タレーラン禁止 Mr.アールグレイ

  • 2019.07.15 Monday
  • 00:00

交渉の際ZOPA、少なくとも自陣営のBATNAだけは確認しておくのが基本です。

それがなければ交渉になりませんし、ZOPAの範囲で理屈を用意するのが交渉です。

 

我々の世界にはタレーランで行こう、という言葉があります。

「今度の〇社との交渉の基本方針ですが、タレーランで行こうと思います。」

「ええ??」

というような使い方をするのですが、それはタレーランが意味するところが

「手段はどうあれこちらの言い分を通す。」

ということだからです。

なのでよほどのことがない限り我々はタレーランを方針にはしません。

後に禍根を残すからです。

私は交渉について、相手が「うまくやった」と喜ぶくらいのところを落としどころにするのが良いと思っています。

情報をコントロールして双方のZOPAの設定をずらす、と言えばわかりやすいでしょうか。

プロレスをよく見ていると相手が得意技を決めた直後に切り返して(丸め込んだりして)勝つシーンが時々あります。

私の仕事における交渉では明示はしませんが、相手に好きなようにされたように見せて・・・というのは常套手段で、相手の交渉レベルが十分高ければそれすら織り込み済みで裏交渉が来たりします。

絶対に文書に残せない裏交渉の貸し借りこそが表の交渉のラインを決めていることも多く、そんなこともよく知らないでタレーランで行こうなんて言うなよという気持ちを込めて「ええ??」なわけです。

実際のタレーランはきっと裏交渉の権化だったでしょうから、それこそウィーン会議のあの一瞬に賭けてタレーランしたと思うのですが、タレーランという言葉を覚えたての若造がタレーランタレーラン言っているのを聞くとむずむずします。

 

私の部下育成の基本方針は「やりなはれ失敗しなはれ骨はひろう」ですが、勝手にタレーランをした時だけは許しません。

大抵の場合、私と周囲が持っているコネを総動員して事態の収拾を図り(俗に謝り侍と言います。)(19世紀のヨーロッパから江戸時代の日本へタイムスリップ。)、その後、部下を監督しているミドルマネジメントを含めて厳しく責任を問います。

私を含め、自陣営の英知を結集し、そのリスクを皆が認識した上でタレーランしたのか、タレーラン以外の手はなかったのか、その状態でよくタレーランしたな、といった調子です。

本人は一か月の外出禁止、管理職と毎日面談、ということになります。

 

これだけ厳しくやるのには理由がありまして、もちろんビジネスマナー(仁義ともいう)にもとるので会社の信用を著しく傷つけ長期利得を棄損するというのもその大きな一つなのですが、私自身が若い時に仕掛けたタレーランの傷がうずくからでもあります。

でも、それはまた、別の話。

 

(テーマ「タレーラン」。この話はフィクションです。タレーランで行こう、なんて言葉、ありませんからね。そして私のマネージメントはゆるふわですからね。あしからず。)

投票のお願い(7月15日締め切り)

  • 2019.07.14 Sunday
  • 16:54

.ハッガリーニです。
こんばんは。

毎月恒例のPREMIER投票のお時間です。

王者を決めるのはあなたです。

 

5月の総アクセス数は5,758PVでした。

お忙しいのによく読んで頂いてありがとうございます。

これからもどうぞよろしくお願いいたします。

更新情報や過去名作を紹介するtwitterはぷりみんがやっています。是非フォローをお願いします。

 

さて、毎度毎度のお願いにはなりますが、投票をお願いいたします。

今月は控えめ39本です。

これくらいがちょうどいい気もします。

読めた分の投票で大丈夫です。

いつも読んでないし、いつも投票してないから投票してもよいかどうか迷ってらっしゃる?

たまたまのぞいてくださった方でももちろん結構です、歓迎します。

本心ですよ!!

ここは開かれた場です。

コメント欄、埋めなくても結構です。

初めての方、もちろん歓迎します。
どうぞよろしくお願いいたします。


2019年6月度投票フォーム

 候補作は2019年6月1日〜30日までに投稿された作品です。
 右の「ARCHIVES」の中の「June 2019」をクリックしていただければ、候補作が読めます。

スマホでは「ARCHIVES」の中の「2019年6月」をクリックしていただければ、候補作が読めます。


投票要綱の確認をいたします。
まずはMVPです。

MVPはベストコメントを選定し発表します。

先月はがりはが獲得しています。
該当期間の作品・活動の中でのMVPを一人挙げてください。理由やコメントを頂けると幸いです。

次に最優秀作品賞です。

最優秀作品賞受賞者は受賞会見を行います。

先月はMr.Blackが獲得しています。
最優秀だと思った作品にいくつ投票してもかまいません。
とはいえ、なるべく一作品が望ましいです。
同じ作品に二票以上は投票できません。
できれば投票理由をお教え願います。

 

そして、今月もテーマコンテストをやっています。

先月はこれもMr.Blackが獲得しています。

テーマ「辞書」にもっともふさわしい作品1つに投票をお願いいたします。

こちらもよろしくお願いいたします。

 

どの作品、どの著者が支持を集めるのでしょうか、楽しみですね!!
すべてを公平に読むのも大変骨が折れると思いますが、そこにこだわる必要はありません。
その日その場所で目に付く場所にあったという奇跡も一つの要素だと思いますので、気軽に投票をお願いします。
投票方法は3つです。
1.上のリンクにある投票用紙から投票(これが基本になります。)
1でできない場合
2.passionpremier@gmail.com にメールをください。
3.私のケータイにメールをください。

投票上の注意としては以下の4つです。
1.記名投票です。(ハンドルネームでもかまいません)
2.投票者自身への投票を認めます。
3.選出理由をぜひともお書き添えください。
4.その他、この日記についての提言・要求・疑義・感想・賞賛等ございましたら是非お聞かせください。

〆切は7月15日(月)です。
今後も雑兵日記PREMIERをよろしくお願いいたします!

 

また、お手軽応援やってます。

 

投票はしんどいなという方、ブログのコメント欄でも結構です。

是非感想や質問などお寄せください。

どうぞよろしくお願いいたします。

馬券の現実(235)〜函館記念予想〜 たりき

  • 2019.07.14 Sunday
  • 00:00

今週は函館の中距離重賞、函館記念の予想です。

 

続きを読む >>

明るい悩み相談室PREMIER分室(6)〜ソビエト連邦〜 Mr.Indigo

  • 2019.07.13 Saturday
  • 22:48
【悩み】
まだ、ソビエト連邦は存在するのでしょうか?  
 
【回答】
担当のIndigoです。よろしくお願いいたします。
ミハイル・ゴルバチョフという政治家をご存じでしょうか。ソビエト連邦最後の最高指導者で、ゴルビーのニックネームで親しまれた人物です。30代後半以上の方は、その独特の風貌を覚えているのではないかと思います。
ゴルバチョフがソビエト連邦共産党に加入したのはスターリンが権勢を振るっていた1952年のことでした。それから彼は順調に出世し、1985年3月にソ連の最高指導者となります。このとき彼はまだ54歳になったばかりでした。
若きトップはソ連の体制を維持しながらの改革を目指します。しかし保守派の抵抗とエリツィンら急進改革派の反発に手を焼き、改革は頓挫しました。そして1991年12月25日、ゴルバチョフは大統領職を退きソビエト連邦の解体を宣言したのです。この時彼はまだ60歳でした。
88歳になった今も、ゴルバチョフは元気に暮らしているそうです。ソ連が世界地図から消えて28年が経とうとしていますが、私など40歳前後の世代にとっては「ソ連=ゴルバチョフ」ですから、彼が健在である以上、ソ連も健在であると言えるのではないでしょうか。
間違いないのは、世界の人々がソ連の存在を認識する機会があと1回あるということです。ゴルバチョフの年齢を考慮すると、おそらく2020年代、遅くとも2030年代には彼の訃報が世界に伝わることになるでしょう。すると全世界で彼の業績が報道されます。すなわち、ソ連が改めてクローズアップされるわけです。
 
そのほか「つるふさの法則」についても触れておく必要があるでしょう。この法則の定義についてはさまざまな説がありますが、いずれの説も主旨は変わりません。それは「ロシアの最高権力者は“つる”と“ふさ”が交互に就任する」ということです。
法則に含まれる人物についてもいろいろな見解がありますが、ここではロシア革命後に1年以上政権を担った人物に絞って見ていきましょう。
ロシア革命後にソ連を建国したレーニンは言うまでもなく“つる”、レーニンの死後権力を掌握したスターリンは“ふさ”です。それからフルシチョフ(つる)、ブレジネフ(ふさ)、アンドロポフ(つる)、チェルネンコ(ふさ)と続き、ゴルバチョフ(つる)の時代にソ連は終焉を迎えます。その後のロシア連邦の大統領はエリツィン(ふさ)、プーチン(つる)、メドヴェージェフ(ふさ) と続き、現在はプーチンが再登板しています。この法則は100年以上にわたって守り続けられているのです。
メドヴェージェフはプーチンの弟分というべき男ですから、次は彼の再登板が有力でしょう。しかし、メドヴェージェフには重大な課題があります。大統領に就任した2008年はまだ“ふさ”のカテゴリーに入れる状態でしたが、現在はそれが危うくなっているのです。プーチンの任期が切れる2024年には“つる”に分類せざるを得なくなっているかもしれません。
法則に従えば、そうなると次回選挙での大統領復帰は不可能ということになります。では代わりに浮上するのは誰でしょうか。人々は候補たちの顔写真や映像を見てあれやこれやと談じるわけです。つるふさの法則はロシアの政治談義を盛り上げていると言っても差し支えないでしょう。
もしソ連の存在が人々の記憶から消えてしまうと、ロシア革命以後の最高権力者はエリツィン、プーチン、メドベージェフの3人だけになります。当然ながら法則と言えるようなものはできません。
すなわち、ソ連はロシアの未来を占うための非常に重要な存在であると言えるでしょう。
 
ソビエト連邦はまだ存在しているというのが私の結論です。根拠は上に挙げた通りですが、この存在は危うくなってきているように思います。
先述のように、ソ連の存在が世界全体でクローズアップされるのはあと1回だけです。また、次の大統領が“つる”であれば「つるふさの法則」は歴史的使命を終えることになります。
こうした状況を踏まえて、ロシアの情勢を注視してはいかがでしょうか。

『備忘録・辞書について』文責:Mr.Pink

  • 2019.07.12 Friday
  • 00:00

令和元年六月友引

A.ハッガリーニ氏より今月のテーマを書くよう依頼が来る。

「辞書」でお願いしたいとのことであったが、数年ぶりの公式戦(将棋)を控えていたのと期日が迫っていたのと、テーマコンテストが好きでないことと、いろいろ重なって辞退申し上げる。来月度のテーマは、何だろうとぼんやり考えながら棋譜並べにいそしむ。

 

令和元年七月先負

月が替わってお仕置きが来た。

編集長より「納品されてない『辞書』(をテーマにした作品)を読みたい」との脅迫、もとい、ファンレターが届く。書かなくて済んだと思っていた矢先に驚きの一報。

折悪しくも月例の片頭痛に襲われている時だったので、「しばしのご猶予を」をと、引受けてしまった。

何を書こう、何を書こう。頭が痛い。頭が痛い。いや、ほんと、頭が痛い。

 

令和元年七月先勝

土日を越えて、ぽっと時間が空いた。

というより、ぽっと空く時間をようやく見つけた。

何か書いてみようと思ったが既にテーマを決められていることに気づき、少々落ち込む。

 

 

【備忘録】辞書について

 

辞書について何か書いてみようと思ったが、使い方やこだわり。思い出などいろんなものが膨らんでどうにも千字にまとめきれそうにないので、思いついたことを備忘録という形で脈絡もなく並べてみることにした。

 

  • ピンクは辞書を引く

目の前に辞書がある。比喩ではなくホントに目の前に。

七冊ある。

文書を書くとき、分からない時、すぐにでも引き出せるようこの七冊と国語便覧はPink書棚の中でも特等の席を与えて格納している。兵は速やかなるを以て貴しとなす。ではないが、書くから引く、引くから書くという動作を滑らかに行うためにも「いつでも手軽に」引ける環境が大事なのだ。

邪魔立てがあっては、困るのだ。

そう、邪魔な奴は…消す。

他の資料は奥にうずもれて、いづかたとなく本の樹海に埋もれて消えて行ったものが多くあるが辞書だけはそうであっては困るのだ。

左から順に旺文社の『全訳古語辞典』、三省堂の『現代語から古語を引く辞典』、小学館の『現代漢語例解辞典』、三省堂の『新明解国語辞典』、大修館の『FRESH GENIUS(和英辞典)、講談社の『類語大辞典』、三省堂の『大辞林』。

主戦力は新明解と大辞林。時々類語辞典を使うこともある。広辞苑は使いにくいので奥の棚にしまってしまった。

この七冊が、ベストな組み合わせとは思っていない。もっと色々と組み替えもしていきたい。

  • 辞書を引かないで文字を書くということ

井上ひさし先生によれば、相当危険な行為であるということらしい。

海図なしに航海をするようなこと…と、例えていたことが印象的である。

ちなみに、この文章を含めてプリミエールに上梓した作品で辞書を引いたものはほとんどない。(ないわけではない)

海図なしに原子力潜水艦を動かしているようなものである。ひゃっほう!

プリミエールでは狼煙での作品発表は許されているが、なぜだか、手書きの原稿での出稿は固く禁じられている。

禁じられているので仕方なくこの原稿もWordで提出しているのであるが、タイピングだと文字打ちのスピードが速すぎて、手が滑ることがままあったりする。

手書きだと、それがあまりない。

タイプ打ちよりスピードは乗らない分、自分のアタマの中で二、三巡、書きだした事柄を吟味する余裕がうまれる。

不思議なことだがこの余裕があると言葉の一つ一つに感性が働き不安を感じることができる。間違いがないか確かめる為辞書を引く気になる。別の言い回しが無いか類語を探す気分になってくる。より深く確かなものを求めて大きめの辞典類を引くことだってできる。

タイプ打ちでも本当はできるし、できる人はするんだろうけれども、少なくともPinkはタイプ打ちではスピードが出過ぎて、辞書を引く余裕を持てないで、いる。

  • 辞書を選ぶということ

辞書は一生もの。

というと、何だか大げさではあるが、週刊ジャンプと違って半世紀、下手すると数世紀にわたって保存がきく。

どれを選んだらいいのか、初手を間違えると生涯後悔しかねないと、買うのに二の足を踏む向きもあろうかと思うが安心されたい。

特殊な辞書でない限り書店で平積みにされている、どれでも、買える時に買ってしまえば我々のレベルでは気にする必要は全くない。辞書ごとの差異に気付づいて、違和感を覚えて辞書を買い替えるぐらいのレベルにまでなるのならむしろ上々のこと。喜ぶべきである。

 

(了)

鉄の海(最終話) by Mr.ヤマブキ

  • 2019.07.11 Thursday
  • 00:00

 田中さんが去って一週間ほど経ち、病棟にはまた新たな患者さんが運ばれてきた。あれだけスタッフの中で強く印象付けられていた田中さんとその家族も、退院してしまえば何もなかったかのように消え、その部屋も次の患者さんが埋めて、痕跡すらなくなってしまう。治療を求める人々は止むことがなく、その時々で増減はあるが、必ず波のように押し寄せる。まだまだ病院に缶詰で、川縁の立派な桜並木も通勤の時間にちらと目に入るくらいでもったいない。

 

 病棟で仕事をしていると電子カルテ越しに見覚えある顔が現れた。田中さんの娘さんだった。

 

「先生、お会いできてよかったです。ご挨拶を、と思って」

「いかがですか、あれから」

「父の葬儀も終わって、やっと一息ついたところです」

「そうでしたか……」

「ほんとに良くしていただいてありがとうございました。初めは色々と言ってすみませんでした。病気のことってテレビや新聞とか、知り合いの話を聞いて分かったつもりになってたんです。患者の家族というものになれてなかったんでしょうね。先生とぶつかったこともありましたけど、それがあったから最後はそうなれて、父を支えられたと思っています。父も息苦しさとか、間質性肺炎の苦しみは少なく逝けたと思うので、先生に診ていただいて本当に良かったです」

「そう思っていただけたなら報われます」

「……私みたいな人は、多いですか?」

「んー、いや、そうでもないですよ」

「なら大変ですね。私はこんなことは人生で一回でしょうけど、先生はこれが毎日ってことですもんね」

「でもこうして、また来てくださる方もいますから」

 

 娘さんが菓子折りを渡してくれる。

 

「本当はもらってはいけないんですが」

 

 と、言いながら受け取る。通常、何かを受け取ることは病院の規定で禁止されているが、それはトラブルを避けるためだ。亡くなった患者家族からの感謝を無下に断る方が気が引ける。

 

「みんなで分けます。ありがとうございます。奥さんにもよろしくお伝えください」

 

 中身は和菓子の詰め合わせだった。山下さんに声をかけて、病棟で分けてもらうように伝える。

 

「先生ありがとう!田中さんの娘さん元気だった?受け持ってくれた水木や加賀にも食べてもらうね」

 

 去ろうとすると、大きな声で呼び止められる。

 

「先生食べてないじゃん!先生が食べなきゃどうするの。はい、これ」

 

 一番大きなどら焼きを渡される。もっともだ。

 

「それと、下に降りるつもりならリハ室に寄ってこれも渡してくれない?白谷さんや鈴木さんたちにも食べてもらわなきゃ。じゃ、よろしく!」

 

 栗ようかんも受け取ると、ポケットに入れたスマホの通知がなる。手一杯の難儀な格好で開くと、母からのメールだった。満開の桜の写真に、桜の写真、と一文が添えられていた。自由の利かない身体でゆっくりと撮ったのだろう。少し斜めに歪んで、上手い写真ではなかったが、春の温かさと儚さが広がっていた。

 

 スマホをしまうと、山下さんはナースコールに応じて病室へと消えていった。誰もいなくなった詰所で立ちつくす。全ては続いていく。必死に泳いできた鉄の海は相も変わらず荒れ続け、行けども行けども広がっていく。あまりの広大さに泳いで渡ろうとすることが時にばかばかしくなってしまう。でも泳ぐしかない。引き返すことはできない。もはや一人ではないのだ。それぞれに鉄の海と向かい合ってきたスペシャリスト達がいる。彼らが照らしてくれるなら、きっとこの鉄の海も溺れずに行けるだろう。(了)

スイカ がりは

  • 2019.07.10 Wednesday
  • 21:39

「誰だお前は!!」

 

「一つ人世の生き血をすすり、二つふざけた悪行三昧、三つ見かけたその姿、四つよく見りゃ違う人、五ついつになったら会えるのか、六つ難しい問題ですねそりゃ。」

 

「な、なんの話だ!怪しい奴!捕らえろ!!」

 

「うーん、ナゾのスイカぱぅわーー!!」

 

怪しい風体の緑の男からマシンガンの様に何かが放たれたのを見て、警備員たちは地を這って逃げた。

そんなにいい金もらってないし。

仕事より大事なものってあるし。

少し離れたと見るや風を食らって去った。

 

「さて。残るはあなた方だけですよ、全日本スイカ割り連盟会長」

 

「誰だ貴様は!」

 

「見たらわかるでしょう。スイカマンだ!!」

 

「全身緑のタイツに黒のシマシマ、顔と腹だけ赤く塗るってコントでも見ないぞ。」

 

「うるさい!父の仇!!」

 

腰から抜いた棒状のものが月夜に光り、大上段に構えたスイカマンが会長に襲い掛かる。

 

パカーン!!

 

会長がかぶっていたヘルメットがきれいに二つに割れ、飛んで行った。

 

「こしゃくな!父の仇!!」

 

パカーン!!

人体を殴ったとは思えない軽い音を立てて、会長がかぶっていたものが割れた。

 

「貴様、見てはいけないものを見てしまったようだな。」

 

メコメコメコメコと会長の体中の筋肉が醜く盛り上がり、大きさも倍以上になった。

「ぬぉりゃあ!!」

スイカよりも大きな会長の鉄拳がスイカマンを襲う。

スイカ割りの棒は一撃で折れてしまった。


「さっきまでの威勢はどうした。おい。」


「うるさい!ナゾのスイカぱぅわー!!」

スイカマンの口から種が連射される。

その全てを会長の重厚なボディが受け止める。


「何かしたか?」


追撃はやまず、右、左、と腕で受け止めるうちにスイカマンの足が床にめり込んでいく。


「ソラソラソラソラ」


会長の打撃が続き、とうとう脇の下までめり込んでしまった。

スイカマンの腕を一本一本つかみ、ズボッと地面に突き刺す。


「これでやっとスイカ割りっぽくなったな。手こずらせおって。最後に言いたいことはあるか?」


「目隠しを忘れている。」


「ほーお。これはこれは。目隠ししないとスイカ割り気分が台無しだよなあ。」


「目隠し目隠しと。」


ビリビリに破れた自分の服を無造作に頭に巻き、目隠しに。



「棒はどうした?」

「そういうことは目隠しの前に言ってくれよ。」

目隠しを外し、ワインセラーのようなものから、棒を取り出す。

「マイステッキだ。特別製だぞ。チタンでできている。」

右手で握ったスティックの叩き心地を左の手のひらでペシペシと確かめながら近付く。


「目隠し。」

「はいはい。」

「ぐるぐる回ってない。」

「それもそうだな。」

スティックを地面に突き、三回回る。


「もっと右!右右!」

二人の距離は5メーター。

「しゃべったらいくらなんでもわかっちゃうぞ。興ざめだなあ。」

会長は思い切り左足で踏み込み、バットを振るように横殴りにした。

スイカマンの頭上3センチをかすめて行く。


「そんなスイカ割りあるかよ。美学はないのか。」

「美学?あるように見えるか?はは。座興もこれで終わりだ。」

「目覚めよ!!」

「命乞いをしてみろよ。出来損ないのC級スイカめ。お前の親父もC級だったよな。」

「なに!!父さんは立派な特級スイカだ!」

「ほほほほほほ。かわいそうにな。特級のスイカがスイカ割りに使われるわけないだろうが!」

「目覚めよ。」

「悔い改めよ、てか?それよりは自分のために祈った方がいいんじゃないか?」

「目覚めよ。」

「なかなか楽しましてもらったよ。お前のことはしばらく忘れんよ。きれいに割れたら永久保存してやる。だからキレイに割れろよ!!」

頭上高々と振りかぶり、振り下ろそうとした瞬間、会長の動きが止まった。

全身が緑のヒモで覆われていく。

蔓だ。

やがて緑の雪だるまのようになり、しばらく脈打つように動いていたがそれも止まった。


スイカマンはようやく床から這い出し、全身を払った。

「あぶねー。間に合わないかと思ったよ。」

マントを始め全身ボロボロ。

それでも居ずまいを正し、緑の雪だるまに向かって深々と頭を下げた。

そして手刀で蔓を切り裂くと、中からは大きなスイカが。

「悪党の血ほど、いい養分になっちまうんだよな。」

蔓を切り、胸に抱く。

懐からスイカ縞のハンカチを取り出し、くまなくスイカを磨く。


(テーマ「すいか」)





 

しかしかのこと Mr.Indigo

  • 2019.07.09 Tuesday
  • 22:46
5月のある日、妻から依頼を受けた。次の土曜に長女を歯医者に連れて行ってくれとのことだ。泣いて暴れて大変だから一度代わってほしいという。
断る理由もないので、土曜日の昼下がりに長女を連れてM歯科へ行く。移転したばかりで内装は真新しく、2m四方くらいのキッズスペースもある。
「今日はお父さんなのね」
診療室に入ると、先生が長女に声をかけた。40歳くらいの女性だ。
「何見る?ドラえもん?しんちゃん?」
「ドラえもん」
患者から見やすい位置にモニターがあり、DVDが視聴できる。要するに気を紛らすための設備である。
先生は「〜していいかな?」という言い方を多用し、丁寧に診療を進めていく。長女はおとなしく従っていたが、先生の一言で態度が一変した。
「ちょっと歯を削っていいかな?」
「やだ!怖い!」
人が変わったように泣いて暴れるので、先生はあっさりと諦めた。
「わかった。今日は削らないから」
薬を塗るなどの処置を行って診療終了。後で妻に聞いたところ、これでも前回までに比べるとだいぶ進歩したらしい。先生が粘り強く取り組んでいるおかげだろう。
 
その次の土曜日、次女が「歯が痛い」と言い出した。N歯科は予約がいっぱいだったので、いくつか近所の歯医者に電話して、当日の予約が取れたA歯科に行くことにする。
A歯科はレトロな雰囲気が漂っていて、地元のお婆ちゃん御用達という感じだった。キッズスペースはないがパズルやぬいぐるみ、絵本などがあり、3歳児が10分ほど過ごすのなら何の問題もない。
先生は60歳くらいの男性だった。白衣に白ズボン、白靴下で洒落た感じは全くない。診療室の雰囲気も私が知っている歯医者そのもので、先日行ったN歯科と比べると20年くらい時代が戻ったような気がした。
「どこが痛いの?」
「歯が痛い」
一同苦笑する。ともあれ、痛いと言っているからには、まず痛みをなんとかしなければならない。
次女もやはり歯を削るのは嫌がったので、薬を塗るなどの処置が行われ、初回の診療はそれで終了。先生曰く、まだ3歳だからまず歯医者に慣れることが必要とのことだった。
 
そういうわけで2人を別々の歯医者に通わせていたのだだが、先に治療が終わったのは次女の方だった。
理由としては以下の4つが挙げられる。
 
[1]虫歯の進行度
[2]性格の違い
[3]幼い方が適応しやすい
[4]A歯科の方が予約しやすい
 
まず[1]だが、長女の方にはかなり進んだ虫歯が1本あった。歯を削れなかったために治療が難航し、時間がかかったのだ。
[2]に関しては、以前『信じるだけでは信じられない(http://zpgp.jugem.jp/?eid=4300)』という作品で書いたように、長女は警戒心が強く、次女は警戒心がほとんどない。歯を削るまでのプロセスは次女の方が短かった。
[3]も大きな要素だろう。3歳には理屈で説明する必要がないが、7歳にはそれなりの説明をしなければならない。想像力が養われたことで、歯を削ることへの恐怖感が増したのかもしれない。
[4]はN歯科の充実ぶりが裏目に出た印象だ。土曜の予約がほとんど取れないのである。次女がほぼ毎週通ったのに対し、長女はたいてい隔週だ。頻度が高い方が慣れやすいのは言うまでもない。
こうして考えてみると、次女が突然「歯が痛い」と言い出したのは、彼女にとって幸運だったのかもしれない。時間的な余裕があり、N歯科の予約を取って一緒に通わせていれば、妹は怖がる姉の様子を見ることになる。すると歯医者は怖いものだという印象を持ってしまいかねない。
結局のところ、年齢よりも向き不向きとか相性とかいった要素が大きいということだろう。
 
N歯科にはオフィシャルサイトがあり、子供の診療に力を入れていることが誰にでもわかる。先生も丁寧に面倒を見てくれるし、人気を集めるのは当然という気がする。
一方、A歯科の情報はほとんどなく、広報活動といえば周辺の電柱に広告を出しているくらいだ。ターゲットはほぼ近隣住民のみなのだろう。
しかし、これでは近隣以外の住民は情報を入手できない。せっかく徒歩圏内に多数の歯医者があるのに、これでは宝の持ち腐れだ。
内科や小児科と違って歯医者は何度も通うことになり、途中での切り替えが難しい。ゆえに、事前にリサーチできるシステムがほしい。行政が主体となって整備してくれないものだろうか。

6月のテーマ戦記 がりは

  • 2019.07.08 Monday
  • 18:14

ニーズがあるかどうか定かではないが、先月俺が書いた作品のうち、頂いたお題に応えたものについて、何を考えたのか、書いてみてどんなことを思ったのか記していきたいと思う。

PREMIERを読んでくれている皆様であれば、多少の関心は持ってくれるだろうと信じて。

 

テーマコンテストについて がりは

テーマ:テーマ

やりづらい、嫌らしいテーマというのは二種類あって、こっちのやりにくさは本当にやりにくい。

言葉としては知られているが、抽象的で書きづらいタイプのもの。

それに加えて、自己言及的な展開になりそうで、それを避けると無理がでる感じがする。

今回はマルーンに無理やり登場してもらって、ダイアローグに仕立てた。

マルーンのキャラもうまく生きて、本人としては満足しています。

あの煽り方とか。

G.W.D がりは

テーマ:GW

これはまあ、一つは来ると思っていたお題、てウソウソ。

なんで6月のテーマなのに、GWとか来ちゃうの。

季節ものですものね。

ゴールデンウィークについては4月に悩み相談室で過ごし方をレクチャーしており、書きづらかった。

俺のGWだ、と言って反省を述べるのも一案だったし、5月と比べて6月は・・・と祝日のバランスの悪さを嘆く展開もあり得た。

もう少し、と頭をひねっていると「ゲートウェー」も見えてきた。

ネットワーク機器のゲートウェー、高輪の方のゲートウェー、「ゲイとウェイ」なんてのも見えてきて繊細なゲイとパリピの友情を描いてやろうかとも思ったけど、テーマから外れちゃうよな、と。

そのうちに「 THEE MICHELLE GUN ELEPHANT」の名曲「G.W.D」が思い浮かび、大好きな「世界の終わり」とガチャガチャ組み合わせながら書いてしまった。

曲は聞いてみてください。

良いので。

 

入梅靴下 がりは

テーマ:靴下

お師匠さんに叱られた作品。

靴下についてのちょっと素敵なエピソードを用意していたのだが、テレビで入梅イワシの話題を見てどうしてもそれが使いたくなってしまった。

キャラクターとしては優しい神田川敏郎をイメージしました。

未熟ですみません。

そのうちこそこそっと直すかもしれません。

キルヒホッフ がりは

テーマ:キルヒホッフ

書きづらい系の2つ目。

世界が狭く、具体的なので正確な知識を要求されるもの。

Indigoが出してくる歴史ネタもそうだが、それを俺に書かしてなにが出てくると思っているんだ、wikiを引用して終わりにしちゃうぞ、と毎度思うのだが今のところそうはしていない。

これは第一法則と第二法則があったな、と思いだして、それに接頭語(?)として「恋の」をつければ形作りまではいくだろう、という見通しで書いた。

「ヒホッフ殺し」という筋もちらっとあったけど。

ヒホッフ誰よ?

三賞の発表 がりは

テーマ:たいしょう

大将日記を書いていた関係で「大将」と変換しがちだが、「対象」「対称」「対照」「大正」「対症(両方)」「青大将」など広がりのあるテーマ。

これがコンテストのテーマだったら面白いのがいろいろ出ただろうか。

でも前回のテーマ「珈琲」が充実していたみたいに、もっと具体的な方がいいのか。

いろいろ考えている時に、MVPをもらっている私は「大賞」だと、であるならば三賞があってもいいかな、と。

普段様々盛り上げてくれている皆さんの努力に報いたいな、という気持ちがあり、三賞選出しました。

技能賞のマルーンが受賞会見してくれたのは嬉しかった。

これからも私がMVPを獲ったら三賞発表を続けていきたい。

 

何度目かの引退と復帰 がりは

テーマ:何度目かの引退と復帰

テーマにしては長い上に限定的で何を書かせたいのかよくわからなくて苦労した。

プロレスファンとしては長州力の引退から逃げることはできないのだけど、この作品は不満。

もっともっと書かなければいけないことがあったように思う。

大仁田にフォーカスした方がテーマには忠実だった。

また、メジャーのど真ん中にいた長州が大仁田に引きずり出されて復帰し、その後インディーの立場からメジャーの新日本を侵略、今の新日本が世界で評価されているのは、ごつごつとした戦いをする長州の遺伝子がインディー、つまり新日本の外でコールドスリープされていて残っているからだ、という話から今年のG1がアメリカ合衆国テキサス州ダラスで開幕することに触れても良かった。

また、元ロッテのまさかり投法村田兆治が引退後も研鑽を続けていて66歳の時の始球式で130km/hのストレートを放ったことや、柔道の野村忠宏の話、ジョビジョバの話、会社で間欠泉のように働く先輩の話など書くべき内容は他にもあるテーマだった。

それらをぐるっと見渡しても、大仁田について書くべきだったかなあ。

でも俺、彼には詳しくないし思い入れもないんだよな。

うじうじ。

 

マッサージ  がりは

テーマ:どうくつ

小説を書けないのかよ、と言われている気がしていて、じゃあ書いてやろうじゃねえかと最近思っている。

そういうタイプの人間。

それがストロングスタイル。

でも、小説って書くの難しいですよ。

今回テーマがどうくつで、だらだら考えていても出てこなくて、どうくつをぴちゃぴちゃ歩いている情景だけ出来てきた。

人体の中にもりもり入っていく、中には広い空間がある、というのはなかなか面白い着想だったと思うけど、それだけっちゃそれだけ。

まあ、それでも書き続けていれば何かにぶつかるかもしれない。

 

隈部親永 がりは

テーマ:隈部親永

定番となってきた書きにくいテーマ二つ目系。

全然問題ない。

何を書かせたかったのかはわからなかったけど、これで良かったのかしら。

これが全体のテーマになった時に豊かな世界が広がるのかしら。

私としては知らなかった人のことを多少なりとも知ることができて良かった、刀狩や太閤検地との関連を知ることができて良かった、と。

まだまだこういうことを楽しく伝えるのは難しいなあ、伸びしろですねえ、と。


Ho-Ichi  がりは

テーマ:琵琶

琵琶がテーマで、いろいろと考えていて、考えあぐねて、YouTubeで琵琶聞いたりして、耳なし芳一が駅前で弾き語りをしていたら、ということを思いついた。

もう少し文化に明るいと良かったんだけど、壇ノ浦聞きながら書きました。

耳ついてるの?は、やりすぎかな。

 

【テーマ】たほいや がりは

テーマ:辞書

元々は将棋部の一部で流行った「たむなで」の話を書くつもりでいた。

俺が普段書かないものを修行として書こうと思ったので、どんどん形が変わって、お師匠さんのきつい指導もあってこの形に。

終わらせ方とか、選ぶ単語とか議論を重ねて大分良くなったように思う。

手癖も指摘され、多少スマートに。

自分の書いたものに本気でフィードバックしてくれることのありがたさを味わった。

 

以上が六月のテーマ戦記である。

とりあえず、テーマをさばくにあたりファーストチョイスが小説だったので非常に時間がかかった。

まあ、もう少ししたら大丈夫になるだろう。

俺は尻上がりだからな!

 

これからもがりはのテーマをめぐる冒険から目を離さないでほしい。

どんなテーマであってもこなしてみせるよ。

よろしく!

七夕 がりは

  • 2019.07.07 Sunday
  • 17:00

「幸せに暮らしてますか?」

夜中にLINEが入る。

なんだよー、こいつ。

いい年した男がいい年した女に聞くことか、これ。

友達は友達なんだけどね。

 

「なんでそんなこと聞いてくるの?」

と返そうとして、これだと幸せじゃないようだと思い、とどまる。

「幸せだよー。」

間違ってない。

でもストレートに返事するのが嫌だ。

聞かれていることは悪いことじゃないのに、心にさざなみが立つのはなぜなのか。

癪だからとどまる。

 

無視して寝るか。

 

「なんだよ、突然。」

返してしまった。

 

「「Aが幸せであるならばBが幸せ」の対偶は「Bが幸せでないならばAが幸せでない。」じゃないか。」

「たしかに!てなると思ってるのか。頭の中に何入れてんのか?カステラか?」

「確かに卵と砂糖とメルヘンでできてるよ」

「スタンプ連打するのやめてくれない?」

「笑ったろ」

「笑った。で、対偶がどうしたの?」

「俺最近あんまりいいことなくてさ。そっち大丈夫かな、て。」

「はあ?」

「昔さ、俺が幸せなのがお前の幸せだって言ってたじゃん。俺がA、お前がBだとして、Aが幸せじゃない感じなわけだから、Bが幸せじゃないのかもしれん、と心配するのは論理的かつ倫理的だろう。」

「よくわかんないけどさ。そんな昔の話されても。私は幸せだよ。」

「ふーん。そうか」

「やめろ!本当に幸せなのか、みたいなやつ」

「そんなこと言ってないだろ」

「不幸せなのはなにをもって不幸せだと言ってるの。独り身の淋しさに衣かたしき一人かもねむって感じ?」

「いやいや、モテてしょうがないんだけど、モテてもモテてもなんだか虚しいんだよね。」

「なんじゃそりゃ。能天気な。」

「仕事もなんか人の世話ばっかりでさー。」

「順調に出世してんじゃん。今まで好きに働いてたんだからちょっとは恩返ししろ」

「やっぱりわかってもらえないか。」

「わかるか!」

「まあ、幸せに暮らしてください」

「お前のそれとは独立に私は幸せに暮らす。」

 

夜中のLINEにロクなことはない。

(テーマ「対偶」)

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