作品にたくさんコメントをいただきありがとうございました。
涙が出ます。
書いても書いても届いているのかわからない状態が続いていたので、本当に救われました。

 

うべべさん。
「当時の雰囲気が肌で感じられるような、良い作品でした。」
最優秀もテーマも推していただいてありがとうございます。
最近また受賞されておられましたね。
おめでとうございます!
私も誇らしかったです。
書いてある以上のことを読み取っていただけたようで嬉しいです。
すぐれた読者はすぐれた作家なのかもしれませんね。

 

ハッタリストさん。
「尾崎豊ってそうなんだという感慨と、「怒首領蜂」という固有名詞が。ベンゼン環も。」
ありがとうございます。
ハッタリストさんも怒首領蜂好きだったんでしょうか。
ハッタリストさんだと後ろから眺めて「全てわかった!」とおっしゃりそうです。
頭の中でゲームが完結するイメージ。
物理屋さんから見たベンゼン環てどんな感じなのでしょうか。
最近ご無沙汰ですね。
物理屋さんから見たベンゼン環、書いてくださいね。

 

ダックスフンドさん。
「シリーズ以外の作品をもっと読みたいです。」
私の作品をすべて最優秀作品に推していただきありがとうございます。
シリーズ以外の女、アールグレイです。
量が質に転化するのは容易じゃない、というのがPREMIERを読んでいる素直な感想ですが、量を書いても続けられるにはある種のかわいさが必要なのではないかと思っています。
たりきさんの競馬の話が一定の支持が得られるのは外すことが多いのに当たっても外れても同じようなトーンで淡々と語っておられるところがかわいいのではないかと思いますし(もちろんあの記事を書くのにかかっている労力への経緯はあるのですけれど。)、がりはさんの相談室の話は一貫して真正面から質問に答えない、答えたい時もあるのに答えないという我慢しているもどかしさにかわいさというかおかしみを感じます。
マルーンさんのやまがある日記は、私のような素人にはどの山も大きくて美しい、という意味ではマンネリなのですが、そこで行動するマルーンさんの様々な側面がとてもかわいらしい。
私にとって印象的なのがおやつやご飯にこだわるところです。
毎回書かれているわけではないのですが、たまに出てくると嬉しいです。
量が質に転化しないのは、読んでいる側の目が慣れてくる面も大きいと思うので、シリーズ以外の作品を数多く投入することで、シリーズ物も新鮮に読んでいただけるようにしたいと思っています。

 

ホワイトさん
「まずタイトルがニクい。あのときの1973年は遠い昔のように思えたけど、今の1997年はほんのすこし前のように思えるのが不思議。誰もが何か共感してしまうであろう文章で、それが何なのかを考えています。」
最優秀もテーマも推していただきありがとうございます。
賞をいただいた「1997年のピンボール」ですが、もちろん村上春樹の「1973年のピンボール」からタイトルをもらい、デタッチメントの雰囲気だけついでにもらいました。
卒業、尾崎、ピンボール、という連想ゲームだけで書いた作品ですが、ピンボールをやっていたのは私の人生の一部分です。
周りもうまかったので、待っている間にやっていた怒首領蜂も相当うまくなっていました。
怒首領蜂については解析とその通り実行する冷静さが命なので、私にはとても向いていました。
女子高校生だったわけで、もちろんゲームセンター以外に行くところ、やることはたくさんありました。
その辺を物語をシンプルにするためにばっさり切ったことで、小説として成立したように思います。
ばっさり切った部分に共感がつまっているのではないか、と思います。
ジャストアイディアで、今はそれがどんな意味なのかわかりませんが。

 

ヤマブキさん
「今の路線は合ってますね。エッセイの体裁ではありますが、いきなり「ベンゼン環が好きで」と入ってくるあたりなんか普通のエッセイではなく、小説らしさとの中間のテイストがはまっています。
マルーンのはちょっと違うんですが、幼年期の終わりを思い出しました。」
ありがとうございます。
小説とエッセイの違いは難しいのですが、一つは終わり方かなと思っています。
あと二つは説明と嘘かなという仮説は、いかがでしょうか。
ヤマブキさんが参加していない時に女王になったので、今月か来月には挑戦していただけるものと期待しています。

 

がりはさん
「最近ではかなりの難問。一個しか選べないのは拷問。アール、うべべ、マルーンはゴール前横一線だし、Indigoも他力も水準以上。その中で口火を切ってレベルの高さを規定したことを評価したい。」
ありがとうございます。
他の人をほめることによって、投票した先の私を持ち上げるなんて、器用な人ですね。
今月も真っ先にテーマを書いたのでほめてくださいね。

 

マルーンさん
「"ピンボールと言えば私は以前のWindowsに入っていたピンボールのゲームが好きだったなあということを思い出しました。
一緒にピンボールできた友達がいたアールさんがうらやましいです。"」
ありがとうございます。
windowsのピンボール、ありましたね。
実機でやると大抵なんで起きたかわからないミスでゲームを終えるのですが、その時にもあきらめがつきます。
あれは私のミスなのだと。
しかしゲームのミスはなぜか許せず、すぐにやめてしまいました。
なぜ許せなかったのか今もわかりません。
マルーンさんの昔話を読んでみたいです。

 

ハッタリストさん
「青春と卒業と言われるとどうも、いろいろ考えてしまうので。」
テーマでも推していただきありがとうございます。
いろいろ考えた末に私の作品に投票していただきありがとうございます。
ハッタリストさんが天才であったように、私もよく優秀だと褒められる子でした。
今はそんなことに大した意味はないのですけれど、優秀でいたいと思っていた時期がありました。
そして今回「最優秀」の座に輝きました。
ハッタリストさん、もう一度最優秀と呼ばれたくないですか?

 

ダックスフンドさん
「大いに悩みましたが、自分がアツくなった作品を選びました。」
最優秀もテーマも推して頂いてありがとうございます。
アツくなるには、頭にきて理性が利かなくなるという意味があることを、私はPREMIERを読み続けていくなかで学んだのですが、今回のアツくなるはそういう意味ではないですよね?
尾崎の「卒業」でいうところの「誰かの喧嘩の話にみんなアツくなり」のアツくですよね?
興奮した、気分が高揚した、ということだと思うのですが、今度私の作品のどの部分でアツくあったのか是非教えてください。

自分ではよくわからないのです。

 

PREMIERについて悩んだ時期がありました。
今も悩んでいないと言えば嘘になります。
システムの皆さんと違い未熟な私(伸びしろたっぷり)にとっては、反応が返ってこないのが何よりも辛いことです。
今回は多くのフィードバックを受けることができました。
大変ありがとうございます。
正直な話、尾崎で賞を取れると思いませんでした。
というところで、皆さんグラスのご準備はよろしいでしょうか。
あ、泡が消えちゃいました?
一回ぐっと飲んでもらって、注ぎ直して。
そういうことはちょっと?じゃあ割りばし突っ込んでみて!
泡も復活したところで、景気よくいきましょうか。
皆さん、あの言葉ですよ。よろしくお願いしますよ。1、2、3、でいきますからね。
それでは雑兵日記PREMIERのますますの発展と、読者の皆さんの生活の充実、新女王Mr.アールグレイと愉快な作家たちの今まで以上の頑張りを祈念いたしまして、乾杯したいと思います!
1!2!3!
しぇりいいいいいいいいいいいいい!!!!!

【テーマ】しんいり  Mr.アールグレイ

  • 2018.04.06 Friday
  • 23:53
春は出会いと別れの季節、なんて言い古された言葉ですが。
春霞の空、薄く色づく満開の桜、卒業証書、寄せ書き、決算、棚卸、業務完了決裁、いやいや、いつの間にか仕事が私の文章に割り込んできていました。
心も体も忙しい季節ですので、皆様におかれましてもご自愛くださいますようお願い申し上げます。
春が出会いと別れの季節になるのは日本に顕著な傾向かな、と私の周りを見る限りでは思います。
海外では入社も年中ありますし、退職も年中あります。
普通に働いてみて合わないと思ったら労働者側からやめる、経営側からも合わないから次に行った方が、とおすすめしたりもします。
お互いに生きている時間は短いし、旬の時間はもっと短い、という共通理解があるように思います。
そもそも学校が6月終わりの国も多いですしね。
私は少し「新入り」に関する経験が多いと思います。
採用のマネージャーとして「新入り」を取る経験もありますし、「新入りの」受け入れトレーニングを持っていたこともあります。
私自身が何度か転職しているので「新入り」である経験も何度かあります。
多くの物事と同じく、何度かやると「新入り」プレイも上手になります。
派遣社員として長く働いている人たちの背筋の伸び方というか、一本背中に線が通った感じはそういうことも影響していると思います。
なめられるととことんなめられる、というのはフィリップ・マーロウに教わるまでもなく、人類共通の知見でしょう。
新入りはまず値踏みをされます。
サル山や羊の群れのようにフィジカルな争いはありませんが、その場固有の流儀で戦うことになります。
そこで一目置かれればその後がある程度やりやすくなるでしょうし、逆もまた真です。
ですのでコンサバティブな人はあまり決着がつくような戦い方をしません。
これが値踏みです。
様々な場があるのでどんなルールでもある程度戦えるようにしておき値踏みに耐えられるようにしておくのが我々遊牧民のマナーです。
新入りの中でも新卒の新入社員は特別な存在です。
ある種マメのような存在で、将来性を見込んで給料が出ている存在。
そんな買い物ってありますか?
期待にお金を払うのは福袋に似ているでしょうか。
競馬にも似ているでしょうか。
新入社員の皆さんはできないのが当たり前の状態で入ってきます。
先ほどの言い方だとなめられる側です。
一度なめられるととことんなめられますし、それをイーブンに戻すのは大変ですから、初めから「イーブンにやっていこう」と気負いすぎない方が良いと思います。
一つ何かができるようになったら喜ぶ、くらいのペースで良いと思います。
一日一つできることが増えたなら、一年で素晴らしい人になっているでしょう。
トランキーロ、ですよ。
新入社員を迎え入れる側の方々へ。
我々がそう思っているよりももっと強く、立場は人を規定します。
新入社員は公平に扱われること、一人前の人格として扱われることを強く望みますし、上記のような事情を肌で理解しているので、なめられることに敏感です。
仕事はできなくても一人前の人格として扱ってあげると、立ち上がりがスムーズになると思います。
出会いは、出会ってから事後的に価値が決まるものだと思います。
皆様の数々の出会いがよきものになりますよう、お祈り申し上げます。

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