【テーマ』<予告編>小さなヤマンバと大きな桃の木 文責:Mr.Pink

  • 2020.03.31 Tuesday
  • 23:46

<あらすじ>


或る春の夜の事でございます。


掌に載るような小さな小さなヤマンバが山の中で、
何か歌うような声で小窪の台地に立っておりました。


満月の良い夜です。


少し暖かくなった風がふんわりと駆け抜けたかと思うと、
突然、周りの木々に花を咲かせました。


それは、さくらよりも鮮やかに、梅よりも鮮烈な香りを
窪地いっぱいに広めたのでした。


ヤマンバは小躍りしながら、


咲いた、咲いた、桃の花が咲いた。
咲いた、咲いた、桃の花が咲いた。


春を招いた歓びにひととき体いっぱいに浸していたのでございます。
しかし、何か物足りないと思ったのでしょう。


ふと、おかしげに頭(かしら)をかたぶけると、
くぼんだ顔の奥底にある、視線をを山下にある
村に向けたのでございます。


炯炯としたその眼には、怪しい赤い灯が
ぼんやりと燈ったのでございます…


さて、本編は来月連載。
投票よろしくね!


ガリハ「ホンマに、本編、書いてくれるんやろな?」
ピンク「…エヘ?」

【テーマ】ヤマンバにかんぱい!!  Mr.アールグレイ

  • 2020.03.30 Monday
  • 07:00

こんにちは。
お足下の悪い中、ここ阿佐ヶ谷ロフトAにお越しくださってありがとうございます。
これだけの雨が降ってますと、ここ自体が水没しちゃうんじゃないかと不安になりますが、今日はおいしいお料理、お酒もご用意しております。
楽しくやってまいりましょう。
私も少し頂きながら、リラックスした雰囲気で進めていきたいと思います。
ではまず乾杯から参りましょうか。
みなさん、ワンドリンク券、引き換えました?
大丈夫です?
もう飲んじゃった?
じゃあ乾杯だけ付き合って。
いきますよ、ヤマンバにかんぱーい!!
いえい!
労働のあとのお酒はおいしいですね!
どうぞどうぞ二杯目取りに行ってくださいね。
時間はたっぷりありますから。

 

やまんば、と聞いて皆さんどんな人を思い浮かべますか?

じゃじゃん。

2000年前後、ギャル文化の中でヤマンバギャルと呼ばれる一団がいましたので、彼女らを思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。
肌を黒く焼き、対照的に髪を白になるほどブリーチ、目の周りや唇を白くする化粧を施したギャルで、言葉遣いの強烈さもあり、話題になりました。
今ではほぼ絶滅しましたね。
髪を振り乱した異形の女、それがヤマンバのイメージです。

ベーシックなイメージはこんな感じでしょうか。
山奥に住んでいて、旅人を歓待し、夜寝静まった頃に包丁を研いで旅人に襲い掛かり食べてしまう、そんな恐ろしい妖怪。
人に害をなす罰するべき存在だとお考えではないでしょうか。
みなさんの中のヤマンバ像、自己紹介とセットで五分ほど、周りの方と交流してみてください。

 

はい、いかがだったでしょうか。
わりあい多様なヤマンバ像、出てきてましたね。
そうなんです、触れている童話や漫画、アニメなどによってヤマンバ像が変わってくるのが面白いところです。

全然話は変わりますが、まさかりかついだ金太郎、誰の子なのでしょうか。
桃太郎、桃から生まれました。
あか太郎、垢から生まれました。
浦島太郎、浦島から生まれました。
なんちゃって。
浦島太郎、なんで浦島なんでしょうかね、あの話バッドエンドなのも気になります。
今は関係ないですね。
金太郎の母、諸説あるのですが、喜多川歌麿の絵に「山姥と金太郎・盃 」があります。
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/287262/1
ごらんください。
この母性にあふれた女性の姿。
抱かれているのが金太郎、抱いているこの方こそが、やまんばなのです。
いかがですか。
ちょっと話し合う時間を取りましょうか。
今から十分とりますので、お料理やお酒などを召し上がっていただきながら、話を進めてください。

 

 

いかがでしたでしょうか。

少しイメージが変わってきましたでしょうか。
ここで朗読コーナー!!
「三枚のお札」
「天道さんの金の鎖」

 

三枚のお札でも、天道さんの金の鎖でも、山姥は恐ろしいものとして描かれ、そして殺されます。
山姥はどうして山姥なのでしょうか。
姥捨て山の生き残りが生んだ子なのではないか、というのが私の推測です。
恐ろしくて強い化け物であれば、旅人を歓待などせず出会った瞬間に襲ってしまえば良いのです。
本当の化け物であればそれでよいのです。
弱い生き物が生きるためにやむを得ず強いものを狩るために行うのが擬態であり、山姥が親切な老婆として、また若い娘として旅人を歓待するのはすなわち彼女が弱い生き物であることを示しています。
山姥は人なのです。
食べていかなければならない、でも村で社会生活を営むことが許されない人なのです。
村で暮らしていけない、でも山で暮らすにはあまりに弱い生き物なのです。

 

さて、今日のイベント「ヤマンバにかんぱい!!」もそろそろお開きです。
今日はわざわざ、私のためにお集まりいただきありがとうございました。
食べていけるだけのお金をいただければ、取って食うなどとは申しませんので。
また次回もごひいきに。
ありがとうございました。

続きを読む >>

【テーマ】母の介護 Mr.ヤマブキ

  • 2020.03.27 Friday
  • 07:00

 あれだけしっかりしていた母が、前日のことを忘れ二日連続でトイレットペーパーを買ってきた。もう三年も前のことだが、はっきりと覚えている。母は認知症になった。

 認知症は不治の病で、そして必ず死に至る。今や母は足腰も衰え、介護保険でレンタルした電動ベッドで日がな一日過ごす。用を足すときだけは、震える手足でベッド横のポータブルトイレに移る。食事は私が用意する。そんなのでも、気持ちだけは一人前で言い分だけは達者だ。

 

「あんた、この肉焼きすぎちょうわ」

 

 母が認知症だと分かったとき、一番心配したのは食事のことだった。山姥は人肉しか食べられない。人間だった父は早くに亡くなって、一人娘の私が食事を「調達」する必要に迫られるからだ。

 

「死んでしまえばええんよ」

 

 雨の降る前の絡みつく湿気は、ときに母を参らせて、そんな弱気な言葉も出る。そうなると一口も食事に手を付けない。

 思い出すのは、私が成人した日のこと。安月給から小さな花束を買って母にお礼を言った。母は、これでもう私は要らないね、と笑った。その時は冗談だと思っていたので、結婚するまでは待って、と返したが、今ならあれが本心混じりなのだと痛いほど分かる。

 

「そんなこと言わんとって」

「そろそろあたしの食いもん取ってくるんやろ」

「お母さん、食べな死ぬよ。みんな食べて生きんのよ。何が悪いの」

「あんたもあたしも地獄行きやわ!」

 

 家族の夕食はいつも三人、父、母、私。母の前にはコップに注がれた水だけで、食事はない。それが普通でないことは、周りの子供の話を聞いて徐々に学んでいった。私が寝た後にひっそりと食べていたようだが、どうしてだったろうか、母が山姥で、私とは違うものを食べていることは私の中で自然なこととなっていた。母の方でも、私が知っているということに気付きながらも、その習慣は止めなかった。母が食べるのを見たのは、介護するようになってからだった。それでも、食べるところを見られるのを嫌がって、できるだけ私が席を外すようにする。これ以上弱って、食事の介助が必要になっても、絶対に受け入れてくれないだろうと思う。

 認知症になる前にも、母が食べなくなったことがある。父が亡くなった時だ。私が十二の時、父は病でこの世を去り、母は必要以上に自らを罰した。天罰だと、しばらく一切を口にしなかった。私は、黙って見ていた。その頃にはすでに母の食生活の秘密を知っていて、恐ろしくて黙っていた。母は私の食事だけを作り、寝室に引きこもっていた。私はいい子にしていた。それ以外に、時に身を委ねる以外に、為す術を知らなかった。

 結局、十日後からそろりそろりと食べるようになった。自身を呪いながら母は生きていくことを選んだ。どんな気持ちだっただろう。母の孤独、罪、情けなさ……。それでもよかった。母が母を呪おうと、何より私が、母に生きていてほしいと思う。

 

「あんたは本当にかわいいねえ」

 

 出し抜けにそんなことを言う。たった十分前の、地獄に落とさんばかりの剣幕なんてすっかり忘れている。

 外は激しい俄雨になっていた。私は食事の「調達」に出かけた。

【テーマ】木曜スペシャル 恐るべきヤマンバは実在した! うべべ

  • 2020.03.26 Thursday
  • 23:34

勇敢な探検隊は、ヤマンバの目撃情報をもとに、とある山へと向かった。
樹々が生い茂る中をかいくぐり、ヤマンバの住処があるとされる頂上を目指す。
「あ、あれは何だ!?」突然、隊長が声を上げた。
地面には、大きな足跡が続いていた。人間のものとは思えない大きさだ。
「クマでしょうか?」隊員が訊ねる。
「いや、違う」隊長が断言した。「これはヤマンバの足跡だ」

 

ジャジャーーン(効果音)

 

「クマは、人間を襲うとき以外は四足歩行だ。これは、二足で移動している」
「つまり……?」
「ヤマンバ以外に考えられない。行くぞ!」
隊長の言葉を信じて、探検隊は山の奥深くへと進んで行く。

 

「おい、あれを見てみろ」隊長が指差す。
その先には小屋があり、煙突からは煙が上がっていた。
「どうやら、ヤマンバの家に違いない」
迂闊に近付けば、恐るべきヤマンバに食い殺されてしまうかもしれない。
しかし勇敢な探検隊は、そんなことは物ともしない。
「よし、突撃だ!」
隊長の掛け声に従い、探検隊は一気に駆けだした。

 

ジャジャーーン(効果音)

 

「で、どうします? 行きます?」隊長がプロデューサーに訊ねた。
「ちょっと私が行ってアポ取りますんで、いったん休憩お願いします」
「分かりました。お願いします」
探検隊は、日傘の下でメイク直しを始めた。
隊員の一人が、メイクさんに話し掛ける。
「ねーねー、〇〇ちゃんは彼氏とかいる系?」
「そういうこと、誰にでも言ってるんじゃないですかぁ〜?」
「そんなことないよ。〇〇ちゃんだけ。とりあえずLINE交換しない?」
「あ、LINEやってないんですよぉ」
「え〜、LINEやってない子なんている? じゃあインスタとかは?」
「インスタも、昨日やめたんですよぉ」
食い下がる隊員を、メイクさんはかわし続ける。

 

「ところで、プロデューサー遅くない?」隊長が訊ねた。
「すみません。ちょっと確認してきます」ADが走って行った。
そのADも帰ってこなかった。
「これやばくないですか。あ、誰か出て来ました」
「誰だ? Pか? AD? いや……」
現れたのは、髪の長い老婆だった。
「もしかして、ヤマンバさん……ですか?」隊長がおそるおそる訊く。
『あぁ、そうだ』

 

ジャジャーーン(効果音)

 

「いや、効果音入れてる場合じゃないでしょ。本物はマズいって」
「最悪あとで編集しますし。このくだりは無しで繋ぎますんで」APがなだめる。
「お願いね。探検隊シリーズと徳川埋蔵金は、見つけちゃダメなやつだから」


「じゃあヤマンバさん。いったん大丈夫です」
『大丈夫だと? 何を言っている』
「バラしです。いったん帰って頂いて大丈夫です」
『だから、何が、大丈夫なんだぁぁああ!!』
ヤマンバは片手でAPの首をもいで、がぶりと噛みついた。
「あぁ、これもう完全にNGです」カメラさんがお手上げした。

 

『次は、誰だあぁあぁあ!!』
口の周りを血で真っ赤に染めたヤマンバが、一同を睨みつける。
『お前だぁああ!!』
ヤマンバが、メイクさんに向かって突進した。
「危ない!」
勇敢な隊長は、自らの身体でヤマンバを遮るなどということなく、とりあえず声だけ出した。
ヤマンバの鋭い爪が、メイクさんに襲い掛かる。
そのヤマンバの首元に、強烈なハイキックが炸裂した。

 

ジャジャーーン(効果音)

 

首が折れたヤマンバは、その場で絶命した。
「す、すごいじゃん〇〇ちゃん。空手とかやってた系?」
「いや。元ヤマンバなんで」
「え〜、それ渋谷とかのやつじゃなくて?」

 

エンディングテーマ(【ロッキー】Going The Distance)

 

勇敢な探検隊は、結局ヤマンバに会うことはできなかった。
しかし、あの山に確実にヤマンバはいた。
「次は必ず見つけてやる。待ってろよ、ヤマンバ」
彼らの熱意は、次こそ実を結ぶことだろう。
ありがとう、探検隊。負けるな、探検隊。

【テーマ】管理人 Mr.Black

  • 2020.03.23 Monday
  • 19:00

その女性はエントランスに待ち構えるように立っていた。

 

年齢は60代後半くらい。

ほっそりとした身体つき。シンプルだけど質の良さそうな服。上品な身のこなし。

余計なことは話さない、でも大切なことは相手の表情を確かめるようにじっくりと。

 

そんなふうにして、部屋の細々としたことからマンション全体の設備のことまでを説明してくれた。

建物自体は決して新しくはないのだけど、すみずみまできれいに保たれている。大切に扱われてきたことが分かる。

最後に案内されたゴミ置き場に目を見張った。

ゴミひとつ落ちていない。(いや、ゴミ置き場なのだけれど。)

ゴミ収集日以外にはゴミを出さないことが住人に徹底されているに違いなかった。

清掃もこまめにされているのだろう。特有のにおいもない。

 

今まで引っ越しは片手を超えるほどしてきたから、自分の物件判断リストみたいなものがあって、中でも上位にある「ゴミ置き場がきれいか」に、もうそれだけで十分なくらいの丸がついた。

 

内見に同行してくれた不動産の担当の方と帰り道を歩きながら、

彼が言う何度目かの

「人気の物件です。」に、はじめて本気のそうですね、を返してそのまま契約を決めた。

 

住み始めてからの日々は穏やかだった。

幹線道路から一本入ったところにあるマンションで、もともと静かな環境なのだが夜になると物音ひとつしない。

他の住人たちとは挨拶を交わす程度であるが、どの人も物静かで感じが良い。

 

オーナー兼管理人の彼女ともよく顔を合わせた。

朝出かけるときには、清掃道具一式を抱えてこれから清掃を始めようとしている彼女と。

近所のスーパーや図書館で会うこともあった。

彼女はいつもわずかに微笑んで会釈をしてくれた。

 

不動産の彼の言葉通り、空室が出てもすぐに新しい人が入った。

代わりに隣の新築のマンションの空室はいつまでもそのままだった。

帰り道、自分の判断が間違っていなかったことを確かめるために、真っ暗な四角を見上げた。

 

ある日、まだ明るいうちに家路についたときのこと。

遠目にエントランスを清掃している彼女の姿が見え、近づいていくうちに思わず歩みが止まってしまった。

あまりにいつもと違う彼女の姿があったから。

彼女は髪を振り乱しながら全身を前後に大きく動かしモップで床を拭いていた。

大粒の汗をかいて。一心不乱に。

挨拶をした私の声など耳に入らぬようだった。

 

別の日には廊下を。また別の日には階段を。

彼女が力いっぱいに持つモップが壁にあたるズドンズドンという音がマンションいっぱいに反響する。

 

彼女はこうやって人知れずこのマンションをきれいにしているのだ、感謝しなければ—―いや、違う。彼女は見せているのだ。なりふり構わず、息を上げながら、拭き上げるこの姿を。狂気に満ちたこの姿を。

私がかけられるすべての力をもってきれいにしたこの場所を、汚したりなんかしたらユルサナイんだから。

彼女の背中が、肩が、横顔がそれを言っている。

 

そのことに気付いて、怖くなる。

こういう、何かを大切にするあまりの、ひたむきでそれしか目に入らないような思いというのは、すごく恐ろしい。

 

マンションの各所に設置された監視カメラの向こうには彼女がいつも目も光らせている。

内見のとき、品定めをされていたのは私の方だったのだ。住んでいる住人は、彼女の判断リストに合格した面々だ。

 

隣のマンションの空室はまだ埋っていないことを確認し、

私は今日も山姥のまもるすみかに帰る。

【テーマ】ザ☆プリミエール「三枚のおふだ」 がりは

  • 2020.03.18 Wednesday
  • 07:00

ヤ「どうもー!ザ☆プリミエールでーす。ぼくがザ☆プリでこっちが」
 が「ミエールでーす、てなるか!君サプリみたいになっててええけどミエールになった僕の気持ちも考えてよ!」
 ヤ「はいはい。」
 が「流すな!」
 ヤ「こっちのシュッとキュッとして皆さんのハートをギュッと鷲掴みにするのが僕ヤマブッキーで」

が「なるほどなるほど」

ヤ「こっちのごはんを手づかみで食べる方ががりは」
 が「おいー!おいおいー!!ちゃんとお箸使います!」
 ヤ「カレーをお箸で食べる変わった人、がりはです☆」

 

ヤマブッキー歓声に応え左上から右下まで星を降らせる。

 

ヤ「ということで」
 が「何がということでやねん。子どももちょっと大きくなってね。」
 ヤ「え?誰との?」
 が「嫁さんとのや!」
 ヤ「何番目の?」
 が「一番!」
 ヤ「奥さんが」
 が「一番や!!」
 ヤ「ひゅー。」
 が「ちがう!いや違わん!!ややこしいことすな!!」
 ヤ「で、どうしたの。」
 が「急に真面目な。子供も大きくなってきて本読んでくれって言うのよ。」
 ヤ「君の子どものことやから、「ル・キャピタル」とか「アンファンテリブル」とか言うてるんでしょ。」
 が「え?」
 ヤ「そっか、君とこの子には早かったか。」
 が「いやいや、どこの5歳がトマ・ピケティの本読むのよ。え?お客さんのお子さん読んではるんですか!いや、ほんと、なんというか、すみません。うちの子は読みません!」
 ヤ「え?本当に?それは君が機会を奪ってるんじゃないの?大丈夫?」
 が「そうなんかなあ・・・。」
 ヤ「犯罪やで。子供の未来を奪うなんて罪重いよー。こうなったら仕方ない、自首しよう。」
 が「はい、すみません、刑事さん。て刑事が来てる時点で自首ちゃうやろ!その前に俺、多分、大丈夫やし。ややこしくするなって!話を!!」
 ヤ「で、何の話読みたいのよ。僕ね、こう見えても読み聞かせ、(ものすごく甘い声で)めちゃ上手なのよ。」
 が「どっから声だしてんねん。」
 ヤ「デコルテから。」
 が「すごいなあ。なんでそっから声出るの。あぜんとするわ。てだから進めさせて!」
 ヤ「で、何を読めばいいの?」
 が「三枚のおふだってあるやん。」
 ヤ「そこは桃太郎じゃないの?むかーしむかしお父さんは通勤電車で会社に、お母さんも通勤電車で会社に。」
 が「いやいや、桃太郎にお父さんもお母さんも出てけえへんねん!」
 ヤ「なんでなんでなんでなん?」
 が「めっちゃ食いついてくるな」
 ヤ「なあなんでなんで?」
 が「わからんよ。お父さんとお母さんやったら桃から生まれた子やなくて自分らの子でええか、てなるからちゃうか。通勤電車に乗ってるのもおかしいやろ。」
 ヤ「あ!!」
 が「何があ!!やねん。」
 ヤ「また僕が四次元をあやつるタイムトラベラーであることを示すようなことを言ってしまった!」
 が「なになに?未来では昔話で「通勤電車」のくだり出てくるの?で、子宝に恵まれへんかったら桃型のカプセルで」
 ヤ「それ以上は言うな!!死ぬぞ!!我々!!」
 が「ご、ごめん。」
 ヤ「で、何枚のお札だっけ?」
 が「わかって聞いてるやろ。三枚のお札ね。小僧さんが栗拾いに行って、夢中になって家に帰れなくなって、親切な老婆に泊めてもらったんだけど、それが実はヤマンバで」
 ヤ「あのヤマンバも諸説あると思うんだけどさ、小僧さんを親切にも泊めてくれたわけじゃない。その時は親切な老婆、そのあと包丁を研いでいたからといってヤマンバと呼ぶのは僕はどうかと思うよ。」
 が「そう?」
 ヤ「小僧さんがかわいくて、自分の子どもにしてもいいと思っていたかもしれない。そりゃ彼女のやり方には非があるかもしれない。でもよその子が夜中にトイレにこもってね、なかなか出てこない、心配になるよ。ドアだってあけなきゃ命に係わるかもしれないじゃないか。必死にドアだって開けるさ。髪を振り乱して。」
 が「そうかもしれんね。」
 ヤ「かわいい小僧さんは日が暮れて家に帰れなくなったから老婆の家に泊まったんだよね。なのに真夜中に家を飛び出していったんだから、親切なお婆さんは心配でたまらないと思うよ。どう思う?」
 が「心配だと、思います。」
 ヤ「そうだよね!だから必死で追いかけたんだよ。必死さ余って川の水を飲み乾し、その川の水で大火を消したんだよ。でさ、小僧はアホなの?お札逆にしてたらヤマンバは火を消せなかったんじゃないか」
 が「たしかに。」
 ヤ「和尚は三枚のお札を渡していて、順番にそれを使うように言ってたのかな。そうするとさ、むしろ巧妙におびき寄せてるよね。さて、そのあとどうしたんだっけ。」
 が「小僧さん隠れていなさいと言い、こんなに大きくはなれないだろう?大きい大きい、でもこんなに小さくはなれないだろう?ちいさいちいさい、餅にくるんでぺろり。で一件落着やな。」
 ヤ「昔の婆さん、昔の爺さんていくつくらいか知ってる?三十代やったって話あるよ。」
 が「あ、そうなん」
 ヤ「そんなええ年の男女が、幾多の災難を乗り越えて逢って!!」
 が「え?そんな話?」
 ヤ「大きくなっただの、小さくなっただの!!放送コードギリギリやな。二度とそんないやらしいこと言わんといて!無理無理無理!」
 が「無理なんはこっちのほうやわ。」
 ヤ&が「やっさい!もっさい!」
 会場「おっさ!おっさ!」
 ヤ&が「どうもありがとうございました!!」

 

 

(テーマ「ヤマンバ」。先月はうっかりしたけど、そんなに言うならもう少しザ☆プリミエール書こうと思う。)

【テーマ】交番にて Mr.Indigo

  • 2020.03.13 Friday
  • 06:30

「こんにちは〜」
「こんにちは。どうされました?」
「実はですね、母が山で不審な人物に遭遇しまして…」
「不審な人物ですか?」
「はい、そうです。いきなり声をかけられたそうで、青ざめた顔で帰ってきました。もう出歩くのも無理って言うんで、代わりに来たんですけど」
「わかりました。お母さんから不審者の特徴とか聞いてますか?」
「はい」
「では、わかる範囲で結構ですので教えてください」
「はい。70代くらいの女で、がっちりした体格だったそうです」
「なるほど、お母さんが会われたのはヤマンバではないでしょうか。過去に目撃情報が何件か届いてます」
「私もヤマンバだろうなと思うんですけど…」
「そうですよね。ヤマンバとして署に報告します」
「あ、待ってください。ちょっと引っかかるところがあるんですよ
「なんでしょう?」
「その女は原付に乗ってたらしいんです」
「じゃ、ヤマンバじゃないですね。原付に乗るヤマンバとか聞いたことがない」
「うんうん。ヤマンバと遭遇する話はだいたい両者とも地面に立ってますもんね」
「うーん、もう少しお話を伺う必要がありそうですね」
「はい」
「じゃあ、お母さんは山で何をされてたんですか?」
「山菜を採りに行って道に迷ったとか言ってました」
「それならヤマンバですよ。道に迷った人を狙うのはセオリーみたいなもんですから」
「道に迷うくらいならそもそも行くなよと思うんですけどね。すいません、お手間をおかけして」
「いえいえ、ご無事で何よりですよ。ともかくヤマンバで決まりですね」
「それがですね…」
「なんでしょう」
「実はその女に遭遇したのは午後1時くらいだったらしいんです」
「するとヤマンバではないですね。ヤマンバが白昼堂々と現れるなんてあり得ません」
「そうですね。現れるとすれば薄暗い夕暮れか、そうでなければ雷雨の時でしょう、やっぱり」
「うーむ…では、顔の特徴とかわかりますか?」
「はい。髪の毛はほぼ真っ白で、腰のあたりまで伸びていたそうです」
「それならヤマンバです。絵本でもヤマンバは白髪で長髪と相場は決まってます」
「でも…」
「はい、何でしょう?」
「そいつは髪の毛を束ねて三つ編みにしていたらしいんです」
「だったら違いますね。そんなヤマンバ見たことないですから」
「そうですよね」
「ほかに何か聞いてますか?」
「はい。なんか凄みがあって、先頃亡くなられた樹木希林さんみたいな感じだったそうです」
「やっぱりヤマンバですよ。イメージぴったりじゃないですか。何かオーラがあったんですよ、きっと」
「はい。でも声がですね…」
「声ですか?」
「ええ、声は先頃亡くなられた市原悦子さんに似ていたと言ってるんです」
「うーむ、それならヤマンバではなさそうですね。『まんが日本昔ばなし』でも、ヤマンバとなると市原さんのイメージじゃないですから」
「確かに、どっちか言うと常田富士男さんですもんね。わからんなぁ…」
「うーん…ほかに何か聞いてますか?」
「一昔前に同じような化粧をした女子高生を原宿の竹下通りでよく見たって言ってました」
「ならヤマンバです。間違いありません。ヤマンバメイク、話題になりましたからね。一昔というより二昔前ですけど」
「はい。いい歳して竹下通りを闊歩するなんて恥ずかしい、行くんなら巣鴨の地蔵通りにしてくれってその頃は言ってたんですけど、おかげでいい情報が手に入りました」
「ははは、ではもうヤマンバで決定ですね。署に連絡を…」
「いや、それがですね…」
「何ですか?」
「実はですね、脚も昔の女子高生みたいにミニスカと厚底ブーツだったとか…」
「するとヤマンバではないですね。山の中ですから昔なら草鞋、今ならスニーカーとか登山靴が普通でしょう」
「でも原付ですよ」
「そうか…うーん、わからないですねぇ…」
「そうそう、ここに来る前に父にもちょっと聞いてみたんですよ」
「ほうほう。どうでした?」
「池の水に映ってる自分を見たんじゃないかって」
「えっ…」

【テーマ】山で拾った手帳から Mr.X

  • 2020.03.11 Wednesday
  • 04:56

18.10.12
08:15 コンビニR県道x号店
店員・男・20代「9月 深夜勤務後(6時過ぎ)、バイクで帰宅途上、A山 県道x号線上で目撃。峠付近。白髪で小柄。ボロボロの服を着ている。後姿のみ。徘徊する老人?」
10:30 oo工務店前
同社員・男・30代「8月 明け方の移動中、A山の県道x号線上で。交差点を過ぎた付近。白髪小柄。ボロボロの服。山に入る後姿のみ。手に何かを持っていたか?」
 
18.10.13
14:30 県道x線沿いの公園
小学生5人「A山に怪しいおばあさんがいる。ものすごい速さで走り、見つかると包丁を手にして襲ってくる」<-実際に目撃していない、また直接は実際に目撃した人を知らない。その保護者・女・40代「最近怪しいおばあさんが山を歩いている噂をよく聞く」<-実際に見ていない。
18:45 コンビニR県道x号店
登山客50代男女(A山ではなく、B山への登山からの帰り)「5年前ほどA山で事故の話をよく聞く。行方不明者が出ている」<-知人等の話ではなく、噂のみ。客・女・60代「A山登山中、同行していた友人が気をつけていたのに足を滑らせて崖から落ちそうになった。原因不明。それ以来、A山は登っていない」
 
 
 
19.05.13
13:00 A山山頂
登山客男女4・20代「隣のB山へ行く予定だったが滑落事故があったという話を聞いてA山にした」
17:30 A山自然公園トイレ前
女・40代「数年前に知人がA山で滑落事故。原因不明。一時気を失い、命からがら山から降りた。その話を聞いてからなんとなくA山に恐怖を感じている」
 
 
 
20.02.15
13:00 A山登山道入り口駐車場
男女40代「B山には不審者がいて襲われるという噂を聞いてA山にした」ラーメン店店主・男・30代「自然湧水給水所へ水を汲みに来た。以前はB山の給水所を利用していたが、19年末に行った時、怪しい老婆がいたのでそれ以来こちらを利用している」
 
20.02.22
15:00 コンビニR県道x号店
男・10代「B山には不審者が出没するから、学校から気をつけろと言われている」
 
 
 
結論:B山では活動中止。A山へ移動。活動を再開してもしばらくは怪しまれることは無い。

calendar

S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  
<< April 2020 >>

カウンター

ブログパーツUL5

selected entries

categories

archives

recent comment

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM