テーマコンテスト受賞を受けて Mr.マルーン

  • 2019.02.26 Tuesday
  • 00:54

こんにちは。マルーンです。

 

1月のテーマコンテスト受賞ということで、投票いただいた皆様には御礼申し上げます。

テーマで受賞したのはかなり久しぶりなようです。一年半ぶりとは。いささか怠慢が過ぎましたかね。
「思い出」はもともと書きかけてお蔵入りになるはずの作品でした。そのまま私のPCのフォルダに埋没させておくはずだったのを編集長がそっと引き上げてくださいました。
結果として受賞できたのはとてもうれしいですが、自分の中で消化しきれなかった部分を何とかごまかした感が否めません。
アールグレイさんの自由さが素直にまぶしいと思いました。
読んだ人に「力量があるなあ」なんていわれるのはもうなんか作家としては本当に苦くて、飲み込むのに苦労しました。

煮ても焼いても食べられない感じだし無理して食べても消化できずにおなか壊しそうだしあのひとほんとは薔薇じゃなくてバラムツなんじゃないんでしょうか…。うう。

今も口の中でもごもごしてます。でもこの苦みも自分で引き受けなきゃいけないのかなあとか…なんだか引き受けないといけないものばかり増えますね。
素直にほめられたと思って自信持ちたいというかもっと吹っ切れたい気もしますが、その辺は性格でしょうかね。

 

さて、この受賞コメントを書くのをすっかり忘れている間に、小川一水「天冥の標勝\塚佞茵∨かなれPART3」が発売、足掛け10年10巻17冊に渡ってつむがれた壮大なスペースオペラの大作が完結しました。完結、してしまいましたというべきか。
最後までスピード感の落ちないスペクタクルに怒涛の展開で、惜しみながらじっくり読もうとしていたはずなのに読み始めてしまえばあっという間でした。今までこんなにもつらくて大変な旅路だったのだから、最後ぐらいはこれぐらいの希望があってもいいよね、というような清々しい終わりでした。
私は読み始めたのが比較的最近、といっても3年ほど前ですが、1巻メニー・メニー・シープ発売当初から読んでいるファンから見ればどれほど感慨深いものだろうかと想像します。
日本SFに長く語り継がれるシリーズになることでしょう。一気読みするのは大変だと思いますが、一度読み始めてしまえば寝る間が惜しくなること請け合いです。

 

長いシリーズの完結に立ち会う、というのは意外とない経験です。
壮大で長大なシリーズの道半ばで作者が寿命や病で斃れることもあります。
たくさんの未完のシリーズを産み落とし置き去りにしながらどんどん新しい雑誌に移っていく漫画家もいます(誰とは言いませんが)。もう10年以上放置していて完結させる気はもはやないんだろうなと思っていたシリーズのキャラクターを別シリーズのゲストキャラとしていきなり賑やかしで出すような不誠実な小説家もいます(誰とは言いませんが)。何回もこれで完結と言いながら舌の根も乾かぬうちにシリーズを継続するゾンビみたいな漫画もあります(何とは言いませんが)。
それぞれの大人の事情もあるでしょうし、終わらせるのって本当に大変なんだろうなあという、ものすごく陳腐で平凡な感想になります。天冥シリーズも本当はもっと早く完結するはずだったそうです。ここまでの大作を過不足なく畳み切るのにはきっと想像を絶する体力というか剛腕が必要だったのでしょう。せいぜい2000字もないような短編を綺麗に締めるのすらいやになって放り投げてしまうことも多々ある私としては、途方もない話です。
PREMIERはどちらかというと終わらない旅を続けているような感じがします。今読んでる皆さんはいつかその終わりを見届けることがあるでしょうか。

 

来月のテーマを発表しましょう。
3月、弥生、マーチと同じやないか!と突っ込みたくなるお題が並んでてなんだこりゃあと思いました。まるっと無視してダックスフントさんからのテーマ「まくら」にしたいと思います。
ちなみにまくらの語源は一説には魂の倉(たまのくら)からきているそうですよ。一日の四分の一ものあいだ頭を預けているまくらはとても大事なんですね。

皆さん、よい夢を。

【テーマ】思い出 Mr.マルーン

  • 2019.01.30 Wednesday
  • 18:30

記憶は本当にセピア色になるらしい。
むせかえるような米の香りが、旧い家独特のすえた匂いを打ち消さんばかりに漂っている。
外では近所や親せきの主婦たちがにぎやかに話しながらぱたぱたと立ち働いている。あの人たちの顔も声も名前も少しも思い出せない。
ごうんごうんごうん、と音を立てて中の物を回している機械を私はただ見ている。窓を開け放した座敷の奥には立派な仏壇がある。畳はひんやりと冷たく、外の風が時折吹き込んで寒い。
ディズニーキャラクターのプリントされた赤いトレーナーの上にどてらを着せられて、切りそろえたおかっぱ頭の、まだ小さな私、これは何歳の頃だろう。
曽祖母が、その機械のわきに座ってしわだらけの手でしゃもじを持ち、つきあがっていく餅の面倒を見ている。まだ元気だった頃の曾祖母。
私はじっとその様子を見ている。
その時曽祖母は私に何か話しかけていたと思う。あの人は私のことがとても好きだったから。私は機械に気を取られて曖昧な返事をする。何を、話していたのか。
最初は粒の粗い蒸し米が少しずつその形を失って、徐々にキメが細かくなりまっしろでつややかな丸い形になっていく。ドヨンドヨンと形を変えながら機械の中を回っている。小さな私はその様子をかたずをのんで見守っている。
もうええかいの、と曽祖母がつぶやくと、ちょうど素晴らしいタイミングで大叔母が入ってきて、せえのというやいなや粉をひいた板の上にそれを乗せる。機械の中にあったときはまん丸に見えたそれは思ったよりも粘性が低くて板の上でだらりと広がった。湯気とともに広がる馥郁たる香!なんて魅力的なんだろう。小さな私はまだ、これがこの世で一番、早々食べたくても食べられないとくべつなごちそうだということを知らない。
もうすっかりその気になっている私はあんこは?と聞いたが一つ目は鏡餅だからね、と言ってそのまま鮮やかな手並みで大きな塊と少し小さな塊に成形されていく。そうこうしている間に新しいせいろが運ばれてきて、餅つき機の中にどさりとふかふかに蒸し上がったもち米が供給された。
私はどこを見たらいいのかわからずうろうろしている。どこもかしこも興味があった。
ごうんごうんごうん、という規則的な音が響いている。
大人たちはお正月の雑事に忙しくて、あまり私に構っている暇はない。母はたぶん妹の面倒を見ているのか、ここにはいない。特に不満はなかった。餅つき機の動きを見ているだけで面白かったから。
次の餅がつきあがると、大叔母が板に置いた餅を小さくちぎって丸めていく。「〇ちゃんもやってみるか?」と言われるからうんとうなずいて、一回り小さくて不格好な餅を丸めていく。外から包むように丸めるんよ、と教えてもらうが手にべたべたとくっついてうまくできない。
それでもなんとか丸めた餅を曾祖母に見せに行く。上手にこさえとるわ、とほめてもらって小さな私は得意げにしている。
早々に飽きてしまった私に大叔母ができたばかりのあんころ餅をだしてくれる。つきたての餅はふんにゃりと柔らかくて温かい。冬の乾燥した空気であっという間に固くなってしまう前の、そこにいる者だけが相伴することができるほんの一瞬のごちそう。今ならあれが幸せそのもののような食べものだったのだとわかる。あんこや餅がくっついた口のまわりを曾祖母が優しくふいてくれる。
あの家も曾祖母ももうない。
もう本当にはあの餅がどんな味だったかも思い出せないでいる。

やまがある日記〜竜ヶ岳(1099m)

  • 2019.01.17 Thursday
  • 20:30

2018年11月初旬 晴れ

 

八日市インターを降りて八風街道を東に車を走らせる。この街道は北を回る東海道をショートカットして京都と尾張を結ぶ重要な街道だった。江戸時代には近江商人らが多く行き交ったという。歴史のある道だ。
永源寺ダムを通り過ぎどんどん行くと長いトンネルがあり、これを抜けると宇賀渓谷の案内が見えてくる。今日の登山はここからスタートする。駐車場に車を停め、登山届を提出した。駐車場から山頂の笹原が遠望できる。ぼちぼち出発しよう。

 

ファミリーが気持ちよさそうに遊んでいる河原のキャンプ場を横目にしばらく林道を歩くと、遠足尾根の登山口があり、足を踏み入れるといきなり尾根の急登が始まる。
杉林の中を息を切らせて1時間ほど歩くと小さな岩場があり、視界が開けて東側に四日市の街並みと伊勢湾を見渡せる。海の向こうには知多半島が山脈のようにうっすらそびえている。建設中のぴかぴかの新名神高速が伸びている。

落葉広葉樹の明るい尾根だ。急登をさらに1時間ほど歩くと樹林帯が途切れ、背が低いクマザサが広がり視界が開ける。藤原岳や御池岳のずんぐりとした威容が近くに迫る。竜ヶ岳の山頂はもうすぐそこだ。山頂へ向かう穏やかな笹原の稜線が美しい。展望は抜群で、気持ちの良い縦走路だ。
特に東側はいなべ市、四日市市、伊勢湾まで遮るものがなく開放感があった。

 

山頂への道


竜ヶ岳はその名の通り水神の住まうと信じられる豊かな水の山であり、古くは雨乞の山でもあったと言われる。私の好きな小説で、梨木果歩の「冬虫夏草」では主人公がいなくなった飼い犬をたずねて京都から鈴鹿まで、まさに今日通った八風街道をたどって数々の神秘的な体験をしながら旅し、最後に竜ヶ岳へと至る。あの美しいラストにふさわしい神秘的な山だと思った。
穏やかな天候のため、山頂には多くの人がいた。適当なところに腰かけて昼食にする。
今日はヒガシマルうどんスープで簡単にうどんだ。スープがあったまったころに生うどんとほぼタラバガニかにかまを投入し煮ると微妙にカニすきっぽい香りがする気がする。そこまで寒くはないが、温かい汁がしみる。ほぼタラバガニかにかまは期待以上のカニぶりで非常に満足した。
下山は中道尾根コースを取る。笹の斜面にはシロヤシオの木がぽつぽつと生えている。紅葉は少し終わりかけだった。花の咲く季節にはまるで山の斜面をまっしろな羊の群れが走っているように見えるのだという。来年はその季節に訪れたい。

 

山頂でくつろぐ人々
まばらに生えたシロヤシオ
鈴鹿の山並み


中道尾根は遠足尾根と違ってかなり骨のあるコースで、足場の悪い急坂が続く。美しい紅葉を見上げて写真を撮ろうにも足場が悪くてカメラを構えるのが難しいぐらいだ。
しばらく降りると沢に当たった。しばらくは沢沿いに下る。いくつかある堰堤を巻いていると堰堤のわきに長い鉄梯子がかかっている。10m以上はあるだろうか。部分的にピッチが大きくなっていたりしてかなり怖い。何とか降り切って一息ついた。
標識通りに歩いていくと、途中分岐があった。帰り道は逆だが、すぐのところに滝があるというので立ち寄る。数分で着いた。魚止の滝だ。少し奥まっていてひっそりと隠れるようにある。
大きな滝ではないが水量は多く淵はエメラルドグリーンできれいな水が流れている。
清冽な空気にリフレッシュしたら、ゴールはあとわずかだ。

 

紅葉 珍しく撮りたかったように撮れた
堰堤の梯子
魚止の滝

 

登山口に戻ってくるとちょうど山頂の笹原に夕日が当たって遠くオレンジに輝いていた。今あの場所にいたらさぞ美しい写真が撮れるだろうと思うが、それは無謀というもので、想像の中にとどめておく。
「冬虫夏草」の山を歩けて満足だった。
来がけに見つけた八風の湯につかって帰ることとしよう。

 

山頂を見上げる

【テーマ】まるーんちゃんのフィギュアスケート鑑賞講座〜GPS雑感

  • 2018.11.30 Friday
  • 19:30

今月のテーマはGPS!

 

GPSといえば!ISUグランプリシリーズ!
ぐろーばるぽじしょにんぐしすてむ?なんですかそれは。
まさにこの季節うってつけのテーマというわけで、ちょうど予選が全戦終了し、ファイナルの出場者が出そろいました。今年もいろいろありました。ほんとに色々あった…

とりあえず男女シングルのファイナル出場者を見ていきましょう。

 

男子
日本 羽生結弦(フィンランド大会1位・ロシア大会1位)→怪我にて欠場
日本 宇野昌磨(カナダ大会1位・日本大会(NHK杯)1位)
USA ネイサン・チェン(アメリカ大会1位・フランス大会1位)
チェコ ミハル・ブレジナ(アメリカ大会2位・フィンランド大会2位)
ロシア セルゲイ・ヴォロノフ(アメリカ大会3位・日本大会(NHK杯)2位)
韓国 チャ・ジュンファン(カナダ大会3位・フィンランド大会3位)
カナダ キーガン・メッシング(カナダ大会2位・ロシア大会5位)→繰り上がり出場

 

女子
ロシア アリーナ・ザギトワ(フィンランド大会1位・ロシア大会1位)
日本 紀平梨花(日本大会(NHK杯)1位・フランス大会1位)
日本 宮原知子(アメリカ大会1位・日本大会(NHK杯)2位)
ロシア エリザベータ・トゥクタミシェワ(カナダ大会1位・日本大会(NHK杯)3位)
日本 坂本花織(アメリカ大会2位・フィンランド大会3位)
ロシア ソフィア・サモドゥロワ(アメリカ大会3位・ロシア大会2位)

 

男子は間違いなくメダルの色を争ってくるであろう上位3人が予選で全くかぶっていなかったことがわかります。
羽生君も実はGPS2戦で1位をそろえるのは初めてのこと。ロシア大会のFS前の練習中足首を痛めたため、ファイナルは欠場になってしまいました。単に足のことを考えればそもそもFSをやめておくべきだったのでしょうが、ロシアという約束の地でOriginを滑る機会を逃すわけにはいかなかったのだと思います。転倒こそありましたが演技やステップの面では素晴らしく向上しており、胸に迫るものがありました。とにかくしっかり治してほしい。

SP「秋に寄せて」、凄まじい演技でした。あの美しい4Sを見たでしょうか。本人以外にはしばらく抜けそうもない得点です。彼の目指すパーフェクトパッケージの演技の意味を見せつけられたように思いました。

彼の演技はもう一つ一つが我々ファンにとってはかけがえのないギフトなので、体を大事にしてほしいです。
同じく1位1位通過の宇野選手、シーズン序盤にはお遊戯会みたいだった(失礼)月光がすっかり板についてきました。NHK杯では正直一人だけオーラが違っているなと感じました。コンビネーションが足りなかったのが惜しかった。ありえない角度で着氷しても降りてしまう膝のやわらかさが彼の強みですが、出来栄えが重視される今回のルール改正に合わせてジャンプの完成度を高める必要もありますね。全体的にジャンプがもう少し安定するとよいのですが、シーズン後半戦仕上げてくると思います。
今年からエール大学医学部に進学したネイサン・チェン選手。まさに文武両道眉目秀麗好青年と三拍子そろった彼ですが、最近はちょっと大人なグラビアに挑戦したりとかもして。
新生活ではラファエルコーチと離れてなかなか思うように練習ができておらず、なかなかパーフェクトな演技とはいかないようです。特にショートが安定せず、フリーで取り返す場面が多く見られました。今シーズンのSPがゴージャスでめっちゃ好きと思ってたけどFSも見れば見るほどほれぼれします。七分袖ずるい。
チェコのブレジナ選手とロシアのヴォロノフ選手は二人ともベテラン。ブレジナ選手は最近結婚して公私ともに充実しているのか、ベテランらしい落ち着いた演技を見せてくれています。
ヴォロノフ選手は去年に引き続いてのファイナル進出。今年もファイナルでセリョージャの演技が見られるなんて夢のよう。最年長のくせにNHK杯の公式練習でぎりぎりまで滑っていた姿が素敵でした。突然の死をとげたカザフスタンのデニス・テン氏の振付でFSを滑ります。テン君のことを思い出すと今でも胸が痛みます。多くのスケーターがショーやエキシビションで彼への追悼のプログラムを滑っていて、どんなに愛された人だったのかと、そんな風に実感して悲しくなってしまうのです。
韓国のチャ・ジュンファン選手は羽生選手と一緒にトロントのクリケット・クラブで練習中の17歳。細身の長身でナイーブな印象ですが、力強さも持っています。同じ場所で練習しているだけあって羽生選手にスケーティングが少し似ているところも。男子には珍しくセカンドにトリプルループを跳んでくるのでそこも注目です。ジュリエーーーーーーーット!
羽生選手欠場の繰り上がりで代表の座を得たキーガン・メッシング選手。地元開催のファイナルに出場出来て素直に良かったなあと思います。パトリックが引退した今カナダのエースはキーガンです。軽やかで柔らかいスケーティングと、コミカルな表情の変化に注目です。

 

もちろんファイナルに進出叶わなかった選手たちの中にもドラマがありました。

今年からクリケット・クラブに拠点を移したジェイソン・ブラウン選手は髪型を変えて心機一転といきたいところですがなかなか環境を変えてすぐに結果を出すのは難しい。そんな中フランス杯で見せたSPは本当に素晴らしかった。彼のしなやかでやわらかな表現が余すところなく出ていました。4回転を入れない構成にもかかわらず得点は96点。SPの時点では2位のネイサン選手を10点も引き離しました。ブライアン・オーサーコーチの誇らしげな笑みが印象的でした。これからもっと強くなっていくと思います。
ロシアのミハイル・コリャダ選手はこのグランプリシリーズは厳しい内容でした。ひょっとしたら実力全て出し切ったら一番羽生選手をガチンコで倒せる選手かもしれない、それぐらい高い技術を持っているのに、なぜか安定しない。ノーミスの演技がほぼなかったと思います。そろそろ演技の終わりに自分に心底失望した顔以外を見せてほしいのですが。

 

男子選手は全体的に今回のルール改正に苦戦している選手が多い印象でした。

30秒演技時間が減って楽になったかと思いきや、かえって体力的にはきつくなってしまいました。ジャンプも1本減っていますがジャンプ1本にかける時間は10~15秒程度ということで、30秒の演技時間短縮は間の時間を削ってしまって選手には休憩が少なくかなりきついようです。
また、転倒による減点が多くなったのもありますし、スピンやステップのレベル判定がかなり厳しくなったように思います。
広島まで見に行ったNHK杯でも、女子の激闘に比べるとちょっと男子は残念な内容でした。

ファイナルでは皆の素晴らしい演技を期待したいですね。

 

次に女子。今シーズンのグランプリシリーズは本当に読めない展開でした。

最後の4枠が決まるのに最終戦のフランス杯までもつれ込む大混戦。ふたを開けてみるとロシアと日本で3つずつ枠を分け合う形となりました。おおよそ順当に予想通りと言えるのはザギトワ選手と宮原選手ぐらいじゃないでしょうか。
今シーズンのザギトワ選手は身長が大きく伸びました。多くの女子選手は体型の変化でスランプになりますが、それを全く感じさせない安定感。もちろん五輪シーズンほどの完全無欠さとはいきませんが。

個人的にSPのオペラ座の怪人は編集がイマイチだと思っていて、彼女の技術はもちろん素晴らしいもののあまり好みではないです。忙しい人のためのファントムって感じで、短い時間に詰め込みすぎて余韻がなくどうにも落ち着かない。ユーロチームのプログラムはちょいちょいこういうのがある。

全然関係ないけどマサルとじゃれてる写真をもっとインスタにあげてほしい。
今シーズン前半でいちばん嬉しかったのは、私がずっと大好きだったエリザベータ・トゥクタミシェワ選手の復活です。最推しと言っていいかも。NHK杯で生で見られて本当に感激しました。FS中に観客に拍手を煽る自信に満ちた姿が素晴らしかったです。17歳で世界女王になって以降、ロシアの次々現れる若い選手に押され、怪我もあり、なかなか勝てていませんでした。その彼女が持ち前の3Aとセクシーな演技で帰ってきてくれました。こんなに調子がよさそうなリーザを見るのは数年ぶりです。本当にうれしい。エキシビションのToxicも注目。かなり刺激的。ミーシン門下はエキシで脱ぐ伝統でもあるのでしょうか。好き。
ロシア3人目は16歳のサモドゥロワです。私もまだ彼女についてさほど詳しくないのですが、無尽蔵に強力な若手が供給されるロシア女子の新たな目玉の一人です。
日本女子からは3人がファイナル出場を決めました。

宮原選手のSPは今シーズン全選手のプログラムの中で一番好きです。彼女の技術と表現力の粋が詰まった素晴らしいプログラムで、演技の最初から最後までスケーティングがとぎれることなく流れる。まるで繊細で精工な工芸品のようなのに、水や風や、そういう自然の力強さも感じます。さっとんは日本のエースとしての自覚がありすぎだと思う。

序盤で使っていた衣装の色と背中のドレープがとてもすてきだったので変えてしまったのは少し残念。海外からコーチを招いてURを取られがちだったジャンプの改善にも取り組んでいます。
坂本花織選手はGPS序盤に2試合を終えてなかなか代表が決まらずやきもきしていたのではないでしょうか。出られてよかったです。溌剌としたイメージですが今シーズンのテーマは大人っぽい演技、と言いながらまだまだかわいさが残ってて、それも好ましいですね。ダイナミックなジャンプを決めてほしいです。
そして、おそらく彼女が今回の台風の目だと思われる、紀平梨花選手。FSのプログラム名もA beautiful Stormです。

シニア上がりたての15歳がグランプリシリーズ初出場にして2連勝を飾りました。今、シニア女子全体を見渡しても技術点で女王ザギトワと真っ向からやりあえるのは彼女しかいないでしょう。NHK杯FSで見せた2本の3Aは鳥肌が立ちました。それ以外の要素でもほとんどGOEで加点をもらう技術力の高さ。もともとの身体能力の高さがいかんなく発揮されています。NHK杯でもフランス杯でもSPで出遅れてからのFSで取り返す、というパターンでしたが、ザギトワ相手にはそれでは厳しい。

難しい戦いですが、チャンスは大いにあります。期待しましょう。

 

グランプリシリーズは予選大会のオーダーによってメダルのボーダーが大きく動くため、そういった意味では運もあります。NHK杯の女子は本当に素晴らしい戦いでしたが、代表争いとしては厳しい潰し合いとなってしまいました。アメリカのマライア・ベル選手もとても素晴らしい演技で200点近くをマークし、会場は大変な盛り上がりでした。ほかの大会ならメダルをとれていたかもしれない。メダルのボーダーが209点は厳しすぎました。
特に三原舞依選手はオーダーで不運だったのは否めない。でもフランス杯ではずっと目標だった200点超えられてよかったです。全日本で頑張ってほしいですね。
メドベージェワについてはまさか彼女がファイナルに残らないなんてことを誰が想像したでしょうか。エテリコーチの下からクリケットにうつって、技術的に新しいことをやろうとしている時期ですからミスや不安定は仕方がないと思っていましたが、それだけではなかったようです。ロシアを離れたことでSNSで心無い言葉を投げられたりもしたようで、まだ20歳にもならない彼女の心にそれがどれだけ負担だったでしょうか。

たくさんの才能あふれるロシアの女子選手が若くして引退していくのを見てきました。だからこそリーザの復活が嬉しかった。ジェーニャもきっとまたあの自信に満ちた演技を見せてくれると信じています。

 

フィギュアに関しては語りたいことがありすぎてとりとめもなくなってしまいがちなのを改善しないとなあと思いつつ、書き始めるとあの選手のこともこの選手のことも書いておきたくなって困ってしまいますね。

あとこの記事を書いている間にハビエル・フェルナンデス選手の引退宣言とゆづのファイナル欠場が報道されました。つら。

パトリックもアダムもハビエルもいなくなってしまった…本当に一時代終わってしまったんだわと思うととてもさみしいです。

もちろん素晴らしい選手がたくさん出てきているのですが、彼らのスケーティングや表現をどうしようもなく恋しく思う瞬間がしばらくは続くだろうなあと思います。

 

でも今がんばっている選手たちを精いっぱい応援しなくっちゃ。
というわけでグランプリファイナルは12/7からスタートです。どの選手が勝ってもおかしくないとても面白い大会になると思います。

皆さま注目してくださいね。

最優秀作品賞を受けて Mr.マルーン

  • 2018.11.23 Friday
  • 01:53

こんにちは。マルーンです。
10月の最優秀作品にお選びいただきありがとうございました。


一年はあけずにみなさまにご挨拶したいと先月申し上げたばかりですが思ったよりだいぶ早かったですね。ありがたいことです。

今回の受賞はひとえに町田樹という偉大なスケーターあってのことで、彼についてはそうそう書き尽くせるものでもなく、私の言葉は全く足りませんでした。
ですが、同じくフィギュアスケートファンの方々にも多く読んでいただけたようで、素直に書いてよかったです。

1日1,000PVはとても驚きました。ハッガリーニ編集長にも大変お喜び頂いて、恐縮してしまいました。
当たり前ながら、まっちーが好きな人がこんなにたくさんいるのだわということが確認できたうれしさもありました。

 

先月は久しぶりに結構がんばった月でしたから、ひょっとうまくすればMVPも狙えちゃったりするかな、とちょっと心の隅っこでは思ってましたがたりきさんに二馬身ほど引き離された形です。作品数14はちょっと追いつけません。

PREMIERを文字通り支えていらっしゃるのだから当然の結果だと思います。おめでとうございます。
とまれ、最優秀作品以外もぽつぽつ評価して頂けましたし、投稿した作品についてはまんべんなく楽しんでいただけたようなので私としては満足です。

八ヶ岳ではいい写真が撮れましたしね。

 

んで、反動で今月は完全にサボっています。もうだらっだら。

毎週末フィギュアの大会やってるからしかたない。

寒くなってきたのでなかなか頭も働きません。朝も起きられません。

栄養も足りない気がする…誰かここにホットミルクを…

 

さて、ぼんやりしているうちに今年も残すところあとわずかということで、皆さまお風邪など召されませぬようご自愛ください。

私もそのうち復帰します。

ではでは。

【テーマ】どこでもドアについて適当に雑談する Mr.マルーン

  • 2018.10.30 Tuesday
  • 00:00

ドラえもんの秘密道具と言えば、タケコプターとどこでもドアだ。そんなにドラえもんについて詳しくない私でも知っている。
タケコプターについては今となってはものすごく高性能なドローンを頭にくっつけたみたいなものと思えばそれほどおかしなものではない(柳田理科男によるとあの構造では回して飛び上がった瞬間に首がねじ切れるらしいが)。
問題はどこでもドアだ。レトロチープでかわいらしいデザインのくせにかなりヤバい代物である。


すこしふしぎなSF世界でも空間転移は大変だ。頻繁に空間転移事故で月が破壊されたりしている。
まずワープは量子レベルではすでに実現しているので未来の技術で可能となったとしよう。技術的に可能でもまだまだクリアするべき問題はたくさんある。自動車がこんなに発展しても自動車事故がなくならないみたいに、どこでもドアにもいろいろリスクがあるはずだ。

転移先の座標に何か別の物体があったらと考えたらとても恐ろしい。空気の存在を無視しても、筒井康隆の旅のラゴスでは瞬間移動能力者がうっかり別の物体がある場所にワープすると融合したり爆発したりしていた。
座標の問題と言えばバック・トゥ・ザ・フューチャーでは未来/過去の同一の場所にデロリアンが出現するがあれも高度な座標制御を行わなければならない。銀河も太陽系も地球も常に宇宙を移動しているので単に出発時点と全く同じ座標に出ると確実に宇宙空間に放り出されてしまう。

場所決めはとても大事なんである。


とりあえずどこでもドアには転移先がユーザーにとって危ない状態じゃないように調整してくれるものすごく優れた安全装置がついているとして、そもそもあれはどこまでいけるのか。

Wikipediaのどこでもドア項目によるとかなり曖昧な指定でも目的地に安全に送り届けてくれる機能がついていて、さらに有効半径は10光年とのことだ。

有効半径10光年!10光年は光が10年かけて進む距離のことである。念のため。ちなみに太陽と地球の間はだいたい8光分ぐらい。
めっちゃ広いやんけと思うが実は太陽系を中心に10光年ぶん移動できてもたどり着ける恒星は七つしかない(連星はひとつと数える)。一番遠くて、いて座のV1216星とのことである。満点の星々の中のたった七つだ。

想像を越えて宇宙は広くかつすかすかなのである。

恒星系七つぐらいなら知的生命体の発見は厳しそうだ。あれ、でも10光年先にいってからもう一回どこでもドアを使えば無限に先にいけるのでは?過去の世界(作中の時代)で使えていることを見るとGPSみたいにサーバや人工衛星みたいなもので制御しているわけでもなさそうだし、そこまで技術が進んだ人類の移動可能半径が地球から10光年に限定されるということもないだろう。
もっというとドラえもんが持っているのはあくまで一般ユーザー向けと考えれば未来世界にはもっと高出力の空間転移装置があると考えるのが自然だ。光速より余裕で速いのでいずれは膨張する宇宙の端まで行けるのかもしれない。すごい。
Wikipediaによるとどこでもドアの発明のせいで銀河SLが廃線になったとある。いつだって輸送の技術革新は古き良き文化を駆逐してきた。宇宙の真っ暗な車窓を何千時間も眺め続ける旅情は失われたらしい。宮沢賢治も草葉の陰でお嘆きのことだろう。

メーテルと鉄男はたぶんどこでもドアが開発されるよりちょっと前の人なんだと思う。
とはいえ実際宇宙に鉄道を通そうと思うと恐ろしい長さで伸び縮みする素材で線路をつくらないと相対位置が静止していないから厳しそうだし、ワープするほうがひょっとしたらむしろ現実的かもしれない。そうすればコールドスリープも亜光速走行も必要なくなる。あっこれはこれでかなしい。
どこでもドアの輸送コストはかなり低そうなので、23世紀のロジスティクスはこの技術を中心に宇宙規模に発展しているに違いない。もうこうのとりは必要ないのだ。

 

では、制度的な問題としてどこでもドアが一般人が保有できるレベルで存在していい未来世界はどんな風だろう。
10光年の範囲に人が自由に移動できるとなるとまず地球上の国境は意味をなさない。

しずかちゃんのお風呂に入れてしまうぐらいだからプライバシーやセクシャリティの観念は薄く、そういった面での倫理的ブロックは働いていないと思われる。究極のグローバリゼーション。個人や国家の概念が薄れ高度に公共化した世界だ。あれっデストピアの気配がする。

「入場料」というものを徴収するのも難しくなるので、世界中の観光地はどこへ行っても基本無料だ。
また、基本的にどこでも行けるということで密室が成立しなくなるのでまず怪盗や名探偵は陳腐化しミステリ作家は商売上がったりになる。鉄道がなくなっているらしいので最初に仕事がなくなるのは西村京太郎だろう。

ことは人類だけの問題にとどまらない。さっきはたった7つの恒星系では知的生命体が見つかることはないだろうと言ったが、もしもいずれかに同レベルの知的生命体がいたら、そうでなくても何かの生命が存在する環境があったとしたらどうだろう。

生命の存在は太陽系内でもワンチャンありそうな可能性が示唆されているので、7つも星系を跨げばこれはかなり可能性がありそうだ。
地球環境上で人間の影響が及んでいない土地はほぼない。南硫黄島のような絶海に閉ざされ守られた環境はまれで、たいていの場所は人が家畜を放し種を植え、そうでなくても服や靴に付着した虫や種はその地で生き延びんとする中でその地の環境を劇的に変えてきた。これが宇宙規模で起こる。

土星探査機カッシーニは土星衛星上に地球の微生物を持ち込まないために最期は土星大気にて燃え尽きることとなった。それぐらいデリケートな問題なのである。でもホイヘンスは普通にタイタンに降りたし火星探査機ディスカバリーは普通に火星大気の中で探査を行っているのでその辺はNASAの匙加減ではあるのだが。
どこでもドアが普及した未来、人類はごく気軽に外惑星を訪れうっかりついてきた動植物はその場所の貴重な生命種をあっという間に駆逐したりするかもしれない。逆に、絶対に地球に持ち込んではいけない何かが地球に持ち込まれる危険もある。どこでもドアがこのリスクをクリアしているとしたら相当高度なフィルタリング機能が必要になる。
知的生命体がいたら問題はもっとわかりやすい。彼らの住む星で好きに我々人類が現れたらまず確実に紛争が起こるだろう。長い長い年月をかけて交渉する、または侵略しつくすかしてその場所をお手軽に訪れるための権利を勝ち取らねばならない。人類種はどうやら未来の世界でそれをかなりのレベルで実現しているらしい。すごい。

 

最後に、これは一番の問題なんじゃないかと思うのだが、どこでも一瞬で行ける世界にはフロンティアがなくなってしまうのでは、と思う。

光年規模の移動手段を手に入れ適応灯でどんな場所にでも暮らせる。だけど行くのは近所のコンビニ。みたいな。

どこでも行けるのはどこにも行かなくてもいいということにはならないか。

困難であるからこそ山に登るんじゃないのか。

どこかの王子様みたいに悲しい時に44回でも夕日を見ることができればそれはちょっと素敵かもなあと思うけれど。宇宙の真ん中でぽつんと本物の孤独を感じに行くのだって自由自在だ。

移動が楽なので身体障碍者でも好きなところにすぐ行ける。

好きな人にもすぐ会いに行ける。単身赴任もない。

いろいろ言ってきたけどやっぱりどこでもドアはすばらしい製品だな。最高だ。早く23世紀になってほしい。

 

 

明日の出張もひょいっとどこでもドアで行けたら楽なのになあと思っている秋の夜長である。

やまがある日記〜摩耶山(702m)

  • 2018.10.26 Friday
  • 00:00

2018年10月初旬 晴れ

 

八ヶ岳を終えてしばらく腑抜けていたが、体が鈍ってしまうのでさすがにそろそろどこか登らなければならない。夏に遊びすぎて懐事情は厳しい。近場でどこか、ということで春ぶりに摩耶山に登ることにした。
阪急王子公園駅から山に向かって歩いていく。立ち並ぶお屋敷の間を抜けていくといきなり登山道が始まる。六甲山系独特の姿だ。
スタートの時点で既に3時過ぎ。いつもならば考えられない時間だが、今日はこれでいい。

 

住宅街からいきなり登山道に入る

 

薄暗い森の中をさくさくと歩いていく。涼しいかと思っていたがやたらと蒸し暑い。
ペースを落とさず歩いていくと、摩耶山天上寺の跡地に着く。山腹にたたずむ大きな寺社だったが、昭和の終わりごろに全て焼け落ち、今は焼失を逃れた山門以外は石段と崩れかけた石垣だけが残っている。
長い石段の途中、少し寄り道をする。このコースを歩くときはいつも立ち寄る場所だ。
藪に覆われかけた細い道の先に、一本の枯れた杉の木がある。摩耶の大杉と呼ばれた、枯れてもなお立派な木だ。樹齢1000年を超していたというが、天上寺の火災に巻き込まれて枯れてしまった。
そんなことがなかったらこのひとは今でもずっとここにいたのかなあと思うと何とも言えず悲しい。

大杉のポイントを抜けると山頂はあと少しだ。台風の影響で大木が倒れているのをリンボーダンス風にくぐりつつ山頂を目指す。
摩耶山掬星台に着くと見慣れた神戸の景色が広がった。今日は空気が澄んでいて大阪湾をはさんだ金剛山や岩湧山もよく見える。
この日のお楽しみにはまだ少し早い。ロープウェイ駅のカフェに置かれた本を読みながら待つ。絶滅生物図誌、なかなかいい本だ。買おうかな。バージェス動物群はロマンがあっていい。

 

1時間ほどすると大分暗くなってきたので場所取りのために外に出る。昼間とは打って変わってかなり肌寒い。
既に展望台のいい場所は人が集まってしまっていたが、ひしめくカップルたちの隙間を見つけて三脚を設置した。
だんだんと夜の帳が降りて、代わりに地上がキラキラと輝き始める。
この日の目的は掬星台からの夜景を見ることだった。摩耶山は何度も登ったが夜景を見るのは初めてだ。
大阪湾をぐるりと囲む京阪神メガロポリスを数えきれない光が埋めていく。昼間の姿とは全く違う姿にほわぁ、と声が漏れた。
掬星台、星を掬うとはよくも言ったもので、日本三大夜景は想像以上にすごかった。デートスポットなのもうなずける。
ちなみに100万ドルの夜景とは昭和20年代に当時の神戸エリアの夜間の電気代が100万ドルだったことからつけられたらしいが、今だともっと高そうだ。電気代と考えると俗っぽいのに不思議にロマンチックな表現だと思う。見習いたい。

夜景の撮影はほぼ経験がないのでなかなかうまくいかないが、まぁまぁのものが撮れて今回は満足した。要練習だ。

 

下山はロープウェイを使う。この日は連休中日と国慶節が重なって人が多く、寒い中1時間待ちする羽目になった。
六甲駅近くの焼鳥屋で一杯飲んで、機嫌よく帰った。優雅な休日であった。

 

京都方面まで広がる夜景
ちょっとアップ
ポートアイランド

最優秀作品賞受賞を受けて

  • 2018.10.22 Monday
  • 00:00

こんにちは。マルーンです。

 

9月の最優秀作品にお選びいただきありがとうございます。

ヤマブキ先生の不条理ものと同時受賞ということで、光栄です。私が投票しなかったら単独受賞だったのにとかかけらも思ってません。
確認すると最後になにがしかの賞を頂いたのはちょうど1年前、同じく9月の最優秀だったようです。
あっという間に1年もたってしまいました。

自分としてはそれほど悪い内容のシーズンだったとは思っていませんでしたが、結果はついてきていなかったようです。精進せねばなりません。
次は一年後よりはもう少し早く皆さんにご挨拶できればいいなと思います。

 

そういえば最優秀受賞作品カテゴリが今年3月以降更新されていませんね。ハッガリーニさんが方針変更されたんでしょうか。

 

さて、今回受賞のやまがある富士山編では、「登頂断念」という登山やってると当然発生しうる事態を描いたのが皆さんの興味を引いたのかなと思いました。
がんばって登りました!景色がよくて楽しかったです!だとあまりストーリー性もありませんしマンネリなのかな。
とはいえ自分としては当然安全に楽しく登頂できる方が嬉しいし天気もいいに越したことないしそこについては何とも言えない感じです。
やまがある日記では折に触れ、山の怖さ、山では常にリスク管理を怠るなというメッセージを発信してきましたが、実際にそれを体現する難しさを実感する山旅でした。
富士山はとっくに初冠雪の報道もあり、今日あたり宝永山あたりまで雪が積もったそうです。アルプスや八ヶ岳も雪だったり氷だったりの写真が増えてきました。
ここからは高山はあっという間に雪と氷と風の世界になってしまいます。


というわけで、当方はゆるふわ山ガールの業務を継続しつつゆるふわフィギュアスケート鑑賞ガールの業務を増やしていく所存です。あれ、結局氷の上やないか?
早速ですがスケアメのネイサン・チェン選手のSPは最高でした。大学との両立が厳しいのかジャパンオープンでは練習不足感が否めず、少し心配していましたがきっちり修正して見事優勝。シェイ・リーン・ボーンのノリノリな振り付けがハマってます。
来月はNHK杯生観戦も決定しているのでとても楽しみです。推しに何色の花を投げ込もうか今から悩んでいます。

 

PREMIERでも花を投げ込む代わりに推し作品にコメントや投票など投げ込んで頂ければ、プレイヤーの励みになります。

今後ともどうぞよろしくお願い致します。

まるーんちゃんのフィギュアスケート鑑賞講座〜町田樹に寄せて

  • 2018.10.11 Thursday
  • 00:00

お久しぶりです。ゆるふわフィギュアスケート鑑賞ガール、まるーんちゃんです。
2018-2019のフィギュアシーズンがスタートしましたね。今シーズンもどんなたくさんの素晴らしいパフォーマンスを見ることができるかわくわくしています。
本当ならば今回大きく変わったルールや今シーズンの注目選手について語るタイミングだと思いますが、それを置いて一人のスケーターについて語ろうと思います。

 

新しいシーズンが始まり、ルールが変わり、若い選手が次々と新たな風を吹かせる中、10月6日、一人のスケーターが華々しい拍手に見送られリンクを去りました。
町田樹というスケーター。

2014年にソチ五輪5位、世界選手権銀メダルを獲得した翌シーズン、選手として一番華やいだタイミングでいきなり競技を引退した彼は、以降は大学での研究の傍らショーの舞台で精力的に作品を発表してきました。

 

語ろうと思います、といいながら町田樹についてどのように語ったらいいのか。語るべきなのか。
とにかく現役時代から不思議なスケーターでした。「氷上の哲学者」などと称されインタビュー等でも独自の世界観を持っていました。しかしそれを説明する言葉を当時彼はまだ持っていなかったように思います。
今では公式サイトで自身の各作品に対する解説を書き、平昌オリンピックでは解説者としての側面も見せました。大学での活動は彼に自身の考えを表現するための言葉を与えたのだと思います。
現役当時、羽生結弦のような華やかな選手が同時にいたこともあり、彼の何がそんなに特別なのか、お恥ずかしながらよくわかっていませんでしたが、2014年の世界選手権で演じたエデンの東は鮮烈でした。今でも忘れられない。現役時代の最高傑作ともいうべき、あれは本当に美しいプログラムでした。

 

競技引退以降はショーの舞台で自ら振り付けた作品を発表してきました。
今回これを書くにあたってWeb上で見られる限りの全ての作品を見返しました。
彼はフィギュアスケートを総合芸術と呼び、身体表現と照明効果や音響を含めたすべての要素での芸術としての完成を目指していました。
どの作品も素晴らしいものでしたが、特に、2017年に発表したSwan lake及びDon Quixote、2018年のBoleroは印象深い。
過去の著名なバレエ作品への深い研究をもとに作られたそれらはいずれもとても挑戦的で、私たちにフィギュアスケートの新しい可能性を示してくれました。
プログラムにバレエ音楽を用いる選手は数多くいますが、振付やポーズ、身体表現に至るまでここまで深いリスペクトをもってそれに臨んでいるスケーターはほかにいないと思います。だから、彼の立ち姿は美しい。特に一つ一つのポージングの美しさは目を見張るものがあります。
そのうえで、ただの模倣ではなくフィギュアスケートにしかできない表現に昇華させている。

その求める表現のためならばFSの2倍以上の時間の演目にも果敢に挑み、照明効果や演出にこだわり、挙句の果てには撮影のカメラワークにまで口を出すという、ちょっとスタッフには面倒くさい?スケーターだったかもしれません。でもそれに付き合うだけの価値がある表現を彼は行ってきたのでしょう。

ルールに縛られた競技から離れ、彼は表現者として圧倒的に自由でした。

 

2014年の全日本で引退を表明した際は何でこんないい時期にやめるんだと思ったものでしたが、今年のボレロを見たときは「この演目を滑りきれる体力と表現力があるときに町田樹がプロでよかった」と心の底から思いました。
コンパルソリーから静かに始まり、ベジャールのボレロ振付を随所にちりばめて(私はバレエには詳しくないですが、数年前の大晦日ジルベスターコンサートでシルヴィ・ギエムの凄まじいボレロを見て衝撃を受けたので見覚えがありました)盛り上がっていく音楽とともにあたかもトランス状態にあるかのごとく客席を巻き込んでひたすらに高みへ昇っていく。8分間のラストには4回連続のバレエジャンプという肉体の限界に挑んだ作品です。
こんなことをやろうと思うのもこれを完成できるのも彼しかいない。そう思える作品でした。

そしてそのあと、突然に引退を宣言し、2018年10月7日のカーニバルオンアイスで発表する新作でスケーターとしての最後とするというのです。
私は心底後悔しました。

ここまで語ってきておいて、私は町田樹の演技をまだ生で1度も見たことがないのです。
ボレロの映像に大層感動して来年はPIW見に行こうかなあなんてのんきに構えていた矢先の引退発表でした。

いつだってその人の演技はそれで最後かもしれないのに。豊かな身体は有限であるのに。そんなことは10年以上スケートファンをやってきて重々わかっていたはずなのに。

 

今回、さいたまスーパーアリーナで冒頭演じた2作品について話をしましょう。

1作目《そこに音楽がある限り》、ああなんと軽やかでなめらかで、音楽とともに滑り舞い踊る喜びに満ち溢れているのでしょう。そんなに楽しそうなのにあなたはそこを去ってしまうの?という感傷に襲われます。
そして2作目、《人間の条件》。こちらはマーラーのアダージェットに乗せた、町田樹史上最長の大作です。
今回限り、たった1回の、それも最後の演技で、彼はジャンプで2度の転倒をします。
もちろんそれは全体の表現を損なうようなものでは決してありませんでしたが、彼の求めてきた完ぺきな表現、総合芸術としてのフィギュアスケートの結末としてはとても残酷なものに思えました。

そして、私たちがずっと見つめてきたフィギュアスケートそのものの残酷さが痛いほどに。
どんな苦しみがあっても、どんな絶望に襲われても、人は生きていかなければならない。そういうメッセージを込めたと語るこの作品の結末としては、ある意味完ぺきな演技よりもふさわしいものであったのかもしれません。喜びがあふれていた1作目とは全然違う、美しくて痛くて、でも目が離せないフィギュアスケートの本質的な魅力が詰まっていました。

青い光に包み込まれたラストはあまりにも劇的で、彼のまさに集大成と呼ぶべき作品でした。現地で見ていたファンは比じゃない消耗の仕方をしただろうなと思います。録画で見るだけでぐったりしました。

 

引退セレモニーで彼はとてもすっきりした顔をしていて、聴衆に向かって最後にこう伝えました。
「フィギュアスケートは見てくれるオーディエンスがいなければ成り立たない。今、フィギュアスケートは素晴らしいスケーター達によって隆盛を迎えている。皆さんが彼らを支えてほしい。皆さんの力でフィギュアスケートをブームではなく文化にしてほしい」

震えました。

フィギュアスケートを文化に。ファンの力によって。

 

どんな苦しみがあっても人は生きていかなければならない。
町田樹がいなくなっても、否、どんなスター選手がリンクを去っても、私たちファンはフィギュアスケートを見つめ続けなければならない。
裏にそんなメッセージがあるのではないかとすら思えました。

 

 

カーニバルオンアイスの録画を見終わって、涙を流す前にいてもたってもいられずこの文章を書き始めていました。
町田樹という表現者の願いに報えるなんて恐れ多いことは何も言えない。私は彼の演技を一度も見に行かなかったのですから。
それでも伝えたい。町田樹という一人の優れたスケーターが、芸術家がリンクにいたこと。

想像もつかない、彼がどんなにフィギュアスケートに人生を捧げてきたか。
どんなに信念を持ったスケーターで、表現者であったか。
作家にとっては呼び捨てが一番の敬称だという言葉がありますから、私は彼のことをただ「町田樹」と呼びました。不遜に見えたならご了承ください。

 

 

本当にありがとう。あなたが私たちに全力で示してくれたこと、絶対に忘れません。

もちろん、その気になったらまたリンクに帰ってきてください。その時は絶対に見に行きます。
いちフィギュアスケートファンとして、これからのあなたの新しい表現に心から期待しています。

 

参考
町田樹オフィシャルサイト(http://tatsuki-machida.com/index.html)
ワールド・フィギュアスケート別冊「町田樹の世界」

やまがある日記〜八ヶ岳(2899m) 1日目

  • 2018.10.06 Saturday
  • 00:03

2018年9月中旬

曇り時々雨のち晴れ

 

山梨と長野の間にまたがる八ヶ岳連峰は南北中央アルプスと並んで登山者憧れの山岳だ。荒々しい岩稜や苔むした美しい森が魅力である。
さすがに物狂いは言いすぎじゃないかと思うが、とりあえず2018年最後の遠征登山として、最高峰赤岳から横岳、硫黄岳とめぐる南八ヶ岳の定番縦走コースを計画した。
二日間で累積標高差は上り・下りともに2300m超、距離は20卍兇斑罅垢縫蓮璽匹蔽羌藜垳けコースである。

美濃戸口で夜行バスを降り、関東から車で来た友人たちと合流する。今回は総勢6名のパーティで、にぎやかな山旅になりそうだ。登山届を出して出発する。

 

美濃戸口から1時間林道を歩くと、何軒かの山小屋が見えてきた。ここまでは車でも上がってくることができる。
少し休憩しているうちに細かい雨が降ってきた。レインウェアを羽織って出発する。
霧の中、苔むした森を沢に沿って進んでいく。

ふかふかした苔は濡れて一層鮮やか、いたるところに生える様々なキノコもかわいらしい。最近結婚した友人は配偶者がキノコ好きらしくしきりにスマホでキノコを撮っている。

以前は登山道わきの植物などには目もくれない男だったのに変わるものだ。

 

苔ときのこ
霧に包まれる森

 

2時間ほど歩くと赤岳鉱泉に着く。ここで昼食にし、ヘルメットをレンタルする。
昼食をとっている間一瞬ザッと本降りになったがすぐにやんで、行者小屋に着くころにはまだガスが残るもののだいぶ天候は回復していた。行者小屋からは壁のような山肌が迫り、紅葉しつつある森と雲をまとった稜線が荒々しくも美しい。
しかし赤岳鉱泉でゆっくりしすぎたせいで予定より遅れている。既に1時を回り、予定通り文三郎尾根から赤岳に登頂していては今日泊まる赤岳天望荘に着くのが遅くなってしまう。赤岳登頂は明日に回して地蔵尾根から直接山荘へ行くことにした。

行者小屋からの地蔵尾根の登りは徐々に傾斜を増し、森林限界を超えると最後はほとんど壁に近い岩場をはしごや鎖を頼りによじ登っていく。ガスがあるおかげで高度感はさほどないが、滑落したら大怪我では済まない。落石も怖いのでヘルメットの顎ひもをしっかりと締めた。
浸食によってできた石柱が立ち並ぶ奇妙な景観の中を慎重に登っていく。雨がやんでいてよかった。岩はさほど濡れておらず、安心して足場を探すことができた。
やっとの思いで稜線まで登りつめると、天望荘はもうすぐそこだ。
やれやれと思っていると雲が切れて赤岳の鋭く端正な姿が目の前に現れた。惚れ惚れするほど凛々しい山だ。早くあのてっぺんに立ってみたい。

 

地蔵尾根の鎖場
赤岳と手前に赤岳天望荘


山小屋で受付を済ませ、増築を繰り返して迷路のようになっている通路を通り部屋に案内されると、窓から富士山が望めて感激した。眺望も素晴らしいが、コーヒーのサービスがあったり食事がバイキング形式であったり稜線上にもかかわらず入浴ができたりと大変快適な山小屋だった。
夕食の後外に出るとすっかり雲が切れ雲海の向こうに沈む夕日がすばらしかった。北アルプスの峰々も美しい。横岳の鋭い岩稜が赤く染まっている。
がんばって登ってきたご褒美には十分すぎる景色だった。
明日は赤岳に登った後、横岳の岩場を越えて硫黄岳まで、長い行程になる。
山荘の五右衛門風呂で汗を流してゆっくり休むことにする。

 

夕日
夕日に染まる横岳

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