零  Mr.Indigo

  • 2017.10.20 Friday
  • 20:00

「おい、単刀直入に聞くけど、どないやってん。初体験やったやろ?先月」

「なに言うてんねん。俺2児の父やで。先月なわけないやん」

「そんなくだらん話とちゃう!」

「…じゃあ、なんや」

「ゼロやったんや、ゼロ!初めてやろ?」

「なんやろか…健康診断の結果はヤバかったな。確かにこんな悲惨なんは初めてや。でも、異常なしがゼロっちゅうわけやないで」

「いやいや、健康診断とか知らんがな」

「じゃあなんやろか…」

「投票や、投票!」

「あー、そういえば衆議院解散したな。でも、俺とかゼロと何の関係があんの?」

「ちゃうちゃう、そんなん関係あるわけないがな」

「あ、わかった!最高裁判所裁判官国民審査や。これは落ちる奴ゼロや。間違いない」

「誰がそんなマニアックな話すんねん。そもそも全然初めてちゃうやろ!PREMIERや、PREMIER」

「PREMIER?最近ちょっとしんどいけど、毎週火曜には間に合わせてるし、テーマも必ず参戦してる。Pスポとダイジェストも毎月やってるで。渡海文殊も的中ゼロにはなってないやん、ずっと」

「いや、投票結果のことを言うてんねん」

「投票結果?」

「PREMIERに3つタイトルがあるんは知ってるやろ?」

「当たり前やん。MVP、最優秀作品賞、テーマコンテストや」

「で、お前が一番大事にしてるのは何や?」

「へ?家族に決まってるやん、家族」

「なんでそう来んねん!PREMIERの3つのタイトルで一番大切に思ってるのは何やって聞いてんねん」

「MVP」

「で、9月のお前の得票は?」

「最優秀1票、テーマ2票」

「で、MVPの得票は?」

「あぁ、ゼロやったな、今回は」

「はぁ、やっとたどり着いたわ。それで、初めてゼロになった感想を聞いてんねん」

「あ、そうなん?ゼロって初めてやったんや」

「なんや、知らんかったんかいな」

「ちょっと待って。過去の結果を見てくわ…うん、ほんまやな。去年の1月から今年の8月までずっと1票以上もらってる」

「そやろ?で、連続得票が20ヵ月で途切れた感想は?」

「うーむ…まあ、残念は残念やけど、ありがたいことやなぁ」

「ありがたい?」

「そらそや。20回の投票で、IndigoがMVPにふさわしいと思ってくれた人が必ず誰かいたってことやんか」

「なるほど」

「考えてみ。これは簡単にできる記録とちゃうで」

「まあ、それは認める」

「まず大前提として毎月作品を出すこと。そして、それなりの量もしくは質を維持すること」

「うん」

「そして、十数人の投票者の誰かにMVPとして推挙していただくこと」

「そやな」

「それを1年8ヵ月続けられる奴なんか、ほとんどいてないと思うで。昔の投票結果は見てないから、どのくらいいるんかは知らんけど」

「うーん…ひょっとするといてないかもな…」

「そやろ?この記録は俺が頑張るだけでは無理や。毎月誰かがMVPに投票してくれなあかん」

「うん」

「それでありがたいって言うてるわけや」

「わかった。でも9月がゼロやったんは事実やで。得票数を基準にするとこれまでで最低の出来ってことや。どや、文句あるか?」

「ない」

「えらいあっさり認めたな」

「最低かどうかは知らんけど、出来が良くないんは事実やからな」

「そやろ。物書きとしてはそろそろギブちゃうか?」

「ギブ?将棋部のこと?」

「アホ、ギブアップや」

「ギブアップ?てことは俺の勝ちやな。ところで、何の勝負してたん?俺ら」

「…もうええわ」

欲張り父子 Mr.Indigo

  • 2017.10.17 Tuesday
  • 00:00

「この子は欲張りだよね」

半年ほど前だったか、妻がぼそっと言った。ウチの長女のことである。妻は何気なく言ったのだろうが、私にとっては心に残る一言になった。欲張りか…。

確かに長女にはそんな一面がある。休日ともなると、図書館と商業施設と複数の公園に行きたいなどと言い出すこともある。言うまでもなくそれだけのメニューをこなすのは時間的にも体力的にも困難なのだが。


先日は「ジャングルジムのある公園に行きたい」と言い出した。少し前に保育園のクラスで行ったらしい。しかし、我が家の近所にジャングルジムのある公園はない。

話は若干それるが、ウチの娘達が通う保育園には園庭がない。たいていは先生達が公園に連れて行くのだが、同じ公園ばかりだと子供は飽きてくる。だから次女のクラスも複数の公園を使い分けているし、長女のクラスだと体力があるからさらに選択範囲は広まる。それで少し遠い公園に行き、ジャングルジムが新鮮で楽しかったということだろう。

一応思い当たる公園はあるが、我が家からだと1km以上ある。ただ、休日は人が多いだろうし、ジャングルジムは小学生たちに占領されているかもしれない。しかし、行かないと長女が納得しないだろうから、まあ行ってみよう。

私の懸念は杞憂だったようで、公園はガラガラだった。長女は着くやいなやジャングルジムへ直行。次女は滑り台に連れて行った。今風の趣向を凝らしたプラスチック製の滑り台で、傾斜も緩く危なそうなところはない。階段さえ注意すればよちよち歩きでも大丈夫だ。

次女はひたすら滑り台で遊んでいる。傍目からすると単調に見えるが、誰の手も借りずに一連の手順をこなせるのが嬉しいのだろう。

長女もほどなくこちらへ移動してきた。ジャングルジム目当てで来たというのに、あっさりしたものだ。保育園の友達が一緒だから楽しかっただけなのかもしれない。

もっとも、妹の相手をしていることもあれば、離れてブランコなどで遊ぶこともあった。本当は私に相手をしてもらいたいのだろうが、妹は動きがまだ危なっかしいから、父はそばにいなければならない。それを理解して、父子3人の時間と自分1人の時間を両方楽しもうとしているのだろうか。

結局、この公園には3時間近くいた。2人とも実によく遊んだ。「そろそろ帰ろっか」

「えーっ、まだ遊びたい」

「もう夕方だよ。少し暗くなってきたじゃない」

「うん」

一応は納得したようなので、次女をベビーカーに乗せ帰路につく。

「ねぇお父さん、大けやき公園行きたい」

長女の発言に私は面食らった。大けやき公園は家のすぐ近くだが、そもそもここから帰宅するだけで午後5時を回る。どうしても行きたいのなら、こちらの公園をもっと早く出なければならなかった。

ちょっと考えれば、そんなことはわかるはずだ。しかし、長女の脳内では次から次へとしたいことが湧き出てくるのだろう。その欲求を言葉にするから、欲張りに見えるのだ。


もっとも、私も長女のことを言えたものではない。理想主義者というのは基本的に欲張りだと思うのだ。

「後半生は自分が本当にやりたいことを仕事にしたいなぁ」

ある時ボソッと言うと、すかさず妻に突っ込まれた。

「本当に好きなことを仕事にしてる人なんてほとんどいないよ」

その一握りになりたいのだから、私もやはり立派な欲張りなのだろう。


潜入を図る Mr.Indigo

  • 2017.10.15 Sunday
  • 19:25

―雑兵日記PREMIERダイジェスト、今回は絶大な人気を誇る悩み相談室に潜入したいと思います。まずはネットで情報を調べてみましょう。

『※明るい悩み相談室PREMIERではあなたのお悩みを受け付けております。ブログにコメント、投票時にコメント、ハッガリーニにメール、電話、伝書鳩、のろし、などの手段でどうぞ。』

―なるほど。今回は相談室への潜入が目的ですから、メールも電話も無理。伝書鳩は帰巣本能で移動するから、場所がわからないとダメか…。どうしたものですかねぇ。悩ましいなぁ…ん?そうか!相談室への潜入方法をまず相談すればいいんですよ。とりあえずハッガリーニさんにメールしてみましょう。ではレスポンスが来るまでCMです。


<雑兵日記PREMIERの予想といえばPスポ!テーマコンテストだけまるで当たらない本紙担当・渡海文殊が9月の予想を振り返ります>

「…面目ない。すまん」

<本当にテーマはかすりもしないですね。MVPはガチガチとはいえ3着まで的中。最優秀作品も1つは取ってるのに…。厄払いでもした方がいいんじゃないですか?>

「厄除なら良い先輩を知っておるが…」

<やっぱり駄目。逆にテーマを当てるまで晒し者にしましょう>

「…くぬぬ」

<MVPが完璧だったし、クビというわけにはいきませんからね

「…うむ」

<では次の予想をお楽しみに!>


―回答が届きました。読んでいきますね。

「明るい悩み相談室PREMIER、本日の担当医がりはです。こんばんは。今日はどうされましたか?」

―明るい悩み相談室PREMIERに潜入したいのですが、どうすれば良いのかわかりません。うまい方法はないでしょうか?

「ほうほう、わっかりますわっかります。なにせ万人の悩みに対して真摯に向き合い、時には心に響くメッセージで力を与え、時には経験談から説得力のある助言を行い、また時にはユーモラスな表現で心をリラックスさせるなど、多様な処方であらゆる悩みを解決へと導いてきた当相談室。見てみたいというあなたの欲求は至極当然のことでしょう」

―うんうん。そりゃ知りたいですよね。

「しかし、考えてみてください。見た目というのは、その物事のひとつの部分に過ぎません。実際に目で見ることによって、かえって物事の本質を見失う危険性を孕んでいるのです。

『見るのではない…感じるんだ…』

名作少年漫画『ドラゴンボール』において、ピッコロ大魔王は愛弟子である孫悟飯にこう伝えました。まさしくそれが真実なのです」

―なるほど!あの名言は日常生活にも通じるものだったのですね。

「私がインターネットを通じてあなたに見せているのは問題解決人という私の本業であり、そこに私および当相談室の本質があります。見るのではなく、回答から感じ取ってください。当相談室が渋谷にあろうがシベリアにあろうが、私が桑田佳祐に似ていようが桑田真澄に似ていようが、その本質には関係ないのです。ゆえに当相談室に潜入することに時間と労力を費やす必要はありません。あなたが私のこの回答を導き出したことで、既に潜入は成功しているのです」

―そうですね。うん、そうですよ!

「お大事にどうぞ」

―いやぁ、さすががりは先生。目から鱗が落ちましたよ…えっ!?さっきからクレームの嵐?とりあえず本日は失礼します!


<この番組は、Pスポの提供でお送りしました>



月を観る男 Mr.Indigo

  • 2017.10.10 Tuesday
  • 13:01

午前0時を少し過ぎたくらいだっただろうか。与野駅を出て10mほど歩いたところで、私は思わず立ち止まった。

「あっ、これやん!」

心が叫び声をあげた。視線の先には、あの和歌の風景があった。


〜秋風にたなびく雲の絶え間よりもれ出づる月の影のさやけさ(左京大夫顕輔)〜


地上はほぼ無風だが、雲はかなりのスピードで流れている。月は雲の谷間から見えたり隠れたり。中秋の名月を過ぎたとはいえ、ここから見える形はほぼ真円のようだ。ただし、雲の動きによって見た目の姿は目まぐるしく変わっていくため、全貌が露わになることはほとんどない。

なるほど、確かにこれはなかなか趣深い。しかし「もれ出づる月の影のさやけさ」という感じではないような気がした。あまりにも雲の動きが慌ただしい。私の空想の中での雲は、慌てず騒がずゆったりと流れていたのだ。


しかしどうも月の光が弱々しい。視界の左下から差し込んでくる街灯の光が強いためのようだ。そこで場所を変えることにする。少し進んで左に曲がると、うまく街灯が隠れるポジションがあった。右手には5階建てのマンション、左手にはさらに高いマンションがあり、私のほぼ真上を電線が走っている。2棟のマンションの端と電線で構成されるほぼ台形のゾーンに私は視線を集中させた。

相変わらず雲はせわしなく流れ、月の形は絶えず変化していく。変わらないのは全貌が見えている時と全て隠れている時だけ。それもせいぜい数秒だ。

見ているうちに私は気づいた。雲は形だけでなく濃度も千差万別で、月が隠れていてもうっすらと光が漏れることもあれば、周辺全域が漆黒になることもある。淡い光が照らす領域は、月の見た目の直径の3倍くらいだろうか。

視線を雲に合わせ、右から左へ動かしてみる。そうすると、まるで雲が動かないで月が左から右へ流れていくかのように見えた。流れ星ならぬ流れ月だ。これまで見たことがなかった変わりゆく夜空は実に楽しく、なかなか飽きない。


人はぽつぽつと通りがかるが、誰もが急ぎ足で、月に目を遣っている様子はない。そうだよ、それが普通だよな。家路を急ぐ方が常識的に考えて賢明だということはわかっている。かくいう私も寝不足で気分がすぐれない日が多いのだ。

でも自分はこういう時間を大切にしている。空に限らず、景色を見ながらボーッと過ごすのが好きだし、それが人生を豊かにすると考えているのだ。そのポリシーを基準にすれば、その時間がたまたま帰り道に来ただけということになる。

まあ、こんな人間がいても良いだろう。世知辛い今の日本では、在野の風流人というよりただの変なオッサンのような気がしなくもないけれど。


右手のマンションから、黒く大きな雲が顔を出した。これが来たらしばらく月は見えないだろう。

「そろそろ潮時かな」

私は台形状の月見ゾーンに背を向けた。少し進んで空を見上げると、予想通り月は隠れていた。


〜秋風のおもむくやうに流れたる雲とたはぶる夜半の月かな(Mr.Indigo)〜


Pスポ10月号 Mr.Indigo 

  • 2017.10.04 Wednesday
  • 12:00

■表紙

MVP杯(芝3200m)

[見出し]

ガリハ連覇へ死角なし!?

[リード]

質量ともに充実しているシステムガリハが最有力。タリキホンガン、ドクターヤマブキ、インディゴブルーが追うが、この3者で票が割れそうだ。

 

[本紙・渡海文殊の知恵]

◎システムガリハ

○ドクターヤマブキ

▲タリキホンガン

<短評>

前月以上の多様性を見せ質も高いシステムガリハが大本命。相手が難しいが、タイトルから長らく遠ざかっていて、末期癌患者2人を描いた「鉄の海」が胸を打つドクターヤマブキがリードか。

 

[手数こそ正義!千手観音の見解]

◎タリキホンガン

○システムガリハ

▲インディゴブルー

<短評>

タリキホンガンとシステムガリハは同数だが、作品数で前者を本命に推す。前月と同じくインディゴブルーが3番手。

 

■裏表紙

最優秀作品賞(芝1200m)

[見出し]

混戦ここに極まれり!?勝者は?

[リード]

今回も大混戦。2票獲得作品は多く出ると予想されるが、3票に達する作品が出るかどうか。テーマコンテストに好作が多く、そちらとの兼ね合いも難しい。

 

[本紙・渡海文殊の知恵]

◎システムガリハ「アリ・ホッグァーへのインタビュー」

○ヨウヘイウベベ「ツキを呼ぶ男」

▲システムガリハ「つきをつかまえろ!をつかまえろ!」

△インディゴブルー「フコウゴト論」

<短評>

混戦だがシステムガリハの充実が目立つ。ドラクエ靴鰺僂い得い量犠錣鮓譴辰拭屮▲蝓Ε曠奪哀 爾悗離ぅ鵐織咼紂次廚本命。ヤマガアルマルーンの好作に乗じた「つきをつかまえろ!をつかまえろ!」も有力候補だ。ヨウヘイウベベの「ツキを呼ぶ男」も豪腕が光る秀作。

 

[病める者に光あれ!薬師三尊の結論]

◎システムガリハ「つきをつかまえろ!をつかまえろ!」

○ドクターヤマブキ「点(x,y,z)=(1,2,3)」

▲インディゴブルー「ぬいぐるみリポート」

△インディゴブルー「テレビを観る父」

<短評>

システムガリハの「つきをつかまえろ!をつかまえろ!」の巧さとしたたかさは凡人の業ではない。ドクターヤマブキの奇怪な世界観も相変わらず凄い。ぬいぐるみ同士を通信させるインディゴブルーの作品も彼ならでは。

 

■中面

テーマコンテスト(障害3000m)

[見出し]

混迷から抜け出すのはマルーン!?

[リード]

久々の多頭数。各作品に個性溢れる趣向が見られ、非常に面白い戦いになった。背水の陣の本紙・渡海文殊はヤマガアルマルーンに◎を打ったが、結果はいかに。

 

[本紙・渡海文殊の知恵]

◎ヤマガアルマルーン

○ドクターヤマブキ

▲インディゴブルー

<短評>

読み応えのある作品が揃った好レース。中でもヤマガアルマルーンの常人離れした発想と技巧は特筆に値する。ドクターヤマブキの作品も彼の長所が出ておりさすがの内容。穴は正攻法に徹したインディゴブルーか。なお、システムガリハとヨウヘイウベベの作品も面白いが、テーマコンテストという観点から無印とする。

 

[飛鳥大仏の求む!本邦初]

◎ヤマガアルマルーン

○システムガリハ

▲ヨウヘイウベベ

<短評>

ツキというワードを多様な意味で活用したヤマガアルマルーン、そしてその作品を短期間で解剖し切り返したシステムガリハは、ともに斬新な発想が光る。

 

土曜日 Mr.Indigo

  • 2017.10.03 Tuesday
  • 00:00
2つの用事がバッティングした。1つは保育園の保護者会。もう1つは来春から長女が通う小学校の運動会で、入学予定児のかけっこ(希望者)がある。後者の情報を入手してきた妻は、自分が長女とそちらへ行くので、次女と保護者会に行ってくれと頼んできた。
ちなみに、元々は家族4人で保護者会に参加し、後半のクラス別懇談会は私が長女、妻が次女のクラスに出る予定だった。妻と長女が小学校の運動会に行くと私が次女のクラス別懇談会に回り、長女の懇談会は欠席ということになる。
小学校は来年から6年間世話になるだろうし、保育園のクラスメイトに長女と同じ学区の子はいないから、ここは当然最優先だ。まだクラスメイトや保護者をよく知らない次女のクラスが次。長女のクラスは信頼関係が確立されていて、あと半年で解散だから、欠席でもさして問題はない。
私も小学校に行ってみたかったが、初対面で仲良くなる能力は私より妻の方がはるかに高い。他の子も母親同伴が大半だろうし、妻が行くのがベターだ。
 
当日、仕事の都合で帰宅が午前4時過ぎになってしまい、睡魔に支配された体で9時過ぎに出発。ベビーカーを押していると妻から着信が。
「もしもし。何かあった?」
「あのね、言うの忘れてたんだけど…」
「うん」
「今回は園長先生との質疑応答があるらしいんだけど、変なクレームがあっても熱くなって言い返したりしないでね」
「うーん…」
二つ返事はできない。そんなもん内容次第だ。それにしても、ずいぶん信用がないものだ。寝不足による機嫌の悪さを危惧したのだろうが。
「要するに無駄に敵を作るなってことね」
「うん」
会場では仲の良い面子に囲まれるように陣取ったものの、次女が泣き出したので最後方での立ち見に変更。上半期の報告、「与野の福山」ことイケメン園長の話、質疑応答と保護者会は進行していく。
こうした会の質疑応答は、何か文句を言いたい人の出番である。私はこの保育園に大いに感謝しているから言い掛かりのようなクレームには腹が立つのだが、この時は何とかこらえた。
後で聞いたことだが、親父B氏もかなり憤慨したらしい。親しい人が自分と同じ感想を持ったと知ると、なんとなく安心する。
 
終了間際に妻と長女が登場。長女はさっそく友達と遊び始めた。私は妻に話しかける。
「どうだった?」
「3番だったよ」
「何人中?」
「8人だったかな」
「偉いもんだね。ちなみに女の子ばっかり?」
「いや、ごちゃ混ぜだったよ」
「男の子もいて8人中3着なら大したもんだ」
自分はスポーツが苦手で、徒競走の類いはほぼ最下位かブービーだった。しかし、この結果なら体育で苦労することもないだろう。
妻に次女を預け、長女のクラスの懇談会に加わる。見慣れた顔ばかりで、いつもの現象も起こっていた。
「なんでまた女の子4人の父親が全部いるんですか」
私が言うと親父C氏が苦笑した。4人しかいない女の子の父親は全員いて、男の子の父親は誰もいない。まあ、弟妹のクラスに行っていたり、兄姉の面倒を見ていたり、仕事があったりいろいろあるのだろうが。
ともあれ、担任のS先生や母親諸氏も含め、やはりこの面子だと居心地が良い。
 
夜、妻が長女のレース動画を見せてくれた。小柄で知り合いがいないにも関わらず、堂々と走っていた。我が子の成長は実に嬉しい。やはり保育園の皆さんのおかげだとしみじみ思った。

テレビを観る父 Mr.Indigo

  • 2017.09.30 Saturday
  • 15:37
「お父さん何番応援してるの?」
テレビで競馬中継を見ていると、長女に聞かれることがある。レースの度に私がテレビに向かって「そのまま!」とか「差せ!」とかいろいろ喋っているから、自分の父がいずれかの馬を応援していることは、ずいぶん前から理解していた。
「1番だよ。あの真ん中へんにいる白い帽子」
これは回答の一例である。馬連流しなどの場合は軸馬の番号を言う。
「が〜んば〜れい〜ちばん、が〜んば〜れい〜ちばん」
以前はこんなかわいらしいことも言ってくれていたのだが、最近はない。むしろ勝ち馬に乗るのが好きなようで、4コーナーを過ぎて先頭に躍り出た馬を応援し始めることもある。
 
さて、普段はチャンネルの選択権をほぼ放棄している私が敢えて見たいと主張する番組は勝負事がほとんどだ。だから、長女はしばしばこのような質問をしてくる。しかし、即答できるものばかりではない。
「お父さん、どっち応援してるの?」
将棋のNHK杯を見ている時に聞かれると曖昧な答えになることが多い。応援している棋士は何人かいるものの、彼らが対局者であることは稀だ。
「うーん、どっちもかな…。でも、右のお兄ちゃんの顔は覚えといた方がいいよ」
今月の初め、森内九段と藤井四段の対局の生中継を見た際にはこう言った。
しかし、よく考えてみると、藤井四段は既に将棋ファン以外にもかなり知られていて、今後さらに知名度は上がっていくはずだ。今から覚えておく必要はなかったか。
 
「お父さんどれ応援してるの?」
ある日曜の夜に聞かれた時は、私に代わって妻が答えた。
「お父さんはこの人達と勝負してるのよ」
最近、私は「東大王」という番組にハマっている。簡潔に言うとクイズの団体戦で、各チーム3人のメンバーで勝敗を競うのだが、この番組の特徴はそのレベルにある。問題の難易度も解答者の知力も非常に高いのだ。
毎回登場する東大王チームは言うまでもなく東大の精鋭。彼らと戦うのは他大学のクイズ研究会や高学歴芸能人などのチームで、団体戦ならではの駆け引きが見られることもある。雑学好きで団体戦マニアでもある私にとっては実に面白い番組である。
もちろん自分もテレビの前で参戦するが、やはり相手は強い。大半の分野ではほとんど歯が立たず、地理や歴史といった得意分野でも辛うじて勝負になるという程度である。
私にも将棋や麻雀などで培った思考力はあるはずだが、思考のスピードや正確性だと現役学生には遠く及ばない。ほとんど考えなくて良い、自分の知識の範疇に関する問題が出たらラッキーというだけだ。
さて、「わからん」とか「やっぱすごいわ」などと独り言を繰り返し、たまにドヤ顔で「よっしゃ」などと言って拳を握る私を、娘達はどのように見ているのだろうか。
6歳の長女はクイズ番組が好きなのだが、まだ大人向けの問題はあまり理解できない。おそらく、正解不正解やそれに伴う解答者の反応などが面白いのだろう。ならば、最も身近な解答者である私の姿を楽しく見てくれているのではないか。1歳9ヵ月の次女も、お父さん楽しそうだなというくらいは思っているかもしれない。
もちろん自分が楽しいから「東大王」を見るわけだが、副産物として娘達がその楽しさを理解してくれれば、親としては非常に大きな喜びである。

眠い中年  Mr.Indigo

  • 2017.09.26 Tuesday
  • 00:00

「寝言で『眠い』って言ってたよ」

妻にそう言われたのは結婚して間もない頃だ。「眠い」というのは私の口癖のひとつだが、まさか睡眠中にも発しているとは思わなかった。

まあ、「眠い」という言葉は必ずしも眠い時だけに発するものではない。弟の1人は煙草を吸いながら「煙草吸いたい」と呟いたことがあるという。独り言というのはそういうものだ。

もっとも、現実の睡眠時間が理想に遠く及ばず、眠気を感じることが多いのも紛れもない事実である。

 

そもそも、育ちからして睡眠時間が長くなるようにできていた。私は4人兄弟の長兄で、1歳下と2歳下の弟がいた。物心ついた時から3人同室でほぼ同時に就寝し、ほぼ同時に起床してきた。成長に伴って必要な睡眠時間は減るはずなのだが、私はずっと2歳下の弟に合わせて睡眠をとっていたのだ。

中学に進んでも、兄弟3人とも9時間くらい寝ていた。それが両親の方針だった。我々も多少の不満はあったが、就寝拒否などの行動には至らなかった。思春期の兄弟が3人同室。もしかすると、睡眠はそんな束縛からの一時的な解放だったのかもしれない。

高校生になって、ようやく夜の睡眠時間が減少した。平均すると7時間くらいだろうか。一方で、ほかの時間帯に睡眠を補充することも増えた。帰宅直後に一眠りしたり、授業中に落ちたり。体はもう少し睡眠を欲していたのだろう。

そして大学生。1人暮らしを始め、寝るも寝ないも基本的には自由になった。徹夜で麻雀を打つこともあり、逆に12時間以上寝ることもあった。社会人になっても、しっかり眠ることは変わらなかった。繁忙期で睡眠時間が6時間を切ると、きついと感じたものだ。

自分の適切な睡眠時間は8時間程度だという認識は、20代半ばくらいまでに定着していた。

 

しかし、結婚して長女が生まれ、保育園に通うようになった頃から、平日夜の睡眠が6時間を切るのが慢性化した。それまでは会社に遅刻しなければ良かったのだが、通園があると出発は早まるし、子供たちに早く起こされることもある。

通勤時間は長いのだが、与野で京浜東北線に乗れば、次の北浦和までに座れることがほとんどだ。30分ほど仮眠をとることができる。

ところが、それも最近異変が起きつつある。隣席の客からの肘打ちや軽いクレームが増えているのだ。おそらく、以前よりも眠りが深くなってきたのだろう。

今は時候がよいので、昼食を早く食べ終えてベンチで仮眠を取るようにしている。ただ、こうして睡眠を補充しても、睡魔がなかなか去ってくれないことも少なくない。

一方、休日の睡眠は日によって異なるものの、たいていはなかり長い。自宅にいる時は夫婦交代で寝ている。妻も仕事と家事・育児でずいぶん疲れているのだ。妻と長女が出かけている場合、次女が眠ると私も寝る。時には半分眠った状態で次女と遊ぶこともある。

夜は21時過ぎ、子供たちを寝かしつけると眠ってしまう。たいてい日付が変わる前に一度目を覚ますのだが、そこで何かするかどうかは状況や気分による。特になければそのまま寝る。

 

このように平日は寝不足、休日は寝てばかりというのが昨今の私である。若いころからの体質に逆らった生活をしているから、年とともにきつくなってきた。

今更体質は変えられないから、やはり働き方を変えていく必要があるのだろう。アラフォーのオッサンにとっては、かなり重要な課題だと思っている。

 

ぬいぐるみレポート  Mr.Indigo

  • 2017.09.24 Sunday
  • 00:00

―今回の雑兵日記PREMIERダイジェストは、複数のレギュラー執筆者が住むさいたま市浦和区にロケに来ております。私にもよくわからない企画なんですが…あれはMr.Indigoが住んでいるマンションですね。とりあえずインターホンを押してみましょう。

「はい」

―こんにちは。こちら雑兵日記PREMIERダイジェストという番組ですが…。

「すいません、みんな松山です」

―えっ!?ではあなたは?

「留守番のみきゃんです」

―あぁ、一度お会いしましたね。

「ええ…あ、ちょっと待って下さい」

《こちら、みきゃん松山5963。埼玉0003、応答されたし》

「はい、こちらみきゃん埼玉0003、どうぞ」

―あ、あの…、今のやり取りは何ですか?

「限られたみきゃんのみが持つ胸元のハートは通信機になっていましてね、同型のみきゃんと会話ができるんです。松山5963はIndigoの奥さんの実家にいる奴です」

《おい!『どうぞ』って言ってからどんだけ待たすんじゃ》

「失礼。どうぞ」

《お宅のオッサン、悶絶してるで》

「へ?」

《右足つったんやって》

「あぁ、そんなんよくある話。気にせんでいいよ」

―Mr.Indigoはよく足がつるんですか?

「はい。2〜3カ月に1回くらいかな、明け方にふくらはぎの激痛で悲鳴をあげてます」

―それが3連休に当たるとは…。

「いや、むしろ…あ、度々すいません」

《こちらみきゃん松山5963。埼玉0003、応答されたし》

「はい、こちらみきゃん埼玉0003、どうぞ」

《お宅のオッサン、悶絶してるで》

「へ?また?」

《左足つったんやって》

「…さすがに両足立て続けは聞いたことないなぁ」

―うーん、これは何が原因なんでしょう?

「疲労ですね。休みで気が抜けたんでしょう」

―なるほど。

「ここしばらくはかなり忙しかったようですから、体がまさに悲鳴をあげたんですね」

―うーむ。ではここでCMです。

 

<雑兵日記PREMIERの予想といえばPスポ!本誌担当・渡海文殊が8月の予想を振り返ります>

「…わし、クビ?」

<うーん…ご自身ではどう思われます?>

「最優秀は○◎△で一応当たり。テーマは3頭立てなのに外れ。MVPは頭こそ的中だが…」

<○のタリキホンガンの0票は活躍度からして考えづらいですね。今回はセーフにしますか>

「…わかった。ふぅ…」

<もはや保身しか頭にない文殊の知恵でした。はぁ…>

 

―さて、Mr.Indi…

「あ、またです。すみません」

《こちらみきゃん松山5963。埼玉0003、応答されたし》

「はい、こちらみきゃん埼玉0003、どうぞ」

《お宅のオッサン、眼鏡がぶっ壊れたのに平然と寝てるで》

「…もうほっといて…」

―眼鏡が壊れるとは、災厄続きですね。

「いや、もともと管理が悪い男だし、休みで油断してますから、こういうこともあり得ます」

―うーむ。では解決策はありますか?

「根性に頼るのをやめないと。もう中年なんだから、今回みたいにオフになると何か食らいます」

―しかし、Mr.Indigoは根性と執念でタイトルに返り咲いたのでは?

「PREMIERと職場は違います。書くのは慣れていてスピードがあるから、根性や執念が役立ちます。ただ、複雑な業務になると、体力消耗のデメリットの方が大きいでしょう」

―なるほど。

「子供達が順調に成長してるんだし、心と体の健康管理をうまくやってほしいですね」

―そうですね…あ、もう時間がない!ありがとうございました!

 

<この番組はPスポの提供でお送りいたしました>

斑鳩の里 Mr.Indigo

  • 2017.09.19 Tuesday
  • 00:00
Mr.Indigoです。
1月から世界遺産「古都奈良の文化財」の構成資産について語ってきましたが、いかがだったでしょうか。
私の地元・奈良についての関心が増したのであれば、非常に嬉しく思います。
さて、次は「法隆寺地域の仏教建造物」について。こちらはMr.Indigoとして思うところを述べていきます。
 
私の実家は24年前から「世界遺産まで自転車で15分ほど」の場所にあります。「姫路城」と「法隆寺地域の仏教建造物」が日本で初めて登録されてからずっと、ということです。
もっとも、私の実家から自転車で15分なのは法起寺三重塔です。法隆寺があったからこそ登録されたという感は否めません。
とはいえ、法起寺には法隆寺にない魅力があります。むしろ、私は法起寺の雰囲気の方が落ち着くような気がするのです。
 
さて、法隆寺や法起寺の周辺を「斑鳩の里」と呼ぶことがしばしばあります。この言葉を見聞きすると、田舎ののどかな風景を思い浮かべることでしょう。
しかし、実態はいささか異なります。法隆寺駅から法隆寺の間は一昔前の住宅街で、日本有数の名刹の門前にふさわしい情趣はありません。このあたりは大阪駅まで乗り換えなしで40分ほどというベッドタウンでもあるのです。
ところが、国道25号に入って少し西へ進むと、いきなり世界が変わります。右手に広く短い参道があり、それに沿って歴史のありそうな食事処や土産物店が並び、そして参道の奥には五重塔や金堂などがたたずんでいます。
境内は非常に広く荘厳な雰囲気が漂っていますが、なんとなく重い感じがします。鹿がうじゃうじゃいて大仏殿の中も撮影自由という東大寺や、昭和の建物が多い薬師寺などに比べて「緩さ」の要素が足りないんですね。法隆寺は凄い寺ですが、私個人の好みとは合わない部分があるように思います。
 
私のおすすめは、法隆寺の東側の細い道を北上して法起寺に向かうルートです。レンタサイクルを利用するのが良いでしょう。
法隆寺の境内を出て数分も進めば草に覆われた土手にたどり着き、緩やかな坂を上ると左手に池があります。ここから法起寺までの道のりこそが、まさに斑鳩の里の風景だと私は思っています。
池に沿って右へ進むと、ほどなく法起寺の方向を示す案内があります。それに従って右折ししばらく坂を下ると、左側に歩行者・自転車専用の細い道があるので、そこに入りましょう。
やがて、視線の先に風格ある塔が見えてくるはずです。これは法起寺ではなく法輪寺の三重塔で、いわゆる昭和の名建築です。創建当時の塔は昭和19年に落雷で焼失してしまったのですが、それは戦時中の金属不足により避雷針が撤去されていたためといわれています。戦争のせいで世界遺産になれなかったわけです。
法輪寺の前で右に折れると、いよいよ法起寺の三重塔が見えてきます。直進して広い道を渡れば法起寺に到着です。
 
このあたりは知る人ぞ知るコスモスの名所です。休耕地を利用して周辺住民の方々が育てているのです。
秋には周囲の細い道がカメラを持った人々でいっぱいになります。しかし、このあたりには店がなく、人が来ても金はほとんど落ちません。境内に入らないと拝観料も入ってきません。
しかし、それでも地域の魅力創造のために人々は頑張っています。世界遺産の文化財のPRとしては王道ではないかもしれませんが、空いた土地を活用し寺と調和した景観を生み出したのは素晴らしいことだと私は思います。
この秋、そんな法起寺を訪れてみませんか。

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